借金の金利が法律違反だった時には過払い金請求をしよう

借金には金利がつきものですが、金利には上限が定められています。法律違反の金利を支払っていたことがある場合、過払い金請求をすれば払いすぎていたお金が返ってくることがあるかもしれません。

金利の上限は利息制限法と出資法で決められている

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今の日本には利息制限法出資法という二つの法律があります。利息制限法では「貸付金額が10万円未満の場合は20%」「貸付金額が10万円以上、100万円未満の場合は18%」「貸付金額が100万円以上の場合は15%」と定められています。

貸主が利率を設定する場合は、必ずその範囲内で設定しなければならないことになっています。

しかし、利息制限法には違反時の罰則がないため、過去には多くの金融機関が利息制限法に違反した金利20%以上での貸し付けを行っていました。

一方、出資法では上限金利は29.2%までと定められていました。出資法には利息制限法と違って厳しい罰則が用意されていたため、利息制限法を守らない業者も出資法だけはきちんと守るというアンバランスな状態が続いていました。

利息制限法違反ではあるが出資法には違反しない範囲の金利は、実質お咎めなしということで「グレーゾーン金利」と呼ばれていました。

この状態が続いているのは問題があるということで、政府は2010年6月に出資法を改正。出資法による金利の制限を20%にまで引き下げ、この法律に違反した場合は金融機関に対して厳しい罰則を与えるということになりました。

具体的には、仮に年率20%を超えた場合は罰則、借入額が10万円以上100万円未満で18%を超えた場合、および借入額が100万円以上で15%を超えた場合は行政処分が下されることになりました。

なお、遅延損害金は金利とは別物なので、20%を超えてもOKとされています。遅延損害金とは、毎月の支払いが遅れたときに発生する金融機関に対する損害賠償金のことです。

遅延損害金の利息制限法の上限は、利息制限法で定められた利率の1.46倍、もしくは20%のどちらか低いほうとなっています。

グレーゾーン金利を払っていた場合は過払い金を取り戻せる

前述のとおり、2010年6月までは利息制限法と出資法の上限金利に差異がありました。

利息制限法違反だが出資法に違反しない金利はグレーゾーン金利であり、本来は法律違反だったのですが、罰則がないため多くの金融機関がグレーゾーン金利を採用していました(現在は出資法の改正により、グレーゾーン金利自体は消滅しました)。

さて、グレーゾーン金利は本来は法律に違反したものなので、これを超える金利については無効となります。仮に過去に利息制限法を超えた支払いを行っていた場合は、その払いすぎていた利息について返還請求を行うことができます。これを過払い金請求といいます。

※過払い金があるか調べるならこちらへ

カードローンやキャッシング経験がある人は過払い金請求を

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過払い金請求は、2010年までに消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用していた人のうち、利息制限法を超える金利を支払っていた人ならばだれでも請求することができます。

武富士、アコム、アイフル、プロミス、レイクなど多くの消費者金融は過去に利息制限法を超える金利での貸し付けを行っていたので、これらの金融機関を利用していた過去がある人は取引明細を確認してみるといいでしょう。

取引明細は金融機関に電話で連絡すればすぐに送ってもらうことができます。

過払い金請求3つのメリットと4つの注意点

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過払い金請求にはさまざまなメリットがありますが、一方で注意点も存在しています。ここでは代表的なメリットを3つ、注意点を4つ紹介します。

メリットその1:払いすぎた利息が返ってくる

過払い金請求の一番のメリットはこれです。過去に支払いすぎた利息が返ってくるのは非常にうれしいことです。別に過去に損をしたお金を取り戻すだけで、得をするわけではないのですが、それでも戻ってこないよりは戻ってきたほうがいいことには違いありません。

メリットその2:現在も借りている場合は借金残高が減る可能性がある

たとえば、過去に利息を50万円分余計に払っていて、現在のローン残高が80万円であるという場合は、それらを相殺してローン残高を30万円にまで減らすことができます。ローン残高が減れば新たに発生する利息も少なくなるので、総支払額が少なくなります。

また、過去に利息を50万円余計に払っていて、現在のローン残高が20万円だという場合は、それらを相殺して30万円を過払い金として受け取ることができます。

メリットその3:信用情報機関に掲載されない

過払い金の請求は債務整理ではないので、信用情報機関に掲載されることがありません。過去に過払い金請求を行ったことがあっても住宅ローンなどは普通に組めますし、新たにキャッシングやカードローンを利用することもできます。

注意点その1:過払い金請求には時効がある

過払い金請求には時効があります。最後の取引から10年以上が経過している場合は、過払い金請求を行うことができなくなってしまいます。

前述のとおり出資法は2010年6月に改正されているので、過払い金の請求権がある人は現時点では「2006年~2010年6月の期間中にグレーゾーン金利を払っていた人」ということになります。2020年6月になれば、過払い金請求を行う権利がある人は日本からいなくなります。

注意点その2:金融機関が倒産している場合は回収が難しい

2010年に出資法が改正されてグレーゾーンが撤廃されると、多くの金融機関が倒産しました。2010年にはあのたくさんCMを打っていた大手消費者金融の武富士も倒産しています。

金融機関が次々と倒産した理由は大きく「総量規制」と「過払い金請求の殺到」に分類することができますが、何はともあれ金融機関が倒産している場合は過払い金の回収はまずできないものと考えてください。

また、正規の業者であっても、過払い金請求を行った業者からは借り入れができなくなると考えてください。

注意点その3:違法業者からの回収は難しい

利息制限法や出資法といった法律などお構いなしの違法業者からは過払い金を請求するのは難しいと考えてください。社名や担当者名といった情報がすべて架空のものである可能性が高く、すでに足取りがつかめなくなっていることがほとんどだからです。

専門家の力を借りないと請求が難しい

過払い金請求は過去にグレーゾーン金利による利息の支払いを行っていたすべての人に認められた権利ですが、個人で行うのはなかなかに難しいものです。

弁護士費用、司法書士費用を払いたくないという気持ちはわかりますが、個人での交渉は難しいうえに時間がかかり、和解金を不当に低く提示されることもあります。しっかりと全額回収したいのならば、専門家に依頼したほうがいいでしょう。

過払い金請求は専門家に任せるととっても簡単!

