借金が100万円を超えたら危険ライン!債務整理を検討するべきタイミングとは?

債務整理とは、借金の返済に困った人が法律の力を借りて借金を減らしてもらう手続きのことです。

基本的には、「借りたお金は返す」というのが常識ですが、借金を抱えたまま生活破綻に陥ったり、自殺をしてしまったりする人が出ると国としても損失となります。

いったいどのタイミングで債務整理を検討すればよいのか・・・。

ということは人それぞれですが、その1つの目安が100万円となります。ここでは、なぜ借金が100万円を超えたら危険ラインとなりやすいのかを解説します。

日本人の平均年収

国税庁が公表している民間給与実態統計によると、日本人の平均年収は約414万円となっているようです。

男性は511万円、女性は272万円となっていて、男性と女性とでは大きなひらきがあることがわかります。

正社員の平均年収が473万円であるのに対して、アルバイトやパート、派遣などの非正規で働いている人の年収は168万円です。

民間給与実態統計調査は国税庁が発表しているものなので、民間の企業などが出しているアンケート結果などよりも精度が高めです。

国税庁のホームページで毎年のデータが見られるので、過去のデータもチェックして比較をしてみると時代の変化を感じられます。

平均年収400万円の人が返済できる借金

平均年収400万円の人は、1ヶ月あたり

400万円÷12=33.33万円

の給料をもらっているという計算になります。400万円の中にはボーナスも含んでいますので、実際の月収はもっと低いかもしれません。

税金なども差引くと、手取りは26万円くらいになるのではないでしょうか。

平均的な月々の生活費は15万円くらいと言われています。

借金の返済額が月々11万円くらいならなんとか返済していけるレベルです。

11万円×12=132万円

が借金の年間返済額と考えます。

こうして考えると、仮に100万円の借金があっても、平均的な年収を得ている人ならば1年もかからずに返済してしまえるということになります。

平均はあくまで全体の平均値

ここで忘れてはいけないのが、国税庁が公表している平均年収はあくまで全体での平均値ということです。

20代前半・・・253万円

20代後半・・・352万円

30代前半・・・397万円

というように年齢によって平均年収が変わってきます。

また、

東京・・・612.8万円

神奈川・・・536.2万円

大阪・・・523.4万円

というようにエリアによっても平均年収は大きく異なります。

東京や大阪などの大都市には人口が多く集まっており、全体の平均値を引き上げています。地方の平均年収はもっと低いのかもしれません。

お金に困っている人が借金をする

ある意味で一番重要なのが、お金に困っている人が借金をする傾向があるということです。

パートやアルバイト、派遣という雇用形態で働いている人のほうがお金に困っている傾向があり、消費者金融で借金をする人の割合が高いはずです。

属性が良い人なら消費者金融からではなく銀行から借りるでしょう。

こうして考えると、消費者金融から100万円の借金をしている人は、かなり厳しい状況にあるという人が多いかもしれません。

実際には100万円よりも多い?本当の借金の金額とは

消費者金融から100万円の借金(金利15%)があったとします。

36ヶ月で返済をしていくとしてシミュレーションをしてみると、

月々の返済額は34,665円、総返済額は1,247,952円

です。

約28万8千円もの利息を支払うことになるのはもったいないですが、なんとか返済できない金額ではないでしょう。

派遣やアルバイトでもフルタイムで働けば月々34,665円くらいなら返済していけるという人も多いはずです。

ところが、実際には消費者金融から100万円の借金があるという状況はかなりマズい状況です。

1社から借りているか?

1社から100万円を借りているならば、金利は15%以下になります。

しかし、消費者金融から100万円の借金があるという人は、

A社から50万円、B社から30万円、C社から20万円

というように複数の会社から借りているものです。

この場合、金利は18%もしくはそれに近い金利となってしまうでしょう。

金利が18%としてさきほどと同じシミュレーションをしてみると、

月々の返済額は36,152円、返済総額は1,301,486円

とかなり増えてしまいます。

クレジットカードのショッピング枠も計算に入れているか?

