リーマンショックの時FXで借金を作ってしまった人がたくさんいたらしい。どうやって解決したの?

FXの歴史上、最もチャートが動いたのは、リーマンショックの時だと思われます。

FXが誕生したのは、バブルが崩壊し、金融崩壊によって日本の国力が弱っていた1995年頃です。リーマンショックは、「100年に1度の金融危機」と呼ばれていましたので、これが最大の事件となるでしょう。

リーマンショック前はレバレッジが400倍があたりまえでしたので、借金をした人もたくさんいました。

この記事では、リーマンショックで借金をした人が大量に発生したのはなぜかということ、そしてFXで作ってしまった借金をどうやって解決したのかということについて触れてみます。

リーマンショックで借金を作った人が大量に出た理由

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金融商品取引法では、レバレッジ規制がかかっており、国内FXではレバレッジが最大でも25倍までしか設定できません。また、証拠金が一定割合を下回ると強制的に取引を終了させる、ロスカットというシステムもあります。

現在の常識では、FXで借金をした人が大量に発生することは、ほとんど起こり得ません。リーマンショック前の事情を知らない人は、「FXで借金が発生するはずはない」と思うかもしれません。

実は、リーマンショック前にはまだレバレッジ規制はかかっておらず、レバレッジ400倍というのがあたりまえでした。

「FXで100万円の資金を2000万円まで増やせた」という話もよく耳にしたものです。

スワップ金利目当てで取引をしていた人が多かった

当時はまだ、リーマンショックのような大恐慌が起きるなど、多くの人は予想していませんでした。

スワップ金利による投資なら、通貨を保有しているだけで利益が入ってくるので、ほぼノーリスクで投資ができると考えている人も多くいました。

政策金利が高い通貨として、トルコリラ、南アフリカランド、ニュージーランドドル、オーストラリアドルなどがあげられます。

日本の政策金利は、2006年~2008年では0.15%~0.5%くらいで変動していました。2009年以降はずっと0.1%を維持しています。

トルコリラの政策金利は、現在は7.5%程度ですが、リーマンショック前にはなんと16.75%という高い金利を推移していました。

ニュージーランドドルやオーストラリアドルの政策金利は現在はかなり下がっていますが、リーマンショック前の時期には7.0%~8.0%程度を推移していました。

スワップ金利が政策金利と同じであると仮定すると、トルコリラを1億円分購入して、1年間保有を続けることで、なんとおよそ1600万円の収入が入ってくるのです。

レバレッジが400倍というのがあたりまえでしたので、250万円の資金があれば、トルコリラを1億円分購入することができます。

実際には、スワップ金利と政策金利は別物ですので、FX会社によって異なる設定がされています。

トルコリラを1億円分購入したケースで考える

250万円の資金を投資して、レバレッジを400倍に設定し、トルコリラを1億円分購入したとします。

リーマンショックは2008年の9月にアメリカの大手証券会社のリーマンブラザーズが倒産したことで起きました。

2008年の9月頃のトルコリラの価値は、90円前後を推移していました。2009年の1月には60円以下にまで大暴落しました。たった4ヶ月で価値が3分の2以下になってしまうのですから、恐ろしいことです。

ここで、価値が3分の2になっても、まだ6600万円分くらいのトルコリラを保有しているのでプラスとなっていると考えることは、大きな誤りです。

レバレッジを400倍にしているので、トルコリラの価値が10%下がっただけでも、1千万円の損失となり、750万円の借金を抱えてしまうことになります。

ちなみに、ニュージーランドドルはリーマンショック後の4ヶ月間で80円台から40円台前半まで、オーストラリアドルは90円台から50円台後半くらいまで、実に価値が半分くらいにまで大暴落しました。

この時期に、FXトレードによる損失額が1000万円を超えたという個人投資家もたくさんいたようです。

ポイントは、いかに損切りができたかどうかということになります。価値が大暴落する中で、「また上がるかもしれない」という淡い期待を持って、損切りをしなかった人は、大損失を被っていたようです。

老後の資金を一気に失ったという人や、数千万円の借金をかかえてしまったという人などもたくさんいて、日本の投資家も大きな損害を被ったのが、リーマンショックという事件です。

あまりニュースにはなっていませんが、大量の借金を抱えて自殺をした投資家もたくさんいたようです。

ドル円取引でも大損?

FXといえばドル円取引というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、FXで大損した人は、スワップ金利目当てで取引をしていた人が多かったようです。

もちろん、ドル円取引をしていた人の中にもリーマンショックで大損をした人はいます。リーマンショック前は1ドル=110円台でしたが、リーマンショックをきっかけに下がり続けて、2011年には歴史上最低値の75円台を記録しました。

しかし、1971年の1ドル=365円から始まり、超円高時代が続いていましたので、大量のドルを「買い」で保有していた人はそれほど多くなかったと思われます。

どうやって解決をしたの?

