90坪を活用したい!賢い土地活用の方法とは?

「90坪の土地」といえば、都会では庭付きの豪邸を建てられる敷地面積になります。車が2台以上止められる駐車場に、2人以上の子どもがと夫婦で暮らせる一戸建てを建てられる十分なスペースを確保できます。

では、居住用ではなく土地活用にためにこの広さの土地を使いたい場合、一体どのようなアイデアが考えられるのでしょうか?今回は90坪の広さで土地活用を行う際におすすめの方法や、活用する上でのポイントをご紹介したいと思います。

90坪を土地活用する際の注意点

「90坪だからできること」を意識する

90坪は、土地活用ではちょうどさまざまな節目に当たる広さです。まず、90坪あたりから活用方法の候補となる選択肢の種類が大きく増えます。

したがって、できればそうした「90坪未満の土地ではできない活用方法」を選んだ方が良いでしょう。

なぜかといえば、そうすることで自動的に近隣の90坪未満の土地との差別化が図られるからです。

自分が活用しようとしている土地のそばに、広さも利用目的も似通っている土地がある場合、お互いに利用者を奪い合ってしまい、思ったような利益が上げられなくなる可能性も低くはありません。

通常であれば、そうしたライバルとの差別化の方法を考えなければいけませんが、「90坪だからできること」を選んで土地活用することで、自動的にそれ未満の広さの土地とターゲットが重ならないようにできるわけです。

収益性の高い方法を選ぶ

先に述べたように、90坪もの広さがあると土地活用の選択肢は決して少なくはありません。従って、比較的幅広い候補の中から活用方法を選ぶことになります。その際はせっかくですから、収益性の低い方法よりも収益性の高い方法を選んだ方がいいでしょう。

このようにいうと、「そんなに大儲けしようというつもりはない」「利益よりも安定性を重視したい」と思われる方も多いと思います。確かに、土地活用においては収益性だけでなく安定性を考慮することも重要です。

しかし、安定性を重視するあまりかえってリスクが高まってしまう可能性もあります。土地の広さが90坪もあると、施設の建設費など土地活用を始める際の初期投資額も高額になりやすいため、収益性の低い方法を選んでしまうと回収するのに時間がかかってしまうのです。

利益が出るまでの期間が長くなってしまうと、今度は時間に伴うリスクも高まります。たとえば、景気が悪化したり、大規模な災害によって事業が立ち行かなくなったりしてしまうような事態も考えられるのです。

面積が少ないと駐車場経営など初期投資がかからなくて済む活用法も検討するでしょう。ですが、土地が90坪もあるなら、初期投資の額は高額になりますが、選択肢は広がります。なので、できるだけ短期間で回収できるよう、収益性の高い方法を選んだ方が良いと覚えておきましょう。

90坪におすすめの土地活用

ここからは、90坪の土地におすすめできる土地活用の方法をご紹介したいと思います。

クリニックを建てて貸し出す

ここでいうクリニックとは、いわゆる「街のお医者さん」です。開業医が経営しているクリニックや歯科医院、調剤薬局などのことを指します。身近にあるそうした施設を思い浮かべてみてください。

ちょうど90坪程度の土地に建っているケースが多いのではないでしょうか?こういったクリニックでは60坪程度の広さを建物に当て、残りの30坪程度を駐車場にすれば、車4台分程度の駐車スペースが確保できます。

従って、ちょうど90坪くらいの土地の広さと相性が良いのです。

土地活用でクリニックを運営する場合は、開業医や医療法人などの医療事業者と提携し、活用したい土地にクリニックの建物を建設します。医療事業者は建物ができた後、そこで開業。オーナーは毎月決まった賃料収入を受け取ることができます。

クリニックの利益率は8~15%、初期費用の額は1,000万円~3,000万円程度です。周辺に医療機関が少なく、住民の方が苦労しているなど十分な需要が見込まれる場合に向いています。

また、社会貢献にもなるので単なる利益の追求よりも事業の社会性を重視する方にもおすすめです。賃貸住宅経営などと異なり、比較的ほかの土地と競合しにくいのもメリットだといえるでしょう。

賃貸住宅(アパート・マンション)を建てて貸し出す

すでにご説明してきたように、90坪程度の土地があると、建物と駐車場をセットで建てても十分なスペースが確保できます。この点を利用して賃貸アパート経営や賃貸マンション経営をするのも有効です。

その場合、土地と物件のバランスをどうするかが重要な問題になります。たとえば、建物に60坪、駐車場に30坪という配分にすれば、賃貸の一部屋ごとにそれぞれ1台分駐車スペースを割り振ることもできるでしょう。

しかし、そうなると必然的に賃貸住宅利用者のターゲットは、「車を持っている人」ということになってしまいます。

都心部など、車での移動がメインではないエリアで土地活用する場合は、かえってその点がネックになってしまう可能性もあるので、専門家にも相談しつつ、入居者ニーズを選定し、それに合わせた建物、駐車場の広さ配分は慎重に考える必要があります。

また、少し変わった方法として「シェアハウス」を建てて活用するという方法をご紹介しましょう。

シェアハウスとは、複数の居住者がキッチンなど生活空間の一部を共有しながら、ひとつの建物内で共同生活を送る施設のことです。シェアハウスではキッチンやトイレなど、通常は各部屋に設置しなければならない設備の一部を共有できるため、その分家賃を安く設定したり、個人のスペースを広くしたりすることが可能になります。

