カードローンは非常に便利な金融商品ですが、借金ですから使い方を誤ってしまうと損失を被る事になりかねません。
特に返済が遅れてしまうと将来長期間に渡って住宅ローンが組めなくなってしまう可能性もあるので、利用の際には細心の注意が必要です。
ローンの返済情報・事故情報はほぼすべての金融機関にバレる
銀行や消費者金融、クレジットカード会社などの金融機関は、すべて原則として信用情報機関という民間企業に所属しています。
2017年1月現在、信用情報機関は全部で3社あります。金融機関はローンの申し込み、借り入れ、返済などに関する情報を信用情報機関に提供します。信用情報機関のもとに、複数の金融機関から情報が送られてくるわけです。
そして、各金融機関はローンの申し込みがあった際には信用情報機関の情報にアクセスすることができます。つまり、ローンの申込者が過去に他社含めどんなローンを申し込み、どんな借り入れをして、どのように返済をしてきたのかがわかるわけです。
当然、金融機関は過去に返済事故を起こしたような人に対しては貸そうとしません。そのため、信用情報機関に事故情報が掲載されていると、高確率でローンの審査に落ちることになります。特に融資額が大きくなりやすい住宅ローンの審査に通るのはかなり厳しくなるでしょう。
収入や職業悪くないにも関わらず、住宅ローンの審査を何度受けても落ち続けるという場合は、過去に返済事故を起こしている可能性があります。
事故情報は一定の期間が経つと削除される
信用情報機関に登録されているデータは永遠に削除されないわけではありません。一定の機関が経過すると速やかに消去され、返済事故を起こしていないのと同じ状態になります。
データが削除されるまでの機関は返済事故の大きさや、その金融機関が所属する信用情報機関によって変わってきます。最近は返済遅れや任意整理の場合は5年、個人再生や自己破産など官報に載る債務整理の場合は10年というのが一般的です。
従って、住宅ローンを組みたいと考えている人は、この期間だけ待つ必要があるわけです。
返済遅れは1日でも記録される?
返済遅れは事故情報として信用情報機関に登録されることになりますが、1日でも返済が遅れたら必ず信用情報機関に登録されるというわけではありません。数日程度の遅れならば、金融機関は殆どの場合許容範囲とみなし、信用情報機関には報告しないことがほとんどです。
ただし、数日程度の遅れでも繰り返すと確信犯であると捉えられ、報告されてしまうこともあります。1日でも遅れたら記録されるとかされないとかに気を使うよりは、1日たりとも送れないように気を使うべきです。
自分の事故情報は問い合わせれば開示できる
過去に自分が返済事故を起こしているか起こしていないのかわからなくなってしまった場合、あるいは返済事故をいつ起こしたのか忘れてしまった場合は、信用情報機関に問い合わせれば情報を開示してもらうことができます。
ただし、いずれの信用情報機関に問い合わせる場合も有料(500円~1000円程度)なので注意が必要です。
過去に返済事故を起こした相手の金融機関がわかっている場合は、その信用情報機関に問い合わせます。
原則として銀行系は全国銀行個人信用情報センター、信販会社系は株式会社シー・アイ・シー、消費者金融系の場合は株式会社日本信用情報機構に所属しているので、該当するところに問い合わせて下さい。どこで返済事故を起こしたのかが明確でない場合は、全てに開示請求すると良いでしょう。
事故情報を時間経過以外の方法で消すことは不可能
信用情報機関に事故情報が残っていた場合、その情報を時間経過以外の方法で削除することは絶対にできません。いくらお金を積んだとしても、信用情報機関は削除には応じてくれません。
たまに「あなたの信用情報をきれいにします」というような怪しげな業者の広告を見かけることがあるかと思いますが、嘘か詐欺のどちらかですので、近づいてはいけません。
返済遅れそうな時は早急に連絡を
返済が遅れそうな時は放置せずに、早めに金融機関に連絡することが大切です。殆どの金融機関では、事前にお願いすればある程度なら返済日を延長してもらうことができるからです。
