カードローンが払えないと財産没収!?そんな場合は誰に相談すべき?

カードローンが返済できないからと言って、その状態を放置しておくと、遅延損害金(延滞利息)がかかる上、ブラックリストにも掲載されてしまいます。

たとえ逃げ回ったとしても、その状態はいつか破綻します。その場合、強制執行という形で財産が没収されてしまいます。被害を最小に抑えるためにも、カードローンが返済できなくなった場合は速やかに誰かに相談すべきです。

今回の記事では、

  • カードローンが払えなくなったのを放置するとどうなるか
  • カードローンが払えなくなったときに相談すべき相手

についてご紹介いたします。

カードローンを放置し続けると、財産が没収されることもあり得る

毎月の支払いができないからと言って、カードローン会社からの催促を放置し続けてはいけません。最終的に給料や家財道具などの財産が没収される可能性もあるからです。ここでは、催促を放置するとどのようなことが起こるのかを順を追って説明します。

STEP1:支払期限から1日~数日後

支払期限を過ぎた場合、おそらく数日以内にカードローン会社から電話で連絡が来るはずです。(電話を入れずに最初から郵便を使うところもあるようです}。

カードローン会社からすれば数日程度の遅延はよくあることであり、またカードローン会社側には守らなければならないルールがたくさんあるため、ヤクザのような物言いをしてくることはありません。あくまでお客さんとして扱ってくれます。内心どう思っているかはわかりませんが。

電話は原則として携帯電話にかかってきますが、契約時に自宅に電話をかけることを許可している場合は自宅にかかってくることもあります。職場に電話をかけることは禁止されています。

STEP2:支払期限から1週間~2週間程度

電話を無視し続けた場合や、電話には出たものの支払いを行わなかった場合、カードローン会社から郵便で催促状が届きます。封筒には社名が入っておらず、担当スタッフの名前で届くため、開封しない限りはカードローン会社からの郵便物とはわかりません。

これは債務者の同居人に借金をしていることがバレないようにという配慮です(同居人が人の郵便物を勝手に開けるデリカシーのない人間だった場合は意味のない配慮になってしまいますが)。この時点では物腰も柔らかです。

STEP3:支払期限から1ヶ月程度

電話も郵便も無視した場合、カードローン会社の担当者が直接債務者の自宅に訪問してきます。ただし、債務者が家族と同居している場合は直接訪問はない事が多いです。

訪問して良い時間帯や人数なども細かく定められているため、やはりヤクザみたいな人物が来ることはありません。特に大手の消費者金融は企業イメージを非常に大切にしますから、丁寧な態度で、しかししっかりと支払いを進めるように求めてきます。

通常はその場で誓約書(今後遅れることなく返済すると誓うための書類)と返済計画書を取り交わし、双方が1部ずつ持つことが多いです。

STEP4:支払期限から数ヶ月程度

これらの連絡をすべて無視し続けると、自宅に督促状が届きます。督促状はSTEP2で触れている催促状とは似たようで大きく異なる書面です。

督促状は、「この書類に書いてある期日までに借金を返さなければ、法的措置(強制執行・差し押さえ)」に移行するという意思表明であると考えています。督促状を無視すると、最終的に裁判所から出頭命令を受けることになります。

督促状は通常、内容証明郵便と配達証明を組み合わせて送られてきます。内容証明郵便は郵便局がその郵便の内容を証明してくれる文書、配達証明は郵便局側が確かに届けたことを証明してくれるサービスです。

この二つが組み合わさった場合、債務者は「そんな郵便はもらっていない」と言い逃れることができなくなります。

また、内容証明郵便は後に裁判に発展したときに「債権者(カードローン会社)が債権を回収する意志があった証拠」として扱われます。これは裁判で債権者側に有利に働きます。

