築古物件をリフォームして収益物件にするメリットとポイント

不動産投資の手法はいくつかありますが、売り出し価格が安い築古物件を購入し、その後リフォームやリノベーションで価値を復活させて収益物件にするというのもその一つです(以降、この手法を「築古物件投資」と呼びます)。

この方法は新築物件を購入する場合と比べて少ない初期費用で始められることが多い反面、物件選びが難しく、リフォームの手法も問われるなど、新築物件や築浅物件などにはないハードルも越えなければなりません。

今回は築古物件投資のメリットとデメリット、そしてデメリットを克服して収益化するための方法をお話させていただきたいと思います。

築古物件投資とは?

築古物件投資とは、非常に安く売り出されている、主に地方の築古物件を非常に安い価格で購入し、そこに抜本的なリフォームを行い、賃貸に出すという手法です。

地方の方が適している理由は、土地が安いからです。都市部だと建物は安くても土地が高いため初期費用が抑えづらく、競争相手も多くなってしまうからです。

築古物件投資のメリット4つ

築古物件投資という手法が新築物件や築浅物件に投資する手法と比べて優れている点はいろいろありますが、その中でも特に大きいのは以下の5つです。

  • 初期費用を抑えられる(場合によっては無借金でも始められる)
  • 利回りが高い
  • 複数物件を持ちやすい
  • 税制上有利(節税しやすい)

初期費用を抑えられる(場合によっては無借金でも始められる)

築古物件投資の一つ目のメリットは、初期費用が安くなることです。何しろ、古い物件を買うのですから当然です。物件価格はその物件の規模や立地にも左右されるので一概には言えませんが、地方の区分マンションや戸建住宅の場合、300万円以下の価格で購入できることも珍しくありません。

一棟アパートやマンションの場合はもう少し高くなりますが、それでも500万円も出せばそれなりに選択肢は広がります。2017年7月14日現在、「楽待」というサイトには、500万円以下の一棟アパート・一棟マンションが全部で46件登録されています。

殆どが築年数30年~60年で、駅から徒歩15分以上とお世辞にも立地が良くないものが多いのですが、兵庫県神戸市須磨区(板宿駅徒歩15分)や大阪府大阪市淀川区(三国駅徒歩17分)と、立地が悪くない物件も少なからず掲載されています。

物件価格が安ければ、当然それだけ初期費用を抑えられます。区分マンションや戸建住宅などならば、無借金で始められる可能性も十分あります。それなりにリフォーム費用を支払っても、新築物件を購入するよりも結果的に安くあがることが多いでしょう。

利回りが高い

不動産は時が経つに連れて価格が下がり、それに伴い賃料相場も下がるのが一般的です。

しかし、大抵の場合は不動産価格の下落のほうが賃料相場の下落よりも急激なスピードで起こります。まり、不動産自体の価格に対する賃料の割合は大きくなる=利回りが高くなるわけです。

また、賃料下落は永続的に続くわけではなく、一定の期間で下げ止まります。例えば鉄筋コンクリートマンションの場合、築10年ぐらいまでは毎年1%ぐらいのペースで賃料が下落しますが、その後は次第に緩やかになり、20年を超えるとほぼ下落はなくなります。

具体的にどのくらいの利回りが得られるかはその物件の条件次第なのでなんとも言えないのですが、表面利回り(物件価格に対する賃料収入)が50%を超えることも少なくありません。リフォーム代などを考慮した実質利回りが20~40%ぐらいになることも珍しくなく、投下した初期費用を数年程度で回収できます。

新築一棟マンションでは実質利回りが相当高くなっても10%に届かないことが多いのに比べると、非常に有利といえます。

複数物件を持ちやすい

築古投資物件に対する否定的な言説の一つに、「初期費用が少なく、利回りが高くても絶対的な賃料収入が少なくなる」というものがあります。これ自体は間違っていませんが、この問題を克服するのは非常に簡単です。1件あたりの初期費用が少ないのですから、複数買ってやればいいのです。