延長できる機関は金融機関によってまちまちですが、多くの場合は次回の給料日、原則30日まで伸ばしてもらえると考えて下さい。ただし、信頼がない場合(過去にも返済事故を起こしている場合など)は伸ばしてもらえないので注意が必要です。手続きは殆どの場合電話でOKです。
連絡をしても遅延損害金は罹る
ただし、連絡をしても返済遅れを起こしていることには代わりありませんから、返済までの期間中は原則として遅延損害金が発生します。
遅延損害金とは返済遅れ機関中に発し制する罰金のようなもので、ほとんど金融機関で実質年率19~20%と定められています。中には遅延損害金が発生しない金融機関もありますが、極少数です。遅延損害金が発生しない代表的な金融機関は以下のとおりです。
- 住信SBIネット銀行MR.カードローン(プレミアムコース)
- 住信SBIネット銀行MR.カードローン(スタンダードコース)
- りそなクイックカードローン
- りそなプレミアムカードローン
連絡しても結局遅延損害金が取られるのならば、連絡する意味は無いのではないかと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。連絡をしたほうが、連絡をしなかった場合よりは信頼を失わなくて済むからです。これは貸している立場になって考えてみるとよくわかります。
返済が遅れそうになっても知らんぷりを決め込んで何も言ってこない相手と、きちんと連絡していつなら、あるいはいくらなら返せそうなのかをきちんと伝えてくる相手はどちらのほうが信頼できるか、という話です。それに、事前にこちらから連絡しておけば、相手からの連絡に怯える必要もなくなります。
事故情報の掲載中に住宅ローンを組むのはかなり厳しい
事故情報が信用情報機関に登録されている最中でも、住宅ローンの審査に通る可能性は0ではありません。0ではありませんが、やはり相当厳しいものになるでしょう。
住宅ローンは様々な条件を総合的に審査して結果を出すものなので、収入が極端に高くて安定しており、なおかつ信頼できる職業についているという場合は通るかもしれませんが、平均的な収入と平均的な安定性では厳しいでしょう。
審査に通過する可能性を少しでも上げたいなら、審査が比較的緩い金融機関を選ぶ必要があります。ただし、審査がゆるい金融機関はその分金利が高いので注意が必要です。金利も低く抑えたいという場合は、頭金を多めに用意して融資額を減らすというのも一つの手です。
事故情報が削除されても審査には通りづらい
では、事故情報が削除されたあとならば問題なく審査に通るのかというと、そうとも言えません。
返済事故を起こすとローンが組めず、クレジットカードも作れなくなるので、信用情報機関にデータが蓄積されません。そして事故情報も削除されると、信用情報機関のデータは真っ白になってしまいます。このような状態を「ホワイト」ということがあります。
ホワイトという言葉の響きはポジティブですが、実はこの状態では審査に通りづらいです。金融機関は誰でもクレジットカードを持っているこの時代に信用情報に全く何も載っていないのはいくらなんでもおかしい、と考えます。そこから、過去に返済事故を起こしていた可能性を推測します。
もちろん、世の中には徹底した現金主義者なために信用情報機関に何のデータも残っていないという人もいます。こうした人はスーパーホワイトと呼ばれ、ホワイトとは別物なのですが、金融機関にはホワイトとスーパーホワイトの区別はつきません。
疑わしい人には貸さない、ということで、実際の審査の場ではホワイトもスーパーホワイトも一緒くたに落とされることになります。
ホワイトの状態を解消したい場合は、まずは携帯電話端末の分割購入や審査がゆるいクレジットカードの利用で十分な信用情報の履歴(クレジットヒストリー)を作ってから住宅ローンの審査に望まれることをおすすめします。
まとめ
- 事故情報は原則としてすべての金融機関にバレる。隠し通すのは不可能
- 事故情報の掲載期間中はあらゆる種類のローンを組むのが難しくなる
- 事故情報は5年~10年で削除されるが、その後もホワイトという状態になり審査に通るのは厳しいまま
- クレジットヒストリーを適切に作れば、審査に通りやすくなる
- 返済が遅れそうな場合は、必ず金融機関に連絡する
いちばん大切なのは、返済事故を起こさないようにすることです。うっかり忘れを起こしたくないのならば口座振替が確実です。