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ここでは、過払い金請求の流れについて軽く解説します。

STEP1:取引明細の開示請求

過払い金が過去にあったことを証明するためには、取引明細が必要になります。過去に借りていた金融機関に電話などで連絡すればすぐに送ってもらえます。

万が一請求に応じてもらえない場合は法律違反なので、配達証明付きの郵便で請求書を送付したうえで司法書士や弁護士に相談しましょう。

STEP2:引き直し計算

取引履歴から、どれくらい過払い金が存在しているのかを計算します。過払い金が存在していることが分かった場合は、STEP3に進みます。

STEP3:過払い金請求

過払い金額がいくらあるのかがわかったら、いよいよ金融機関に請求を行います。請求方法は電話でもいいですが、無視されると困るので内容証明郵便のほうがより確実です。

STEP4:交渉

過払い金をいくら返還してもらうかの交渉を行います。双方の主張する金額に差が出た場合は交渉が長引く可能性があります。交渉が成立すればそのまま過払い金が返還されて終わりですが、成立しなかった場合は次のSTEPに進みます。

STEP5:訴訟

話し合いで解決しない場合は裁判に向けて訴訟を行います。訴訟に当たっては訴状をはじめとするさまざまな書面が必要になります。また、裁判と並行して和解の話し合いをすることもあります。

金融機関側としても裁判は避けたいので、初回の交渉時よりも譲歩した条件を提示してくることがままあります。

専門家に依頼すればこれらの面倒なことはすべて代行してもらえます

過払い金請求の素人が上記の手続きをすべて一人でやるというのは非常に大変です。よほど気力や体力があるか、もしくは専門知識があるという場合を除いては、弁護士や司法書士などの専門家に代行してもらったほうがいいでしょう。

悪徳弁護士・司法書士の見分け方

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あと4年余りでグレーゾーン金利で支払を行っていた人の請求権が消滅するということで、多くの弁護士事務所や司法書士事務所は顧客の囲い込みを積極的に進めています。

多くの弁護士や司法書士はこちらの期待通りに仕事をしてくれますが、中には過払い金の一部を着服したり、返済すべき借金を放置するような悪徳弁護士・司法書士も存在しています。

悪徳弁護士は証拠を残そうとしないので、取引明細や引き直しの結果などを書面ではなく口頭で伝えようとします。そうした場合は必ず資料を請求するようにしましょう。

資料を渡そうとしない弁護士や司法書士に依頼してしまった場合は、弁護士連合会や司法書士連合会に相談してください。

過払い金請求Q&A

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最後に、過払い金請求に関するQ&Aをまとめて掲載しておきます。過払い金請求を行う際にはぜひ参考にしてください。

過払い金請求にかかる期間はどれくらい?

一概には言えませんが、一般的な金融機関の場合は6か月~12か月程度かかります。請求者と金融機関側との間で主張に食い違いがあったり、弁護士事務所の規模が小さく人員が少なかったり、個人で請求をしようとしたりすると期間は伸びる傾向にあります。

また、満額返還を目指すと期間は長くなる傾向にありますが、8割程度で妥協すれば早期解決することが多いようです。

満額返還されない可能性はある?

過払い金請求では金融機関側の財政状態が考慮されることがあるため、財政面に不安のある金融機関だと満額返還は期待できないことが多いです。

バックに銀行がある消費者金融(レイク、プロミスなど)は満額もしくはそれに近い額が返還されることが多いようですが、ノンバンク系(アイフルなど)の場合は満額の5割程度しか返ってこないことも多いです。

周りの人に知られずに過払い金請求を行うことは可能?

弁護士や司法書士には守秘義務というものがあるため、彼らに依頼すればばれることはありません。連絡もメールや電話、郵送などの中からなるべく周りにばれづらいものを選んでもらうことができます。

ただし、独力で過払い金請求をしようとするといつもと違う行為(内容証明郵便を書くなど)をする機会が増えるため、そこからばれる可能性はあります。

弁護士や司法書士に支払う報酬はどれくらい?

過払い金請求を弁護士に依頼する場合、着手金は請求額の5~8%、成功報酬は回収額の10%~20%となります。請求額が大きいと弁護士報酬の割合が低くなり、請求額が小さいと弁護士報酬の割合は高くなる傾向にあります。司法書士の場合はもう少し報酬は低くなります。

仮に着手金が請求額の5%、成功報酬が回収額の20%、請求額が100万円、回収額が80万円だった場合、弁護士報酬は100万円×5%+80万円×20%=21万円となります。

前述のとおり、請求額が小さいと弁護士報酬の割合は高くなる傾向があります。過払い金額が極めて少額であるという場合は、無理に過払い金請求を行う必要はありません。過払い金請求は権利であって義務ではないのです。

住宅ローンやカーローンで過払い金が発生することはある?

住宅ローンやカーローンで金利が利息制限法を超えることは考えられないので、過払い金が発生することはありません。

最後に

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過払い金請求は過去にグレーゾーンでの金利を支払っていたすべての人に認められた正当な権利です。金融機関側に対して遠慮する必要は全くありません。きっちりと請求するようにしましょう。

何から着手すればいいのかわからない、そもそも過払い金を支払っていたかどうかもわからないという場合は、まずは専門家に相談するところから始めてみましょう。

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