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「ギャンブルで作った借金はギャンブルで取り返せ」と言う人がいますが、結論として「取り戻せない」というのが現実となるでしょう。

理論上は取り戻せる?

例えば、オーストラリアドルなら、2009年1月に50円台にまで価値が落ちた後、時間をかけて価値が戻っていき、2013年には100円台にまで戻っています。

そのまま通貨を保有することができていれば、損失はゼロ、スワップ金利による利益だけが出ていたということになります。

しかし、現実にはそれはほぼ不可能でした。FXでは、証拠金維持率が一定以下になると、強制的に取引が終了する、ロスカットというシステムがあります。

レバレッジを400倍に設定していた場合、リーマンショックで価値が大暴落した通貨は、ほとんどの場合に強制ロスカットとなります。

逆に言えば、このロスカットというシステムがあるために、借金が発生することはないと考えるかもしれません。しかし、当時はまだリーマンショックのような大恐慌が起こることは予想されておらず、設定が甘かったようです。

自分でロスカットの設定をしていても、土日をはさんでいたために、ロスカットが間に合わず、借金ができてしまうということもありました。

また、リーマンショックの前には悪徳業者もたくさん存在しており、有無を言わさずに強制的にロスカットされたり、FXサービスを強制終了してポジションを強制決済されたりといった被害にあった投資家もいたようです。

FXによる借金も自己破産ができる

裁判所

「ギャンブルによる借金は自己破産ができない」ということがよく言われています。これは半分は事実ですが、半分は間違いです。

たしかに、ギャンブルや浪費による借金は、自己破産での免責不許可事由に該当します。

しかし、免責不許可事由に該当するとしても、100%免責が下りないというわけではありません。裁判官の裁量によって、免責が下りることもよくあります。

他に方法がない人の場合には、免責が認められやすいでしょう。免責を認めてあげないと、自殺などの最悪のケースになってしまうことがあります。日本は法治国家ですので、救済制度は必ず用意されています。

ギャンブルで失敗をすることは、犯罪ではありませんので、必ず救済の手段があると考えておきましょう。間違っても自殺などという道を選んではいけません。

自己破産を選べない人もいる?

「結婚をしたいから自己破産はしたくない」といったように、自己破産を選べない人もいるようです。

自己破産をすると5年~10年はブラックリストにのっていしまいますので、マイホームの夢を諦めなければならず、結婚にも影響が出てしまうことがあります。

20代の若い人などは特に、FXなどをする時には、余裕のある資金で行うことが重要になるでしょう。

しかし、自殺を選ぶくらいなら、自己破産をしたほうがはるかにマシでしょう。自己破産は人生を再スタートさせる制度ですので、十分にやり直すことができます。

自己破産に関する間違った噂

自己破産をすると「戸籍に一生記録が残る」、「就職に影響する」、「賃貸の部屋を追い出される」といった間違った噂が出回っています。

実際には、このようなデメリットはありません。ブラックリストにのってしまうというデメリットと、官報に個人情報が記載されるというデメリットはあります。

官報に載るとどうなる?

官報をチェックしている人はほとんどいないので、周囲に知られる可能性は低いです。現在はインターネットが普及しているので、昔と比べるとやや可能性は上がっていますが、まだまだ心配するほどの確率ではないでしょう。

人から人への噂はあっという間に広まってしまうことがあります。友達などに話す時には、慎重になっておきましょう。たとえ家族や親しい友人でも、なるべく話さないようにしたほうが良いかもしれません。

自己破産をすると資産を失う

マイホームを持っている人は、資産は原則として没収されてしまうので、そのまま家に住むことはできません。しかし、99万円までの現金は残せるので、しばらくの生活費は残ります。

売却しても20万円未満の価値にしかならないような中古車は、保有を続けることができます。

信頼できる弁護士に相談をすることが重要

ギャンブルによる借金は、免責不許可事由に該当するため、免責が下りない可能性もそれなりに高いです。まずは債務整理に強い弁護士に相談をしてみましょう。

人によっては、任意整理や個人再生といった方法のほうがメリットがあるケースもあります。

法律事務所によっては、ギャンブルで作った借金の自己破産の依頼は断るというところもあるかもしれません。

しかし、債務整理に強い法律事務所なら、ギャンブルで作った借金でも債務整理をする方法を考えてくれるでしょう。公式ホームページなどを比較して、債務整理に強く、信頼できそうな弁護士を探すことが重要になります。