月額賃料が合計10万円、利回り30%の築古物件を5棟持てば、月額賃料50万円、利回りは30%です。一方、月額賃料が合計50万円、利回り10%の新築物件を1棟持った場合、月額賃料は50万円、利回りは10%です。利回りが高い、つまり少ない初期費用で始められる前者のほうが優れていることはいうまでもありません。

複数物件を持つことは、リスクヘッジにもつながります。例えば新築物件を1棟持った場合、その物件が地震で倒れてしまったらそれまでです。

しかし、築古物件を5棟持っておけば、そのうち1棟が倒れてしまっても残りの4棟があるため収入は途絶えません(あまり近場にある物件だとリスクヘッジにならないので、ある程度離れた場所にあるものを複数買うようにしましょう)。

税制上有利(節税しやすい)

新築の投資物件を購入した場合、数十年かけて減価償却していきます。減価償却とは、収益を上げるために用いた建物=資産を、毎年少しずつ費用として計上していくことです。減価償却の対象となるのは時がたつに連れて資産価値が減るものだけですので、土地は減価償却の対象となりません。

例えば、土地代を除いた純粋な価格が3000万円の建物を30年かけて減価償却する場合、毎年100万円ずつ費用化していきます。会計上は毎年100万円ずつ費用を使ったことになるため、所得を、ひいては所得税や住民税を減らせます

減価償却に掛ける年数を耐用年数と言います。新築物件の耐用年数は法律で定められており、これを法定耐用年数と言います。例えば、鉄筋コンクリート・住宅の場合、耐用年数は47年なので、建物の価格を47で割った金額を毎年費用として計上します。

一方、中古物件の場合は、以下のように耐用年数が決まります。

  • 法定耐用年数の全部を経過した建物:法定耐用年数×0.20(端数切り捨て、2年未満の場合は2年)
  • 法定耐用年数の一部を経過した建物:法定耐用年数×1.20-経過年数(端数切り捨て、2年未満の場合は2年)

例えば、築50年の鉄筋コンクリート・住宅の場合は、法定耐用年数の全部を経過した建物に該当するため、耐用年数は47×0.20=9.4年、端数切り捨てで9年となります。

一方、築30年の鉄筋コンクリートの場合は、法定耐用年数の全部を経過した建物に該当するため、耐用年数は47×1.20-30=26.4年、端数切り捨てで26年となります。

耐用年数が短ければ、それだけ毎年計上できる経費が増えて、所得税や住民税が削減できます。耐用年数が短くなると減価償却できる期間も短くなるのが欠点ですが、通常築古物件投資は短期間で行うものなので問題ありません。

築古物件投資のデメリット4つ

このように色々とメリットが多い築古物件投資ですが、一方でデメリットも少なくありません。主なデメリットは以下の4つです。

  • 入居者の質が低くなりやすい
  • 表面利回りと実質利回りの差が大きくなりやすい
  • 立地に左右されやすい
  • 銀行や管理会社に軽く見られがち

入居者の質が低くなりやすい

築古物件投資の最大のデメリットが、入居者の質が低くなりやすいことです。

築古物件は他の新築・築浅物件と比べて安い賃料で貸し出します。同じ価格で貸し出していたら競争には必ず負けます。必然的に、築古物件の入居者は新築・築浅物件に住めない、お金がない人が中心となります。

そうした人たちの中には最低限のマナーが守れない人達も少なくありません。もちろんお金持ちでも他人に配慮できない人は居ますし、貧しくても心は清らかな人達もいるのですが、平均すればお金持ちのほうがマナーはいいはずです。

トラブル対応は基本的に管理会社がやってくれますが、訴訟などに発展した場合はオーナーも少なからず労力を支払うことになります。そのような面倒を避けたい場合は、あまり築古の物件に手を出さないほうがいいかもしれません。

表面利回りと実質利回りの差が大きくなりやすい

築古物件投資は表面利回りの高さも魅力の一つですが、リフォームやリノベーションに費用がかかるため、表面利回りと実質利回りの差が大きくなりがちです。表面利回りは50%を超えていたのに、実質利回りを計算したら25%になっていた、と言うのは珍しい話ではありません。

