給料が低すぎて生活出来ない…働きながら生活保護って貰えるの?

seikatsuhogo0912
長年に渡って景気の低迷が続いている日本社会。出口の見えない不景気の中、「働いているのに収入が低すぎてまともな暮らしができない…」と苦しんでいる方が多くおられます。

そんな方々の中には、何とか生活保護を受けられないだろうかと考える方も多いことでしょう。

ただ生活保護には、“何らかの事情で働けない人が利用するもの”というイメージがあります。

確かに、生活保護受給者の多くは事情があって働けない方々です。

しかし、働いていても収入が低く、最低限の暮らしさえ送れない人が多いのも事実。はたして、働きながらでは生活保護を受給できないのでしょうか。

本文で答えを探っていきましょう。

働きながらでも生活保護は受給可能

hatarakinagara0912
本文のはじめに、冒頭の疑問への答えを述べてしまいます。

現在働いている方でも、生活保護を受給することは可能です。

そもそも生活保護とは、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障される」という憲法25条の文言に基づく制度。

働いていても最低限度の生活を送れていないのであれば、生活保護の対象となるのです。

では「健康で文化的な最低限度の生活」とは、どのような暮らしなのでしょうか。

現代人の生活に最低限度必要なものを思い浮かべてみてください。

衣・食・住の3つがそろっていなければ、現代人の暮らしとは呼べませんね?