STEP4:支払期限から数ヶ月以降

内容証明郵便も無視した場合、カードローン会社はいよいよ裁判所に訴訟を起こします。訴訟の内容は原則として「給料の差し押さえ」か「全額返金」のどちらかです。

給料の差し押さえは、給料のうち一定額(通常は手取り全体の4分の1)までを差し押さえる事が可能です。ただ、実際にはそこ底まで行くことはまれのようです。給料を差し押さえられると、そのことが会社に伝わってしまうからです。

これは会社でそこそこの地位にある人にとっては大きな痛手であり、殆どの債務者が和解への話し合いに応じています。

ただし、中にはそれでも折れない債務者もいるため、実際に差し押さえに入ることもあります。

全額返金とは、その名の通り現時点での債務の全額(遅延損害金なども含む)を一括で請求することです。給料の差し押さえをしても効果がない債務者、例えば収入がない人などに対してはカードローン会社はこちらを選ぶことが多いようです。

訴訟を起こされた場合、債務者には出頭命令(裁判所まで来いという命令)が下されます。それを無視した場合、裁判所は債権者の申し立てを全面的に認める判決を下します。

裁判所に行った場合は和解のための話し合いが行われます。

和解とは双方が納得した上で、分割払いによって支払いを進めていくと合意することです。和解が成立した場合、和解調書を交わしますが、和解調書の内容に違反した場合は強制執行となってしまいます。

解が成立しなかった場合は裁判を通じて判決が下されます。理は債権者側にあるため、通常は支払い判決の命令が下されます。

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ここまでご覧になってくださった方はすでにお気づきかと思いますが、カードローンの債権を放置すると非常に面倒なことになります。

なんども電話がかかってきて、郵送や直接訪問も受けて、更には裁判所にも呼び出されて……こんな事態になったら、確実に本業にも影響が及びます。

そうならないためにも、返済が遅れそうな時は、すぐに誰かに相談すべきです。では、一体誰に相談すれば良いのでしょうか。基本的には、いかに上げる選択肢の中から選ぶのがおすすめです。特にカードローン会社には真っ先に相談しましょう。

  • カードローン会社
  • 各自治体が設置している窓口
  • 法テラス
  • 国民生活センター(消費生活センター)
  • 各都道府県の弁護士会・日本弁護士連合会
  • 日本クレジットカウンセリング協会(JCCO)
  • 日本貸金業協会
  • 家族・知人

カードローン会社

一番最初に必ず連絡すべき相手は、融資先のカードローン会社です。相談はなるべく、返済が遅れてからではなく、返済が遅れそうになった時点で行います。

早ければ速いほど相手の印象は良くなりますし(一番いいのはもちろん送れずに返済することですが)、返済の相談に乗ってもらえる可能性が高まります。

連絡の際には返済が遅れる理由と、返済が可能になる日、その際に返済できる金額を伝えましょう。銀行や大手・中堅の消費者金融ならば、支払う意志を見せればこちらの都合をそれなりに飲んでもらえます。

逆に逃げ回っていると「こいつには支払う意志がない」とみなされてしまい、強制執行までの期間が短くなったり、こちらの都合が飲んでもらえなくなったりします。

ただし、連絡をしても当然信用情報に傷はつきますし、支払いが遅れた分は遅延損害金も発生します。連絡したら全て許されるわけではないことには留意が必要です。

返済の目処すら立たない場合は、そのことを正直に伝えてください。カードローン会社としても債務者に自己破産をされるのは望ましくないと考えています。

自己破産すると債務者のカードローン会社からの借入は原則チャラになり、1円も回収できなくなってしまうためです。そのため、大抵のケースで任意整理(話し合いによって将来発生する利息をカットする手続き)が認められますので、一刻も早く相談しましょう。

零細カードローン会社から借りている場合の注意点

零細カードローン会社から借りている場合、来社要求を受けることがあります。零細業者と違法業者は全く別物なので、いきなり殴られたり脅されたりすることはないかと思いますが、「強制執行認諾付公正証書」の作成を要求される可能性は十分あります。

