競馬というのは長くやれば最終的には胴元が勝つような仕組みになっているので、競馬でお金を増やそうと考えるのは基本的には間違いです。あくまでも競馬は趣味の一環としてお金を消費して楽しむものであると割り切り、稼ぐのは労働や事業や投資に任せるのが健全でしょう。
しかし、理に適った賭け方をすれば、還元率が上がることもまた事実です。今回は競馬で少しでも還元率を上げる方法について紹介したいと思います。
競馬の還元率は70~80%程度
還元率とは、賭け金に対する期待できる当選金額=期待値の割合です。例えば、100円をかけて平均で80円戻ってくる仕組みのギャンブルの還元率が80%になります。
当然、参加者としては、還元率は高いほうが望ましいのですが、100%を超えてしまうと胴元(主催者)に何のメリットもなくなります。胴元にメリットがないギャンブルは開催されないため、還元率が100%を超えることは通常ありません。
ギャンブルの還元率は競技によって異なりますが、競馬の還元率は概ね70~80%程度です。宝くじの45%、サッカーくじの50%と比べると割のいい数字ですが、パチンコの85%前後よりは低く、海外のカジノの90~99%と比べるとかなり低い数字と言えます。これだけでも競馬で稼ぐことが非常に難しいことがわかります。
一方で、競馬にはいろいろなかけ方があり、掛け方によって還元率が異なります。例えば、中央競馬における勝馬投票法ごとの払戻率(還元率)は以下のようになっています。
投票法 | 払戻率(還元率) |
単勝 | 80.0% |
複勝 | 80.0% |
枠連 | 77.5% |
馬連 | 77.5% |
ワイド | 77.5% |
馬単 | 75.0% |
3連複 | 72.5% |
3連単 | 72.5% |
WIN5 | 70.0% |
ここからは、それぞれの掛け方について説明いたします。なお、今回の記事では18頭が出走することを前提にかなんが得ています。
単勝は1着を当てるシンプルな賭け方
単勝は1着の掛け方を当てるという、最も単純な掛け方です。単勝を複数買うことも全く問題なく、極論を言えば18頭全部を単勝で買えばその内1つはかならず当たることになります。
しかし、当たってもそのオッズ(倍率)が18倍以下ならば結果的には損をすることになります。18頭出馬する場合、人気上位の5頭ぐらいまでは誕生のオッズが18倍以下になることが多いです。
複勝は3着以内になる馬を当てる、当てやすい賭け方
複勝は、3着以内になる馬を当てる賭け方です。1着にならなければ配当がつかない単勝と比べて当てやすくなっています。実力の抜きん出た馬は1位は取れずとも3位以内には食い込んでくることが多いため、確実に当てたい人向けの賭け方といえます。
枠連は勝ち馬の枠を当てる特殊な賭け方
枠連とは、1着・2着の枠番を予想する賭け方です。枠番とは、それぞれの馬に割り当てられる枠についている番号のことです。一方、馬番は馬に割り当てられる番号です。
馬番は出走する頭数に合わせて割り当てられますが、枠番は1~8のいずれかになります。9頭以上出馬する場合は、1つの枠に複数の馬が入れられます。
18頭の場合、以下のように馬番と枠番が割当てられます。馬番が大きい馬ほど、外枠に割り当てられます。
18頭 | ||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
枠番 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | ||||||||||
馬番 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
例えば、1着が馬番3番、2着が馬番13番になると予想した場合は、枠番2-7と買います。仮に1着が馬番4番、2着が馬番15番になった場合でも的中となるのが、枠番の面白いところです。
馬連は上位2着の組み合わせを当てる賭け方
馬連とは、1着と2着になる馬の組み合わせを当てる賭け方です。組み合わせさえ当たっていればかまわないので、例えば馬連で6-14を買って、実際の着順が14-6担った場合も当たりとなります。後述する馬単と比べて比較的当てやすく、なおかつオッズもそこそこつくことから人気の賭け方です。
ワイドは上位3着のうち2着を当てる賭け方
ワイドとは、1着と2着と3着に入る馬2棟の組み合わせを当てる賭け方です。馬連と似ていますが、こちらは3着までに入れば良いことになっているため、少し当たりやすいです。その分オッズは低めに設定されています。
馬単は上位2着を完璧に当てる賭け方
馬単とは、1着と2着になる馬を順位順に完璧に当てる賭け方です。馬連と少し似ていますが、こちらは順番までしっかりと当てなければなりません。当てやすさという点では馬連に劣りますが、オッズは馬連のほぼ2倍になるため、当たった時の威力は高いです。
絶対的な実力を持つ馬がいて、1着に来る可能性が極めて高いと感じた場合は馬単、1着に来る可能性はそこそこだが2着以内に来る可能性が高い場合は馬単と使い分けると良いでしょう。
3連複は上位3着の組み合わせを当てる賭け方
3連複とは、1着と2着と3着の馬の組み合わせを当てる賭け方です。馬連の3着バージョンと考えていただければ問題ありません。3着目まで当てなければならないぶん馬連よりは当てづらいですが、その分オッズは高めになります。
3連単は上位3着を完璧に当てる賭け方