消費者金融で借りている人の多くは、クレジットカードのショッピング枠をリボ払いにしています。なぜなら、消費者金融の18%という金利よりも、ショッピング枠リボ払いの15%という手数料のほうが負担が小さいからです。

クレジットカードのショッピング枠の大きさは人によって異なりますが、カードを複数持っていて枠の合計が100万円を超えているという人も多いはずです。

クレジットカードのショッピング枠リボ払いの残高が100万円ある場合、それも借金として考えられるので、月々の負担を倍増させてしまいます。

借金の合計が200万円以上となり、アルバイトや派遣で働いている人は一気に破綻をしてしまいかねない金額となってしまうでしょう。

債務整理の種類

債務整理には、任意整理、特定調停、個人再生、自己破産の4種類があります。過払い金請求を債務整理の一種と数えているサイトもありますが、厳密に言うと債務整理と過払い金請求は別の手続きとなるようです。

しかし、債務整理をするときには最初に過払い金の有無をチェックして、過払い金があるようなら引き直し計算をします。

過払い金があるのに過払い金請求をせずに債務整理をすることができないという意味では、両者はセットと考えられます。

逆に、債務整理をせずに過払い金請求だけをすることは可能なので、その意味では両者はセットではありません。

過払い金請求

まず最初に過払い金請求について解説をします。弁護士や司法書士に債務整理の相談をすると、最初に過払い金の有無についてチェックされます。

ここで過払い金がなければそのまま債務整理の相談に進みます。

なぜ最初に過払い金の有無についてチェックをされるのかという理由ですが、過払い金がある場合には業者に対して返還を求めることができるからです。

自己破産をするときにはどのみち借金はゼロになるから関係ないと考える人もいますが、過払い金という権利を持っているからにはそれを先に行使しなければなりません。でなければ、他の債権者との間で不公平が生じてしまい、苦情が来てしまうでしょう。

過払い金の時効

消費者金融や信販会社が金利の引き下げをして、グレーゾーン金利をなくしたのは2007年~2008年にかけてです。

2008年よりも前に消費者金融や信販会社から借金をしていた人は過払い金が発生している可能性が高いです。

クレジットカードのキャッシング枠についても過払い金請求は可能です。ショッピング枠には利息制限法が適用されないので、手数料が年20%を超えていたとしても過払い金請求はできません。

キャッシング枠について過払い金が発生している可能性があるクレジットカードは、

ニコスカード
セゾンカード
イオンカード
オリコカード
セディナカード
ライフカード
エポスカード
丸井カード
JCBカード

など、意外に多いです。

2008年より前にこれらのクレジットカードでキャッシングを利用していた人は過払い金請求ができる可能性があります。

過払い金請求の時効は10年です。10年の時効が来てしまったら、プロである貸金業者は時効を援用してしまうでしょうから、最後の取引から10年が経過していたら過払い金請求ができなくなると考えましょう。

最後の取引というのは、ほとんどの場合に借金を完済した時点となるはずです。例外的に、借金を延滞し続けているというケースでは最後に借りた時点となることもあります。

CMなどで「2017年を過ぎると過払い金請求ができなくなる」といった内容の宣伝がされていることがありますが、これはやや誤解を招く表現となります。

たしかに、2017年に過払い金請求の時効が来てしまうという人もたくさんいますが、すべての人が2017年に時効が来るというわけではありません。

例えば、借金を借りたのが2003年だったとしても、その借金を完済したのが2010年5月だったのなら、その時点から時効のカウントが開始しますので、2020年の5月までは時効にかかりません。

過払い金請求の時効を考える時には、借金を完済したタイミングがいつだったかということが重要ポイントとなります。

過払い金請求をしただけならブラックリストにはのらない

実は、過払い金請求をしただけではブラックリストにはのりません。この点が債務整理とは大きく異なるポイントです。

ただし、過払い金請求をしたあともなお借金が残ってしまっている場合には、原則として任意整理をすることになってしまうので、ブラックリストにのってしまいます。

ブラックリストにのらないケース

借金の金額が100万円、過払い金の金額が150万円というケースで考えてみます。

この場合、過払い金請求をすると100万円の借金はゼロになり、さらに差額の50万円が返還されます。

過払い金請求をしただけなので、ブラックリストにはのりません

過払い金が100万円というケースでは、ギリギリですが借金がゼロになるので、やはりブラックリストにはのりません。

ブラックリストにのるケース

借金の金額が100万円、過払い金の金額が80万円というケースで考えてみます。

この場合、過払い金を引き直し計算してもなお20万円の借金が残ってしまいます。この20万円について任意整理をするので、ブラックリストにのります

20万円くらいなら債務整理する必要はないと考えるかもしれません。

しかし、20万円でも残ってしまったら、原則として残った借金について弁護士が利息のカットや分割払いの交渉などをしなければならず、任意整理をすることになってしまいます。

