主婦が夫に内緒で借金を任意整理することは可能か?

主婦の方の中には、夫に内緒で借金している方もいらっしゃるかと思います。返済がスムーズに行っていれば問題は無いと思いますが、中には返済が苦しくなってきているという方もいらっしゃるでしょう。

そうなってしまった場合に、夫に内緒で任意整理をすることは可能なのでしょうか?

そもそも夫に内緒で借金って出来るものなの?

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2010年6月に貸金業法が改正され、総量規制が施行されたことにより、専業主婦が夫に内緒で借金をすることは非常に難しくなりました。総量規制とは、消費者金融や信販会社などが個人に対して融資する金額を、その人の年収の3分の1にまで制限するという規制です。

例えば、年収が600万円の人は、200万円までしか借金できません。専業主婦の場合は年収が0円なので、借りられる額は0円、すなわち1円も借りられないということになります。

中には夫の同意があれば借り入れができる業者もありますが、当然夫に内緒で借金をすることはできません。専業主婦が夫に内緒で借金をするのは基本的には不可能であるといえます。

銀行のカードローンなら内緒で借りられる可能性あり

ただし、銀行からの借り入れは総量規制の対象外となっているため、銀行のカードローンならば収入のない専業主婦でも借金ができる可能性があります。

ただし、銀行によっては年収がない人への貸出を行っていないこともありますし、もし借りられたとしてもその上限額は30万円程度にとどまります。専業主婦が夫に内緒で大きな額の借金をすることはできません。

夫に内緒で借金をしている専業主婦は約4割

日本貸金業者が2009年に実施した調査によれば、借金をしている専業主婦のうち、夫にそのことを知らせている人の割合は62.0%、知らせていない人の割合は38.0%でした。銀行のカードローンなどを使って、夫に内緒で借金をしている専業主婦は決して少なくないようですね。

専業主婦が夫に内緒で債務整理をしたいなら任意整理一択

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債務整理には「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」の4種類があります。それぞれ違ったメリットとデメリットが有りますが、専業主婦が夫に内緒で債務整理を行いたいのならば基本的には任意整理一択となります。

任意整理は他の債務整理と比べて借金の減額幅は少なめですが、周りにバレにくく、手続きが簡単であるという特徴があります。個人再生や自己破産は借金の圧縮幅は大きいのですが、その分いろいろとデメリットがあるので、夫に隠れて行うのは不可能でしょう。

さて、任意整理とは、債務者が債権者と交渉をして、双方の合意のもとで借金を減額したり、利息をカットしたりする手続きのことです。

すべての債務整理の中で最もよく利用されるものであり、手続きが比較的簡単で、なおかつ財産の没収や資格制限などのデメリットがないのが特徴です。私的な話し合いなので、裁判所が関与してくることはありません。

「私的な話し合いに債権者が応じてくれるの?」と思われるかもしれませんが、債権者としては債務者の自己破産だけはなんとしても避けたい(自己破産をすると借金がチャラになるため、債権者はまるまる貸し損になる)と考えています。

自己破産されるよりはマシだということで、任意整理に応じてくれる可能性は高いです。

※こちらで今の借金が任意整理出来るかわかります。

任意整理は弁護士に任せるのが吉

任意整理の交渉は債務者が自分で行うこともできますが、基本的には弁護士を通して行うことになります。債務者が交渉しようとしても足元を見られることがほとんどなので、弁護士を立てたほうが良いでしょう。

弁護士に任意整理を依頼すると、その直後に弁護士は債権者に対して受任通知(債務者柄任意整理を任されたことを知らせる通知)を発送します。

これを受け取った債権者は直接債務者に連絡することができなくなり、弁護士が窓口になるため、督促に悩まされることはなくなります。

弁護士は取引履歴の情報を元に借金総額を計算し、分割返済する場合いくらならば払えるのかを計算し、債権者と交渉を行います。通常は3年~5年で返済できる額にまで債務が圧縮されます(それ以上かかる場合は他の債務整理を検討する必要があります)。

交渉が成功するかは弁護士の腕によるところが大きいので、信頼できる弁護士に依頼することが大切です。

弁護士と債権者の間で和解が成立した場合は、その後3年~5年程度かけて債務を返済していくことになります。もし過払い金があった場合は、弁護士が債務者に変わって返還請求をしてくれます。

任意整理はどのようにしてバレるのか?

