空き家を活用したい人へ!空き家の活用事例集

住む人がおらず、使われないままになっている「空き家」。オーナーの立場からすれば、どうにか活用して何かの役に立てたいはずです。何も普通に賃貸物件として入居者を募集するだけが空き家の有効な活用方法ではありません。

今回は、さまざまな空き家の活用事例をご紹介します。それを元に空き家を有効活用するためのポイントを探っていきましょう。

空き家のままにしない方が良い理由

「空き家をそのままにしていても、単にもったいないだけで他人に迷惑をかける事はない…」

そんなふうに考えてはいないでしょうか?実は現在、全国的に空き家の数が増えて続けており、ひとつの社会問題となっています。なぜ空き家の増加が社会問題になるかといえば、次のようなデメリットが生じてしまうからです。

・老朽化、荒廃した空き家が倒壊し周辺に被害を与える
・建物に野生動物や犯罪者が住み着き、周辺に害をもたらす
・中古物件の市場価格を下落させ、不動産業界に悪影響を与える

空き家がもたらすデメリットはこれだけではありません。以上のような空き家による社会への悪影響を防ぐため、政府は「空き家対策特別措置法」という法律をつくりました。

この法律によって、特定の条件を満たす空き家は支払うべき固定資産税の額が最大6倍にまで増えることになってしまったのです。

このように、使用者のいない建築物はしっかり管理していないと倒壊するリスクを高め、老朽化を早めてしまいますので、空き家をそのままにしていると社会に悪影響を及ぼしてしまう上に、金銭的な損害を被ってしまう可能性もあります。

このあたりの経緯について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

空き家を放置すると固定資産税が6倍になるってホント?
ニュースなどで、「空き家が増えている」という話題を耳にしたことはないでしょうか?今や、空き家の増加は大きな社会問題となっています。空...

空き家の活用事例

「空き家を放置するのは良くない」ということはご理解いただけたと思います。では、空き家を有効に活用するにはどうしたらいいのでしょうか?まずは、世の中の人々がどのような方法で空き家を有効利用しようとしているのか、活用事例からアイデアを学んでいきましょう。

賃貸物件として貸し出す

賃貸としての活用は、空き家に限らず不動産の利用法としては定番とも言えるものです。実際、多くの方が空き家を賃貸物件として借主を探しています。

空き家を賃貸物件にすることの最も大きいメリットが、毎月家賃収入が得られることでしょう。家賃収入を固定資産税の支払いに当てれば、コストを掛けずに空き家を所有し続けることもできます。

しかし、老朽化が進んでいるなどの理由からなかなか空き家の借り手が見つからないという可能性もあるので注意してください。物件の魅力を高め、借り手に興味を持ってもらうため、場合によっては空き家の改修が必要になるかもしれません。

改修には当然コストがかかりますが、「改修はしたが結局借り手が見つからなかった」という事態もありうることです。空き家の賃貸利用にはこうしたリスクが伴うことも忘れないでください。

物件の借主を探すとき、ほとんどの不動産オーナーが利用しているのが不動産仲介業者です。一般的によく知られている不動産仲介業者としては次のようなものがあります。

アパマンショップ

mini mini(ミニミニ)

SUUMO(スーモ)

LIFULL HOMES(ライフルホームズ)

ご紹介したのは全国的に有名な不動産会社ですが、ほかにも地域に密着した中小の仲介業者がたくさんあるので、自分の空き家を紹介するのにあった適切な業者を選ぶといいでしょう。

また、空き家の紹介に特化した「空き家バンク」と呼ばれるサービスもあります。空き家バンクは複数ありますが、全国規模の物件紹介を行っているサイトをご紹介しておきましょう。

空き家バンクは空き家の増加に悩む全国の自治体、あるいは自治体から委託を受けた業者によって運営される、空き家の貸し手と借り手をマッチングするサービスです。まだまだ発展途上のサービスですが、空き家の活用に悩んでいる方はぜひ利用を検討してみてください。

「借主負担DIY型賃貸」で貸し出す

借主負担DIYとは、近年注目されている賃貸住宅の形式です。通常、古くなった住宅の改修(リフォーム)費用はその物件の所有者が負担することになります。

借主負担DIYは、物件が古くなり傷んでいる場合、利用者に自力で物件の改修を行ってもらうというものです。

空き家の物件には、長年放置され老朽化しているものが珍しくありません。そのため、普通に賃貸物件として活用しようとすると先に修繕をしなければならず、その費用が所有者にとっての負担になっていました。

ところが、この借主負担DIYの方式であれば修繕費用を所有者が負担しなくても良くなるため、空き家対策として相性が良いのです。

「借主にとっては修繕の手間が増えるだけだから、メリットがないのでは?」と心配になった方もいるでしょう。借主負担DIYでは修繕の費用がかかる分、家賃そのものは安く設定することになります。居住者は初期費用こそ多くかかるものの、修繕を済ませてしまえば物件を安く利用できるようになるのです。

移住体験用施設として貸し出す

地方の自治体にとっては、空き家の増加は「地域人口の減少」と関連する大きな問題です。「人工の減少」と「空き家の増加」、この2つの問題を同時に解決する方法として注目されているのが、空き家を移住体験用施設として貸し出す事例です。

