借金の借り換えはメリットとデメリットどちらが大きいの?

借金の負担を減らす方法に借り換えがあります。借り換えとは簡単に言えば、今の借金よりも低い金利でお金を借りて、その借りたお金を元の借金の返済に当て、新しい方の借金を毎月返済していくという方法です。

理屈上はメリットが多い借り換えですが、実は意外な落とし穴もあります。その当たりを理解せずになんとなくで借り換えを行ってしまうと、却って借金が膨らむ可能性もあるので注意が必要です。

借り換え最大のメリットは返済負担が少なくなること

電卓を持つ女性

借金の借り換えの最大のメリットは、金利が下がるぶん毎月の返済額、あるいは総返済額が少なくなることです。例えば、借金の残高が200万円、金利が18%、返済期間が2年の場合、毎月の返済額は9万9849円、総返済額は239万6376円になります。

しかし、金利が15%の借金に借り換えることができれば、毎月の返済額は9万6974円、総返済額は232万7376円になります。

毎月の返済額や総返済額が少なくなればそれだけ家計に余裕ができます。

複数の借金を1つにまとめれば返済の手続きが楽になる

仮に複数の金融機関から借金をしている場合、借り換えで借金を1つにまとめれば、返済日が月1回しか来なくなるので、返済の手続きや家計の管理が楽になります。

信用情報に傷がつかない

借金を整理する方法に債務整理がありますが(参考:借金の債務整理の種類とそれぞれのメリット・デメリット)、債務整理をするとそのことが信用情報機関という機関に登録されてしまい、その情報が削除されるまで新たな借入ができなくなるというデメリットがあります。

情報が削除されるまでにかかる期間は通常5年~10年と結構長く、その間は借金もできませんし、クレジットカードも使用できなくなるため、非常に不便です。

しかし、借り換えは債務整理に該当する行為ではないため、行っても信用情報に傷がつくことはありません。なので借金もできますし、クレジットカードも使えます。

借金の借り換えで総返済額が増えるデメリット

お金

借り換えを正しく利用すれば総返済額を大きく減らすことができますが、一方で使い方を間違ってしまうと総返済額が増えてしまうこともあります。

たとえ金利が低いところで借りても、毎月の返済を減らすために返済期間を伸ばしてしまうと総返済額が大きくなる可能性があります。

例えば、借金残高が200万円、金利が18%、返済期間が2年の借金を、金利15%、返済期間3年で借り換えたとします。

借り換えなかった場合、毎月の支払額は9万9849円、総返済額は239万6357円になります。一方、借り換えた場合、毎月の返済額は6万9331円、総返済額は249万5904円になります。

返済期間を伸ばすことによって毎月の負担はかなり減りましたが、その代わりに総返済額は10万円も増えてしまいました。

返済期間を伸ばすのは毎月の資金繰りに余裕をもたせる上では効果的ですが、その代わりに総返済額も増やしてしまうというデメリットもあります。総返済額を増やしたくないという場合は、返済期間を伸ばさないようにしましょう。

借り換えには手数料がかかる

住宅ローンを借り換える場合、手数料がかかります。手数料は借金の残高や借入先によってまちまちですが、仮に住宅ローンの残高が2000万円ある場合、手数料は約60万円程度になることが多いです。

借り換えは審査が厳しい

借り換えローンは基本的に借入額が大きくなりやすいため(複数の借金を1本にまとめる場合は特に)、審査が厳しい傾向があります。特に銀行の審査はかなり厳しく、大企業の正社員や政令市の地方公務員など、かなり属性で恵まれていないと通るのは難しいでしょう。

消費者金融は銀行ほど審査が厳しくない反面、金利も高めに設定されているので、借り換えの一番のメリットである毎月の返済額や総返済額の軽減がしづらくなってしまいます。属性があまり良くないときは借り換えを考えないほうが良いかもしれません。

借り換えをした方がいい借金、辞めておいた方がいい借金

まるばつ

借り換えをした方がいい借金の代表は住宅ローンです。住宅ローンは借金の残高が大きくなりやすいため、金利が僅かに下がるだけでも毎月の返済額、あるいは総返済額は大きく減ります。

例えば、住宅ローンの残高が2000万円、金利が2.5%の場合、毎月の返済額は10万5980円、総返済額は2543万5201円になりますが、これを金利1.5%で借り換えることができれば、毎月の返済額は9万6509円、総返済額は2316万2045円にまで減少します。

総返済額には約227万円もの差がついています。仮に手数料が60万円かかったとしても、なお167万円のメリットが得られます。住宅ローンは借入額が大きくなるため属性が有利でないと難しいですが、自信がある方は申し込んでみましょう。

なお、一定期間は固定金利でその後は変動金利という条件で返済している場合は、固定金利期間が終わる時点での借り換えをおすすめします。

借り換えをしないほうが良い借金の代表は(特に小口の)カードローンです。カードローンは残高があまり多くならないぶん、金利が下がっても毎月の返済額や総返済額にはそこまで影響が出ないからです。

例えば、カードローンの残高が30万円、金利が18%、返済期間が1年の場合、毎月の返済額は2万7504円、総返済額は33万48円になりますが、これを金利15%で借り換えると毎月の返済額は2万7077円、総返済額は32万4930円となります。

確かに総返済額が減ることは減ったのですが、その差は僅か約5000円です。借り換えにも審査や手続きなどの手間があることを考えると、借り換えをおすすめすることはできません。

なお、借り換え前と借り換え後で借金がどのように変化するかについては、銀行や消費者金融などが提供しているシミュレーターを使うといいでしょう。以下に幾つかリンクを張っておきますので、必要な際にはご利用下さい。

住信SBIネット銀行 住宅ローンお借り換え試算
プロミス 返済シミュレーション
みんなの知識ちょっと便利帳 ローン返済額シミュレーション

借り換えの効果が薄そうな場合は繰上返済がオススメ

ガッツポーズ

借り換えをしても大して毎月の返済額や総返済額が大きく減らない場合は、代わりに繰上返済をすることをおすすめします。繰上返済とは、毎月の一定の返済とは別に追加で返済を行うことです。

毎月の一定の支払いはその一部が利息に充当されるためなかなか元本が減っていきませんが、繰上返済で返済したぶんはすべて元本に充当されるため、元本をより効果的に減らせます。手続も借り換えよりずっと楽なのもポイントです。

借り換えと繰上返済を上手に使い分けることによって、総返済額を少なく抑えることができます。