借金を抱えている人は、その借金を返済し終わるまでは毎月の給料のうちいくらかが借金の返済に使われてしまうので、自由に使えるお金が減ってしまいます。資産がマイナスの状態で生活をするということは、精神面にも影響します。
精神的に追い詰められた人は、よく考えずにfxで一気に借金を返済してしまうというリスクの高い選択肢を選んでしまうこともあります。
fxは短期間で資産を2倍、3倍・・・と増やせる可能性がある投資です。しかし、その半面で大きなリスクも存在しています。
ここでは、fxで借金返済をすることのリスクについて解説します。
借金がある人はfxをしてはいけないのか?
借金がある人はfxをしてはいけないと言う人がいますが、実はそのような決まりはありません。借金があっても問題なくfx口座開設ができるケースも多いです。
fx口座の開設には審査がある
fx口座の開設には審査があります。
審査のポイント
fx口座の審査で見られるポイントは、主に次の3つです。
貯金の金額
投資の経験
fx口座は専業主婦の人でも開設することができます。しかし、無職の人は審査に落ちる可能性がそれなりに高いです。
同じ無職でも、専業主婦と完全なニートではかなりの差があります。
ニートとは、「家事・通学・就業をしていない人、さらに職業訓練も受けていない人」のことを意味します。
日本では15歳~34歳の人という条件も加わるようですが、40代ニートという言葉などもあるので、あまり厳密に定義はされていないようです。
専業主婦とニート
専業主婦は家事をしているのでニートではありません。
専業主婦の人は家事などをして夫の収入を支えており、夫の収入の半分は妻の功績であるという考え方もあります。
そういった理由から完全なニートの人よりも社会的な信用はあり、fx口座の開設の審査にも通りやすいようです。
fx口座の審査に落ちる人というのはよほどの人であり、無職でも貯金が200万円くらいあれば審査に通ったという体験談もあります。
無職、貯金50万円以下、投資経験なしというように、3つのポイントすべてを満たしている人でもなければ可能性はあります。
fx会社によって審査の基準が異なるので、会社を変えてみるとあっさり通ったという体験談などもあります。
借金があってもfxができる
借金がある人でもfx口座を開設することに問題はありません。
同じ借金でも、金利の低い住宅ローンと消費者金融からの借金ではリスクにかなりの差がありますが、どこの会社から借りているのか、金利はいくらなのかといった点も問われないようです。
そもそも、個人信用情報は閲覧されず、借金の有無について申告をする義務もありません。
借金は自己資産に関係?
fx口座開設のときには、自己資産を申告する欄があります。
貯金が100万円あり、消費者金融からの借金が70万円ある人の場合、自己資産を30万円と記入すればよいのか、100万円と記入をすればよいのか悩むかもしれません。
この問題については、fx会社によって判断は異なるようです。
一般的には、貯金100万円から借金の70万円を差し引いた30万円を自己資産の金額として記入するべきかと思われます。
審査なしでfxをすることも可能
ビットコインfxなら、審査がありません。
仮想通貨取引所でのアカウント開設では年収や勤務形態、貯金の金額、投資の経験などについて問われることはありません。
2017年4月1日に仮想通貨に関連する法律ができたため、本人確認についてはほぼ必須となりました。
通常のfx口座開設の審査に落ちたという人でも、仮想通貨取引所でビットコインfxをすることは可能でしょう。
借金がある人にfxををおすすめしない理由
借金がある人でもfx口座を開設して、トレードをすることができます。
しかし、借金がある人はまずは借金を返済することを優先しましょう。
借金がある人と比べてリスクが高い
借金とひとくちに言っても、「金利1.0%の住宅ローン」と「金利18%の消費者金融キャッシング」ではかなり差があります。
ここでは、金利18%の消費者金融で50万円借りているケースについて考えてみます。
Aさんは独身、年収が400万円です。
大手の消費者金融のカードローン1枚、限度額50万円(金利18%)
を保有していたとします。金利18%で合計100万円まで借りられますが、現在はそのうち50万円を借りています。
Aさんは独身、年収が400万円なので、50万円くらいの借金ならば問題なく返済していけるでしょう。
