つい最近まで普通に使えていたカードローンが突然利用できなくなって驚いたことがあるという方は少なくないかと思います。利用停止に至る原因は様々で、複数の要因が絡んでいることもありますが、適切に対処すればまた利用できるかもしれません。
今回はカードローンが突然利用停止になってしまう原因と、利用停止を解除する方法をわかりやすく解説していきますので、万が一の際に参考にしてください。
目次
カードローンはある日突然利用停止になる
銀行や消費者金融などの金融機関はあらかじめ、顧客のカードローンの利用を停止するおおまかな条件というのを定めています。この条件に引っかかると、顧客は新規借入ができなくなってしまいます。
事前に連絡が来てから利用停止になるということは稀で、大抵の場合は何の事前連絡もなくいきなり利用停止になります。
また、利用停止になった後にその理由を教えてもらうこともできません。ATMに行っても「利用できません」あるいは「利用限度額 0万円」などの文字が表示されるだけです。
具体的なカードローン利用停止の条件は金融機関によって異なりますが、概ね以下の4つにわけられます。条件によって解除できたり出来なかったりします。
- 総量規制の上限を超えてしまった
- 長期の延滞を起こしたり、短期の延滞を繰り返したりした
- 他社含めてカードローンの利用状況が好ましくない
- 勤務先や年収に変化があった
総量規制の上限を超えてしまった
カードローンの利用が停止される条件の中でも特にメジャーなものがこの総量規制です。総量規制とは、貸金業者が個人の顧客に対してお金を貸す時に、その貸し出し金額の合計が年収の3分の1以上になってはいけないとする規制のことです。
例えば年収600万円の人に対しては、貸金業者は合計200万円までしか貸し出せません。もしこの人が消費者金融Aから50万円借りている場合、消費者金融Bは150万円までしか貸し出せません。これに違反した場合、貸金業者に行政処分が下ります。
貸金業者とは具体的に言えば消費者金融やクレジットカード会社のことです。銀行や信用金庫、信用組合などは貸金業者ではないため総量規制もありません(銀行や信用金庫、信用組合の判断で年収の3分の1以上融資しても問題ありません)。
年収の定義について
総量規制においては、主に以下の収入が年収に含まれます。
- 給与収入:会社員や公務員がもらっている給料です。手取りではなく税引き前の額面で計算します。
- 年金:国民年金や厚生年金などの公的年金と、保険会社などの私的年金、どちらも年収に含まれます。
- 不動産収入:個人として不動産を貸し出している場合、毎月の賃料や礼金、更新料などが年収に含まれます。
- 事業所得:自営業者が得られた金銭から経費を引いたものです。
一方、以下の収入は年収に含まれません。
- 保険金
- 退職金
- ギャンブルや宝くじなどの収入
- 土地や建物、株式などの売却によって得た収入
年収が変動し総量規制の対象になるケース
年収が変動すると、総量規制の上限額も変わります。例えば年収が600万円から300万円に変わると、総量規制の上限額も200万円から100万円に変わります。年収600万円時代に120万円借りていても何も言われませんが、年収300万円になった後も120万円借りるのは総量規制の上限を上回ることになるため、その時点で利用停止となります。
同じ会社に同じ雇用形態で勤務していて年収が半分になることは流石にめったにないかと思いますが、定年退職して年金生活に入った場合、フルタイムで働くのを辞めてパートタイムで働くことになった場合などは急激に年収が減り、それにともなって総量規制の上限額もかなり低くなることがあるため注意が必要です。
万が一年収が急激に減り、総量規制の上限を突破しそうな時はすぐに金融機関に連絡し、指示を仰いでください。
総量規制のチェックが行われるのは契約時のみではない
総量規制のチェックは新規借入時にも当然行われますが、契約後も3ヶ月に1回のペースで審査が行われます。
これを途上審査といいます。審査を受けている覚えはない、と思われるかもしれませんが、金融機関は信用情報機関と呼ばれる機関を通じて審査を行っているため、顧客のもとには連絡が来ません。
信用情報機関には消費者の借入状況、返済状況などの重要な情報(信用情報)がまとめて保管・管理されています。契約時に信用情報機関にある信用情報を閲覧することに合意しているはずですので、契約後に「勝手に見るな」と止めるのは不可能です。