強制執行認諾付公正証書とは、「債務者が債務の履行をしなかった場合は直ちに強制執行をする旨」が陳述された公正証書です。公正証書に書いてあるとおりに返済しなかったら、資産や給料が差し押さえられてしまうわけです。

公正証書は公証役場という役場で作られる書類の一つで、万が一両者が書類をなくしてしまっても、公証役場に原本が保存されているため、公証役場が内容を証明してくれます。

これがあると債務者が債務の履行を怠った場合、債権者は訴訟無しで強制執行ができるようになるため、債権者は公正証書の作成を強く望みます。

逆に債務者からすれば強制執行認諾付公正証書を作成することは不利になるため、考えなく作成してはいけません。カードローン会社が面談を強く望んだ場合は、第三者がいる開けた環境(喫茶店など)で会ったほうが良いでしょう。

各自治体が設置している窓口

各市区町村には、消費生活全般に対する相談窓口が設置されているはずです。債務に関する相談も範疇であり、基本的に相談は無料なのが嬉しいところです。

窓口が設置されている場所や時間帯は自治体によって異なるので、まずはお住いの市区町村役場の受付に相談してみてください。

また、自治体によってはそれとは別に無料・もしくは有料の借金相談会を開催していることがあります。こうした特別な会では、自治体職員ではなく弁護士や司法書士などの専門家が対応してくれることが多いです。

法テラス

法テラスとは、正式名称を日本司法支援センターという公的機関です。弁護士や司法書士などの専門家に相談したいけれど、経済的な余裕がない低所得者を対象としています。

一定額以上の所得や資産がある人は利用できません。詳細な条件については以下の記事をお読みください。(参考:自己破産するお金がない時は法テラスの建て替え制度を利用しよう)。

法テラスにも弁護士や司法書士がおり、3回まで無料で相談できます。実際に弁護士や司法書士に債務整理を依頼する場合はもちろん費用がかかりますが、法律事務所を通じて契約するよりはリーズナブルです。

また、それでも費用が払えない場合は立替精度が利用できます。また、生活保護を受給している場合は、費用そのものが免除されることもあります。まずは相談してみましょう。

法テラスの弁護士はレベルが低い?

法テラスに登録している弁護士は、法律事務所の弁護士と比べてレベルが低い、と言われることがあります。

弁護士のレベルというのは客観的な指標で評価しづらいものであるため一概には言えないのですが、そう感じる人が少なくないことは確かです。(参考:実は法テラスの評判は最悪だった?他に相談できるところはある?)。一体なぜ法テラスの弁護士はレベルが低いと感じられがちなのでしょうか。

実は、法テラスを通じて得られる仕事の弁護士報酬は、自身の所属する弁護士事務所を通じて得られる仕事の弁護士報酬と比べるとかなり低めに設定されています。もともと法テラスは低所得者を対象としたサービスなのですから、当然といえば当然です。法テラスを通じて得た仕事は、弁護士から見れば割に合わない仕事なのです。

必然的に自力で仕事が得られる弁護士はそちらを優先するようになり、法テラスに集まるのは自力で仕事が得られない弁護士ばかり、ということになります。

中には報酬でなく正義感を持って法テラスに集まる弁護士もいますが、割合としてはそれほど多くないでしょう。これは仕方のないことです。別に弁護士は正義の味方でもなんでもない存在ですからね。自身の利益を第一に追求するのは人間として自然な姿勢であり、責められるものではありません。ストレートに言えば「良い弁護士を雇いたければ、それ多額の費用を払いなさい」ということです。

国民生活センター(消費生活センター)

国民生活センターは、国民の消費生活に関する相談を受付、トラブルの解決に当たる独立行政法人です。各都道府県には国民生活センターの窓口に当たる「消費生活センター」が設置されており、消費者はそこを通じて相談します。