ただ、実質利回り25%も新築物件や築浅物件では達成できない優秀な数字であることも確かです。初期費用が早めに回収できるという点では、築古物件はやはり優秀です。

立地に左右されやすい

新築物件や築浅物件は、できてから間もないという理由だけで、立地が悪くてもそれなりに需要が見込めます(特に車移動がデフォルトの郊外の場合)。

一方、築古物件はできてから古いという理由だけで忌避されがちなため、新築物件や築浅物件に勝つためにはそれなりの立地が必要不可欠になります。ただ安いという理由だけで築古物件を買うと、空室だらけになってしまいます。

近くに大型ショッピングモールや保育園など、入居者の需要に即した施設があれば理想的です。

銀行や管理会社に軽く見られがち

銀行は基本的に、築古物件への融資というのは嫌がります。築古物件はそもそも銀行の融資の対象外であることも多く、担保価値も低いためです。

銀行から融資を受けるのが難しい場合はノンバンクなどから借り入れることになりますが、金利は銀行よりも高くなります。せっかく実質利回りが高くても、融資の金利が高くなってしまっては意味がなくなってしまいます。

また、管理会社の受け取る報酬は賃料に比例します。つまり、管理会社は、賃料が高い物件の管理に力を入れたほうが効率的に稼げるわけです。必然的に賃料が安い築古物件は後回しにされがちです。

いい築古物件の見極め方

築古物件と一口に言ってもその種類は千差万別です。駅からの距離、周辺施設の充実度、構造(木造か軽量鉄骨か鉄筋コンクリートか)、築30年か50年か、といろいろ気になるポイントはありますが、いい築古物件に出会いたいのならば、最低でも以下の3つのポイントは忘れずにチェックしましょう。

  • 賃貸需要がある立地かどうか
  • 表面利回り(賃料)は適切につけられているかどうか
  • リフォームなどの費用がどれくらい掛かりそうか
  • 1981年以降に建てられているかどうか

賃貸需要がある立地かどうか

これに関しては言うまでもないかと思いますが、賃貸需要がない立地の物件を購入してはいけません。賃貸需要がどれくらいあるかを見極めるのは難しそうに思えますが、調べる方法はいくつかあります。

一番カンタンで手間がかからない方法はズバリ「詳しい人に聞く」です。そして、その地域の賃貸需要について一番詳しいのは地元の不動産会社です。立地や築年数、駅からの距離などを伝えて、賃貸需要は見込めそうか、尋ねてみてください。1つの業者の意見だと偏りが生じる可能性が高いため、必ず複数の業者から意見を聞いてみてください。

自分で調べる方法もあります。まず、HOME’Sの「見える!賃貸経営」のページにアクセスします。すると日本地図が表示されるはずですので、その中から賃貸需要を調べたい物件がある都道府県をクリックします。

次に、その都道府県の地図が表示されるので、その中から賃貸需要を調べたい物件がある市区町村をクリックします。今回は神奈川県横浜市港北区を選んでいます。

すると、以下のように色がついたGoogleが表示されるはずです。

この地図は、賃貸入居希望者がよく閲覧する物件の場所を10段階で色分け表示したものです。赤やオレンジ、黄色の部分はよく閲覧されている、つまり賃貸需要が高い地域です。

一方、紫や青の部分は余り閲覧されていない、つまり賃貸需要が低い地域です(色がついてない部分はデータがない地域です)。賃貸需要が高い地域ならば、多少駅から遠くても、入居は十分に見込めます。

表面利回り(賃料)は適切につけられているかどうか

表面利回りで想定されている賃料は、不動産会社が定めたものであり、その賃料で入居者が決まることが約束されているわけではありません。

そのため、不動産会社の中には、わざと賃料相場よりも高い賃料で利回りを計算し、高収益物件に見せようとするところもあります。そのような物件を掴まされないためにも、その賃料が適切なものかは必ず確認しなければなりません。

