fxで借金が1億円できるということは、現在では考えられないでしょう。
リーマンショックが起きる前には、レバレッジ400倍の取引がされていたことも多かったので、そのようなこともあったようです。
法律の規制が厳しくなった現在では、あまり心配をすることはないでしょう。
ここでは、fxで借金が1億円できてしまう可能性について解説してみます。
FXでは基本的には借金ができることはない
FX投資は、現在は株式投資よりも知名度が上がっているかもしれません。最低5,000円くらいのお金があれば始められるので、初心者の人が手軽に始める投資として適しています。
不動産投資では500万円程度、株式投資では50万円程度が必要資金の目安となるので、それよりもはるかに少ない資金で始められるFX投資が人気が出ることはうなずけます。
ブログが流行していることも影響しているようです。だれかががブログなどでFX取引を始めてみたという記事をあげると、それに影響されて自分もやってみようと考える人が現れます。
初心者FXトレーダーに人気なのは、ドル円取引です。ドル円では、手数料がとても安く、1万通貨の取引をしてもおよそ30円の手数料しかかかりません。
正確に言うと、手数料ではなくスプレッドですが、初心者のうちはそれほど気にする必要はないでしょう。
FXトレーダーは、借金ができるかどうかについて気にする人がいます。yahoo知恵袋などでもよく質問にあがっていますが、現在のFX取引では借金が発生することはほとんどありません。この理由は後で詳しく解説します。
国内のFX会社を利用した場合には、借金ができる可能性はゼロではありませんが、海外FX取引に関しては、その可能性はほぼゼロです。この理由についても、後で解説します。
基本的には、借金ができることはないと考えておいて良いです。
ロスカットが間に合わなくなったら?
現在のFX会社では、ロスカットという仕組みがあるので、基本的には借金が発生することもありませんし、証拠金がゼロになる可能性もかなり低いです。
ロスカットというのは、証拠金が一定割合を下回ったら強制的に決済をするという仕組みのことです。
ロスカット割合が50%として考えてみます。
↓
1ドル=100円の時に、レバレッジを10倍にして1,000万ドル(1億円相当)を購入
↓
1ドル=95円にまでドルの価値が下がる
↓
この時点で500万円の損失が出ているので、ロスカットが起きて、強制的に決済がされる
↓
証拠金が500万円になる
というような流れになります。
このように、借金が発生するどころか、実際には証拠金が半分くらいになったら強制的に決済がされてしまいます。
ロスカットがあるために、その後ドルの価値が低下し続けて90円以下になり、借金が発生してしまうという事態を防ぐことができます。
逆に、ロスカットがあるために、その後ドルの価値が回復して105円にまで上昇したとしても、すでに決済がされているので、損失が確定してしまうというデメリットもあります。
ロスカットが間に合わないケースとは?
同じ例で、ロスカットが間に合わなかったケースについて考えてみます。
↓
1ドル=100円の時に、レバレッジを10倍にして1,000万ドル(1億円相当)を購入
↓
1ドル=95円にまでドルの価値が下がる
↓
日曜日の夜間だったので、ロスカットの処理が行われない
↓
証拠金が50%を下回っても取引が続行
↓
1ドル=80円にまで価値が大暴落する
↓
月曜日の朝に処理がされるが、この時点で借金(1,000万円)が発生していた
このように、FX業者のシステムが止まっている時間帯に通貨の価値が大暴落して、借金が発生することがあります。
このケースではレバレッジを10倍にしていますが、もしもレバレッジを100倍にしていて同じことが起きたら、1億円の借金が発生していたことになります。
あるいは、口座に証拠金を1億円入れて、レバレッジ10倍で10億円分のドルを購入していた場合でも、1億円の借金が発生してしまいます。
国内FX業者を利用した場合の最大レバレッジは25倍ですので、前者の可能性はありません。後者の可能性については、国内FX業者を利用した場合でも起こり得ます。
リーマンショックの前にはハイレバレッジがあたりまえだった
リーマンショックの前には、レバレッジを400倍にして取引をするということも多かったようです。
また、ロスカットというシステムが採用されていなかったFX業者もありました。
強制ロスカット制度は、現在はすべての国内FX業者で採用されていますが、これは法律によって規定があるわけではありません。
リーマンショックの後に、金融庁からの指導があったために、一般社団法人金融先物取引業協会が自主ルールを定めて、現在ではすべての国内FX業者で強制ロスカット制度が採用されるに至りました。
金融庁から指導がされる前には、強制ロスカット制度を採用していなかった業者もたくさんありました。
リーマンショックで通貨の価値が大暴落したが、ロスカットという制度がなかったので、そのまま通貨を保有し続けて、借金が1億円にまで膨らんでしまったというケースも実際にあったようです。
あまりニュースにはなっていませんが、多額の借金を抱えて自殺をした投資家がたくさんいたという噂もあります。多額の借金ができても、自己破産といった救済制度があるので、早まらないようにしておきましょう。
システムの誤作動で借金ができる?
