カードローンの借り換え審査というのは、「返済が困難になった。負担を減らすために金利の低いところへ借り換えたい!」という目的の人では通らない傾向があります。
借り換えローンは、借り換えをして負担を減らすことができるということがウリの商品であるにもかかわらず、返済に困っている人は審査に通らず、余裕がある人のほうが審査にあっさり通ってしまうことが多いのです。
矛盾していると感じる人もいるかもしれません。
なぜこのようなことが起こるのか、解説してみます。
勝ち組がますます有利になる?
カードローンに限った話ではないですが、金融商品というのは勝ち組がますます有利になるという性質を持っています。
具体的な事例をあげて解説してみます。
年収1000万円と300万円では年収以上の差が
100万円を借りて、3年の分割払いで返済をするケースで考えてみます。
年収1000万円の人の場合
大企業勤務、年収1000万円の人は、限度額500万円、金利4.5%の銀行カードローンを契約していて、そこから100万円を借りました。
年収が1000万円ならすぐに返済してしまえそうなものですが、じっくり3年かけて完済をしたとします。36回の分割払いと考えてシミュレーションを行うと、
月額返済額は29,746円、利息総額は70,871円となります。
年収300万円の人の場合
中小企業勤務、年収300万円の人は、限度額50万円、金利18.0%の消費者金融カードローンを2社で契約していて、そこから50万円ずつ、合計100万円を借りました。
同じく36回の分割払いで返済をしたとして、シミュレーションを行うと、
月額返済額は36,152円、利息総額は301,468円となります。
いかがでしょうか?毎月の返済負担がおよそ6,400円も増える上に、利息総額がおよそ23万円も増えてしまうのです。
同じ100万円を借りて、3年で完済をしているのに、23万円も損をしていると考えることもできます。
勝ち組がますます得をする
これは1つのケースにすぎません。住宅ローンのように、平均すると3,000万円以上の金額を借りる場合には、500万円以上の差がつくこともあります。
年収が高くて余裕がある人が、お得なローンを組むことができ、年収が低くて生活が苦しい人が、高額な利息を搾り取られてしまうという側面があるのが、金融商品なのです。
理由を知っておこう
なぜこのようなことが起きるのかというと、答えはシンプルです。
金融機関はお金を持っている人と取引をしたほうが儲かるからです。
逆に、リスクの高い人と取引をしてしまうと、自己破産をされたり、夜逃げをされたりして、貸したお金が戻ってこないリスクがあります。
この機会に、「お金がないから借金をする」
という考え方を、
「お金に余裕がある人が、人生を豊かにするために借金をする」
という考え方に変えておいたほうが、今後の人生がより豊かになるかもしれません。
もちろん、お金がない人が借金をしてはいけないということではありません。
お金がなくても借金をしたほうがよいケース
例えば、まだ20代で若い人が、パソコンを購入して、資格の勉強をしようと考えたとします。
アルバイトで年収が200万円しかありませんが、借金をしてでもパソコンを購入して、資格を取得し、正社員に就職ができたとしたら、人生を豊かにすることにつながっていますね。
このように、お金がない人が人生を豊かにするために借金をするなら、金融機関は積極的に融資をしてくれるかもしれません。
年収が低くても借り換えローンの審査に通る方法
大企業勤務でもなく、年収がそれほど高くなくても、借り換えローンの審査に通る方法はあります。
主に、次の3つのポイントに気をつけておきましょう。
延滞は絶対にしない
延滞をしていると、借り換えローンの審査に通る可能性はかなり低くなります。
カードローンを契約するときに、「決められた支払日までに決められた金額を支払います。」という約束をしています。
たった1日期日に遅れただけでも、契約違反になります。また、「2万円+利息」を支払う約束をしていて、2万円だけを返済したという場合にも、金額不足で延滞扱いとなってしまいます。
よく、部分的にでも返済をすれば延滞にならないと考えている人がいますが、最低返済額よりも1円でも少ない場合には延滞扱いになってしまうこともあります。
もちろん、部分的にでも返済をすれば、延滞金を少なくすることができるので、意味はあります。また、支払いの意思があるということは示されるので、金融機関はいくらか安心するでしょう。
期日を守るということと、最低返済額以上の金額を支払うということの2点を意識しておきましょう。
借入件数は少なくしておく
借り換えローンの審査では、借入件数も重要になります。
同じ100万円を借りているのでも、4社から25万円ずつ借りている人は不利になります。
1社から100万円を借りている人が、最も有利です。
借入件数はできるだけ少なくすることを意識することが重要です。
例えば、カードローンを限度額50万円で契約していて、60万円のお金が必要になったら、他社から10万円を借りるのではなく、限度額増額審査に申込みをして、1社から60万円を借りたほうが理想です。
結婚式や海外旅行のためにお金を借りる時は、クレジットカードの枠を一時的に上げてもらえることも多いです。すぐに他社から借りようとするのではなく、なるべく1社から借りるように意識をしておきましょう。
借入金額は無理のない程度に
当然ですが、借入金額が大きくなるほど審査は難しくなります。
