三菱地所といえば日本を代表する不動産ディベロッパーですが、そのグループ会社である「三菱地所ホーム」は土地活用事業を営んでいます。三菱地所ハウスネットや三菱地所レジデンス、池袋地域冷暖房株式会社など、土地活用や建設関連以外にも多くのグループ会社がありますので、知名度は高いですよね。
非常に有名なグループに属する会社ということで、土地活用業者を選ぶ際、候補に考えていた方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、具体的にどんな事業を行っているのか、その特徴がわからなければ比較・検討を行うのは困難です。
そこで、今回は三菱地所ホームの土地活用の強みや弱み、ネット上の口コミなどを合わせてご紹介したいと思います。現在土地活用業者を選定中の方はぜひ参考にしてください。
三菱地所ホームってどんな会社?
三菱地所ホームは、1984年に設立した住宅・不動産事業を営む会社です。すでにご紹介したように、三菱地所グループの一翼を担っています。三菱地所の住宅事業研究室という組織が独立する形で成立しました。東京・神奈川のほか、大阪に営業所があり、関東・関西エリアで土地活用事業を行っています。
三菱地所ホームの特徴
土地活用の中でも三菱地所ホームが得意とするのが賃貸住宅です。木造住宅が中心ですが、鉄筋コンクリート造の住宅づくりにも対応できます。純粋な賃貸住宅だけでなく賃貸併用住宅や、医院・医院併用住宅などの建設・運営をサポートした実績もある業者です。
三菱地所ホームの強み
三菱地所ホームの木造賃貸住宅は「The Park Maison」という名前で、いくつかのプランに分かれています。しかし、プランごとに違うのは大まかな建物のバリエーションだけで、実際には1棟ずつ完全な自由設計・フルオーダーで建築を行うのが特徴です。
三菱地所ホームで賃貸物件を建てる際、オーナーはまず戸建住宅、テラス、マンションなどの中から建てたい住宅のバリエーションを選びます。
その後、どのような建物をつくりたいのか三菱地所ホームの担当者と綿密に打ち合わせたうえで、建物を造ります。
また、三菱地所ホームの木造賃貸住宅は2インチ×4インチの木材を使用した「ツーバイフォー工法」によって建てられます。ツーバイフォー工法は、壁によって建物の重みを支えるため地震に強く、気密性や防火性・断熱性に優れるのが特徴です。このように、災害に強く温度や湿度のコントロールに優れた工法を採用しているのも強みの一つです。
サポート面で優れているところもご紹介しましょう。三菱地所ホームでは賃貸経営サポートも行っており、最長30年間に渡って土地と建物を丸ごと借り受け、代わりに運用してくれる一括借上げシステムのほか、入居者募集から賃料の徴収、クレーム対応など基本的な賃貸管理業務を委託できる賃貸経営代行システムも利用できます。
仮に入居率が悪くても安定した収入があるのは、賃貸事業を行う方としては安心ですよね。
さらに見逃せないのが、アフターサポートの手厚さです。土地活用業者の中には、住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称、品確法)で定められた、建築後10年間の保証しか行っていない業者も少なくありません。
そんな中、三菱地所ホームでは最長30年間まで延長できる保証システムを採用しています。賃貸住宅経営は基本的に数十年以上という長いスパンで運用計画を立てていくものです。保証期間が長いのは非常に心強いメリットだといえるでしょう。
三菱地所ホームの弱み
今度は逆に、三菱地所ホームの弱みといえる点をご紹介していきたいと思います。
まず挙げられるのは管理戸数の少なさです。グループ全体では30万戸を超える物件管理の実績があるものの、三菱地所ホーム単体では全国賃貸住宅新聞が発表している「賃貸住宅の2016年管理戸数ランキングトップ50」にもランクインしていません。正確な管理戸数の数は不明ですが、ランキング上位の大手不動産会社より少ないのは弱みといわざるをえません。
建物そのものの設計自由度こそ高いものの、基本的には「鉄筋コンクリート構造よりも耐久性の低い木造賃貸住宅にしか対応できない」のもマイナスポイントです。たしかに、木造建築ではない鉄筋コンクリート造の住宅建設や、賃貸住宅ではない医院の建設にも対応はしています。
しかし、木造賃貸住宅に比べてこれらの実績はまだ多くありません。そのため、それ以外の方法で土地活用を行いたい人にとってはあえて三菱地所ホームを選ぶ理由が弱まってしまうことになります。
三菱地所ホームの評判
ここまでは、三菱地所ホームに関して外側からでもわかる情報を解説してきました。しかし、多くの不動産オーナーの皆様が気になるのは実際にサービスを利用した方の「生の声」だと思います。
そこでここからは、ネット上の口コミを元に、三菱地所ホームにはどんな評判があるのかをご紹介しましょう。業者選びにお役立ていただくために、あえて良い口コミばかりでなく悪い口コミもご紹介したいと思います。
