人生、一寸先は闇です。今は正社員でも、来月にはひょっとすると無職になっているかもしれません。もしカードローンの返済中に突然職を失ってしまった場合、どうすればいいのでしょうか。
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カードローン後に退職が決まったら必ず連絡を
カードローンの契約にこぎつけた後、何らかの理由で無職になってしまった場合は、次の仕事が決まっていても、決まっていなくても、必ず金融機関まで連絡しなければいけません。
契約者はカードローンの契約時に契約内容に変更が生じた場合には連絡すると約束しているからです。中には、契約中に無職になった場合は、状況にかかわらず全額返済を求めるとしている金融機関もあります。
しかし、実際には無職になったからと言って必ず全額返済を求められることはめったにありません。たとえ契約書にはそう書いてあったとしても、まずは返済計画を見直すところから始めるのが一般的です。
無職になった人に一括返済を求めてもまず帰ってこないことは、金融機関も十分に承知しているからです。
連絡すると新たな借入はほぼできなくなるけれど
無職になったことを金融機関に連絡すると、金融機関はそのことを信用情報機関に伝えます。信用情報機関とは、ローンを組んでいる人の情報が集められている民間の会社です。
金融機関は普段、ここに登録されている情報をもとに審査を行います。信用情報機関は金融機関の連絡を受けて、その人の勤務先を削除します。
金融機関に連絡をすると、無職であることが信用情報機関に登録されるわけです。金融機関は審査の際に信用情報機関の情報にアクセスするため、今後別のカードローンを申込んだ場合には無職であることがバレてしまいます。
今借りている借金を一括返済されることはなくても、今後新たな借入が難しくなることはほぼ間違いないでしょう。無職で借りられるカードローンはほんの一部です。
だからといって、連絡しないのはもっと危険です。勤務先を偽って新たな借入を行おうとしても、まず間違いなくバレます。
金融機関は審査の際に在籍確認(相手の勤務先に電話をかけて、本当にその人が勤務しているのかを確認する作業)を行うので、退職した会社を勤務先にしておいても絶対にバレます。
バレたら当然審査には受かりませんし、嘘をついたことも信用情報機関に登録されてしまうので他の金融機関とも契約ができなくなります。
もし万が一何らかの都合でバレなかったとしても、その後バレたら契約違反で一括返済を求められる可能性が高いです。嘘をついてまで借り入れする理由はないはずなので、絶対にやめましょう。
無職になった場合の返済方法を考える
無職になったとしても再就職先が決まっている場合は、これといって問題ないはずです。ただし、収入が前より大きく落ち込む場合は話が別です。その場合は話し合いによる返済計画の変更が必要になります。
また、給料日が変更になるかもしれません。基本的に返済日は給料日の直後に設けるべきなので、給料日が変更になった場合は金融機関に連絡して返済日も買えてもらうといいでしょう。
一方、無職になってしかも再就職先が決まっていない場合は問題です。よほどの事情がない限り一括返済を求められることはないはずですが、返済計画の見直しは必要不可欠です。返済が難しい場合は、債務整理も視野に入れたほうがいいかもしれません。
会社員だった場合は失業手当が使える
なお、会社員だった場合は、無職生活開始後しばらくは失業手当を受け取ることができます(失業手当は公的な単語ではなく、正確には雇用保険の基本手当と言いますが、失業手当のほうが馴染みがあるのでこちらの表現を使います)。
失業手当は本人に就職する意思と能力があり、求職活動を行っており、なおかつ離職直前の2年間のうち被保険者であった時期が12ヶ月以上ある人に対して給付されます。失業さえしていれば誰でももらえるわけではありません。
就職する意思については外部からの判断がつきづらいですが、例えば病気による休養のために退職した場合は就職する意思がないとみなされ、失業手当は受け取れません。代わりに傷病手当金や労災など、別の制度を利用することになります。
失業手当の申請はハローワークで行います。給付額や給付期間は退職理由(自己都合か会社都合か)、年齢などに左右されますが、当座の生活に困らないくらいの金額は給付されます。
給付額は直近6ヶ月の給与総額で決まります。当然、給与総額が高いほど給付金額は大きくなります。概ね退職6ヶ月前の50%~80%の金額が受け取る額と考えて下さい。もともとの給与が高かった人ほど50%に、低かった人ほど80%に近くなります。
給付期間は以下のようになっています。
自己都合で退職した人の給付期間
年齢 | 10年未満 | 10年以上 20年未満 |
20年以上 |
(制限なし) | 90日 | 120日 | 150日 |
会社都合で退職した人の給付期間
年齢 | 1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | - |
30歳以上 35歳未満 |
90日 | 90日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳以上 45歳未満 |
90日 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳以上 60歳未満 |
90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳以上 65歳未満 |
90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
例えば、会社都合で退職していて、なおかつ被保険者期間が12年間で38歳の場合、失業手当の給付期間は240日となります。
退職後に専業主婦(主夫)になった場合
この場合、配偶者に十分な収入があれば、本人が無収入であったとしても借りられる可能性があります。ただし、以前のように借りるのは不可能と考えたほうがいいでしょう。
定年退職した場合のカードローンの扱い
中途退職ではなく、定年退職で無職になった場合は、先ほどとはちょっと事情が違います。
定年退職しても再就職が決まっている場合は以前と変わらずカードローンが利用できる可能性が高いですが、定年退職後再就職せず引退する場合は今まで通り使えなくなる可能性が非常に高いです。
年金収入がある場合、それは収入として考えることができますが、年金収入が以前の給与水準と同じくらいある、ということはまずありません。殆どの場合は以前の給与>年金でしょう。年収が下がれば、限度額や金利にも影響が出てくるはずです。
また、定年退職を迎える年齢はすでに高齢者と呼ばれる年齢に差し掛かっており、死亡率も高まってきています。
金融機関は契約者が契約期間中に死亡するのを非常に嫌うため(債権の回収に手間がかかるからです)、たとえ年金収入が以前の給与並みにあっても条件は悪くなることが多いです。
多くの金融機関では、カードローンの利用年齢を65(主に銀行)~69歳(主に消費者金融)までと定めています。年金受給者が今まで通り借りるのは難しい、というのが結論です。
会社員という属性の強力さ
普段会社員として当たり前に勤務しているとなかなか気づけませんが、会社員という肩書は非常に強力なものです。たとえ零細企業の正社員であっても、契約社員や派遣社員、アルバイトやパート、殆どの自営業者よりは間違いなく高く評価されます。
肩書きを失って初めてその効力に気づくことも多いかもしれません。余計なお世話と取られるかもしれませんが、会社員党という肩書は大事にした方がいいでしょう。無職にならないに越したことはないのですから。