そしてこの審査で総量規制の上限を超える借入を行っていると判断された場合は、自動で利用停止となります。また、総量規制に引っかかっていない場合でも、限度額ギリギリまで借りている場合は、貸金業者の判断で利用停止となることが有ります。
総量規制に引っかかってしまった場合は利用停止解除よりも債務整理を考えよう
総量規制に引っかかり利用停止となってしまった場合、それを解除するのは難しいです。一番手っ取り早い対処法はまとまったお金を用意して借入残高を減らし、貸金業者に連絡するというものですが、簡単にまとまったお金を用意できる人はそうそういないでしょう。
あるいは年収を増やして総量規制の上限を高くするという手もありますが、年収を高くするのは返済よりも遥かに難しく現実的ではありません。
そもそも総量規制上限まで借りているという状況は非常に危険です。このような状況では利用停止について考えるよりも、借金を減らすべきです。にも関わらず利用停止を第一に考えているとしたら、借金依存症に陥っている可能性があ高いです。
利用限度枠はあくまでも借りられる限界であって、自由に使えるお金ではありません。このような思考回路に陥っている場合は、借金依存症を治療し、債務整理をしましょう。{参考:借金依存症という病気の治療法は?、借金の債務整理の種類とそれぞれのメリット・デメリット)
長期の延滞を起こしたり、短期の延滞を繰り返したりした
総量規制と並んでメジャーな利用停止の原因が返済遅れです。返済が遅れた人の利用は停止しなければならないと法律で決められているわけではありませんが、返済遅れをする人に貸したがる金融機関はないため、返済遅れは利用停止に直結すると考えてまず間違いないでしょう。
数日程度の延滞が1回あっただけならばいきなり利用停止になることはまずないでしょうが、長期間延滞したり、数日であっても延滞を繰り返したりする場合は利用停止となることが多いです。そんな顧客にこれ以上貸しても帰ってこない可能性が高いからです。
長期の延滞を起こした場合は利用停止解除は不可能だが、短期ならば可能性あり
概ね61日以上の延滞を起こした場合、その時点でカードローンの利用停止解除は不可能になると思ってください。
たとえ最終的にそのカードローンを全額返済しても利用停止が解除されることはまずありません。それどころか長期延滞の情報が信用情報機関を通じて他社にも共有されますので、他社からの借入すらできなくなります。
信用情報機関の情報は通常完済から5年程度で削除されます。その期間中はカードローンはもちろん、住宅ローンや自動車ローンすら使えなくなります。情報を早期に削除する方法は一切ありません(もしあると謳っている人がいたらその人は詐欺師です)。
一方、比較的短期の延滞の場合は挽回のチャンスがあります。といっても、それは簡単なことではありません。
まず、借り入れていた金額をなるべく早期に返済します。そして後はその貸金業者からの連絡を待ちます。もちろん、いくら待っていても復活しないこともあります。貸金業者から利用停止を解除しても問題なしという判断がくだらない限りは、永久に待ち続けることになります。
そもそも、短期の延滞であっても極力起こすべきではありません。金融機関によっては、短期の延滞でも信用情報機関に連絡することがあります。自動引落を利用するなどして、返済が送れないように務めましょう。
他社含めてカードローンの利用状況が好ましくない
これは少々曖昧でわかりづらいかと思いますが、要するに短期間に何度も借りては返しを繰り返していたり、借入額が総量規制に近づいていたり、他社への新規申し込みを頻繁に行っていたりすると、利用状況が好ましくないと判断されます。
金融機関は計画的に借金を返済する能力がある人に対してお金を貸したいと考えています。逆に無計画にお金を使う人に対しては貸したくありません。返済できなくなって債務整理されたら困りますからね。
そして、短期間の借り入れを繰り返したり、総量規制近くまで借りていたりするような人は、無計画にお金を使う人だと金融機関側は判断します。このような人のカードローンをいつまでも利用可能なままにしておくと将来回収できなくなる可能性が高いので、そうなる前に利用停止してしまえ、というわけですね。
解除の可能性は比較的高いが、しばらくは返済に専念したほうが良い
このような理由で利用停止になった場合、それが解除される可能性は比較的高いといえます。延滞を起こしているわけでもないですし、総量規制に引っかかったわけでもないですからね。