賃料相場を調べたい場合はまず、ホームメイトのホームページにアクセスします。すると日本地図が表示されるはずですので、その中から賃料相場を調べたい物件がある都道府県をクリックします。

次に、都道府県の市区町村一覧が表示されるので、その中から賃料相場を調べたい物件がある市区町村をクリックします。今回は神奈川県横浜市港北区を選びます。すると、以下のようなページが表示されるはずです。

このページの左にあるのが賃料相場です。例えば1Kの場合、賃料相場は6万4800円です。表面利回りの計算に使われている賃料が、この相場より極端に高くなっている場合は注意が必要です。

リフォームなどの費用がどれくらい掛かりそうか

築古物件はリフォームやリノベーションを前提としていますから、それにかかる費用も予め考えておかなければなりません。物件自体の価格が安くても、リフォームやリノベーションにかかる費用が高くなれば実質利回りは低くなってしまいます。

リフォームにいくらかかるかは業者に見積もりを依頼すればわかります。複数の業者から見積を貰えば、その精度もアップします。

リフォームのポイントは、お金をかけすぎないことです。築古物件はいくらきれいにしても築古物件なので、綺麗さ、快適さで新築物件や築浅物件にはかないません。新築物件や築浅物件並に綺麗にする必要は全くありません。そこそこ快適で、新築物件や築浅物件よりも安い賃料を目指すのがポイントです。

1981年以降に建てられているかどうか

近年は建物の耐震性に重点を置く入居希望車が少なくありません。彼らの殆どは建築のプロではないので、具体的に建物の耐震性を調べる手段は持っていませんが、1981年に建築基準法が改正されたこと、それ以降に建てられた建物は耐震性が高いことぐらいは知っています。

阪神淡路大震災で最も被害が大きかった益城町中心部では、旧耐震基準で建てられ建物の32.1%が倒壊したのに対して、新耐震基準で建てられた建物は7.6%しか倒壊しませんでした。新耐震基準はよく機能しているわけです。

このようなお客さんが増えていることを考えると、1981年以前の建物には手を出さないほうが良いでしょう。

リフォーム・リノベーションを安く済ませるコツ

築古物件の最大の肝とも言えるのがリフォーム・リノベーションです。お金をかけずに、入居率を上げることが目標です。

リフォームやリノベーションを安く済ませるコツは色々と手法がありますが、最大のコツは「管理会社などを介さず、業者と直接契約すること」です。自分で直接契約すれば、管理会社を通した場合の5割~7割程度で同じ工事ができることも珍しくありません。

とはいえ、リフォーム・リノベーション業者と一口に言っても大手も零細もありますし、それぞれ得意分野や特色も異なります。数あるリフォーム・リノベーション業者から最適な業者を選ぶためには、複数の業者から見積をもらったほうがいいでしょう。見積もりは最低でも3社、余裕がある場合は更に多くても構いません。

ただし、見積もりの費用だけで業者を選んでしまうのは非常に危険です。価格が安いところの中には、リフォーム技術がお粗末なところも少なくないからです。

一方で高くてもお粗末なところもあったり、安くても技術が優れているところもあったりするため、判断が難しいところです。基本的には、以下のような条件を満たすリフォーム業者は、品質が高いと思われます。

在籍している職人が多い

リフォーム業者の中には、大工や左官などの職人が在籍しているところもあれば、職人を置かずに営業と施工管理のみを行い、実際の作業はほとんど外注先に任せているところもあります。

当然、選ぶべきはあいだに人をあまり介さない前者です。職人が多数在籍しているリフォーム業者は低コストなだけでなく、品質も安定しやすい(職人に自社の看板を背負っているという自負があるため)ことが多いです。

営業範囲が狭い

営業範囲が狭い業者は、その地域内で悪評が立ってしまうと大きな痛手を受けてしまうため、丁寧に作業を進めてくれる可能性が高いです。大手が悪いというわけでもありませんが、大手ゆえに細かいところまで手がまわらないようなところも少なくありません。