生活保護によって保証される「最低限度の生活」とは、この衣食住がそろった暮らしだと思ってください。

つまり労働収入の有無に関わらず、衣食住のそろった最低限度の生活が奪われかけているのであれば、生活保護の受給対象になるということです。

といっても、いきなり福祉事務所に駆け込んで「最低限度の生活が送れないのでお金をください!」と叫んでも、生活保護費はもらえません。

福祉事務所が調査を行った結果、現在の収入が「最低生活費」を下回っていると判断されることで、はじめて生活保護の受給対象者となれるのです。

受給の可否を決める最低生活費

ここまでに述べたことをまとめると、「働いていても収入が最低生活費を下回る場合は生活保護を受けることができる」ということになります。

では、生活保護受給の可否を決める最低生活費とは、どのようなものなのでしょうか。

実際の最低生活費の計算はかなり複雑ですが、基本的には「7種類の生活保護を合計した金額=最低生活費」だと思ってください。

…とここで、「生活保護って7種類もあるの?」と驚かれた方も多いことでしょう。そう、生活保護には以下7種類があるのです。

・生活扶助
・教育扶助
・住宅扶助
・医療扶助
・介護扶助
・出産扶助
・葬祭扶助

このように7種類の扶助がある生活保護ですが、「医療扶助」と「介護扶助」は現物給付となっています。つまり現金給付ではないので、最低生活費の算出に影響を与えません。

「出産扶助」と「葬祭扶助」は、その名のとおり出産や葬儀の際に支給される扶助です。

これらの扶助も継続的な支給を必要とするものではないため、最低生活費の計算に含める必要はありません。

となれば、残るは「生活扶助」「教育扶助」「住宅扶助」の3つのみ。

この3つの扶助を合計した金額が、最低生活費になるのだと思ってください。特に重要となるのは「生活扶助」です。

「生活扶助」は、いわば生活保護の中核を担う扶助。衣食に必要なお金や光熱費などの、日常生活を送るうえで最低限必要となる費用を満たすための扶助となっています。

他方、「教育扶助」は子供に義務教育を受けさせるため扶助であり、お子さんのいない家庭に対しては支給されません。

また「住宅扶助」は、賃貸住宅の家賃の支払いあるいは持家の修繕に利用する扶助となります。基本的には、賃貸住宅に住んでいる方を対象とした扶助だと思ってください。

もし「教育扶助」や「住宅扶助」を受けない場合は、最低生活費の計算にこれらの扶助を入れることはできません。

この点を踏まえたうえで、次節では具体的な最低生活費の計算方法を見ていきましょう。

最低生活費の計算方法

keisan0912

最低生活費の計算方法をご紹介する前に、以下の前提条件を確認してください。

・最低生活費と比べる収入は、あくまで世帯収入である
・最低生活費は住んでいる地域や世帯人数、家族の年齢といった条件によって変わる

仮に個人の収入が最低生活費を下回っていても、世帯収入が最低生活費以上であれば生活保護の受給対象とはなれません。

世帯収入とは、同居する家族の収入の合計です。

最低生活費が、お住まいの地域の物価などを考慮して決定される点も覚えておいてください。物価の低い地域では、最低生活費も低くなります。

以上の点を踏まえたうえで、まず生活扶助の計算方法を見ていきましょう。生活扶助は、以下の3つの要素を総合して決定されます。

生活扶助 第1類費・・・個人に対して支給される生活費用
生活扶助 第2類費・・・世帯に対して支給される生活費用
加算額・・・身体障害者、母子家庭といった条件を持つ場合に支給される金額

上記3つの要素を計算するには、まずお住まいの地域の「級地」を知らなければなりません。

級地とは、物価を考慮して全国の市町村につけられた等級だと思ってください。級地には「1級地」「2級地」「3級地」の3つがあり、各級地はさらに1と2に分類されています。

お住まいの地域の級地は厚生労働省のホームページで確認できるので、各自お調べください。

級地ごとの「生活扶助基準」も、同様に調べておきましょう。

厚生労働省のホームページからアクセスできる「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(平成28年度)」には、生活扶助基準の一覧表が掲載されています。

両者ともに最低生活費の算出に必要なので、一度チェックしてみてください。同ページに記載されている逓減率の表も、生活扶助の計算には欠かせません。

「級地」「生活扶助基準」「逓減率」の3つを確認できる体制が整ったら、いよいよ生活扶助の計算に入ります。以下の計算を順番に行ってください。

計算A : 第1類基準額①(世帯全員の合計)×逓減率+第2類基準額①=生活扶助基準①
計算B : 第1類基準額②(世帯全員の合計)×逓減率+第2類基準額②=生活扶助基準②
計算C : 生活扶助基準①×3分の0+生活扶助基準②×3分の3

計算Cをみると、生活扶助基準①の計算は不要に思えるかもしれませんね。

しかし、生活扶助基準①にもちゃんと意味はあります。「生活扶助基準①×0.9」と計算してみてください。

計算結果が生活扶助基準②より大きい場合は、Cの計算結果の代わりに「生活扶助基準①×0.9」の計算結果を後の計算に用いることになります。

ここまでの計算で導き出された値を、仮にXとしましょう。

このXに前述した加算額を足した数字が、生活扶助の額となります。加算額がない方の場合は、Xが生活扶助の金額です。

具体的な加算額の金額については、厚生労働省のホームページで確認してください。

続いて最低生活費の計算に入りましょう。

まず住宅扶助と教育扶助の確認を行います。

住宅扶助の上限金額は級地によって異なるので、こちらも厚生労働省のホームページでご確認ください。子供1人あたりの教育扶助の金額は、以下のとおりとなっています。

基準額:小学校=2,150円 中学校=4,180円
学習支援費:小学校=2,560円 中学校=4,330円

基準額と学習支援費を足した金額が、受給可能な教育扶助の額です。

住宅扶助と教育扶助を確認できたら、先ほど計算した生活扶助に住宅扶助と教育扶助を足してください。計算結果として出た数字が、あなたの最低生活費です。

具体的な計算例

かなり駆け足で最低生活費の計算方法をご説明しましたが、ここまでついて来れたでしょうか?

