任意整理は借金を選んで整理するシステムです。そのため、クレジットカードを任意整理の対象外とすれば、任意整理後もクレジットカードを使うことが可能です。
目次
任意整理では整理する借金を自由に決められる
自己破産や個人再生と行った債務整理では、原則として整理する借金を選ぶことはできません。
クレジットカードのショッピングやキャッシングで作った借金も、住宅ローンも、自動車ローンも全て整理することになります。
それに対して任意整理では、整理する借金、あるいは整理しない借金を自分で自由に選ぶことができます。
抵当権の付いている住宅ローンや所有権留保の付いている自動車ローンは債務整理すると住宅や自動車を手放すことになってしまいますが、任意整理ならばこうした借金は債務整理しないで、カードローンのような無担保の借金だけを整理することができます。
したがって、理論的には任意整理をした後でもクレジットカードを使うことは可能です。
クレジットカードの残債がない/少ない場合は?
クレジットカードは所有しているけれども使っていないので残債がない、あるいは残債はあるものの金額は1万円程度ということもあるかもしれません。仮に残債がない場合はそもそもクレジットカードを整理の対象にできませんし、残債が少ない場合は律儀に債務整理をしないのが普通です。
この方法に否定的な弁護士も多い
しかし、任意整理の対象からクレジットカードを外すのに否定的な弁護士も少なくありません。任意整理の本来の趣旨から外れているからです。
もしもクレジットカードを残して任意整理をして、その後クレジットカードが原因で新たに借金を作ってしまったら、困るのは債務者自身です。
たとえ残債がなくともクレジットカードの解約、もしくはカードの破棄を進められる可能性が高いです。もちろんそれに従うか従わないかは債務者自身が決めることですが、個人的には少なくともカードを破棄して使えない状態にすることをおすすめします。
任意整理をしたことはクレジットカード会社に伝わる?
仮にクレジットカードを対象とせずに任意整理を行った場合、そのことはクレジットカード会社に伝わるのでしょうか。
任意整理は私的な話し合いですから、整理の対象となった債権者のもとに裁判所から通知が来ることはなく、代わりに弁護士が連絡します。
整理の対象となっていない債権者には弁護士が連絡しないので、任意整理をしただけではクレジットカード会社にはそのことは伝わりません。
しかし、クレジットカード会社は通常CICという情報信用機関に登録しています。任意整理をした事自体はCICにも登録されてしまうので、クレジットカード会社はいずれ任意整理に気づくはずです。
任意整理に関する記録は通常5年で消去されますが、この期間中1回もクレジットカード会社が信用情報機関の情報にアクセスしないとは可能性はほぼ0です。つまり、いずれはバレてしまうのです。
では、任意整理はいつバレる?
任意整理をしたあといつバレるかは運次第です。まず、クレジットカードの更新時にはクレジットカード会社は必ず信用情報機関の情報にアクセスするので、任意整理をしたことがバレてしまいます。
また、クレジットカード会社は定期的に顧客の利用状況や返済状況などを審査しています。これを途上与信、途上管理と言います。途上与信でも信用情報機関の情報にアクセスするので、やはり任意整理をしたことがバレてしまいます。
途上与信はクレジットカード更新時にしか行わないようなクレジットカード会社もあれば、数週間に1回のペースで行うクレジットカード会社もあります。つまり、任意整理後わずか数週間以内にバレることもあれば、更新が行われるまでバレないこともあるのです。
任意整理がバレで利用停止になるかはカード会社次第
クレジットカードを対象にしていない任意整理をしたことがバレた場合、そのカードが利用停止になるかならないかはクレジットカード会社次第です。
一度も延滞していない場合はスルーされる可能性もあります。もちろん、利用停止になることもあります。全てはクレジットカード会社の判断次第ですので、ここではなんとも言えません。
任意整理後にクレジットカードを作ることは可能?
任意整理後でも、クレジットカードを作ることは可能です。ただし、任意整理をした直後にクレジットカードを作ることは不可能です。任意整理をしたことは信用情報機関に登録されます。この情報は、通常5年間保存された破棄されます。
破棄された後は任意整理をしていない状態に戻るため、収入などの条件を満たしていれば審査に通る可能性は十分あります。
逆に、5年間が経過していない時点でクレジットカードの審査に通ることはまずありません。
たまに「信用情報機関の登録情報を消します」という広告を見かけることがありますが、信用情報機関の登録を時間経過以外の方法で消すことは不可能です。したがって、こうした広告はすべて詐欺と考えられます。
信用情報機関にデータが何もないと審査で不利になる可能性あり
信用情報にデータが何もない状態をスーパーホワイト、もしくはホワイトと言います。スーパーホワイトは過去にローンや分割払いなどを1回も利用していないために、信用情報がない状態のことです。一方、ホワイトとは、債務整理を行ったあとで一定期間が経過し、事故情報が消えた状態を指します。
スーパーホワイトもホワイトも、信用情報機関に何もデータが登録されていないという点では代わりありません。そして、金融機関は信用情報機関にデータがないと「普通の人ならば出てくるはずのクレジットヒストリーが何も出ておないのは不自然だ、ひょっとして過去に債務整理をしているのではないか?」と考えます。
その為、スーパーホワイト、もしくはホワイトだと審査に落ちる可能性が高くなります。たとえ実際には債務整理などしておらず、ただたんに現金主義を貫いていただけでも、審査に落ちる可能性が高まるのです。
したがって、スーパーホワイトもしくはホワイトの人がクレジットカードの審査に通るためには、何かローンや分割払いを利用する必要があります。
オススメは携帯電話料金の分割払いです。分割払いをすればスーパーホワイトもしくはホワイトではなくなるため、審査に通る可能性が高くなります。
どうしてもカードが必要な場合はデビットカードを
任意整理からまだ時間が経っていないけれど、どうしてもカードがほしいという場合はデビットカードを作りましょう。
デビットカードは利用時にリアルタイムで口座からお金が引き落とされるシステムです。クレジットカードと違って一旦借金をするシステムではないので審査がなく、誰でも作れるというメリットがあります。
任意整理後に最も大切なのは生活の立て直し
任意整理後にクレジットカードが使えるか使えないかが心配になるのはわかりますが、それよりも有線すべきは生活を立て直すことです。任意整理後は今までの生活・家計を見直し、生活を再建していきましょう。