友人・知人との借金の借用書と公正証書の作り方

知人間で借金をするときは口約束で貸したり借りたりしてしまいがちです。その後何事も無く返済が行われれば良いのですが、現実では金銭トラブルに発展することも少なくありません。

万が一の自体に備えてぜひ借用書を作成したいところですが、素人が借用書を作成するのはこれまた簡単ではありません。今回の記事では借用書、および強制力のある公正証書の作り方について解説したいと思います。

借用書の種類は全部で4つ!

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本来、借金の契約は口約束だけでも成立します。しかし、口約束しかしていないと、後でトラブルに発展する可能性が高いです。

借金などしていない、と債務者に開き直られたら、債権者はどうしようもありませんし、債権者が法外な金利を請求することもあるかもしれません。

通常はそうしたトラブルを防ぐために、借用書を作成します。借用書は借金の契約を証明する重要な書類です。借用書は原則として、以下の4つのいずれかに分類することができます。

1.金銭消費貸借契約書

金銭消費貸借契約とは、債権者が債務者に対してお金を貸して、債務者が債権者に対して返済を行う契約のことです。いわゆる普通の借金のことであり、通常お金の貸し借りをする際には金銭消費貸借契約書を作成します。

2.金銭消費貸借兼抵当権設定契約書

金銭消費貸借件抵当権設定契約とは、金銭消費貸借契約に加えて、抵当権を設定したものです。抵当権とは、債務の履行が行われなかった場合、債権者が他の債務者よりも優先的に債務の弁済を受けられる権利のことです。

抵当権を設定しても専有は移らず(債務が正常に履行されている限りは債務者がその不動産を使い続けることが出来る)、債務の不履行があった場合には不動産は原則として没収となります。住宅ローンを組むときは金銭消費貸借抵当権設定契約書を作成します。

3.債務承認弁済契約書

債務承認弁済契約とは、すでに発生している債務の存在について債務者が承認し、その返済を約束する契約です。口約束でお金を貸し借りしてしまったけれど、やっぱり借用書がほしいという場合は、債務承認弁済契約書を作成します。

債務承認弁済契約書を作成するにあたっては、その債務について具体的に特定することが重要です。

4.金銭準消費貸借契約書

金銭準消費貸借契約とは、借金以外の債務例えば買掛金や損害賠償債務などをを金銭の消費貸借に引き直す際に作成する契約書です。

元の債務のままで弁済することも可能なので、この契約を結ぶことにはあまりメリットがないのですが、例えば買掛金は消滅時効が短いので、契約を引き直して時効時間を伸ばすなどの芸当ができます。

 

借用書に必ず書かなければいけない8つの事

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実は借用書に決まったフォーマットはなく、双方の合意さえあれば自由にテンプレートを決めることができます。ただ、素人がテンプレートを作るのは簡単なことではありません。

インターネット上で自由に使えるテンプレートがたくさん見つかりますので、それをダウンロードして使うのが最も良いでしょう。

一般的な借用書には、以下のことを記載します。

1.借用書の作成日付

作成した日付を記入します。日付は西暦(2016年)でも和暦(平成28年)でも構いませんが、契約書内で年月日を複数回記載する際には西暦か和暦、どちらかで統一しましょう。

作成する日付に決まったタイミングはありませんが、基本的にはお金を渡す日に契約書を作成するのが最も良いかと思います。

2.債権者と債務者、それぞれの署名

指名だけでは不十分なので、できれば住所も記載しましょう。ワープロで打つと本人確認ができないため、なるべく直筆で記入するようにしてください。

直筆サインがある場合一般的に押印は不要ですが、押印があって困ることもないので、念のため押しておきましょう。印鑑は実印を使用してください。

3.借りた金額

借りた金額については漢数字でも算用数字でも構いませんが、算用数字だと改ざんされる可能性があります(1を7に変えられるなど)。できれば漢数字を使ってください。推奨される漢数字は「壱弐参四五六七八九拾百千万」です。

また、金額の前には「金」後ろには「円」と書いてください。例えば「金弐百五十万円」と言った感じです。あとから桁を増やされると困るので、字は詰めて書きましょう。

4.最終期限

いつまでに返せば良いのかの最終期限を設定します。返済期限がなくても契約が無効になることはありませんが、トラブル防止の為必ず返済期限を書いておきましょう。

親子間で無期限の貸付をしてしまうと、贈与と見られ贈与税がかかってしまうことがあります。分割返済の場合はそれに加えて

  • 返済間隔
  • 1回あたりの返済額
  • 返済期間
  • 返済期日
  • 返済回数

も記載しましょう。

5.収入印紙

収入印紙とは、高額な契約をするときに使う印紙です。行政に対する手数料(印紙税)を納付するためのもので、郵便局、法務局、コンビニなどで購入することができます。

収入印紙に割印をして、初めて印紙税を払ったことになります。借用書を作成する場合、契約金額が1万円以上ならば収入印紙を貼り付けて割印を押さなければなりません。

収入印紙の金額は以下のようになります(一部抜粋)。

  • 1万円以上10万円以下:200円
  • 10万円超50万円以下:400円
  • 50万円超100万円以下:1000円
  • 100万円超500万円以下:2000円
  • 500万円超1000万円以下:1万円
  • 1000万円超5000万円以下:2万円
  • 5000万円超1億円以下:6万円