借金の金額が膨らむほど、借り換えの難易度は上がりますので、借金の金額が小さいうちに借り換えをしてしまうということがポイントになるでしょう。
どのタイミングで借り換えをするのがベストなのかということは、人によって異なります。
例えば、年収300万円の人なら、50万円を借りている時点でそこそこの負担になっていると思われますので、借り換えを検討してみましょう。
その他のポイント
借り換えローンの審査では、年収、勤務形態、勤続年数、個人信用情報、他社からの借入状況などが重要になります。
このうち、年収などは簡単に上げることができない項目となりますので、3つのポイントには入れていません。
しかし、フリーターの人なら、もっと給料の良い仕事に転職をするとか、正社員になる努力をするとか、できることはあるかもしれません。
正社員の人でも、転職をしてキャリアアップができるチャンスがあるなら、検討してみましょう。
勤続年数が10年の人が、勤続年数12年になったところでそれほど属性は変わりませんが、勤続年数が1年未満の人が、勤続年数3年になったら、審査で大きく有利になることもあります。
他にも、家賃が10万円のマンションから6万円のマンションに引っ越すことで、ローンの返済にまわせるお金が増えるでしょう。日々の生活で、なにか改善できるポイントがないか、考えてみましょう。
金利をなるべく低くする努力
借金をするなら、金利はなるべく低くおさたいと、だれもが思うところでしょう。
しかし、金利を低くできるチャンスがあるのに、うっかりが原因で、逆に金利を高くしてしまうこともあります。
住宅ローンで繰り上げ返済をしすぎてしうケース
住宅ローンでは、積極的に繰り上げ返済をしていくことで、支払い利息を減らせます。
住宅ローンでは、繰上げ返済をして返済期間を短縮すれば、保証料が戻ってくるというメリットもあります。
また、オーバーローンの状態を解消しておいたほうが、なにかの事情で将来マイホームを売却することになっても安心です。
しかし、手持ち金として200万円程度は残しておくべきであるとも言われています。
ここで事例を紹介します。
Aさんは、住宅ローン(金利1.0%)が2000万円残っていて、貯金が200万円ありました。Aさんは、この200万円を、うっかり住宅ローンの返済にあててしまいました。
貯金をすべて住宅ローンの繰上げ返済にあててしまったタイミングで、Aさんの父親が亡くなってしまいました。遅くても翌日には通夜をして、翌々日にはお葬式をあげなくてはいけません。
お葬式にかかる費用は200万円となりました。Aさんは、住宅ローンの繰上げ返済をなかったことにすることはできないため、金利12%で200万円のフリーローン(36回払い)を借りました。
どれだけ損をしているの?
このケースでは、金利1.0%の住宅ローンを繰り上げ返済して、すぐ後に金利12%のフリーローンで200万円を借りるという結果になってしまっています。
ここまでタイミングが悪いということはあまりないものの、現実に、選択ミスで損をしてしまうことはよくあります。
200万円のフリーローン(金利12%)を36回払いで返済した場合、391,413円の利息がかかります。
金利1.0%で同じ計算をすると、利息は30,963円になりますから、およそ36万円の損をしたと考えられます。
普段からの努力がモノを言う
低い金利でお金を借りるためには、普段からの努力がモノを言います。
将来のことをよく考えて、計画的にお金を使うことが重要です。
クレジットカードにキャッシング枠をたくさんつけていたり、消費者金融で枠が100万円くらいのカードローンを契約している人もいますが、あまりおすすめはできません。
金利が高いカードローンやキャッシングはなるべく持たないようにしておく。
これも重要なことです。
海外旅行などで必要になるので、キャッシング枠つきのクレジットカードは1枚くらいは持っておいたほうが安心できるという人もいます。
しかし、個人的には、普段はキャッシング枠をゼロにしておき、海外旅行や結婚式などのイベント時にだけ、クレジット会社に連絡をして、一時的に枠をつけてもらうというのがおすすめです。
いざという時のカードローンを1枚もつなら、金利が低い銀行カードローンか、それに類似するものにしておきましょう。
金融機関を比較することも重要
いくら属性を良くする努力をしていても、しっかりとカードローンを比較しなければ、意味がありません。
極端な話になりますが、大企業勤めの年収1000万円の人が、金利18%の消費者金融で借りてしまうようなケースもあります。
その気になれば銀行カードローンで金利5.0%くらいで借りられたのに、適当にカードローンを選んでしまったばかりに損をする結果になっている人もいます。
銀行カードローンでは、みずほ銀行、オリックス銀行、楽天銀行、セブン銀行などが低金利で人気があるようです。
ネット銀行のメリット
ネット銀行は、最近注目されている金融機関です。人件費や店舗コスト、ATMコストなどを節約しているため、サービス面が充実しています。
地方銀行や信用金庫のメリット
インターネットの比較サイトを見てカードローンを選ぶ人が多いですが、自分が住んでいる地域の地方銀行や信用金庫についても調べてみましょう。
地域密着型の金融機関なので、インターネットで紹介されていることは少ないですが、魅力的なサービスが提供されていることもあります。
「営業区域内に住居もしくは勤務先がある」という条件を満たしている人だけが利用できますが、逆に言えばその条件を満たしている人は、有利な金利で借りられる可能性が高いということです。