銀行系カードローンと銀行のカードローンは全くの別物

カードローンについて調べていると「銀行系カードローン」という単語をよく目にします。銀行系カードローンと聞くと一見銀行が提供しているカードローンにも思えますが、実は銀行系カードローンは消費者金融の提供しているカードローンです。

一方、銀行カードローン銀行が提供しているカードローンで、銀行系カードローンとは異なるものです。今回は両者の違いを解説いたします。

銀行系カードローンは「銀行傘下の消費者金融が提供するカードローン」

銀行系カードローンとは簡単に言えば、銀行の傘下にある消費者金融が提供しているカードローンです。消費者金融は銀行からは独立した金融機関じゃないの?と思われるかもしれませんが、実は大手消費者金融の殆どは銀行の傘下に下っています

例えば、プロミスのサービスを提供するSMBCコンシューマーファイナンスは、三井住友銀行を中核とする三井住友フィナンシャルグループの完全子会社です。

かつてはどこの消費者金融も独立して経営を行っていたのですが、相次ぐ過払い金返還で経営体力がなくなってしまい、銀行傘下にくだらざるを得なくなってしまった、というのが実情です。

現時点で銀行から独立して経営できている消費者金融はアイフルぐらいであり、モビット、プロミス、アコムなどはすべて銀行傘下となっています(モビットとプロミスは三井住友グループ会社、アコムは三菱東京UFJグループ会社)。

消費者金融を傘下に置くことにより銀行が得られるメリット

銀行が消費者金融を参加においても、銀行側にはメリットがなさそうに見えますが、実は意外と大きなメリットがあります。

一般的な銀行は不動産などの担保があるローンの融資実績は豊富ですが、無担保ローンの融資実績はあまりありません。消費者金融を傘下に置くことによって、ノウハウが手に入り、無担保ローンを効果的に貸し出せるようになるのです。

銀行系カードローンは金利が高く、総量規制もある

銀行系カードローンは銀行系ではあるもののあくまでも消費者金融のカードローンであるため、金利は消費者金融基準で、総量規制もかかります。総量規制とは、貸金業者(消費者金融など)は年収の3分の1までしか貸し出せないというルールです。

一方、銀行カードローンは銀行が提供しているものですので、金利も銀行基準ですし、貸金業者ではないので総量規制の対象にもなりません。

例えば、現時点でプロミスのフリーキャッシングの利息は4.5%~17.8%(実質年率)です。随分幅があるようにも見えますが、最初の借入の際には上限金利、もしくはそれに近い数値が採用されるため、かなりの高金利となることを覚悟しておいたほうがいいでしょう。

一方、三井住友銀行カードローンの金利は4.5%~14.5%で、プロミスと比べると上限金利が3%以上低くなっています。また、融資金額が増えると金利が確実に下がります。具体的には以下のように金利が動きます。

ご契約極度額お借入利率
100万円以下年12.0%~14.5%
100万円超200万円以下年10.0%~12.0%
200万円超300万円以下年8.0%~10.0%
300万円超400万円以下年7.0%~8.0%
400万円超500万円以下年6.0%~7.0%
500万円超600万円以下年5.0%~6.0%
600万円超700万円以下年4.5%~5.0%
700万円超800万円以下年4.0%~4.5%

銀行系カードローンには審査に通りやすいというメリットも

銀行カードローンは銀行系カードローンと比べて金利が低く、なおかつ総量規制の対象もならない以上、条件の悪い銀行系カードローンに存在意義はないのではと思われるかもしれません。

しかし、銀行系カードローンには「審査基準が比較的緩く通りやすい」という、非常に大きなメリットが有ります。

銀行系カードローンの審査合格率は公開されています。例えば、大手3社の2016年の合格率は以下のとおりです。

2016年1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
プロミス43.30%34.90%44.40%42.40%44.00%44.30%41.90%44.20%43.90%43.60%43.50%41.00%
アコム45.50%47.00%46.30%47.20%48.20%48.70%48.00%49.20%48.60%49.30%50.20%46.90%
アイフル46.70%47.80%47.20%45.90%47.00%47.50%44.80%47.00%47.00%46.30%46.50%43.50%

