自動車ローンの審査基準まとめ!借金があってもローンは組めます

自動車購入の際にはお世話になる人も多いであろう自動車ローン。借入額が多くなるため、審査が厳しいというイメージをお持ちの方も多いかと思いますが、実際には現時点での属性があまり良くなくても問題なく通る可能性が高いです。

例えば消費者金融からの借金があったり、年収が平均より少なかったりするのにもかかわらず、特に問題なく自動車ローンを組めたという人は世の中にたくさんいます。

とはいえ、当然全員が通るわけではない以上、事前に審査のポイントを抑えておくことは必須になります。今回の記事では審査でチェックされる主なポイント、さらには自動車ローンの選び方までをまとめて解説していますので、これから審査を受けようと考えている方は参考にしてください。

自動車ローンの審査では職業や年収・借金歴等が見られる

自動車ローンの審査では、職業や年収、勤続年数、更には他社からの借入額まで、総合的にチェックされます。

あくまでも総合的に判断されるため、このうちの1つや2つに問題があるからと言って即落ちる、というわけではありません。ただし、もちろんすべての属性で問題がない人のほうがより通りやすくなるのもまた事実です。

自動車ローンの審査で特にチェックされる属性5点

自動車ローンの審査で特にチェックされる属性を順番に見ていきましょう。金融機関によって審査内容は多少異なりますが、どこの金融機関でも以下の5点は間違いなくチェックされるはずです。

  • 債務整理や返済遅れの経験
  • 年齢
  • 年収
  • 勤続年数や勤務先
  • 現時点での借入額

債務整理や返済遅れの経験

審査項目の中でも特に重要なのが、債務整理や返済遅れなどの経験の有無です。これらの経験があり、なおかつそのことが信用情報機関のデータベースに残っている場合、他の属性がどんなに良くても審査には落ちると思ったほうが良いでしょう。

信用情報機関とは、複数の金融機関が加盟するデータベースの管理・運用機関です。信用情報機関は各金融機関から登録される信用情報(個人の借金に関する情報)を管理し、あるいは各金融機関に提供することによって、消費者と金融機関の健全な取引を支える機関です。

現在の日本には以下の3つの信用情報機関があります。

銀行や消費者金融、あるいは信販会社などから借金をした場合、そのことは金融機関を通じて信用情報機関に登録されます。信用情報機関に情報を登録されずに借金をすることは事実上不可能です。情報を載せられたくないのならば、借金をせずに生活するしかありません。

信用情報機関には、借金の返済履歴等だけでなく、債務整理や返済遅れに関する情報も残ります。残る期間はまちまちですが、例えば任意整理ならば5年、自己破産ならば10年、といった感じです。期間終了後は情報が抹消されます。

この情報が残っている限り、自動車ローンはもちろん、それ以外のローンを組むこともまず不可能だと思ったほうが良いでしょう。金融機関からすれば債務整理や返済遅れの経験者は「見えている地雷」だからです。

過去に債務整理や返済遅れの経験がある場合は、信用情報機関から情報が抹消されるまで待ちましょう。情報が残っているかどうかわからない場合は、信用情報機関に開示請求をすてください。500円~1000円で開示できます。

年齢

殆どの自動車ローンでは年齢制限が定められています。例えば20歳~70歳、といった感じです。

上限年齢は完済時年齢を設定しているところと借入時年齢を設定しているところがあります。例えば住信SBIネット銀行の場合は「完済時70歳未満」を上限としていますが、三井住友銀行は「借入時66歳未満」を上限としています。

これらの年齢制限に該当しなかった場合、当然自動車ローンは組めません。

また、年齢制限の範囲内に収まっていても、下限もしくは上限ギリギリ(例えば前述の例の場合20~25歳や65~70歳あたり)は審査に通りにくくなる可能性があります。

特に後者の場合はその傾向が顕著です。このくらいの年齢の人は定年を迎えて収入源は年金のみ、というケースも多く、支払い能力が低いとみなされるためです。

年収

年収については、額だけでなく安定性も重視されます。と言うより、自動車ローンの審査では安定性のほうが遥かに重要です。年収レベルが中の下程度でも、毎年安定した収入があれば問題視されることは殆どありません。