シェアハウスが90坪の土地と相性が良いのは、入居者全員分の駐車スペースを確保しつつ、建物内の広さも十分に確保できる点です。賃料を抑えつつも入居者を多く確保できるため、独自色を発揮できる選択肢として覚えておいてください。

賃貸住宅の利益率は5~15%程度、初期費用は建物面積にもよりますが、新築だと数千万円前後となります。周辺に住宅が不足している土地や、駅、幹線道路などにアクセスしやすい場所に土地を持っている方にとっては有力な選択肢だといえるでしょう。

コンビニエンスストアを建てて貸し出す

土地活用の方法といえば、商業施設経営を忘れてはいけません。90坪ではスーパーやホームセンターなどを建設するには広さが足りませんが、コンビニエンスストアであれば建設することは可能です。

コンビニエンスストアを建設するにあたって、もっとも重要なポイントはその土地への「アクセス性」です。自分が普段コンビニエンスストアを利用するときのことを考えてみてください。

「コンビニに行きたい」と思ったら、近くにある比較的大きな道のそばを通り、手近にある店舗に入店するのではないでしょうか?このように、コンビニエンスストアは、「どこにでもあっていつでも立ち寄りたいときに寄れる」という点が極めて重要になります。

したがって、大きな道路のそばや人通りの多い通りや住宅地の周辺など、普段から多くの人が行き交う場所でなければ十分な利益を確保するのが難しくなります。これらの条件を満たす土地を持っている場合はおすすめの方法ですが、そうでなければ無理にこの方法を選ばない方が良いでしょう。

コンビニエンスストアの利益率は10~20%程度、初期費用の額は数千万円~数億円といわれています。

太陽光発電を設置する

保有する土地に事業用太陽光発電システムを設置し、発電した電気を電力会社に売って利益を上げる方法です。90坪程度の広さがある場合、30kW程度の出力を確保することができます。その場合、初期費用の額は1,000~1,500万円前後です。

太陽光発電は自然の力を利用しているという点で、「利用者の需要に左右されない」という強みがあります。

なにしろ、太陽の光は1年中降り注いでくるわけですから、安定した収入を確保することが可能です。ほかの土地と利用方法が競合してもまったく問題はなく、この点はほかの方法にはない独自の強みだといえるでしょう。

問題は保有する立地環境が1年中、安定した日照量が確保できるか、という点です。利用者の需要は事業の成否に関係しませんが、「日当たり」は大きな影響を及ぼすということです。

たとえば、南向き・西向きの土地は太陽光を受けやすいですが、東向き・北向きの土地では1日のうち、日光を受けられる時間が限られてしまいます。

さらに、周辺に建物や障害物が多く土地がその影になってしまったり、そもそも土地が年間の日照量が少ない地域にあったりする場合、この方法は避けておいた方が無難でしょう。

事業用の土地として貸し出す

特にご説明してきませんでしたが、ここまでご紹介してきた土地活用の方法は「土地オーナー自身が施設を建設して土地活用を行う」という方法が基本になっています。

つまり、土地の上に建物を建てた上で、土地と建物をセットにして自力で運用するか、一括で事業者に貸し出して利益を得るという方法です。

しかし、こういったやり方だけでなく「土地だけを事業用として他者に貸し出す」という活用方法もあります。この場合、契約期間を定めて、それが終了した時点で土地を更地にして返す「定期借地」という方式が一般的です。

オーナーにとっては、建物の建築に伴う初期費用を負わずに済むというメリットが得られますが、自力で建物を立てる場合と比べて貸すのが土地だけになってしまうので最終的に得られる利益は少なくなってしまいます。

もし、土地活用の方法に悩んでいて適切な計画が立てられないという方は、こうした方法を選ぶのも良いでしょう。

90坪を土地活用する際のポイント

最後に、90坪を土地活用する際のポイントをまとめてご紹介します。

建物と駐車スペースのバランスを考える

90坪の土地は、建物と駐車スペースの両方を十分に確保できる広さです。したがって、用いる方法によっては、それぞれの広さをどのように設定するかが重要になります。利用者の需要を満たしつつ、施設の利便性を損なわないようにしてください。

立地条件に適した土地活用方法を選ぶ

クリニックや賃貸経営は周辺の需要、コンビニエンスストアは土地のアクセス性、太陽光発電は日照量と日当たりが土地活用の成否を分けます。自身が保有する土地の立地条件に適した方法を選択しましょう。

収益性を重視するか、初期費用を抑えるか

「注意点」の項目で、「90坪の土地活用では初期費用を早く回収するために収益性が重要」とご説明してきました。

しかし、もし適切な方法が見つからない場合は、事業用として貸し出すことで初期費用(建物の建設費)をかけずに運用する方法もあります。その分、収益性は低下してしまいますが、良い方法が見つかるまでのつなぎとして行うのも選択肢のひとつです。

90坪の土地は収益性の高い活用方法の選択肢が多いため、うまく活用すれば大きなリターンが見込まれますし、固定資産税対策にもなります。今まで躊躇していた方はこの記事を参考に、ぜひ自分の土地に合った土地活用の方法を考えてみてください!