しかし、解除するまでにはしばらく時間がかかります。まず、新規の借り入れを一切行わず、最低でも3ヶ月、できれば6ヶ月以上はただひたすらに返済を行います。余裕がある場合は、繰り上げ返済も合わせて行います(繰り上げ返済は元本を大きく減らす効果があるので、余裕が有るならばどんどんやっていきましょう)。
返済を続けていると次第に元本が減り、お金に困っている時期を脱却したとみなされ、利用停止が解除される可能性が高いです。もちろん、金融機関の判断で、いつまで経っても解除されないこともあります。
利用停止が解除された場合でも、また調子に乗って借りだすと再び利用停止になる可能性があります。まずは新規借入をせずに全額返済することを目標にしましょう。
勤務先、住所、電話番号などに変化があった
勤務先や住所、電話番号などに変化があった場合、あるいは失職した場合などは、借入先の金融機関にできるだけ早急に連絡しなければなりません。変化があったにも関わらずその状態を放置しておくと、カードローンの利用停止になる恐れがあります。
理由は貸す側の立場になってみればわかります。借り手が連絡先を教えなかったら、貸す側は少なからず不安になります。借り手側からすればただの連絡忘れであっても、貸す側は「このまま逃げられるかもしれない」と考えるものです。余計な勘違いを生まないためにも、連絡先が変更になった場合は金融機関にすぐに伝えましょう。
基本的に解除は可能だが、そもそも利用停止になる前に連絡するのがベスト
連絡先の変更を忘れていたという場合は、基本的に金融機関に連絡し、新しい連絡先を伝えればいずれに解除されるはずです(他に問題がなければの話ですが)。
なお、勤務先が変更になった場合は、連絡先のみならず年収が変化することもあるため、給料明細や源泉徴収票などの提出を求められることもあります。素直に応じましょう。
カードローンの利用停止を根本的に回避する方法
ここまでカードローンが利用停止になる理由と、それを回避する方法についてお話してきましたが、一番いいのはそもそも利用停止にならないことです。
利用停止にならなければ面倒な手続きをする必要もありませんし、信用情報に傷がついたのではないかといったような心配をする必要もなくなります。では、カードローンの利用停止を回避するためにはどうすればいいのでしょうか?
具体的な対策はいくつかありますが、その中でも特に有用なのは以下の3つです。
- 銀行のカードローンを利用する
- 返済は口座から自動引落で行う
- 属性に変化があった場合はすぐに連絡する
銀行のカードローンを利用する
利用停止の原因として特にメジャーなのは、総量規制です。総量規制の対象にならない銀行のカードローンを利用すれば、総量規制に引っかかることはなくなります。
もちろん銀行のカードローンなら無制限に借りられるというわけではないですが、少なくとも一時的な年収の低下が原因の利用停止などは避けられます。
ただし、銀行のカードローンは審査がやや厳し目なので、属性があまり良くない人だと合格しづらいという一面もあります。地方銀行は比較的審査が易しいところが多い(それでも消費者金融よりは厳しいですが)ので、都市銀行が難しそうな場合は選択肢に入れてみてください。
返済は口座から自動引落で行う
利用停止のもう一つの大きな原因は延滞です。金融機関は故意であっても過失であっても、延滞は延滞として扱います。自動引落を設定しておけば、延滞のリスクが無くせるうえ、店頭窓口やATMに行く手間も省けますし一石二鳥です。
ただし、当然ながら自動引落の対象となる口座にお金が入っていなければ意味が在昌円。返済用の口座をメイン口座とは別に用意しておき、給料が振り込まれたら自動的に返済に必要な金額+αを返済用口座に移動させる仕組みを作っておくなどの工夫をしましょう。
属性に変化があった場合はすぐに連絡する
勤務先、年収、電話番号などの変更があった場合は、金融機関にすぐに連絡することをおすすめします。早めに連絡しておけば誠意ある債務者とみなされ、利用停止になることはまずありません。
まとめ
- カードローンは突然利用停止になることがある
- 利用停止になった場合はそれを解除できることもあるが、できないこともある
- 利用停止の大きな原因は総量規制と延滞
- ローンの利用状況や連絡先変更の伝え忘れが原因になることも
- 銀行のカードローンを利用し、自動引落を利用すると利用停止の可能性を格段に減らせる
万が一カードローンの利用が停止されても、その原因によっては解除できる可能性が高いです。早急に対応して危機を乗り切りましょう。