しかし、金利が18%なので利息がもったいないと考えたAさんは、fxで一気に返済を進めてしまおうと考えました。
fxをやるためにAさんはさらに追加で50万円の融資を受けました。1ヵ月で50万円を2倍の100万円にしてしまおうとAさんは意気込んでいました。
ところが、ロスカットをしてしまい、1ヵ月で50万円の資金がゼロになりました。
借金が100万円に増えたうえ、翌月の返済をするお金がなかったので、延滞をして信用情報に傷がついてしまいました。
もともとあった借金50万円は1年で完済してしまえる予定でしたが、生活に余裕がなくなったので、完済まで3年かかることになりました。
損失が普通よりも大きくなる
このケースでAさんの損失は、
だけではありません。さらに、
・追加で借りた50万円に対してかかってくる金利18%の利息
・延滞をして個人信用情報に傷がついてしまったこと
まで損失となります。
借金をしていない人の場合
借金をしていないケースについても見てみましょう。
Bさんは独身、年収350万円です。借金はゼロ、貯金が500万円ありました。
Bさんは余裕資金の50万円をfx口座に入金し、トレードをしましたが、負けてしまって50万円を失ってしまいました。
しかし、Bさんは余裕資金でトレードをしていたので、また450万円の貯金が残っています。損失は負けた分の50万円だけです。
結論
基本的には、投資やギャンブルをやると「賭けたお金が増えるか、それとも減ってしまうか」という2パターンの未来のどちらかになります。
しかし、借金がある人がfxをやると借金の利息、延滞のリスク、破綻のリスクなどが追加され、リスクが増してしまいます。
成功することもある
fxはトレードによってお金を増やしていくタイプの投資です。単純に考えると勝率はほぼ50%です。
パチンコや競馬などのギャンブルでは、運営会社の手数料がとても高額になります。パチンコなら、店舗の維持費、スタッフの給料、お店の利益などが手数料として引かれることになります。
運営会社の取り分・・・・4千万円
勝者30人の取り分・・・6千万円(1人あたり200万円)
というようになっているので、勝率は50%よりもかなり下がります。
それに対して、fxは運営会社の取り分が少ないので、ほぼ50%の確率で勝つことができます。
必ず勝ち負けがある
トレードにおいては「買う」「売る」という2択のどちらかを選びます。
「買った人」「売った人」のどちらかが勝ち、どちからが負けます。
どのタイミングで買う・もしくは売るのかという問題もあるので、実際にはもっと複雑です。
パチンコや競馬などのギャンブルに比べると、運営会社の取り分が少ないので、fxの勝率は高い傾向です。
fxでは9割が負けているという意見もインターネット上で見かけられますが、単に負けた人のほうがブログなどに書くことが多いのでそう感じられるのではないでしょうか。
基本的に「買う」「売る」の2択の勝負なので、勝率が1割しかないというのは大げさでしょう。
成功するパターン
先のAさんの例で言えば、Aさんは50万円の借金をして、fxを1ヶ月間やって2倍の100万円まで増やすことに成功したなら、Aさんはすべての借金から開放されることになります。
Aさんが得られる利益は、
・もともとあった借金の50万円に対してかかっていたであろう利息
の2つになります。
借金がある人がfxをやると、勝った時に得られるものも大きいということになります。
しかし、負けた時に失うものの大きさのほうが重大なので、基本的にはおすすめができません。
投資は余裕資金で行いましょう。
債務整理のほうが確実に借金を減らせる
借金を抱えている人は、fxで一気に借金を返済してしまおうとは考えず、確実に問題を解決できる方法を選びましょう。
おまとめローン、借り換えローン
まず最初に検討をするなら、おまとめローンもしくは借り換えローンです。
消費者金融から金利18%で50万円を借りているといったケースなら、債務整理をする必要性は少ないでしょう。
銀行カードローンから金利14%で50万円を借りて、消費者金融の借金を完済してしまうことで、
金利18%、50万円の借金→金利14%、50万円の借金
ということになって、負担を減らせます。
複数の消費者金融から借りているケースなら、おまとめローンが良いでしょう。
消費者金融キャッシング(金利18%、50万円)
↓
消費者金融のおまとめローン(金利15%、100万円)
というようにおまとめをすることで負担を減らせます。
債務整理は最後の手段?