部位別リフォーム・リノベーションテクニック

ここからは、物件を

  • 間取り
  • 外装
  • 内装
  • インフラ・設備

の部位に分けて、それぞれのポイントを紹介していきたいと思います。

間取り

格安で立地も良いけれど、間取に問題がある(ファミリー向けの需要が多い場所なのにワンルームなど)場合は、思い切って間取りをリノベーションで変えてしまうのも一つの手と言えます。

リノベーションにかかる費用を含めても新築を立てたり築浅物件を買ったりする場合と比べてかなり安く済むのならば、それは十分現実的な選択肢です。

ただし、リノベーションにお金をかければ必ず入居者が集まるかというと、もちろんそんなことはありません。間取りを変える場合は、「自分が住みたいかどうか」ではなく「他人が住みたくなるかどうか」に重点を置かなければなりません。その立地のニーズを十分に把握した上で、リノベーションを行いましょう。

また、物件の全てが変更できるわけではありません。例えば、窓の位置は基本的に変更できません。その他、水回りの大幅な移動なども現実的には難しいでしょう。リノベーションは物件をまるごと生まれ変わらせる魔法のような手法でないことは抑えておきましょう。

外装

建物の外装は、人間の顔や身なりと同じようなものです。いくら中身が美しい人間でも外見がみっともなければ人がほとんど寄り付かないのと同じで、建物もいくら中が美しくても外装が汚いとなかなか見学者が増えません。

内見の絶対数を増やすためにも、外壁塗装は優先させたいところです。

ただし、闇雲に塗装するのはよくありません。あくまでも費用対効果を考え、自身の得られる収益が最大になるように塗装すべきです。安い塗料は耐久性が低いものが多いため、長い目で見れば余計に費用がかかってしまうかもしれません。

一方で短期的な運用が目的で、初期費用を回収したら建物を潰すつもりの場合は、耐久性が高いものを使っても仕方ありません。このあたりの判断は難しいところですが、自身の投資スタイルに応じて、最適だと思えるものを選ぶように心がけましょう。

工事費用はケースバイケースなので相場がいくらとはいえませんが、見積もりを複数取ればその物件の外壁を塗装するのに必要な価格は見えてくるはずです。

色選びについては、想定された入居者層の趣味・嗜好に合わせるのがベストです。性別、職業、家族構成などによって、好みの傾向は変わってきます。また、その時時のトレンドというものもあります。

例えば、2015年に塗料メーカー「アステックペイント」が発表した資料によれば、同社の売れ筋商品1位は「ブロークンホワイト」2位は「ライトクリーム」3位は「ミッドビスケット」でした。1位と2位はいずれも白色系で、3位のはクリーム色系です。近年は全体的に白系統の色が人気のようです。

また、外壁塗装と同じくらい効果があるのが、門やエントランス部分の改装です。この部分は入居者が毎日目にするところであり、ここがきれいだと第一印象が大幅に良くなります。外壁塗装と比べるとかかる費用も少ないため、外壁塗装をするお金がないという場合は、門やエントランスだけでもきれいにしましょう。

内装

内見者が建物の中に入ってきたときに一番最初に見るのはです。床が汚いと、それだけで内見者の心象は大いに悪くなってしまいます。たとえ機能が問題なくても、見た目が悪ければなかなか入居は決まりません。その場合はクッションフロアやフローリングを張り増しするといいでしょう。

和室の場合は、迷わずフローリングにしましょう。現代において和室の需要は少ない上、畳を買えるための費用も馬鹿にならないからです。初期費用が数十万円かかることもありますが、賃料の上昇が見込めるため、2年程度あれば十分回収できます。

次に壁について。すでにクロスが貼ってある場合は、クロスを貼り替えて新品のものにするだけで劇的に印象が良くなります。1Kの場合1戸で10万円~20万円前後とそれなりに費用がかかりますが、その分毎月の家賃を1万円上げられれば、1年~2年程度で初期費用は回収できます。

