実は使えない!?特定支出控除でサラリーマンの節税ができない理由

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2013年からスタートした復興特別所得税に、2014年に8%に上がった消費税と、増税が相次いでいます。

さらには、2017年4月から消費税率が10%へ引き上げられることも決定しており、負担は増えるばかり。

少しでも節税したい!と考える人も多いと思います。そこで、今回取り上げたいのが「特定支出控除」。

節税法について調べたことのある人なら見聞きしたことがあるかもしれません。サラリーマンの節税法というと折に触れて話題に上る「特定支出控除」ですが、実のところ、あまり有効ではないという噂も。

今回は、この制度の実用性について検証してみます。

特定支出控除の利用者は全国で2000人のみ

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特定支出控除とは…?

特定支出控除とは、サラリーマンが自腹を切って業務に関連する費用を支払った際の金額が「給与所得控除額の半分」を超えた場合、その超えた金額が控除適用となる制度。

以前から存在していましたが、認められる金額・内容が厳しく、毎年、全国で対象となる人が1桁と、ほぼ使われていないに等しい制度でした。

これを、もっと利用しやすくしたのが2012年の税制改正です。当時「スーツ代を経費にできる」という触れ込みでメディアに取り上げられ有名になりましたが、その後、実際に利用者は増えたのでしょうか?

「特定支出控除」ってどんな人が利用している?

2012年の税制改正で制度が拡充され、控除の対象となる品目が図書費・衣服費・交通費にも広げられました。

つまり、書籍や新聞、スーツ代や交際費も必要経費として認められるようになったのです。

さらに、基準額についても、改正前は給与所得控除額の全額を超えなければ対象とならなかったところを、給与所得控除額の半分を超えれば良いと緩和されました。

これにより、2013年度の制度利用者は、前年の6人から約260倍となる1600人と大きく増えました。

この数字だけを見ると、「改正により制度が使いやすくなった」「今後も利用者は増えていく」と考えられそうですが、そう結論付けるのは少し早いようです。

それは、対商品目が拡充されただけの特定支出控除では、まだまだ使いにくさが残っているから。

その一つは適用基準が厳しいこと。

たとえば、資格取得費の場合、学費を一括で支払ったとしても全額が特定支出として認められるわけではありません。

これは、支払いをきちんと行っていることに加え、サービスをきちんと受けているという条件を満たさなければならないため。

ほかにも、図書費は専門誌しか認められなかったり、単身赴任などの帰宅費は月に4往復までしかダメなど、細かい規定をクリアする必要があるのです。

さらに、基準金額が高いことも挙げられます。年収500万円のサラリーマンであれば、適用金額は77万円。これを月額に直すと6.4万円強になります。

毎月、これだけの金額を業務のために自腹で支払っているとなると、海外に単身赴任をしていて毎月必ず帰国している人や、自腹で接待せざるを得ない営業マンなど、かなり限定された人だけになってしまいます。

サラリーマンや公務員のスーツが経費になるはウソ!?

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確かに、対書品目として被服費が加わったため、理論上スーツは経費にできます。

しかし、購入したスーツ代の領収書を毎回とっておき、会社に経費として認めてもらわなければなりません。

それだけの労力をかけたところで、実際に戻ってくる税金は、年収500万円のサラリーマンで1,500~6,000円(税率5~20%で計算)とわずかです。

スーツ以外で経費になるものは?パソコンも経費になるの?

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精度の拡充後、経費として認められている品目は、以下の通りです。

通勤時の交通費:自己負担している場合や支給額を超えた分
引越費用:転勤に伴う引越にかかる費用
単身赴任者の帰宅時の交通費:家族のもとへ帰る際の旅費
研修費:業務で使う技術習得のための研修費用を自己負担する場合
資格取得にかかる費用:業務に必要な資格試験を会社から補助をもらわずに受ける場合
図書の購入費:業務関連の本・雑誌・新聞(基本的に専門誌)
衣類の購入費:制服や事務服、スーツなど
交際費:接待代やお歳暮など

よって、たとえ業務に使用するためであってもパソコンの購入費は経費とはなりません。

そもそも会社の証明がないと使えないって本当?

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「特定支出控除」が“仕事に直接必要な支出”という条件のもの認められる控除であるため、使用した経費が業務のためであるという証明として、勤務先に認めてもらわなければなりません。

証明書のフォーマットは国税庁のWebサイトで公開されており、支出の品目別に分かれています。

証明のためには領収書が必要となりますので、必ず保存しておくことが大切です。

最高の節税はムダな経費を使わないこと

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一年間、頑張って領収書を集めて会社に経費としての証明をもらいそれなりの労力をかけても、実際に帰ってくる税金は数千円程度。

それであれば、控除の金額を満たすために不必要なスーツや新聞購読をするのはバカげています。

数千円の節税のためにさく時間や手間を考えると、付き合いで顔を出す飲み会を1回分控える方がよほど効果的な節約になるといえるでしょう。