FXの指値・成行・逆指値・その他の注文の違いが5分でわかる記事

FXの注文方法には株式投資でも見られる指値・成行・逆指値などのほか、あまり有名ではないものの使い方次第では便利なIFD注文、OCO注文などがあります。

全部を詳しく知っておく必要はありませんが、存在だけでも抑えておけば、状況に応じて使い分けられるようになり、利益を増やしたり、損失を抑えたりできる可能性が高まります。

FXで使える主な注文方法は全部で8種類!

FXで使える主な注文方法は以下のとおりです。

  • 指値注文
  • 成行注文
  • 逆指値注文
  • IFD注文
  • OCO注文
  • IFO注文
  • トレール注文
  • 自動売買(システムトレード)

指値注文

指値注文とは、予め売りたい価格・買いたい価格を指定する注文方法です。実際の価格が指定した価格まで動いたら、その時点で取引成立となります。

例えば、現在のドル円相場が1ドル=120円50銭で、全体的にドル安の方向に相場が動いているとします。この場合、1ドル=120円までドル安が進む可能性は高いです。

そこで予め「1ドル=120円までドル安になったらドルを買いますよ」という注文を出し、実際にその価格まで円高になったら約定されるのが指値注文です。

指値注文のメリットは、約定される時は必ず自分の指定した価格で約定されることです。後述する成行注文は意図しなかった価格で約定されてしまうリスクがあるのですが、指値注文ではそれを心配する必要は全くありません。

一方、指値注文のデメリットは、思った通りに価格が動かなかった場合、約定されない(売買が成立しない)ことです。例えば先程の例の場合、1ドル=120円30銭になったところで急激に円安に反転してしまう可能性もあり、その場合は約定されません。

指値注文は自分の納得できる価格以外では買いたくない、でも納得できる価格になるまで待つことはできないという方におすすめの注文方法です。

成行注文

成行注文とは、予め売りたい価格・買いたい価格を指定しない注文方法です。注文を出した時点で取引成立となります。

成行注文のメリットは、必ず即座に取引が成立することです。指値注文の場合、指定した価格にならない限り取引が成立しませんが、成行注文ではそのような心配は全くありません。

一方、成行注文のデメリットは、いくらで売買されたかは取引が成立した後でなければわからないことです。

注文ページには価格が表示されていますが、注文ページの価格通りに取引が成立することが確定しているわけではありません。注文ボタンを押してから、注文がFX業者の管理システムに到達するまでにはタイムラグが有り、その間にレートが変動することがあるからです。

このように価格がずれる現象を「スリッページ」といいます。表示よりも高く売れたり、安く変えたりした場合はラッキーですが、逆に高く買ったり、安く売ったりしてしまう可能性もあります。割合的には、不利な方向にスリッページすることのほうが多いです。価格が急騰・暴落している場面では、スリッページ幅も大きくなります。

成行注文は、細かい価格差にはこだわらないので早く取引を成立させたいという人におすすめです。

逆指値注文

逆指値注文は、指値注文と同じく予め価格を指定しておく注文方法です。ただし、指値注文は「安くなったら買う」「高くなったら売る」注文であるのに対して、逆指値注文は「高くなったら買う」「安くなったら売る」注文です。

一見自分にとって不利な状態での注文となりますが、その場の相場のトレンドに乗りやすいという特徴があります。

為替相場は、短期的にはある一方に動いた時はその方向に更に動いていく傾向があります。例えばドル高傾向があるときには、その後も短期的にはドル高方向に動き続ける可能性が高いです。

逆指値注文は、その動きを見越して、少しドル高になった時点で買い、更にドル高になったときに備えるのに向いています。注文を出した直後にドル安になれば、そもそも注文が成立しないので損をせずに済みます。

また、逆指値注文では安くなったら売るため、損失を少なくするのにも使えます。

例えば、1ドル=120円の時点で「1ドル=119円になったら売る」という逆指値注文を予め出しておけば、ドル高になれば利益が出ますし、読みが外れてドル安になっても1ドル=119円になった段階で自動的に売られるため、損失を1円で抑えることができます。

さらに、逆指値注文では、利益を確定させることも可能です。例えばドル高傾向がある相場で1ドル=120円で買い、その後読み通りに相場が動いて1ドル=125円になったとします。

この時、「1ドル=123円になったら売る」というという注文を予め出しておけば、さらにドル高になった時はより利益が増加しますし、読みが外れてドル安になっても1ドル=123円にった段階で自動的に売られるため、3円の利益は確実に確保できます。

逆指値注文は相場のトレンドに合わせたり、損失を抑えたり、利益を確定させたりとさまざまな場面で使える非常に便利な注文方法です。

IFD注文

IFD注文は、時系列順に2つの指値注文もしくは逆指値注文を指定し、最初の注文が約定したら、もう一つの注文を出す注文方法です。

例えば、1ドル=122円の段階で「1ドル=120円になったら買う」とだけ注文すれば、これはただの指値注文です。しかし、「1ドル=120円になったら買い、その注文が成立したら1ドル=125円になったら売るという注文を出す」と注文すれば、これはIFD注文になります。

指値注文もしくは逆指値注文で1つの注文しか出さなかった場合、注文成立後に自動的に売買されることがありません。そのため、もう一度注文をしない限り利益確定や損失確定ができません。

