平成25年3月時点でのすべての借金の貸付総額は約4000万件、貸付金額は約7兆円というデータが有ります。つまり、日本人の約3~4人に1人は借金を抱えているわけです(重複している部分もあるので実際にはもう少し少なくなるかと思いますが)。
殆どの人は滞り無く借金を変えていきますが、借金で首が回らなくなったり、あるいは返しても返しても元金が減らないという借金地獄に陥って言ったりする人も少なくありません。
今回の記事はそんな借金の返済がうまくできずに困っている人に向けた記事を書きたいと思います。
目次
借金が苦しいからといって、すぐに自己破産を選んではいけない
借金を解決する方法としてよく知られているのが自己破産です。具体的にどんなものかは知らなくても、自己破産という言葉ぐらいは聞いたことがあるという方も少なくないのではないでしょうか。
たしかにこの自己破産は借金をチャラに出来る非常に強力な制度ですが、時価20万円以上の財産が没収される、手続き中は一部の職につけなくなるなどデメリットも少なくありません。
借金の呪縛から逃れたいからといって、すぐに自己破産の手続きを始めるのは大変危険です。借金問題を解決する方法は何も自己破産だけではありません。
そのことを知らないまま手続きを進めてしまうと、大事な財産を失ったり、保証人に迷惑をかけたりする恐れがあります。苦しい時ほど一度立ち止まって、自分の借金の状況を見極めることが大切です。
毎月返済しても元金がなかなか減らない理由
毎月の支払は余裕を持って行えているけれど、なぜかなかなか元金が減らない事があります。
実は大手の消費者金融の殆どは返済方法に元金が減りにくい「残高スライド元利均等リボルビング払い」という仕組みを採用しているため、返しても返してもなかなか借金が減らないのです。
リボルビング払いは通称リボ払いとも呼ばれる借金の返済方法の一つです。毎月一定の額を返済していくという点では分割払いに似ていますが、分割払いは最初に支払回数を指定するのに対して、リボルビング払いでは残高に応じて指定された金額を払っていきます。
例えば、借金の元金が10万円以上20万円以下の場合は毎月1万円ずつ返す、と言った感じです。借金の元金に応じて毎月の支払額が変わるのが特徴です。
リボルビング払いの中でも、元金(残高)に応じて支払額を低い方にスライドしていくのが残高スライドリボルビング払いです。例えば、
・元金が30万円~40万円の場合、毎月の返済額は1万5000円
・元金が20万円~30万円の場合、毎月の返済額は1万2000円
・元金が10万円~20万円の場合、毎月の返済額は1万円
・元金が0万円~10万円の場合、毎月の返済額は8000円
と言った感じで、元金が少なくなるにつれて、毎月の返済額も少なくなり、だんだん支払いが楽になっていきます。
毎月支払うべき金額が決められている上、支払いが楽になる一方なので、一見利用者にとってはいいことずくめに見えますが、実はこの支払い方法には落とし菜があります。
大手消費者金融の殆どが採用しているのが「残高スライド元利均等リボルビング払い」です。これは毎月の返済額(例えば2万円)のうち一部を利息の支払いに充てて、残りを元金の返済に当てるという支払い方法です。
仮に元金が50万円、金利が18%だったとしましょう。この場合、年間の利息は50万円×18%=9万円、つまり月間の利息は7500円です。
従って、毎月の返済額1万8000円のうち7500円が利息の返済に、1万500円が元金の返済に充てられます。毎月の返済額の42%が利息に充てられている計算になります。
仮に今後返済を続けて残高が40万円まで減った場合、年間の利息は40万×18%=7万2000円、つまり月間の利息は6000円です。
従って、1万5000円のうち6000円が利息の返済に、1万円が元金の返済に充てられます。毎月の返済額の40%が利息に充てられている計算になります。
毎月の支払の40%前後が利息の返済に充てられるためなかなか元金が減らず、支払いが長期化し、総返済額が大きくなりやすいのが残高スライド元利均等リボルビング払いの特徴と言えます。
毎月の支払額を多くして総返済額を減らそう!