債務整理は最後の手段という意見がありますが、早い段階で債務整理をしてしまってもかまいません。
早い段階で解決をするなら、任意整理がよいでしょう。
任意整理
任意整理では将来利息、遅延損害金を免除してもらえます。
遅延損害金を免除してもらえるのであれば、急いで手続きをする必要はないと考えるかもしれません。
しかし、延滞をしていない状態で任意整理をすることがベストです。
消費者金融から100万円の借金があるケースで考えてみます。
2017年3月 長期延滞によって強制解約、一括請求をされる(この時点でブラックリスト)
2017年5月 任意整理をして将来利息と遅延損害金を全額カットしてもらう。
この場合、利息と遅延損害金は全額カットしてもらったので元本の100万円だけをおよそ3年かけて返済していくことになります。
ブラックリストから解除されるのは、任意整理の和解をした2017年5月から5年後の2022年5月くらいになるでしょう。
それならば、2017年の1月に延滞をする前に、弁護士や司法書士に依頼をして任意整理をしてもらったほうがメリットがあります。
2017年の1月の時点で延滞をしていない状態で任意整理をしてしまえば、借金は同じ100万円が残りますが、ブラックリストから解除されるタイミングがもっと早くなります。
また、任意整理は100%成功するわけではないということも重要です。
個人再生や自己破産は最後の手段?
個人再生や自己破産は、最後の手段に近いでしょう。
任意整理では借金問題が解決できない場合にこちらの手段を使います。
個人再生では、
500万円~1500万円の借金・・・5分の1まで圧縮
1500万円~3000万円の借金・・・300万円まで圧縮
という決まりになっています。100万円以下の借金ではあまりメリットがないので注意をしておきましょう。
さらに、弁護士費用の相場として40万円~55万円程度がかかります。住宅ローンの特別条項を利用する場合には弁護士費用が5万円くらい上乗せされます。
自己破産をすると借金がゼロになる
自己破産のほうはすべての借金をゼロにすることができます。資産はすべて失いますが、99万円までの現金は手元に残せます。
売っても20万円以下にしかならない中古車なども、保有を続けられる可能性があります。
デメリットも大きい
個人再生もしくは自己破産をすると、5年~10年間ブラックリストにのってしまいます。
審査に影響する期間の目安としては、
銀行のローン・・・10年間
となります。一般的なローンならば金利は上がるものの消費者金融でも代替ができますが、住宅ローンについては銀行から借りなければならないでしょう。
マイホームが10年間も持てなくなるということが大きいです。
fxによる借金は自己破産ができる?
自己破産では、ギャンブルや浪費による借金は免責不許可事由となっています。
fxで借金をするパターンとしては、
2.fxでロスカットをして、借金ができた
の2パターンがあります。2つ目のパターンが起きることはめったにないので、ほとんどの人は1つ目のパターンに該当するでしょう。
実は、fxや株式投資のために作った借金についても、破産法252条の免責不許可事由にあたります。
しかし、免責不許可事由にあたるからただちに免責が受けられないと考えるのは誤りです。
裁量免責という仕組みがあるので、免責不許可事由に該当していても免責が受けられるケースは多いです。
諦めずに債務整理に強い弁護士や司法書士に相談をしてみましょう。