3年前の収入 2年前の収入 1年前の収入 過去3年間の年収の平均額
会社員 390万円 400万円 410万円 400万円
自営業者 100万円 1000万円 700万円 600万円

例えば、上記の両者を比べた場合、年収の額(平均額)は自営業者のほうが上回っていますが、年収の安定性(ブレの少なさ)は会社員のほうが上回っています。このような場合は通常、会社員のほうが高く評価されます。年収が安定している会社員や公務員は原則有利に、自営業者などは不利になると考えておいてください。

なお、自動車ローンの融資限度額は通常、年収の30~40%となります。例えば、平均年収が400万円の会社員の場合、融資限度額は120万円~160万円となります。足りない部分については、頭金を用意するしかありません。

勤続年数や勤務先

勤続年数と勤務先は以外に重要な審査項目です。基本的に勤務年数は長いほうが、勤務先は大規模で経営が安定しているようが有利になります。

なお、勤続年数とは、現在の勤務先に努めている年数のことであり、社会人の経験年数のことではありません。例えば新卒で20年間勤めた会社を退職し、別の会社に転職した直後は、勤続年数1年目となります。退職の予定がある場合は、退職する前にローンを組んだほうが良いでしょう。

勤務先は安定している公務員、特に都道府県や政令指定都市などの地方公務員が好まれます。国家公務員ももちろん悪くありませんが、国内を転々とする人も少なくないため、地方公務員と比べるとやや不利になるかもしれません。

中堅企業以上の会社員も有利です。それ以下の会社員はよくも悪くもない、といったところでしょうか。

自営業者は多くの場合で会社員や公務員よりは不利になります。契約社員や派遣社員は、基本的に自営業とほぼ同格扱いです。フリーターはその更に下、無職はその時点で不合格になる可能性が非常に高いです。まとめると以下のようになります。

審査で有利

審査で不利

地方公務員(都道府県や政令指定都市など)

地方公務員(その他市町村など)

国家公務員

中堅企業以上の会社員

それ以下の企業の会社員

自営業者・契約社員・派遣社員

フリーター

無職

現時点での借入額

現時点で借金がある場合、審査では不利になることが多いです。特に複数の消費者金融から借り入れがある場合、かなり不利になります。殆どの場合において、借入額よりも借入件数が重視されます。

例えば、1社から50万円ずつ借りている人と、3社からそれぞれ15万ずつ、合計45万円借りている人では、後者のほうがより不利になりやすいです。1件あたりの借入額が小さく、借入件数が多いということは、借入先から余り信頼されていない証拠になるからです。

前者は1社から多額の借金ができるほど信頼があるとみなされるため、あまり大きく不利にはなりません(もちろん、借入がないに越したことはありませんが)。

現時点で複数社から借りている場合は、借入額が一番少ないところの分だけでも一括返済をして、借入件数を少なくした方がいいでしょう。それが出来ない場合は、自動車ローンを組むことよりも、現時点で抱えている債務を減らすことに集中したほうが良いでしょう。

良い自動車ローンの選び方

自動車ローンは元本が場合によっては数百万円に達することもある高額なローンであるため、商品選びが非常に大切になります。金利の高い自動車ローンをそうとは知らず契約してしまうと、10万円以上損してしまいかねません。

なるべく金利が安く、なおかつ手間も余りかからないローンを探すためには、一体どうすれば良いのでしょうか。

自動車ローンは全部で3種類

現在市場に流通している自動車ローンは、概ね以下の3つに分類できます。

  • 自動車ディーラーのローン
  • 銀行や信用金庫など、金融機関のカーローン
  • 目的が定められていないフリーローン

それぞれ特徴は異なりますが、表にまとめると以下のようになります。青字はメリット、赤字はデメリットです。

 名称/特徴  金利 審査にかかる時間 審査の難易度 諸経費をローンに含められるか 向いている人
自動車ディーラーのローン 5~8%程度 1時間~2時間 易しい 含められない事が多い 手間を掛けたくない人、属性があまりよくない人
 銀行や信用金庫など、金融機関のカーローン 1.5~4%程度 1週間~1ヶ月 厳しい ローンによる 属性がいい人
 目的が定められていないフリーローン 4~13%程度 数日~1週間 普通 含められる事が多い 他のローンの審査に通らない人