収入印紙代を誰が負担するかについての決まりはありません。債権者が払っても、債務者が払っても、あるいは双方で折半にしてもOKです。貼り忘れた場合は本来の印紙代の3倍を支払わなければならないので注意しましょう。

6.お金を渡した日付

借金の債権・債務は一定期間立つと消えてしまうため、お金を渡した日付は非常に重要になります。手渡しだと後々お金を渡した日々が特定できずに困ることがあります。銀行振込など、記録が残る形で受け渡しをしましょう。

7.利息

個人間でお金の貸し借りをする場合、原則的に利息は付きませんが、双方の合意さえあれば利息をつけることも可能です。個人間でお金を貸す場合の金利の上限は利息制限法で定められており、それを超える金利を設定しても利息制限法のルールが優先され、契約は無効となります。金利上限は以下のとおりです。

  • 10万円未満:20%まで
  • 10万円以上100万円未満:18%まで
  • 100万円以上:15%まで

債権者が利息を取る必要はないと考えている場合は、この項目は設定しないでも構いません。利息の計算方法はかなり複雑でここには書ききれないので、専門書などを読んで勉強してください。

8.遅延損害金

遅延損害金とは、債務が履行されなかった場合に、債権者が債務者に対して請求できる損害金のことです。返済が遅れた場合、債務者は遅延損害金を払わなければなりません。

遅延損害金の上限も利息制限法で定められており、それを超える金利を設定しても利息制限法のルールが優先され、契約は無効となります。金利上限は以下のとおりです。

  • 10万円未満:29.2%まで
  • 10万円以上100万円未満:26.28%まで
  • 100万円以上:21.9%まで

 

借用書が無効になるケース2つ

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借用書に書いてあることがすべて有効になるわけではありません。例えば前述のとおり、利息制限法に違反した金利を書いてもそれが適用されることはありません。以下の様な記載がある場合、契約が取り消されることがあるので気をつけましょう。

1.公序良俗に反する契約

公序良俗に反する契約とは、例えば「債務を履行できない場合は銀行強盗をしてでも返すこと」「返済が遅れた場合は人質を差し出すこと」などです。こうした契約は当然無効になります。

2.制限行為能力者の適用者の契約

制限行為能力者とは、未成年者(婚姻している者は除く)、成年被後見人、被保佐人、被補助人のことです。これらのいずれかに該当する人との契約は無効になることがあります。

こうした人と契約する場合は、保護者や後見人、保佐人、補助人と合意を取り付けたうえで契約する必要があります。

 

実は借用書には強制力がない!作るなら公正証書にしよう

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さて、仮に不備のない借用書が作れたとしても、それだけで浮かれてはいけません。借用書はあくまでも借金が存在することを証明する書類であり、それがあるからといって強制回収をすることはできないのです。

債務者が債務の弁済を行わない場合、債権者は裁判を起こして、勝訴判決を得たうえで財産を差し押さえなければなりません。裁判には時間もかかりますし、弁護士費用だって安くありません。

裁判で100%勝てる保証もないですし、裁判中に相手に自己破産された場合は回収できなくなってしまいます。

仮に借用書の中に「返済が滞ったら財産を差し押さえる」と記載してあっても、それは無効になります。財産の差押えには、「自力救済禁止の原則」という原則があり、国以外が勝手に行ってはいけないことになっているのです。

しかし、公正証書を前もって作成しておけば、債務の不履行があった場合に裁判をすることなく強制回収をすることができます。万が一の際にすぐに、労力をかけずに借金を回収したいという場合は、必ず公正証書と呼ばれる書類を作成するべきです。