とはいっても、弁護士に過払い金請求の依頼をしたら勝手に任意整理までされてしまうということはないので、相談をする段階ではそれほど気にする必要はありません。気軽に過払い金請求の相談をしてみましょう。

任意整理

任意整理は利息と遅延損害金を全額カットし、残った借金についておよそ3年で返済をしていくという内容の和解をする手続きと考えておけばよいでしょう。

100%成功するというわけではなく、支払い回数の延長には応じてもらえても利息のカットには応じてもらえないということもあるようです。しかし、債権者にとっても自己破産になるよりはメリットがあるので、交渉が成功する可能性は高いです。

残った借金は3年で返済をしていくという和解になることが多いようですが、5年以上に設定することも可能です。返済期間を長くしてもらうためには腕の良い弁護士に依頼をする必要が出てくるでしょう。

特定調停

特定調停はブログや解説サイトでは紹介されていないことも多いですが、これも債務整理の種類の1つです。

特定調停では弁護士や司法書士を雇わず、自分で裁判所まで行って手続きをします。

弁護士や司法書士を雇わない手続きであるために、法律事務所を紹介しているサイトなどでは特定調停について書かれていないことが多いようです。

特定調停はデメリットが大きい?

任意整理に比べるとデメリットが大きいという意見もあります。

「利息と遅延損害金を全額カットし、残った借金について原則3年~5年で返済をしていく」という点では任意整理とほぼ同じ結果が出せます。

債権者との交渉は裁判所がしてくれるので、弁護士を雇う必要がありません。弁護士費用を節約できるという点が大きなメリットです。

しかし、特定調停では自分で裁判所へ出頭しなければならず、最低でも2回の出頭が必要になります。複数者から借金があればその分出頭回数は増えます。

さらに、裁判所への出頭は平日のみなので、社会人の人にとってハードルが高い手続きとなっています。

一般的には任意整理のほうがおすすめされています。

専業主婦の人など、比較的自由に時間がとれるという人にとっては、コストが安くてすむ特定調停も検討してみるとよさそうです。

 個人再生

個人再生は法律によって減額に手続きの方法が定められています。

任意整理や特定調停はあくまで債権者との交渉によって取り決めをするものであり、強制力はありません。

個人再生や自己破産では、法律で定める条件さえ満たしていれば債権者の同意がなくても強制的に借金を減額することができます。

個人再生で減額できる金額

100万円~500万円・・・100万円まで圧縮

500万円~1,500万円・・・5分の1まで圧縮

というようになっています。この記事では100万円の借金があるケースについて考えているため、個人再生をすることには基本的にはメリットがありません。個人再生では100万円以下にまで借金を減額することはできないからです。

自己破産

自己破産をすると借金はすべて帳消しになります。

しかし、100万円の借金があるという人は、単純に100万円分の得をするというわけではありません。

資産はすべて没収されてしまうので、マイホームなどの資産を持っている人はそれらをすべて失います。

99万円の現金までならしばらくの生活費として手元に残せます。

また、売却をしても20万円以下の価値にしかならない中古車なども手元に残せる可能性があります。

弁護士費用の相場は30万円~40万円くらいになります。

100万円の借金がある人は、弁護士費用を考慮しても自己破産をすることにメリットがあります。しかし、

・資産をすべて没収される

・ブラックリストに最大10年間のってしまう

・官報に個人情報がのせられてしまう

というデメリットがとても大きいので、借金の金額が100万円くらいならば任意整理のほうがおすすめです。もちろん、病気で働くことができないなど、個々の事情によってベストな選択肢は異なってきます。

まずは気軽に債務整理に強い法律事務所で無料相談を受けてみましょう。

ブラックリストにのる期間

ブラックリストにのる期間は、次のようになっています。

過払い金請求・・・債務整理にならなければブラックリストにはのらない
任意整理・・・交渉成立からおよそ5年
特定調停・・・和解・決定からおよそ5年
個人再生・自己破産・・・裁判後およそ5年~10年

個人再生・自己破産ではおよそ5年~10年となっていますが、CICとJICCでは5年、KSCでは10年ということです。消費者金融や信販会社の審査には5年、銀行や信用金庫の審査には10年影響すると考えておけばよいでしょう。

「自分は消費者金融から借りるから問題ない」と考えている人でも、結婚をしてマイホームを購入するときには銀行から住宅ローンを借りなければなりません。10年というのはとても長いので、予想以上にデメリットが大きくなることもあります。

なるべく任意整理で解決をしてしまうのが一番です。