自動車ディーラーのローンは手間がかからないが高金利

自動車ディーラーのローンの最大のメリットは、審査に時間と手間がかからないことです。手続きは全て自動車販売店で行えますし、審査は早ければ1時間程度で終わります。

審査自体のハードルも、銀行や信用金庫のそれと比べると低めです。金融機関の自動車ローンはフリーローンと比べると書類のやり取りなども少なく、とにかく早く済ませたいという方にはおすすめです。

一方、最大のデメリットは金利が高いことです。はっきり言ってしまえば、自動車ディーラーのローンは大抵がぼったくり価格です。金利はディーラーに寄って異なるのでなんとも言えませんが、一般的には5~8%程度のところが多いです。金融機関の自動車ローンは1.5~4%程度のところが多いことを考えると、かなりの高金利です。

実際にシミュレーションしてみましょう。借入額を160万円、借入期間を4年(48ヶ月)、元利均等返済、ボーナス返済離しとします。

仮にこのローンを金利2.5%の銀行で組んだ場合、総支払額は168万2998円となります。
一方、このローンを金利6.5%の自動車ディーラーで組んだ場合、総支払額は182万1308円となります。

自動車ディーラーのほうが、約14万円も総支払額が増えています。手間がかからないことが魅力の自動車ディーラーのローンですが、それに14万円分もの価値があるかというと微妙なところです。

また、自動車ディーラーの自動車ローンは車両購入代金のみがローンの対象となります。それ以外の費用、例えば自賠責保険やリサイクル料金などの費用をローンで賄うことは出来ません。

銀行や信用金庫などの金融機関の自動車ローンは低金利だが審査がやや厳しい

銀行や信用金庫などの金融機関のカーローンは、概ね自動車ディーラーのローンとは逆の性質を持っています。金利に関しては2%~3%台が当たり前、特に低いところでは1%台というところもあります。

また、エコカーの購入だとさらに金利が低くなったり、その金融機関から他にも借り入れがあると更に金利が低くなったりと、特典も何かと多いです。前述の例のように、総支払額が自動車ディーラーのローンと比べて10万円以上減ることも珍しくありません。

反面、審査は自動車ディーラーのそれと比べるとかなり厳しいです。ローンというのはたいてい金利の低さと審査の厳しさが比例するものですので、これは仕方のないことです。フリーター、契約社員、派遣社員の方などは、審査に通るのが難しいかもしれません。

フリーローンは高金利だが車の改造などにも使える

フリーローンとは、銀行などの金融機関が用意している、用途が定められていないローンです。

金利は自動車ディーラーの用意するそれよりも更に高く、10%を超えることもママあります。反面、用途が定められていないため、自動車ローンでは認められない自動車の改造などにも使えるというメリットがあります。

自動車ローンを組む上でチェックしたい6つのポイント

ここまで、3つのローンのそれぞれの特徴を大まかに説明してきましたが、これはあくまで一般的な傾向に過ぎません。

自動車ディーラーでも比較的低金利なローンを用意しているところもあれば、銀行でも比較的審査が簡単なところもあります。ここからは、個別の自動車ローンを比較する上でチェックしたい6つのポイントについてお話します。

  • 金利の低さ
  • 固定金利と変動金利
  • 保証料の扱い
  • 諸経費をローンに含められるか
  • 融資までにかかる時間
  • 繰り上げ返済の手数料

金利の低さ

金利については当然、低いほうが有利です。前述の通り、金利が最も低いのは金融機関の自動車ローンです。

特に銀行が用意している自動車ローンは金利が1%代ということも珍しくなく、場合によっては更に優遇された金利で借りることも出来ます。銀行で借りる場合は、都市銀行よりも地方銀行やネット銀行のほうが金利が低くなります。

固定金利と変動金利

金利には固定金利変動金利があります。固定金利とは、最初に提示された金利が最後まで固定される仕組みです。例えば最初に固定金利3.0%で自動車ローンを組んだ場合、その後市中金利が上がっても下がっても自動車ローンの金利は3.0%のままです。

一方、変動金利は、市中金利に連動して自動車ローンの金利が時々変わる仕組みです。市中金利が上がれば自動車ローンの金利は上がりますし、市中金利が下がれば自動車ローンの金利も下がります。

