土地評価額は全部で4種類!違いと使いどきを知ろう

土地の価格は全部で4種類あります。このことを一物四価といいます。今回の記事ではそれぞれの価格の計算方法と、その価格の使いどきを紹介します。

土地の価格の種類と概要

  • 実勢価格:実際に取引で形成される時価、相場のこと。
  • 公示地価・基準地価:国や都道府県が公表しているある地点の価格のこと。
  • 相続税評価額(相続税路線価):相続税を決める際に求められる土地の評価額のこと。
  • 固定資産税評価額(固定資産税路線価):固定資産税を決める時に求められる土地の評価額のこと。

実勢価格はデータが多ければ信頼できる

実勢価格とは、実際に土地を売り買いする市場で決められる価格です。例えば、売り手が5000万円で土地を売り出し、それを買い手が4500万円で買いたいと申し出て、交渉した結果4800万円で契約が結ばれた場合、その土地の実勢価格は4800万円となります。

もし交渉の結果4700万円となれば、実勢価格は4700万円となります。このように実勢価格は買い手と売り手の交渉力や需要と供給に細かく左右されるものであり、厳密な計算式が決まっているわけではありません。

ただ、市場では同じような特徴を持つ土地は概ね同じような価格で取引されます。例えば隣の土地が坪20万円で売れたのなら、自分の土地も概ね坪20万円で売れるはずです(土地が非整形な場合などは大きく下がることもありますが)。

実勢価格は実際の取引を参考にするため、類似した取引事例が多いほど自分の土地の価格を正確に予測できるようになります。一方、取引事例の少ない地域では予想が不正確になりやすいです。

実勢価格は様々な機関が公表していますが、代表的なものは以下の3つです。

土地総合情報システム

土地総合情報システムは、国土交通省が不動産取引を行った当事者に対するアンケート結果をまとめたデータベースです。

土地の売れた時期や最寄り駅からの距離、坪単価などがまとめて掲載されているため、自分の土地と似たような条件を持つ土地と比較すれば、どのくらいの価格で売れるのか、おおよその目星がつきます。

アンケート回答で得られたデータなので、日本全国すべての取引が網羅されているわけではありません。自分の土地の地域のデータが少ない場合は、別の方法を試してみましょう。

仲介業者の販売価格

仲介業者の多くは自社サイトを所有しており、そこで自社が所有する土地の販売価格を開示しています。大手の仲介業者ともなれば多数の土地を所有しています。自分の土地と似た他人の土地の販売価格を調べることによって、自分のの土地がどのくらいの価格で売れるのかをある程度推測することが可能です。

ただし、ここに表示されている価格には売り主の意向がある程度反映されていることには注意が必要です。実際の取引では書いての意見もある程度通るため、成約価格はそれより下がる可能性が高いです。

仲介業者の査定価格

仲介業者によっては、土地の査定を無料で受け付けていることが有ります。査定はたいてい無料で行えますし、査定してもらったからと言って必ずその仲介業者と契約しなければならないという決まりもありません。

何より、他の土地を参考にするのではなく、自身の土地を直接査定してもらうため、個別の事情をより細かく反映してもらうことができます。

価格査定には住所や広さ、接道幅などのデータから行う簡易査定と、実際に仲介業者がその土地を訪れて行う詳細査定が有ります。

建物の場合は簡易査定と詳細査定で大きな差が付くこともありますが、土地の査定の場合はそこまで大きな差が付くことはあまりないので、簡易査定すませてしまってもかまわないでしょう。

不動産一括査定サイトを使えば、1回の入力で複数の仲介業者から査定を受け取ることができるので便利です。不動産一括査定サイトは仲介業者から報酬を得ているため、サービスは無料で利用できます。

一括査定に参加していない業者に申し込めないのはデメリットですが、大手のサイトともなれば大抵の仲介業者が参加しているので、そこまで心配する必要はありません。以下に代表的なサイトへのリンクを張っておきますので、気になる方はこちらをご覧ください。

公示地価・基準地価の評価基準はほぼ同等

公示地価は国土交通省が、基準地価は都道府県が公開する土地の価格です。原則としてどちらも1年に1回更新されます。

公示地価調査の対象は原則として都市計画法に基づき、都市計画区域内に指定されている地域のみですが、都市計画区域外が省令で対象に加えられることもあります。2016年時点、公示対象となっている市区町村は全部で1376、対象となる地点(標準地)は2万5270箇所です。

公示地価は公共事業用の用地の取得時の土地の価格の基準となるほか、一般の土地取引価格の目標にもなります。価格は売り手にも買い手にも肩入れしない客観的な数値になるように工夫されます。

査定は2人以上の不動産鑑定士が別々に行い、その結果を調整した上で価格が決定します。

一方、基準地価の対象は都市計画区域内と都市計画区域外の両方です。対象となる地点(基準地)は宅地が2万1168地点、林地が507地点です。

査定は1人以上の不動産鑑定士が行い、その結果をもとに価格が決定します。基準地価の計算方法も基本的には公示地価と同じですが、別の機関が査定するため、公示地価と基準地価の間にずれが出ることもあります。