「なんだかよくわからないよ」という方も、多数おられるかもしれませんね。

そこでここからは、具体的な最低生活費の計算例を見ていきたいと思います。具体的な例を見れば、最低生活費の計算についての理解が深まるはずです。

ケース1:大阪府大阪市で一人暮らしする30代男性の場合

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最初にご紹介するのは、大阪市に一人で住んでいる30代男性Aさんの最低生活費計算例。

Aさんの住まいは、家賃3万5千円のアパートとします。

早速、前節の計算式に当てはめつつ、Aさんの最低生活費を計算していきましょう。ちなみに大阪府大阪市は1級地-1となっています。

計算A:41,440円(第1類基準額①)×1.0000(逓減率)+44,690円(第2類基準額①)=86,130円(生活扶助基準①)
計算B:38,430円(第1類基準額②)×1.0000(逓減率)+40,800円(第2類基準額②)=79,230円(生活扶助基準②)

生活扶助基準①に0.9をかけても79,230円を上回らないので、生活扶助基準②を続く計算に用います。

といってもAさんには加算額がなく子供もいないので、生活扶助基準②にプラスできるのは住宅扶助のみです。

大阪市の住宅扶助額は、一人暮らし世帯の場合で39,000円が上限

Aさんが暮らすアパートの家賃は3万5千円なので、79,230円+35,000円=114,230円がAさんの最低生活費となります。

Aさんの場合は収入が114,230円以下であれば生活保護を受給できることになります。

ケース2:大阪府大阪市で家族と暮らす30代男性の場合

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続いてAさんと同じく大阪府大阪市で家族と暮らす男性、Bさんの最低生活費をチェックしてみましょう。

Bさんは同い年の妻と、8歳になる息子と暮らしているとします。住まいは家賃6万円のハイツ。

一人暮らしのAさんと家族と暮らすBさんとでは、どの程度最低生活費が異なるのでしょうか

A:117,940円(第1類基準額①)×1.0000(逓減率)+54,840円(第2類基準額①)=172,780円(生活扶助基準①)
B:111,250(第1類基準額②)×0.8350(逓減率)+59,170(第2類基準額②)=152,063円(小数点以下切り捨て・生活扶助基準②)

各第1類基準額は、家族3人分の基準額の合計となっています。ここで、生活扶助基準①に0.9をかけてみましょう。

172,780円×0.9で答えは155,502円。生活扶助基準②より大きい額となりました。続く計算には、こちらの数字を用います。

Bさんに加算額はありませんが、小学生の息子が1人います。

小学生一人分の教育扶助は4,710円。155,502円に4,710円を足すと160,212円になりますね。

この額に3人世帯に対する大阪市の住宅扶助上限51,000円を足すと、トータルの金額は211,212円。

1円以下は10円単位に切り上げられるので、211,220円がBさんの最低生活費となります。

ちなみにハイツの家賃のうち住宅扶助で賄えない部分は、生活扶助で補うことになります。

ということで、Bさんの最低生活費はAさんの場合より10万円近く増えました。

Bさんの場合は収入が211,220円以下であれば生活保護を受給できることになります。

生活保護受給によって受ける制限

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ここまで読んでいただいたみなさんの中には、「自分も福祉事務所で生活保護を申請してみよう!」と決意した方も多いことでしょう。

しかし、行動に出るのは少しだけ待ってください。

はやる気持ちを押さえて、生活保護受給者の生活に課される制限について一度は考えておくべきです。以下を御覧ください。

・ケースワーカーの指示に従って生活する必要がある
・貯蓄が制限される
・原則として車を所持できない
・ぜいたく品は所持できない

生活保護受給中は、ケースワーカーの指示に従って生活しなければなりません。

また、貯蓄額が制限されたり、車やぜいたく品を所有できなくなったりといった制限も課されます。

趣味で高価な楽器やオーディオ機器などを所有していませんか?もし所有しているなら、それらを売却するようケースワーカーから指導される可能性があります。

このほか、近所に生活保護の受給を知られる可能性もゼロではありません。

生活保護の受給は決して犯罪行為ではありませんが、世間の風当たりが強いことも事実です。

こうしたデメリットを避けたいのであれば、生活保護を申請する前にいま一度よりよい転職先を探す努力を行ってみてください。

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