土地を所有しているとさまざまな税金がかかってきます。遺産として相続すれば相続税が発生しますし、土地から利益があがれば所得税としてその一部を納めなければなりません。他にも贈与税や住民税にも関係してきますね。
固定資産税もその中の一つです。固定資産税とは土地や物件にかかる税金のことで、毎年1月1日に課税されることになっています。
これは使用用途に関わらず土地、物件を所有している人に共通してかかる税金です。たとえば、自分が住むためにマンションを購入した場合、不動産投資としてマンションを購入した場合のいずれでも等しく税金が発生します。
また、固定資産税は土地と物件それぞれに発生します。つまり、マンションを購入すればそのマンションが立っている土地の価値と、そのマンション自体の価値に合った税金が徴収されるのです。
税金の計算はややこしくて苦手という人も多いでしょう。所得金額や特別控除といったあまり聞き慣れない言葉を聞いて、もうその時点でギブアップという人もいるかもしれません。
ただ、自分が納めることになる税金はしっかり把握しておくべきです。とくに土地や物件を所有していると、確定申告を自分で行わなければならないこともありますから、税金に関する知識は必須だと言っても過言ではありません。
そこで今回は数ある税金の中から、とくに土地の固定資産税に焦点をあてて解説していきますね。
固定資産税とは?
固定資産税は土地と物件の所有者にかかる税金の一つです。毎年1月1日の時点での所有者に税金を収める義務が発生し、年4回に分けてその税金を支払うことが一般的です。
また、年の途中で土地や物件を所有した場合には、日割り計算して固定資産税を納めることになります。
固定資産税を納める時期、タイミングは市町村によって少しズレがあります。おおよその目安として、5月、7月、12月、2月あたりに納めることになると考えておくとよいでしょう。
固定資産税は全ての土地で一律というわけではありません。その土地の利用用途や評価額によって大きく変わってきます。こちらについては後述しますね。
また、土地にかかる税金はもう一つあり、そちらは「都市計画税」と呼ばれています。
場所によっては都市計画税も発生する
固定資産税は日本国内に土地を持っている人全員に課税される税金でしたが、都市計画税はそうではありません。
都市計画税はその名前のとおり、都市部に存在する土地や物件を所有している人にだけかかる税金です。こちらも毎年1月1日に課税額が決まります。
不公平だと感じるかもしれませんが、法律で決まっている以上仕方がありません。ただ、固定資産税に比べると税率は圧倒的に低いことが救いです。
都市計画税がかかる場所は点在しているため、ここで全ての地域を記すことはできません。おおまかに言えば、東京23区内と大阪の中心部はほぼ全て都市計画税が発生する区域です。
自分が持っている土地に都市計画税がかかるかどうかは、市町村役場に問い合わせてみてくださいね。
固定資産税の計算方法は?
肝心な固定資産税の計算方法ですが、やや複雑なものとなっています。それでもわかりやすいように詳しく解説していくので安心してくださいね。
まず、固定資産税を計算するにあたって、「固定資産評価額」というものを理解する必要があります。
固定資産評価額はその土地や物件が持つとされる価値を金額で表したものです。これに固定資産税、都市計画税の税率をそれぞれかけ、足すことで、毎年の課税額が決定します。
注意したいのは、固定資産評価額はその土地を購入したときの金額ではない、ということです。固定資産評価額は市町村がその土地を独自の評価方法で評価し、算出されます。
そのため、固定資産評価額がいくらになるかは一概には言えません。一般的には購入時の金額の7割程度になることが多いとされています。一つの目安として覚えておくとよいでしょう。
固定資産評価額ですが、その土地が存在する場所によって大きく変わります。具体的には周辺の環境と言ってもいいかもしれません。
当たり前のことですが、都市部の中心街になればなるほど土地の購入価格は上がっていきます。それはその土地には大きな価値があると考えられるためですね。
固定資産評価額も同じです。価値が高いとされる土地ほど評価額は大きくなり、逆に価値が薄い、たとえば山の土地などは評価額は抑えめになります。
そして、この導き出された評価額に固定資産税の税率1.4%、都市計画税0.3%をかけて足したものがその年に納める税額となります。
具体的に計算してみましょう。東京の都市計画税が発生する場所に、評価額が6,000万円の土地を所有していたとします。
すると、固定資産税は6000万円×0,014で84万円、都市計画税は18万円となり、1年間で102万円の税金を納めることになります。
実際は他の要素によってもう少し減ったり増えたりするので、必ずしもこの額になるわけではありませんが、単純な計算方法はこのようになります。