3連単とは、1着と2着と3着になる馬を順位順に完璧に当てる賭け方です。馬単の3着バージョンと考えていただければ問題ありません。どのようなレースにおいても上位3着を完璧に当てるというのは至難の業であり、当てるのは極めて困難です。反面、当たった時のオッズはかなり高く設定されています。
WIN5
WIN5とは、中央競馬が指定する5つのレースで、それぞれ1着になる馬を当てる馬券です。単勝を5回買うようなものですが、すべてのレースで1着を当てないと配当が受け取れないという極めてシビアな賭け方です。
それゆえに当たった時の威力も大きく、過去には最高で3億9566億円の払い出しが行われています。ただし、還元率はすべての賭け方で最も低く、あくまでも夢を追う人向けの賭け方です。本気で当てに行くのは少し無理があり、お遊び程度にとどめておいたほうが良いでしょう。
初心者のうちは「単勝」「複勝」を重点的に買うのが基本
前述の通り、競馬の馬券の買い方の中で最も還元率が高いのは「単勝」と「複勝」の2つです。初心者のうちは基本的にこの2つに絞って購入した方がいいでしょう。単勝と複勝はどちらも1頭についてしか考えないので比較的予想もしやすく、難しいことを考えないでも当てやすい仕組みになっています。
この賭け方は還元率こそ高いものの、オッズは低いので、大きなプラスになることはありませんが、そのかわり大きなマイナスになることもありません。初心者が競馬を楽しむ上では最も有効な賭け方かと思います。
ある程度オッズを高くしたい場合は3連複がおすすめ
小勝ちと小負けを繰り返すだけの賭け方が面白くないと感じるようになったら、もう少しオッズが高い掛け方に挑戦してもいいでしょう。おすすめは3連複です。
ある程度オッズが高くなりやすく、なおかつ全く当たらないというほどでもないため、たまに大勝の喜びを味わうことが出来ます。3連単はほぼ確実に当たらない(18頭立ての場合は特に)ので、避けたほうがいいでしょう。当たる前に資金が尽きるか心が折れる可能性が高いです。
WIN5は夢を見たい人用。宝くじよりは良心的かも
WIN5の還元率は70.0%で、他の賭け方と比べてずば抜けて還元率が低いため、基本的には買うべきではありません。
しかし、WIN5は他の賭け方と比べてオッズが極端に高いのも事実です。同じくほぼ当たらないが当たったときに大金が得られる宝くじと比べるとだいぶマシな還元率なので、お布施にすることを前提としてWIN5を買うのは悪くないでしょう。
大穴狙いは本命狙いよりも還元率が低くなる
以下のデータは、単勝と複勝における人気順と還元率の関係性を表したものです。(引用元:http://keiba.joywork.jp/?eid=882834)
人気 | 単勝 | 複勝 |
1番人気 | 76 | 83 |
2番人気 | 79 | 82 |
3番人気 | 83 | 81 |
4番人気 | 81 | 78 |
5番人気 | 83 | 79 |
6番人気 | 87 | 80 |
7番人気 | 79 | 77 |
8番人気 | 72 | 79 |
9番人気 | 80 | 79 |
10番人気 | 70 | 75 |
11番人気 | 74 | 78 |
12番人気 | 64 | 69 |
13番人気 | 56 | 64 |
14番人気 | 42 | 56 |
15番人気 | 30 | 52 |
16番人気 | 43 | 43 |
17番人気 | 48 | 50 |
18番人気 | 22 | 41 |
このデータを見ると、上位~10位ぐらいまでの還元率はほぼ変わりませんが、それ以降は人気が下がるとともに還元率が下がっているのがわかります。大穴狙いで人気下位の単勝や複勝を買うというのは、人気買いの単勝や複勝を買うよりも不利な判断だということです。一体なぜこのような減少が起こるのでしょうか。
競馬のオッズは「実力」ではなく「人気」、つまり買われた金額で決まります。つまり、実力がない馬でも人気があればオッズは低くなりますし、実力がある馬でも人気がなければオッズは高くなります。
普通に考えれば実力と人気は正比例するはずですが、実は競馬の世界では必ずしも実力と人気が正比例しないのです。大穴馬は実力が非常に低いわりにはそこそこ人気が出るため、結果として還元率が低くなってしまうのです。
一体なぜこのような減少が起こるのでしょうか。簡単に言えば、大穴を狙いたい人が一定数いるからです。彼らが通常まずこないであろう大穴馬をそこそこ人気の馬にしてしまっているため、結果として還元率が低くなるのです。
ちなみに、人間は小さな確率を過大評価し、大きな確率を過小評価する傾向があります。だからこそ人はめったに発生しない交通事故のために保険に入りますし、めったに発生しない高額当選を夢見て宝くじを買います。
競馬の効率的な勝ち方はとっても地味
以上の話をまとめると、競馬で比較的勝ちやすい手法は
- 還元率が高い単勝や複勝をメインに買う
- ある程度オッズが欲しい場合は、3連複を買う
- 大穴狙いは還元率が低くなりやすいので避ける
というものになります。この手法ははっきり言ってしまえば非常に地味です。大穴を狙わず、3連単も買わないというのは、ギャンブラーからすれば面白みに全くかけるものであるといえるでしょう。
それを受け入れて勝ちやすい掛け方に徹するのも、無視して一攫千金を狙うかは個人の自由ですが、個人的には前者をおすすめします。勝てないと、やはり面白くないですからね。