なぜ多くの消費者金融が残高スライド元利均等リボルビング払いを採用しているのかというと、答えは簡単で、そのほうが利息の支払が増えて儲かるからです。消費者金融としては、毎月の支払額をなるべく少なくして、延々と利息だけを支払って欲しいというのが本音なのです。
このような仕組みの中で借金を減らしたいのならば、毎月の支払額を増やすのが一番効果的です。消費者金融が定めている返済金額は最低返済額であり、これ以上支払っても何も問題ありません。
たとえば「元金が40万円~50万円の場合、毎月の返済額は1万8000円」という記載があったとしても、2万円でも3万円でも都合がつけば好きなだけ払っていいのです。
仮に毎月の支払額を自分で3万円と決めた場合、7500円が利息の返済に、2万2500円が元金の返済に当てられます。毎月の返済額の25%が利息に充てられている計算になります。
多く支払った文は全て元金に充てられるため、それだけ返済が早く終わり、余計な利息を支払わずに済みます。毎月の生活に余裕があるという人は、どんどん返済していきましょう。
返済が厳しくなってきたら借金を一本化してみよう
そもそも返済が厳しくなってきているという場合は、借金をおまとめローンで一本化してみるといいかもしれません。おまとめローンとはその名の通り、複数の債務を一本にまとめるための金融商品です。
例えば、消費者金融A,消費者金融B,消費者金融cのそれぞれから30万円ずつ借りているとします。この借金を返済出来るだけの額、つまり90万円を別の銀行などから借りてそのお金で元々の借金を返し、残った借金を地道に返済していくというのが、おまとめローンの概要です。
一見借り換え先を変えただけで何の意味もないように見えますが、おまとめローンには様々なメリットが有ります。おまとめローンでは複数の債務を一本化するため、債務の額が大きくなります。債務の額が大きくなればそれだけ、金利が低くなります。
小さくて高金利な借金を、大きな低金利の借金に一本化することができれば、それだけ毎月の返済額や総返済額を抑えることができます。
また、借金が一本化されるため返済日が一つになり、返済計画が立てやすくなるというメリットも有ります。
反面、まとめる前よりも長期間でローンを組んでしまうと、毎月の返済額は抑えられても総支払額が増えてしまうことがあります。
借金が苦しいと毎月の返済額を少なめに設定してしまいがちですが、毎月の支払額を少なくすればそれだけ返済期間が伸び、余計な利息を支払わされることになります。
おまとめローンを利用する際には、毎月の支払額だけでなく総支払額もきちんとチェックすることが大切です。
また、おまとめローンにも通常のローンと同じように審査がありますが、借入額が大きい分審査は厳しいです。おまとめローンで特に重視されるのが借入件数です。借入件数は少なければ少ないほどよいです。
3件以下ならば問題なしとなることが多いですが、4件の場合は要注意、5件以上の場合は赤信号です。現在5件以上から借りているという場合は、債務総額が少ないところだけでも一括で返済するなどして、借入件数を減らしておくことが大切です。
返済できない場合は債務整理を
借金の一本化で金利が低いところから借り換えられればある程度返済の負担は小さくなりますが、劇的に借金が少なくなることはありません。
いよいよ支払いが滞りそうになった場合は、思い切って債務整理をしてしまうといいでしょう。債務整理とは法律に基づいた手続きをすることによって、借金を減額したり、なくしたりする制度のことです。
債務整理の種類には「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」の4種類があります。どの手段を選んでもいわゆるブラックリストに登録されるため、今後5年~10年程度は借り入れができなくなります。
任意整理は債務者と債権者の話し合いによって借金を減額する制度です。話し合いなので必ず成立するわけではありませんが、弁護士などの専門家に依頼すれば問題ないケースが大半です。
任意整理後は原則金利は0%、もしくはそれに近い数字となり、元金やそれに近い額だけを返済していくことになります。家族にバレにくく、特定の業者を選んで静止することも可能なため、最もよく選ばれています。反面、債務を圧縮する効果は少ないです。
特定調停は裁判所を間に介した話し合いによって借金を減額する制度です。裁判所を介す任意整理のようなものですが、 債権者との交渉は調停委員がしてくれるというメリットが有ります。
反面、話し合いなので常に合意が得られるとは限らず、調停成立後に支払いができなくなった場合給料が差し押さえられるというデメリットも有ります。
個人再生は裁判所を通じて借金を減額してもらう制度です。原則として借金を5分の1位にまで圧縮することができます。債務の圧縮幅は任意整理や特定調停と比べて明らかに大きく効果的です。
後述の自己破産と違って、住宅や自動車といった財産も手元に残すことができます。ただし手続きがかなり難しいので、弁護士などの専門家に依頼した方がいいでしょう。
自己破産は地方裁判所に申し立てて借金を0にしてもらう制度です。借金の圧縮幅が非常に大きく、また他の債務整理と違って収入がなくても手続きができるのがメリットです。
ただし、時価20万円以上の財産は手放さなければなりません。また、家族に隠し通すことはほぼ不可能です。
どの方法にもそれぞれメリットとデメリットが有り、一概にどれを選べばいいとはいえません。弁護士などの専門家と相談して選びましょう。
詐欺の被害にあってできた借金は誰が支払うの?
いわゆる名義貸し詐欺にあって借金ができてしまった場合、原則として被害者が返済しなければなりません。
他人からの指示で借金をしたことが証明できる書類がある場合は返済義務がなくなることもありますが、詐欺師は通常そのような書面を残さないのでまず期待できません。怪しい儲け話には最初から乗らないことが大切です。
場合によっては加害者に返還を請求することも可能です。詳しくは弁護士にご相談ください。
借金でわからないことがあったら
必ず弁護士などの先もかに相談するようにしましょう。彼らは借金問題について我々一般人とは比べ物にならないくらいの知識を持っているので、相談すればきっと有益な答えが帰ってくるはずです。