こちらのサイトでは、高知県への移住を検討している方向けに「お試し滞在施設」や「体験用住宅」という形で移住体験用の空き家を提供しています。近年はライフスタイルの多様化により地方への移住を検討する方も増えてきているので、まさにニーズとマッチした動きだといえるでしょう。

利用者にとっては、実際に移住する前に地域の住み心地を確かめることができるというメリットがあります。

公共施設として貸し出す

居住用として利用するほかにも、空き家の活用方法はあります。そのひとつが空き家を公共施設として地域の人々に寄贈し、利用してもらう方法です。

たとえば、以下のプロジェクトでは空き家を大学生のコミュニティスペースとして貸し出し、交流のための施設として利用しています。

もちろん、これだけではなく子どもや高齢者、主婦、趣味の集まりなどさまざまな人々が使う場として空き家を活用することも可能です。福祉やまちづくりなど、地域の人々に貢献できる、活動場所を探して困っている人の役に立てるといったメリットがあります。

コミュニティスペース(地域交流拠点)と少し似ていますが、空き家を図書館や資料館として活用してもらうのもいいでしょう。たとえば、以下の団体は空き家を民間図書館として再利用するプロジェクトを実施しています。

空き家を解体する

有効な活用方法が見つからないときは、空き家を解体してしまうのもひとつの方法でしょう。空き家がなくなれば、その分の固定資産税の支払いからは開放されることになります。

また、解体して更地にしてしまえば新しい物件を建てて賃貸に利用することもできますし、駐車場にするなど別の道で活用する手を探すこともできるでしょう。

ただし、解体には当然費用がかかるのを忘れてはいけません。新しい物件を建てるにしろ、駐車場などに変えるにしろ新たな利用にもそれに伴う初期費用が必要になります。

空き家を売却する

空き家の活用を諦める場合、解体と同様に売却も有力な解決方法です。このとき、空き家をそのままにして売却するか、空き家を解体してから売却するかが問題になります。

空き家の立地が良い場合、解体してから売却する方が買い手を見つけやすいかもしれません。

しかし、解体費用を負担したくないならそのままの状態で売却する手もあります。いずれにせよ、失敗しないように土地の相場価格などはよく確認してから方法を検討するようにしてください。

空き家の活用に利用できる補助金

老朽化し、物件としての魅力に乏しい空き家では上手に活用するのは困難です。そんなときに役立つのが、空き家活用に利用できる補助金制度。「住宅セーフティネット整備推進事業」という仕組みを利用すれば、空き家の改修費用の一部を補助してもらうことができます。

住宅セーフティネット推進事業は、空き家の有効活用を目的とした補助制度です。以下に示すような条件を満たしている住宅を対象に、改修費用の一部に補助金が提供されます。

・事業の適用区域内に、3ヶ月以上人が住んでいない1戸以上の空き家がある
・改修後、賃貸住宅として利用する
・床面積が25平方メートル以上ある
・台所、水洗トイレ、収納、洗面所、浴室などの設備がある
・実施する改修工事が、「耐震改修工事」、「バリアフリー改修工事」、「省エネルギー改修工事」のいずれかである

支給される補助金の額は改修費用の1/3。ただし、「改修費用/(空き室の戸数×100万円)」が上限額として定められています。

たとえば、リフォーム費用が1500万円の場合、本来であれば500万円の支給が受けられますが、空き室が4戸の物件であれば「1500万円 / 4戸 ×100万円 = 375万円」が受け取れる補助金の上限額です。

空き家を改修すれば物件としての魅力が増し、新たな活用への道が拓けるかもしれません。空き家を活用したいが資金的な余裕がないという方は、補助金制度の利用を検討してみてください。

民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進事業』から交付規定や交付申請様式がダウンロードできます。

空き家を活用する際のポイントと注意点

空き家をそのまま放置していると周辺環境に悪影響を与え、近隣住民に迷惑をかける結果になってしまうかもしれません。また、法律で指定された条件を満たすと固定資産税の支払額が大幅に増加してしまいます。

空き家の活用方法は、以下の3つに分類できます。

賃貸として貸し出す

不動産仲介業者を利用するのはもちろん、「空き家バンク」を活用するのもいいでしょう。「借主負担DIY方式」で改修工事費用の負担を軽減したり、「移住体験用施設」として貸し出して地域社会に貢献したりするなどさまざまな方法があります。

公共施設として寄贈する

地域の人々に空き家を寄贈し、図書館やコミュニティスペースとして利用して貰う方法です。

空き家を解体、売却する

空き家の活用が難しければ、解体工事をして新たな土地活用を始めるか、売却するか選ばなければいけません。売却の際も空き家を解体して売却する方法と、そのまま売却する方法の2通りがあります。

中古住宅は老朽化していると物件としての魅力が下がり、利用者確保の障害となります。「住宅セーフティネット推進事業」の補助金を利用すれば、改修費用の負担を抑えつつ空き家を魅力的に変身させることも可能です。

このように、空き家にはさまざまな活用事例があり、アイデア次第でいろいろな使い方ができます。現在空き家を抱えている方は、今回ご紹介した事例を参考にぜひ有効な活用方法を考えてみてください。