プロミスが多少低く、アコムが多少高いという違いこそありますが、概ね40~50%前後で安定しています。

一方、銀行カードローンは審査合格率は20~30%程度で、銀行系カードローンのそれと比べるとはっきりと低くなっています。

つまり、銀行では借りられないけれど、消費者金融ならば借りられるという人が少なからず存在するわけです。そのような人にとって、銀行系カードローンは心強い味方です。

銀行系カードローンは審査が早い

また、銀行系カードローンは、銀行カードローンと比べて審査が早い傾向があります。最近は銀行も審査スピードも上げてきているため、両者の差は少なくなってきていますが、まだ銀行系カードローンのほうが早いです。

銀行系カードローンの中には即日融資に対応していることが多いですが(その日の早い時間に申込んだ場合のみですが)、銀行で即日融資ができるところは余りありません。

銀行系カードローンの中には無利息サービスを行っているところも

大手の銀行系カードローンはほとんどが無利息サービスを展開しています。これは初めてカードローンを利用する人を対象に、一定の期間利息を0にするサービスです。例えば、プロミスの場合は初回利用から30日間無利息となります。

つまり、30日以内に返済すれば、利息0円で借りられるわけです。30日以上かかった場合も、最初の30日は無利息となるため、総支払利息が少なくなります。このようなサービスは銀行では提供されていません。

銀行系カードローンと銀行カードローンの在籍確認の違い

在籍確認とは、申込者が勤務先として指定した企業などが本当に存在するか、そしてそこで本当に申込者が働いているかを確認するための作業です。

本人が出た場合は当然在籍確認は無事完了しますし、本人以外が出た場合でも在籍が確認できた場合(電話に出た上司や同僚などから「本人は席を外しております」などの回答が帰ってきた場合)も無事完了となります。

銀行系カードローンの場合、在籍確認時には個人名を使ってきます。例えば、アイフルで申し込みをして、担当者の名前が鈴木だった場合、「鈴木と申しますが、●●さん(申込者の名前)いらっしゃいますか?」という形で電話がかかってきます。

アイフルという名前を出すことはありません。そのため、本人が電話に出れなくても、通常カードローンの利用がバレることはありません。

ただ、職場に電話がかかってくることが殆ど無い勤務先の場合、電話がかかってきたこと自体を不自然に思われてしまうこともあるかも知れません。

どうしても電話をかけてほしくないという場合は、事前にお願いすれば、書類による在籍確認(社員証や保険証などの写しを提出することによって、勤務先の実在性と、そこに勤務していることを証明する)も認められることがあります。

ただし、すべての銀行系カードローンで通じる方法ではありません。事前それができるかどうか確認しておきましょう。

一方、銀行カードローンの場合、在籍確認は基本的には銀行名を使って連絡してきます。銀行の場合はカードローン以外にも投資信託や定期預金など、様々な金融商品を扱ってくるため、仕事場に銀行から電話がかかってきても余り不自然ではないかと思います。

どうしても不安な場合は、個人名で電話をかけてもらう事もできますが、素性がわからない人からの電話のほうが却って怪しまれる可能性もあります。

まとめ

  • 銀行系カードローンは消費者金融の提供しているカードローン
  • 大手消費者金融の殆どは銀行の傘下に下っている
  • 銀行カードローンは金利が低く、総量規制もない
  • 銀行系カードローンは審査スピードが早く、合格率も高い
  • 銀行系カードローンの在籍確認は書類で行えることがある
  • 銀行カードローンの在籍確認の電話は通常は銀行名でかかってくる

銀行系カードローンと銀行カードローンは、名前こそ似ていますがその実態は全く異なるものであり、メリットやデメリットも違います。どちらも一長一短ですので、より自分にとってメリットが大きいと思えるものを選ぶようにしましょう。