良い口コミ
コストと品質のバランスが良く、安心感がある
三菱地所ホームで木造賃貸住宅を建設する場合、坪単価の目安は60万円ほどです。賃貸住宅を造る際の標準的な坪単価とほぼ同等の額ですが、「品質が価格に見合っていて満足している」という利用者の声が多く見られました。
賃貸住宅に限ったことではありませんが、建物造りで大事なのはコストパフォーマンスです。デザイン性に優れた良い建物を建てるためにはその分、多くの資金が必要になります。かといって、十分な予算をかけなければ、月並みな建物しか建てられないでしょう。
そのため、費やしたコストに対してどれだけの品質のものが得られたかが重要になるわけです。その点、三菱地所ホームの木造賃貸住宅は、コストと品質のバランスが良いと好評を博しています。
営業担当者の人柄が良かった
三菱地所ホームの社員数は約400名。そのうち営業担当の数となるとさらに少なくなるはずですが、その少人数の営業担当者がいずれも専門知識が豊富で、かつ人柄が良く、対応に満足したとの声が多く見つかりました。
土地活用のように、高額なものを長期間に渡って管理運営する場合、オーナーが直接触れ合うことになる営業担当者の人柄は非常に重要なポイントになります。極端な話をすれば、どれだけその業者の技術力が優れていたとしても担当者の人柄が接しづらければ契約したいと思うオーナーはいないでしょう。
営業担当者に対する印象というと、他の業者の場合は悪い口コミの方が多かったり、良い口コミと悪い口コミが半々になっていたり、といったケースが多いなか、三菱地所ホームでは驚くほど営業担当者を褒め称える声が多く見つかりました。
顧客満足度を重視している感じがする
こちらも、営業担当者の人柄に関連する部分ですが、「担当者と接していて、売上重視ではないという印象を受けた」、「無理に高いオプションを進められるようなこともなく、紳士的に対応してくれた」というふうに、利益よりも顧客満足度を重視する姿勢に好感を持ったという声が少なくありません。
悪い口コミ
外構の工事やメンテナンスに難あり
三菱地所ホームでは、アフターフォローに力を入れています。ところが、「家の内部に関してはよくチェックしてくれるが、外構部分については外部の業者任せになっている」という声がみられました。
建設時についても同じように「建物自体の仕上がりには満足だが、外構工事の仕上がりは並な感じがする」という声が上がっています。外構の工事・メンテナンスについては今後の課題となる分野かもしれません。
現場監督、職人の技術に不満
ほとんどの土地活用業者がそうであるように、三菱地所ホームも賃貸住宅のプランニングや提案は自分たちで行うものの、実際の施工は下請け業者に任せているようです。いかに三菱地所ホーム自体の評判が良くとも、依頼した下請け業者のクオリティが低ければそれは三菱地所ホームに対する悪い評判となって返ってきます。
実際、「現場監督や職人の技術がいまいちだった」、「計画自体は良かったが仕上がりは特別優れているわけではなかった」という声もありました。
三菱地所ホームの土地活用を利用する際の注意点
ここまでの話を踏まえて、三菱地所ホームに土地活用を依頼する際の注意点を振り返っておきましょう。
関東・関西エリアで「木造賃貸住宅を中長期で運用したい人」向き
三菱地所ホームはサービス提供エリアや対応できる土地活用の方法などが決して幅広いとはいえません。しかし、逆にいえば強みを発揮できるシーンが最初から明確にわかっているということです。
三菱地所ホームがサービス提供できるエリア内にあり、かつ自分の土地活用の目的と一致しているのなら、これほど心強いパートナーはいないでしょう。
理想的なプランニングを実現するには営業担当者とよく話し合おう
既存の利用者から営業担当者に対する評判がいいというのも三菱地所ホームの魅力の一つです。1棟ずつを完全に自由設計で手がけるフルオーダーの仕組み、いわゆる注文住宅を最大限活用するためにも、営業担当者へ自分の要望をよく伝え、理想の住まいを造り上げてください。
懸念点・疑問点は契約前に確認を
ネット上の口コミで見られる「外構部分への対応力が弱いのではないか」「下請け業者の技術力が低いのではないか」といった懸念が心配なのであれば、事前に営業担当者に対して伝えておくといいでしょう。
もしくは不動産一括査定サイトを活用して、ベストな所を探してみるという方法もあります。
まとめ
三菱地所ホームは、まだ管理戸数の少ない業者ですが、「営業担当者への信頼」という非常に大きな強みを持っており、他業者との差別化ができていると思います。
サービス提供エリアや対応できる活用方法のバリエーションは多くないものの、顧客満足度を重視した対応で利用者からの声は概ね好評です。一括査定サイトも活用しつつ、不動産仲介業者選びに悩んでいる方は、利用を検討してみてはいかがでしょうか。