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任意整理は他の債務整理と比べるとバレにくいですが、もちろん100%隠し通せるわけではありません。任意整理がバレるパターンはいくつかあります。

郵便物からバレる

最も気をつけたいのが郵便物です。受任通知を受け取った債権者が債務者と直接コンタクトをとるのは禁止されているので、債権者から直接郵便物が送られてくることはありません。

そうした郵便物はすべて、弁護士経由で届くことになります。弁護士事務所からいきなり郵便物が送られてくることを不審に思う夫は少なく無いでしょう。

郵便物から任意整理がバレる可能性を低くしたい場合は、郵便局留めにしてもらうと良いでしょう。郵便局留めとは、郵便物を郵便局で留め置き、受取人が郵便局まで出向いて受け取ることが出来るサービスです。

事前に弁護士と相談しておき、郵便物は全て郵便局留めで送ってもらうようにしましょう。郵便局留めの利用は無料です。

電話でバレる

もう一つ気をつけたいのが電話です。弁護士は必ず携帯電話の番号を教えるようにしましょう。固定電話だと夫が出てしまう可能性があります。都合のいい時間を伝えておけばその時間以外に電話がかかってくることはなくなるので安心です。

債務整理をバレるばれないだけで選んでいいものか

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債務整理を夫にバレずにしたいという気持ちはわからないでもありませんが、バレルばれないだけを基準にして債務整理を行うのは賢い選択とはいえません。

任意整理だけでは借金が十分に減らず、返済が楽にならない可能性だってあるのです。その結果自己破産に行き着くことだって考えられます。

大切なのは夫にバレないことではなく、借金の負担を減らすことです。任意整理では不十分だという場合は、夫にきちんと借金があるという事実を伝え、誠意を見せて謝罪したうえで、今後どうするかについて話しあったほうが良いでしょう。

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妻が内緒で借金をしていた場合、夫はどうするべきか?

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ここからは立場を180度回転して、夫の立場から物事を考えてみたいと思います。もし妻が内緒で借金をしていた場合、夫はどうすればいいのでしょうか。

結論から言えば、妻が内緒でした借金を夫が返済する義務はありません。勝手に保証人にされていたとしても、その契約は保証義務がないことを申し出れば無効になります。妻といえど法的には第三者、つまりは他人だからです。

とは言え現実的には夫が借金を肩代わりするケースも少なくありません。返済義務がないだけで、返済してはいけないという決まりもないですからね。

ただし、離婚をする場合は借金の返済義務が生じる可能性があります。離婚時には夫婦の財産を半分に分けることになりますが、この際にはプラスの財産(家財や預金など)だけでなく、借金も半分に分けることになります。

妻の借金の理由が個人的な遊興費などだった場合には借金は全て妻のものとなりますが、生活費のために借金をしていた場合、借金は半分夫のものとなってしまう可能性があります。

勝手に借金をされた挙句、その半分を押し付けられるなどたまったものではありません。借金をしないでも生活が出来る程度には生活費を稼ぐようにしましょう。

借金による離婚は認められるか?

離婚は双方の合意がアレばいつでも成り立ちますが、そうでない場合は「結婚が継続できない重大な理由」がなければ離婚できません。

例えば浮気、不倫、DVなどがその代表例ですが、借金はその内容によって「結婚が継続できない重大な理由」に含まれたり、含まれなかったりします。

ただ借金があるから離婚するというのは認められないことが多く、リストラによる借金などを理由に離婚することはできません。

妻の借金が発覚しても冷静に!

妻に借金があることが判明したとしても、そこで殴ったりしてはいけません。逆にDVでこっちが追い詰められる羽目になります。

冷静に話し合い、その借金を肩代わりするのか、妻を働きに出すのか、あるいは債務整理をさせるのか決めましょう。債務整理をする場合は、弁護士に依頼しましょう。

※相談前にこちらで借金がどこまで減額できるか診断できます。