一方、IFD注文の場合、1つ目の注文が約定した後、自動的に2つ目の注文が出されるため、自動的に利益確定や損失確定ができます。

例えば先程の「1ドル=120円になったら買い、その注文を成立したら1ドル=125円になったら売るという注文を出す」という注文の場合、1ドル=120円になった時点でドルを買い、1ドル=125円になったら売るという指値注文が出されるため、読み通りドル高になった場合に利益を確定させられます。

逆に1ドル=115円になったら売るという逆指値注文を出して、損失を抑えることも可能です。

OCO注文

OCO注文とは、同時に2つの注文を出して、どちらか一方が約定したら、もう一方の注文は自動的に取り消しになる注文方法です。レートが高くなったときと安くなった時、どちらにも対応できる点が強みです。

例えば、現段階で1ドル=120円のときに買ったドルを持っているとします。このドルが上がるか下がるかは不明です。このようなときには「1ドル=122円になったら売り、1ドル=118円になったら売る」という注文を出します。

仮にドル高方向に動いて1ドル=122円となった場合、その時点で自動的に前者の注文が約定され、後者の注文は取り消しとなり、2円の利益が確定します。

一方、ドル安方向に動いて1ドル=118円となった場合、自動的に後者の注文が約定され、前者の注文は取り消しとなり、2円の損失が確定します。

利益の確定も損失の確定もしたいという場合は、OCO注文が便利です。

IFO注文

IFO注文は、IFO注文とOCO注文を組み合わせた注文方法です。最初にIFD注文が約定されると、その後自動的にOCO注文が出されます。なんだか非常に複雑な注文に見えますが、分けて考えればかんたんです。

具体的には、1ドル=122円のときに「1ドル=120円になったら買い(この部分は指値注文)その後1ドル=122円になったら売り、1ドル=118円になったら売る」というような注文がIFO注文です。

最初の注文が成立したら、2つ目の注文を出す」というIFD注文の要素と、「2つの注文を同時に出し、どちらか一つが約定したらもう一つは取り消す」というOCO注文の要素が両方入っています。

この注文方法は新規注文と同時に、利益と損失の両方を確定させるための注文がワンセットでできるという点で非常に優れています。

トレール注文

トレール注文は、最初に値幅(トレール幅)を指定し、その幅以上に不利な方向に進んだときに自動で決済される注文方法です。レートが自分にとって有利な方に動いた場合、トレール幅を維持したまま決済価格が変動するのが特徴です。

例えば、1ドル=100円の時点でドルを買います。この条件で、1円以上の損失を出したくない場合は、1ドル=99円で逆指値注文をするのが基本です。

しかし、例えば1ドル=100円→102円→99円といった方向に動いた場合、途中で売り注文を出さなければ、利益を出すチャンスをみすみす逃すことになってしまいます。

このような失敗を防ぐために、1円のトレール幅でトレール注文します。

もし、相場が一度もドル高になることなく1ドル=99円にまで動いた場合、この時点で逆指値によって売り注文が確定します。

しかし、逆に相場がドル高方向に動き続け、1ドル=102円になった場合、この場所から1円の値幅があるところ、つまり1ドル=101円が新たな決済ポイントとなります。

ここから価格が反転してドル安方向に動き始めた場合、1ドル=101円になった時点で自動的に売り注文が確定するため、1円の利益が確定します。

仮にその後もドル高が続き、1ドル=105円になった場合は、1ドル=104円が新たな決済ポイントとなります。価格の動きに応じて、決済ポイントがどんどんずれていくのがトレール注文の特徴です。

自動売買(システムトレード)

自動売買とは、予め人間がルールを決めておき、後はシステムによって自動的に注文を行う取引の総称です。

ここまで紹介してきた指値注文や成行注文、IFO注文などは、すべて人間が行う注文です。人間が行うものであるゆえ、損切や利益確定のタイミングを間違ってしまうことはままあります。

たとえ読みが正しくても、希望的観測(自分にとって都合のいい情報しか見ない)や過剰な悲観的観測などで、その読み通りに行動できないこともママあります。

自動売買は、そうした人間が持つ欠点を穴埋めするために開発された、究極の注文方法です。システムに基づいて自動的に売買を行うため、人間の感情に左右されない取引が可能になります。24時間マーケットを見る必要もなく、一度導入してしまえば非常に楽です。

自動売買を行うにはソフトが必要です。このソフトは自分で開発してもいいのですが、そんな技術を持っている人はめったに居ないでしょう。最近は誰でも使える高性能なシステムトレード用のソフトが多数存在していますので、そちらを使ったほうがいいでしょう。

FX業者によって使えるソフトの種類が異なるため、使いたいソフトが有る場合はそれを採用しているFX業者を選ぶ必要があります。

既存の自動売買用ソフトにもいろいろありますが、現状最も人気があるのはロシアのメタクォーツソフトウェア社(MetaQuotesSoftware社)が開発したMetaTrader4 (メタトレーダー4)です。

無料で使えるにも関わらず非常に高性能で見やすいのが特徴です。開発元のほか、各FX業者のホームページからもダウンロードできます。開発元は英語なので、日本のFX業者を使っている場合はそちらからダウンロードした方がいいでしょう。

まとめ

  • FXには様々な注文方法がある
  • 基本は指値・成行・逆指値の3種類で、その他の注文を組み合わせることも可能
  • 自動売買(システムトレード)ならば感情を配したトレードも可能に

FXの売買スタイルは千差万別で、使い所も様々です。まずは一通り注文方法を試して、慣れることから初めていきましょう。