現在では強制ロスカット制度がどこの業者でも採用されているため、基本的には借金ができることはありません。
しかし、システムの誤作動でロスカットシステムが起動せず、そのまま放置がされて借金が膨らんでしまうという可能性はあります。
FX業者の利用規約には、「システムに不具合が生じ、ロスカットが起きなくても、当社はいっさい責任を負いません」といった趣旨の記載がされていることが多いです。
すなわち、システムの誤作動で借金ができたら、利用者側が責任を負わなければならないということです。
可能性はかなり低いものの、絶対に起こらないとは言い切れないので、怖いですね。
海外FXでは借金をする心配がない
海外FXでは、レバレッジを最大で800倍くらいにまで設定することができます。そのため、借金が発生してしまう可能性が高いと考える人がいます。
ゼロカットシステムとは?
結論から言うと、海外FXではいくらレバレッジを高くしても、借金が発生する可能性はありません。その理由が、ゼロカットシステムにあります。「追証なし」などと呼ばれることも多いです。
その名の通り、証拠金がゼロ以下になったら、マイナスの部分をカットするというシステムのことです。
日曜日の夜間に通貨の価値が大暴落して、1億円の借金ができたとしても、その1億円のマイナス部分はカットされるので、FX投資家は借金を背負うことがありません。
そのマイナスの部分のリスクは業者が負うことになるわけですが、海外の業者はそのリスクよりも、ゼロカットシステムを採用することで利用者が安心して取引ができ、その結果、業者の利益も増えることにつながるというプラスの部分を優先しているということです。
なぜ国内業者ではゼロカットシステムが採用されないの?
利用者保護の観点からは、国内業者でもゼロカットシステムを採用するべきなのですが、現在はまだその動きはないようです。
その理由としては、ゼロカットシステムを採用してしまうと、通貨の価値が大暴落した時に業者が大きな損失を被ってしまう可能性があるからです。
ゼロカットシステムを採用してしまうと、このマイナス分の負担を業者側が負うことになってしまいます。
このリスクが大きいために、日本のFX業者はあえてゼロカットシステムを採用していないのです。
ゼロカットシステムは勝率を上げるのか?
ゼロカットシステムは、単純に考えると勝率を上げてくれるように思えます。
1つの例をあげて解説してみます。
この時、日曜日の夜間にドルの価値が急上昇して、1ドル=105円になれば、
1,000万ドル=10億5千万円相当
になり、5千万円の利益が得られます。
逆に、ドルの価値が大暴落して1ドル=95円になれば、
1,000万ドル=9億5千万円相当
になり、5千万円の損失となると思いきや、ゼロカットシステムが働くので、証拠金として入れていた100万円の損失ですみます。
シンプルに考えて、1ドル=105円になる確率が50%、1ドル=95円になる確率が50%とすると、
50%の確率で100万円の損失が出る
という2択になります。単純に考えると、勝率を大きく上げてくれます。
現実は甘くない
しかし、通貨の価値は緩やかに変化していますので、ロスカットやゼロカットが間に合わずに、証拠金がマイナスになるということはめったに起きません。
実際には、ロスカットが正常に発生して、借金が発生することなどめったにないのです。でなければ、だれも国内FX業者を利用しなくなるでしょう。
海外FX業者で採用されているゼロカットシステムは勝率をわずかに上げてくれる可能性がありますが、借金が発生することはないというメリットがあるだけで十分であると考えておくのが良いでしょう。
トータルでは国内FX業者に分がある?
国内FX業者の場合、追証があるので、借金が発生する可能性があります。
しかし、ほとんどの場合にロスカットがきちんと働くので、借金が発生する可能性はほとんどないと言えるでしょう。
また、国内FX業者で取引をした場合、申告分離課税が適用されるので、所得税15%、住民税5%の一律20%の税金だけですみます。現在はこれに加えて復興特別所得税がかかりますが、微々たるものです。
海外FXでは総合課税が適用されるので、一般的なサラリーマンの場合、所得税が20%もしくは23%、住民税が10%かかることが多いでしょう。
トータルでは国内FX業者のほうがメリットが大きくなるのではないでしょうか。
専業主婦やアルバイト・パートで働いている人などは総合課税のほうが所得税5%、住民税10%となって得をすることもありますので、ケースバイケースです。
余裕のある資産で投資を行いましょう
現在のFXでは借金が発生することはほとんどありませんが、手持ち資金がゼロになってしまうリスクはあります。
また、FX会社に対して借金が発生することはないものの、FXトレードで熱くなりすぎて、手持ちのクレジットカードのキャッシングや消費者金融カードローンなどで借金を作ってしまうという人はいます。
その場合には、クレジット会社や消費者金融に対して返済する義務が発生します。
そのようにして、間接的にFXで多額の借金を作ってしまった人が自己破産をするというケースもたくさんあります。投資は余裕のある資金で行うことが大切です。