固定金利のメリットは、金利が固定されるので最初に将来の支払額がすべて決定するところです。変動金利は将来の金利が変動するため、支払額の予測が立てづらいです。ただし、固定金利を選んだ場合、将来市中金利が下がっても金利は低くなりません。

一方、変動金利のメリットは、最初の金利が固定金利よりも低いことです。例えば、関西アーバン銀行の場合、それぞれの金利は以下のようになっています。

  • 変動金利:2.70~3.80%
  • 固定金利:2.95~4.05%(返済期間5年以内の場合)or3.10~4.20%(返済期間5年超の場合)

そのため、市中金利がほとんど変動しなかった場合は、結果的に変動金利のほうが支払額が少なくて済む、ということが多いです。

このように固定金利と変動金利はどちらも一長一短ですが、現状、多くの金融機関では変動金利のほうが人気のようです。

固定金利は住宅ローンのように長期間・多額の借り入れをする際には非常に有効ですが、自動車ローン程度の借入では余り大きなメリットになりません。

元本が少ないので、変動金利でローンを組んで多少金利が上がったところで総支払額は大して増えないからです。また、返済期間も短いので、そもそも金利上昇が起こる可能性も少ないです。

ただしリスクの考え方は人それぞれなため、一概に変動金利にすべきとも言えません。自身の支払い能力に応じて決めると良いでしょう。

保証料の扱い

自動車ローンにおける保証料とは、保証人となってくれる保証会社に対して支払う手数料です。この保証料は、予め金利に組み込まれている場合と、そうでない場合があります。

例えば、「金利2.0%(保証料込)」の自動車ローンと、「金利1.5%(保証料別)+保証料1.0%」の自動車ローンは、金利の部分だけ比べれば後者のほうがお得に見えますが、後者の実質的な金利は2.5%ですので、実は前者のほうがお得なのです。

金利が低いと思ったら実は保証料は別だった、ということは珍しくありませんので、自動車ローンを組む前には必ず保証料の扱いを確認しましょう。

諸経費をローンに含められるか

自動車を購入する上では、自動車本体の車両価格とは別に諸経費(手続きにかかる費用など)を支払う必要があります。自動車ディーラーのローンでは通常、諸経費をローンに含めることは出来ません。金融機関の自動車ローンはケースバイケース、フリーローンの場合は用途が自由なので当然含められます。

融資までにかかる時間

融資までにかかる時間は自動車ディーラーのローンは即日(1時間~2時間)、金融機関の自動車ローンは1週間~1ヶ月、フリーローンは数日~1週間となっているところが多いです。

自動車ローンの審査に急いで合格しなければならない場面というのがどれだけあるのかはわかりませんが、そのような場合は金利の高さには目をつぶって自動車ディーラーのローンを選んだほうがいいかもしれません。

繰り上げ返済の手数料

繰り上げ返済とは、普段の毎月のローン返済とは別に返済を行う仕組みです。繰り上げ返済を行うと元本が大きく減るため、将来発生する利息を抑えることが出来ます。繰り上げ返済は通常の返済と違ってすべて元本に割り当てられます。特に元本が多く残っている返済初期に行うと効果的です。

ただし、繰り上げ返済の手数料は多くの金融機関で有料となっています。繰り上げ返済する額が少ないと、利息軽減額よりも手数料のほうが多くなってしまう可能性もあるため注意が必要です。以下に主要な金融機関の繰り上げ手数料を記載しておきます。

  • 三井住友銀行マイカーローン:5400円
  • JAネットローンマイカーローン:0円~4万3200円
  • 横浜銀行マイカーローン:3240円~5400円

全体的に、ネットで手続を済ませた場合は手数料が安く済む傾向があります。

まとめ

  • 自動車ローンは借金があったり、年収が低かったりしても組める
  • ただし債務整理や返済遅れの情報が信用情報機関に残っているとまずアウト
  • 金融機関の取り扱っている自動車ローンは低金利だが審査が厳しい
  • 自動車ディーラーのローンは高金利だが審査は易しく速い
  • 細かい条件についてはローンごとに異なるため、必ず内容を精査する

自動車は決して安い買い物ではありません。審査基準をしっかりと把握して審査に臨み、低金利なローンを勝ち取りましょう。