公示地価・基準地価は相続税評価額や固定資産財評価額と検索システムを共有しています(資産評価システム研究センター)。

公示地価や基準地価はあくまでも目安であり、実際の市場では公示価格よりも高い価格、もしくは低い価格で取引されることも当然あります。

一般的に好景気の時は実勢価格>公示地価・基準地価となりやすく、不景気のときには実勢価格<公示地価・基準地価となりやすい傾向があり、公示地価・基準地価通りに売れると考えるのはやや早計です。

一方、公示地価や基準地価は毎年一定のペースで公開されているため、その土地の価格が上昇傾向にあるのか、下降傾向にあるのかをつかむのに便利です。

相続税評価額は概ね公示価格の80%

相続税評価額は、相続税を算定するための道路の価格です。原則として、1年に1回更新されます。公示価格の80%を目処に設定され、国税庁によって発表されます。

土地の評価額は、その土地が接する道路の価格(相続税路線価)に土地の面積をかけて計算されます。つまり、接している道路の相続税路線価が高いほど相続税評価額も高くなり、相続税も高くなります。

相続税路線価は資産評価システム研究センターから確認できます。

現金を土地に変えると相続税が安くなる?

例えば、現金を1億円相続する場合、その相続税評価額は当然1億円になります。しかし、その1億円で土地を買った場合、その相続税評価額は8000万円ほどになります。相続税評価額が低くなる分、相続税も安くなります。

ただし、相続税路線価は毎年1回公開されるため、土地の価格が急騰した直後に相続をすると却って相続税が高くなってしまうこともあります。

また、仮に相続税評価額が安くなったとしても、現金を土地にして、またそれを現金に戻す作業でかかる手数料がかさんでしまうこともあります。

相続をする際には現金を土地に変えるといいと言われることがありますが、それも時と場合によりけりです。

路線価が設定されていない場合

路線価が設定されていない道路に面した土地の相続税評価額は、固定資産税評価額を元に計算します。

しかし、固定資産税評価額は公示価格の70%程度になることが多いため、相続税評価額で評価された土地と不公平が生じてしまうことになります。

そこで、相続税を算出する際には、そこに定められた倍率をかけて評価します。これを倍率方式と言います。倍率は国税庁ウェブサイトの財産評価基準書 路線価図・評価倍率表で確認できます。

固定資産評価額は概ね公示価格の70%

固定資産税評価額は、固定資産税を算定するための道路の価格です。原則として、3年に1回更新されます。公示価格の70%を目安にされ、市区町村(23区の場合は都)によって発表されます。

土地の評価額は、その土地が接する道路の価格(固定資産税路線価路線価)に土地の面積をかけて計算されます。

つまり、接している道路の固定資産税路線価が高いほど固定資産税評価額も高くなり、固定資産税も高くなります。固定資産税路線価は資産評価システム研究センターから確認できます。

土地の価格はどれが最も参考になるの?

実勢価格、公示地価・基準地価、相続税評価額、固定資産税評価額と土地の価格にも様々な種類がありますが、指標の正確性はどれも一長一短といったところで、土地を売却する際にどれを参考にするのがベストとはいえません。

それよりも注目すべきは価格が公表された時期です。

土地の価格は時間の経過とともに変化しますから、いずれの指標も古いものはあまりあてにならない可能性が高いです。特に固定資産税評価額は3年に1回しか更新されないので、参考にする際にはそれが古いものでないかを調べましょう。

より正確な鑑定評価額が知りたい場合は不動産鑑定士に依頼しよう

これらの指標よりももっと正確に土地を評価したい場合は、不動産鑑定士に評価してもらうといいでしょう。不動産鑑定士の使う基準は国土交通省の定めたものであり、その評価額は公的機関に提出できるようになっています。

もちろん、不動産鑑定士が鑑定したとおりの額で取引されるとは限らないのですが、仲介業者の詳細査定よりもさらに信頼性は高いです。

ただ、鑑定士に依頼するのにはお金がかかります。報酬基準は土鑑定価格が高くなるほど高くなり
、場合によっては数十万円かかることもあります。不動産鑑定業務は不動産鑑定士の独占業務であり、鑑定評価の主体の責任が重くなるため、どうしても高額になりがちなのです。

まとめ

  • 土地の価格には4種類ある
  • 実勢価格は実際の取引の価格
  • 公示地価・基準地価は国や都道府県の定めた価格
  • 相続税評価額は相続税を決めるための価格で、公示価格の80%が目安
  • 固定資産税評価額は固定資産税を決めるための価格、公示価格の70%が目安
  • 不動産鑑定士に依頼すればより詳細な価格がわかる

土地の価格をどうしても詳細に知りたい場合は、不動産鑑定士に依頼することを重ねておすすめします。