債務者が公正証書の作成に同意するかが最大のネックですが、債権者は「公正証書にサインしないなら貸さないぞ」、ぐらいの態度で債務者に望んでもいいでしょう。

1.公正証書は公正役場で作成する

公正証書とは、公正役場と呼ばれる役場で作成できる書類です。公正役場には公証人と呼ばれる専門家が在中していて、その人が公正証書を作成してくれます。

公正証書にも幾つか種類がありますが、お金の貸し借りをする際には「金銭消費貸借契約公正証書」と呼ばれる公正証書を作成します。

公正役場は日本全国の都道府県にあります。(全国公証役場所在地一覧)双方の居住地に関係なく、どこでも作成することができます。

公正証書は債権者と債務者、双方の合意がなければ作成することはできません。合意はしたけれど予定が合わないという場合は、代理人に手続きを任せることも可能です。代理人は親、兄弟、友人、行政書士、司法書士など、誰がなっても問題ありません。

2.公正証書は改ざんの可能性がない

公正証書を作成すると、正本が債権者に、謄本が債務者に渡されます。それとは別に、元本が公正役場に保管されます。債権者や債務者が勝手に公正証書の元本を勝手に改竄することは不可能です。紛失のリスクもありません。

3.公正証書の作成は有料

公正証書を作成するにあたって、公証人に対して手数料を支払う必要があります。手数料は契約金額によって上下しますが、最低でも5000円は支払わなければなりません。

その他正本、謄本代金、収入印紙代などもかかります。場合によっては数万円程度の出費になることも覚悟しておいたほうが良いでしょう。作成代金は債権者が払っても、債務者が払っても、折半でも構いません。

4.公正証書を作ってみよう

公正証書を作成する前に、まずは債権者と債務者で話し合いを行って、公正証書に何を記載するか決めておきましょう。基本的には借用書と同じような内容になるかと思いますが、何を掛けば良いのかわからないという場合は公正証書に電話すれば相談に乗ってもらえます。

あるいは、行政書士や弁護士などに相談するのもいいでしょう。

書くことが決まったら、公正役場に連絡しましょう。基本的に公正証書は予約がないと作れないので、必ず事前に連絡してください。

面談当日は公正役場で「公正証書を作りたい」と申し出れば、公証人のところへ連れて行ってもらえます。公証人に公正証書を作成してもらったら、その内容を確認して署名を行い、公正証書の作成は終了となります。

5.公正証書の作成は必ずすべき?

公正証書は強制力があり、相手に与えるプレッシャーも非常に大きいですが、作成は有料でなおかつ手間もかかります。

相手が十分に信頼でき、公正証書まで作る必要が無いと判断した場合は借用書を作るだけでも良いでしょう(借用書すら作らないのは非常に危険なのでやめましょう)

 

自力で借用書や公正証書を作るのが難しいなら専門家へ

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借用書や公正証書を取り巻くルールは非常に複雑で、素人が簡単に理解できるものではありません。自分では完璧に書面を作ったつもりだったけど、後で不備があることがわかった……では困ります。

書類の作成に不安があるときは、無理せず専門家を頼ったほうが良いでしょう。

公正証書を代理で作成してくれる専門家には「弁護士」「司法書士」「行政書士」がいます。司法書士は場合によっては業務範囲外で受け付けてくれないことも多々あるので、現実的な選択肢は弁護士か行政書士の2択になります。

弁護士は法律全般を扱うことが出来るため、書面作成以外にもいろいろ相談したいことがあるという場合には頼りになります。ただ、公正証書の作成に特化した弁護士は非常に少ないです。おそらく受けてもらうことはできますが、費用は高く付くかもしれません。

行政書士はいわゆる代書屋さんであり、書類作成のスペシャリストです。とにかく完璧な書面作成を優先させたい場合は、行政書士が第一の選択肢となります。弁護士と比べれば、費用も安いことが多いです。

良い行政書士の選び方

行政書士と一口に言ってもその実力は得意分野は十人十色です。何の考えもなく飛び込みで行政書士事務所に行くと失敗することになります。

まずは行政書士の登録番号を確認してみましょう。登録番号は「01010101」と言った感じで、8桁の番号で記載されています。この数字の頭2文字(この場合は「01」)は、登録した年度を示すものです。

この場合、登録年度は2001年です。登録ご間もない行政書士が必ずしも悪徳行政書士というわけではないのですが、実力が足りていないケースもあるので注意が必要です。

報酬は高過ぎるのはもちろんNGですが、だからといって安すぎるのも考えものです。費用対効果を考えて、適切な値段を設定している行政書事務所を選ぶようにしましょう。

実際に相談してみた時のフィーリングも結構大切です。信頼できると感じられた行政書士は、だいたい信頼できるものです(もちろん例外もありますが)。

その他、事務所の雰囲気、設備なども判断材料になります。こればかりはあってみないとわからないので、一度無料相談に訪れてみてください。

 

最後に

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個人間のお金の貸し借りの際には、最低でも借用書を作成しましょう。それがトラブルを防ぐことに繋がるのです。債務者がそれを嫌がるような場合は、そもそも貸しても帰ってこない可能性が高いです。

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