土壁や繊維壁の場合は、石膏ボードを貼り付けて、その上にクロスを張りましょう。新しい壁が増えるぶん、防音性能も少し上がります。

天井は床や壁ほど注目されることがないため、安物のクロスを使うだけでも十分です。

インフラ・設備

インフラ・設備の中で特に費用対効果が高いのはモニター付きのインターフォンです。見た目のインパクトが大きく、他の部分は一切買えないでも3000円程度賃料を高くできることが多いです。取付費用を含めても3万円~5万円程度なので、2年もあれば問題なく回収できます。

照明の交換も忘れずに行いたいところです。1戸当たりの価格が数千円~数万円と非常にリーズナブルな上、見た目の印象が大きく変わるため、費用対効果は抜群です。ピクチャーレールや鏡なども、費用の割りに見た目のインパクトは大きいです。光熱費削減のためにも、出来る限りLED証明を採用しましょう。

ネット回線は光回線の方が人気がありますが、築古物件投資の場合はそこまでする必要はなく、ケーブルテレビで十分でしょう。保守管理がしやすい上、初期費用が安いためです。

逆に、効果があまりないのはディンプルキー(防犯性能の高い鍵)など、目に見えづらいものです。

入居者は必ずしも設備を正しく評価できるわけではありません。目に見えやすいものは大きく、目に見えづらいものは小さく評価します。リフォームの費用は限られていますから、目に見えやすいところにお金を賭けるべきです。

内見時の印象を良くする3つのテクニック

見に来てくれたお客さんをがっかりさせないためにも、以下の3つは必ず実行しましょう。

最低限の掃除をしておく
アピールポイントをまとめておく
部屋が明るく見える時間帯を選ぶ

最低限の掃除をしておく

見た目が悪いと、それだけで第一印象は悪くなってしまいます。お金に余裕がある場合は業者にハウスクリーニングを依頼してもいいですが、築古物件投資の場合は自分で掃除をしてもいいでしょう。プロがやったようにピカピカにする必要はなく、それなりに見栄えがする程度で構いません。窓や壁、水回りなどは特に目につきやすいところですので念入りに掃除しましょう。障子や網戸の破れがある場合は換えておきましょう。

また、スリッパや芳香剤、観葉植物などを置いておくのもいいでしょう。簡単に設置できる上に、物件がきれいに見えるので費用対効果は抜群です。

物件の長所と短所をまとめておく

どんな物件にも長所と短所があります。短い時間でお客さんにその物件の長所を余すことなく伝えられるように、その物件に住むメリットを箇条書きで幾つかピックアップしてみましょう。

ただし、長所だと感じられるポイントは人によって異なります。ある人にとっては長所と感じられるポイントも、他の人にとってはどうでもいいことになりえます。例えば、小学校や幼稚園が近いことはファミリー世帯にとっては長所となりえますが、単身者にとってはほぼどうでもいいことでしょう。的はずれなアピールにならないように、お客さんのニーズに合わせた長所があげられるようにしておきましょう。

また、長所ばかりアピールされると帰って胡散臭いと感じるお客さんも少なくありません。短所もなるべく伝えた方が、誠実に見えます。

部屋が明るく見える時間帯を選ぶ

内見の時間帯は基本的に内見者の都合に合わせますが、こちらでも時間がある程度調整できそうな場合は、その部屋が一番明るく見える時間帯にしましょう。東向きならば午前中、西向きなら午後、と言った感じです。南向きの場合は基本的に一日中明るいのでいつでもいいですが、正午から時間が離れすぎるとあまり良くありません。

まとめ

  • 築古物件投資は少ない初期費用で高い利回りを実現できる
  • 立地に左右されやすく、銀行からの融資が難しいという欠点もある
  • リフォームやリノベーションはお金をかけすぎず、費用対効果の高いところに集中投資する
  • 外装やクロス、モニター付きインターフォンなど目に見えやすい点を改善するのは費用対効果が高い
  • 内見時の工夫も必要不可欠

築古物件投資は一見ハイリスクに見えますが、実は初期費用が余りかからず、リフォームやりノーべションによる創意工夫も可能な、面白い不動産投資です。多額の費用が用意できないという方は、さっそく検討してみてください。