消費生活センターの職員は弁護士でも司法書士でもないので、実際に債務整理を手伝ってくれるわけではないですが、借金問題に関する知識と経験はあるため、最適な解決方法を提案してもらえる可能性が高いです。

また、必要に応じて、専門家を紹介してもらうことも可能です。弁護士や司法書士などの選び方がわからないという場合は、まずは消費生活センターに相談してみるのもいいかもしれません。

各都道府県の弁護士会・日本弁護士連合会

弁護士会は各都道府県に原則1つ(東京都など一部の都道府県は複数)設置されている法定団体です。弁護士は必ず弁護士会に所属しなければならないと義務付けられており、各都道府県の弁護士会によって組織されている連合体が日本弁護士連合会です。

各都道府県の弁護士会や日本弁護士連合会は、法律相談を受け付けています。費用は相談内容によって有料だったり無料だったりしますが、債務整理に関する相談は多くの弁護士会で無料となっているようです。

各都道府県には各都道府県の弁護士会が設置した法律相談センターが複数箇所に設置されているはずですので、予約して相談に行きましょう。

日本クレジットカウンセリング協会(JCCO)

日本クレジットカウンセリング協会(JCCO)は、内閣府の認定を受けた公益財団法人です。体重債務者の相談に対して、公正・中立の立場からカウンセリングを行っています。電話相談やカウンセリングは原則無料で、任意整理と家計改善のサポートを受けることも可能です。

任意整理も無料で受けられるというのが最大の特徴です。ただし、あくまでも無料なのでそこまで質の高いサービスを期待してはいけません。

カウンセリングセンターは日本全国に約20箇所設置されています。カウンセリングセンターが近くにない場合でも、電話相談が可能です。

日本貸金業協会

日本貸金業協会は、貸金業者=消費者金融やクレジットカード会社などが所属している認可法人です。東京日本部があり、全国47都道府県に支部がある自主規制機関で、相談対応や苦情処理にあたっています。相談はFAX、電話、郵便、面談のいずれかで行います。

債務状況や返済能力などに応じて、必要な助言や情報提供、他の相談機関の紹介などを受けられます。また、場合によってはギャンブル依存症・買い物依存症などに対処するためのカウンセリングも受けられます。

家族・友人

家族・友人に資金援助のお願いをするのは諸刃の剣と言えます。特に、家族に今まで借金をしていたことを隠していた場合、おそらく大モメすることでしょう。友人の場合も、借金の相談をした時点で相当だらしのない人間だと思われることはまず間違いありません。

実際、借金が返せなくなっているのですから、そう思われても全く文句は言えません。誰にも悪く思われずに借金の相談をしようなどと思ってはいけません。

家族や友人に金の無心をした場合、人間関係に亀裂が入ることは覚悟しましょう。最悪の場合は縁を切られる可能性もありますが、自分で巻いた種ですから仕方ありません。

家族に隠れて債務整理をすることはできる?

債務整理には「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」の4種類があります。このうち、任意整理と特定調停は家族に内緒でできる可能性が高いです。任意整理と特定調停はどちらも債権者と債務者が合意して将来支払う利息をカットするというもので、特定調停の場合は間に裁判所が入ります。

一方、個人再生は借金を原則として5分の1に圧縮するもの、自己破産は借金を原則チャラになるというものです。借金の減額幅だけで見れば個人再生や自己破産のほうが大きいのですが、これらの手続きは途中で家族にバレる可能性が高く、最後まで隠し通すのは至難の業です。

まとめ

  • カードローンの返済が遅れたのを無視し続けると、いずれ訴訟や強制執行に発展し、自分のためにならない
  • カードローンの返済が遅れそうな時は、まずはカードローン会社に連絡して指示を仰ぐ
  • 場合によっては弁護士会や日本貸金業界、あるいは家族などにも相談する

借金の問題は一人で考えて解決するものではありません。苦しい時はまずは誰かに相談してみましょう。