ちなみに、一つの土地を複数人で所有していたとしても、納める税額は変わりません。全員で等分して払ってもよいですし、一人が全負担しても問題ありません。
固定資産税は土地の使用用途によって大きく影響される
固定資産税はその土地の評価額、つまり固定資産評価額によって決定されるとお話しました。そして、評価額はその土地の利便性に大きく影響されるということもお話しましたね。
実は、もう一つ固定資産税に大きな影響を与える要素があります。それは土地の使用用途です。専門用語では「地目」と呼ばれます。
土地にはさまざまな使い道があります。最もメジャーなのは住宅用の土地として利用することですね。他にも、田んぼや畑として使うこともあるでしょう。
その使用用途によって固定資産税の税額は大きく変わります。最も税額が高くなるのは「宅地」として利用された場合です。また、宅地と言っても必ずしも住宅地のみを指すわけではないことに注意してくださいね。
逆に、畑や田んぼ、つまり「農地」として利用されている場合は税額が最も安くなります。ただ、農地として判断される基準はとても厳しいので、節税したいから頑張って農地にしよう、というのはほぼ不可能です。
ただ、住宅用地に重税をかけられるのはとても辛いですよね。暮らしていくには家が必要ですし、そのための土地も必ず必要です。それなのに一番高い税率をかけられるのは納得がいかないでしょう。
そこで、宅地であっても一般住宅用地として利用されている場合には、特例として非常に大きな税額の軽減を受けられることになっています。
具体的には、住宅の仕切り面積のうち、200平方メートルまでにかかる固定資産税は6分の1に、200平方メートルを超える部分にかかる固定資産税は3分の1にまで軽減されます。
都市計画税でも同様に軽減を受けられ、200平方メートルまでは3分の1、それを超える部分については3分の2になります。
そして、この軽減を適用すれば、結局は住宅用地として利用したほうが固定資産税は一番安くなります。
ただ、住宅はもちろん物件なので、そちらにも固定資産税と都市計画税がかかることを忘れないでくださいね。
固定資産評価額は3年に1回見直される
固定資産評価額はずっと同じ額ではありません。3年に1回、全ての土地、物件の評価額は見直され、現在の状況に合った額へと評価替えされます。
土地は時間が経過してもそこまで大きな影響を受けませんが、物件は築年数が増加するほどどんどん評価額は減っていきます。
たとえコンクリートでできた建物といえど徐々に消耗していきますから、評価額が減っていくのは当たり前のことですね。
3年に1回しか見直されないということは、少なくとも3年間の固定資産税、都市計画税は同じ額になるということです。
ただ、土地や物件の評価額が激変したとみなされた場合は、特例として3年を待たずして評価額が見直されることもあります。
利用用途が変わった場合は次の年から課税額が変わる
評価額の一斉の見直しは3年に1回ですが、基本的に1年に1回は市町村が全ての土地を監視、確認しています。これを現況調査と呼びます。
そして、3年の間に土地の利用用途が変わった場合、次の年からはしっかりその用途での課税額に変更になります。
たとえば、今までは農地として利用していた土地に住宅を建てたとしましょう。この場合、たとえ評価の一斉見直しが3年後であろうとも、次の年からはきっちり「宅地」として固定資産税が課税されることになります。
本来、用途が変わった時点で市町村に申告しなければならないのですが、もしそれを忘れていたとしても、しっかり課税額は調整されるのですね。
固定資産評価額はどこで確認できる?
毎年の固定資産税を知るためにも、自分が持っている土地の固定資産評価額はチェックしておきたいものです。
では、どうやって評価額を確認するかというと、方法は大きく分けて2つあります。
一つは毎年の5、6月頃に市町村から送られてくる固定資産税の納税通知書をチェックする方法です。納税通知書には課税明細書などとと書かれた明細書が同封されています。
その明細書の項目に「評価額」もしくは「価格」という表記があり、そこに書かれている金額がその土地の固定資産評価額ということになります。
もう一つの方法は、市町村に「固定資産評価証明書」を発行してもらい、その内容を確認することです。
発行方法は市町村によってやや異なるので、まずは役場に電話し、発行手順について尋ねるとよいでしょう。
まとめ
税金の計算と聞くと面倒だなぁと感じる人も多いかもしれませんが、自分が納めることになる金額をしっかり把握しておくことはとても重要です。
固定資産税、都市計画税ともにそこまで難しい計算方法ではないので、ざっくりとでも計算しておくことをおすすめします。
予想以上に税金が高くて支払えない・・・なんてことにならないように気をつけてくださいね。