債務整理をするとブラックリストに掲載される、という話を聞いたことがある方は少なくないかと思います。しかし、そもそもブラックリストがどういうものなのか、正確に把握していない方も少なくないでしょう。
今回はブラックリストとはどのようなものなのかを、極力わかりやすく解説したいと思います。
目次
「ブラックリスト」という名前のリストは存在していない
ちょっと以外に思われるかもしれませんが、実は「ブラックリスト」というリスト自体は金融業界に存在していません。
クレジットカードを作ったり、ローンを組んだりした場合、そのことが信用情報機関という民間企業に登録されます。また、クレジットカードやローンの支払が滞った場合には、そのことが事故情報として信用情報機関に登録されます。
この事故情報を比喩的にブラックリストといいます。この記事でもブラックリストに載るという表現を今後使っていきますが、それは事故情報が信用情報機関に登録されることであると解釈して下さい。
ブラックリストに載る理由は3つ!
ブラックリストに載る理由は、大きく3つです。すなわち、延滞、債務整理、代位弁済です。
支払遅延
支払遅延とは、予め決められた期日までに債務の弁済を行わないことです。つまりは返済が遅れてしまうことです。たとえ1日でも遅れてしまえば、原則として信用情報機関に記録されます。
ただし、だからといってその後のローンの審査に必ず影響が出るわけではありません、数日間の支払遅延が1回ある程度ならば、審査には影響が出ないことがほとんどです。
逆に延滞期間が長かったり(目安は3ヶ月以上)、1ヶ月程度の支払遅延を数回繰り返したりした場合は確実に審査に影響が出ます。支払いがどうしても無理そうなときは、早めに金融機関に連絡して指示を仰いだほうがいいでしょう。
特に最近増えているのが、携帯料金の分割払いの未払いです。携帯料金代の支払いも立派な債務の弁済であり、それを行わなければ支払遅延と取られてしまいます。たかが携帯料金と侮っていると、いつの間にかブラックリストに掲載されかねないので気をつけましょう。
債務整理
任意整理、特定調停、個人再生、自己破産などの債務整理を行った場合は、必ずブラックリストに掲載されます。
なお、過払い金請求のみを行った場合はブラックリストに掲載されることはありません。過払い金請求は正当な権利の行使をしているにすぎないからです。但し、過払い金請求をした金融機関からは今後借りられなくなる可能性が高いです。
代位弁済
代位弁済とは、簡単に言えば本人が支払不能になったので連帯保証人や信用保証協会などに代わりに支払ってもらうことです。
大きな額の借金をするには通常、連帯保証人が必要になります。最近は信用保証協会が連帯保証人の代わりになってくれるケースも増えてきていますが、どっちにしろ第三者に借金を払ってもらった場合は、ブラックリストに掲載されます。
ブラックリストに載ると生活に支障が出る
ブラックリストに名前が掲載されると、さまざまな場面で困ることになります。
クレジットカードの審査に落ちる
ブラックリストに名前が掲載されている場合、新規のクレジットカードの審査にはまず間違いなく落ちます。クレジットカードも立派な借金の一つであり、返済事故をおこすような人は信頼できないからです。
どうしてもカードが必要であるという場合は、デビットカードを利用するといいでしょう。デビットカードとは、カードを使用した時点で即時決済され、口座からお金が引き落とされるタイプのカードです。
クレジットカードと違い一旦借金する仕組みがないため、審査はなく誰でも所有できます。
各種ローンが組めなくなる
住宅ローン、カーローン、教育ローンなど、様々なローンが組めなくなります。もし貸してくれる金融機関があったら、それは闇金である可能性が非常に高いです。甘い言葉で近寄ってくる金融機関とはかかわらないようにしましょう。
ブラックリストに掲載されているかどうかは確認できる!
信用情報機関は本人開示制度を設けており、本人から請求があればブラックリストに載っているか載っていないかを教えてくれます。信用情報機関に直接出向いて見せてもらってもいいですが、それが難しい場合は郵送でも受け取れます。
本人以外が申し込みすることも可能ですが、実際に情報を受け取れるのは本人だけです。その為、他人の信用情報をこっそりチェックすることはできません。
また、開示には1000円程度の手数料が必要です。詳細は各信用情報機関のHPでお確かめ下さい。
全国銀行個人信用情報センター(KSC)
http://www.zenginkyo.or.jp/pcic/
株式会社 シー・アイ・シー(CIC)
http://www.cic.co.jp/
株式会社日本信用情報機構(JICC)
http://www.jicc.co.jp/
どこの信用情報機関に問い合わせればいいの?
金融機関は、主に「銀行」「消費者金融」「信販会社」の3つに分類できます。事故を起こした相手が銀行の場合はKSC、消費者金融の場合はJICC、信販会社の場合はKSCに問い合わせるのが基本です。
ブラックリストに載った情報を消す方法
ブラックリストに載っている情報を消す方法は一つしかありません。時が経つのを待つのです。ブラックリストに掲載されている情報は、一定期間立つと削除されます。削除までの期間は事故のレベルによって異なりますが、目安は以下のとおりです。
- 支払い遅延:5年間
- 任意整理:5年間
- 特定調停:5年間
- 個人再生:5年~10年間
- 自己破産:5年~10年間
なお、「待つ」以外の方法でブラックリストに掲載されている情報を消すことはできません(事故情報が事実の場合)。
時々、ブラックリストからあなたの名前を消します、といったような広告を出している業者を見かけますが、どんな業者であってもブラックリストに登録された情報を消すことはできません。つまりは詐欺です。事故情報を消す手数料という名目でお金を騙し取られて終わりです。
間違ってブラックリストに登録されてしまった場合は即座に削除依頼を
一度も支払遅延や債務整理などしていないのに、ブラックリストに名前が掲載されている場合は、すぐに信用情報機関に訂正依頼を出しましょう。
そんなことがあるのかと思われるかもしれませんが、同姓同名による誤った登録などは今までにも何件か起きています。放置すると自分に非がないにも関わらずローンが一切使えなくなってしまうので、非常に困ります。すぐに連絡しましょう。
最後に
借金をする上でいちばん大切なのは、そもそもブラックリストに載らないようにきちんと返済すること、返済できなそうな無理な借り入れをしないことです。「ご利用は計画的に」を肝に念じておきましょう。