様々な金融機関から借金をしていると、どこからいくら借りているか分からない、そんな状況になることがあります。
借金の総額が把握できないと、あといくら返せばいいのか分からないといった精神的なプレッシャーにもなりますし、もし返し忘れている借金があれば、その借金の利息はどんどん膨らんでいってしまいます。
そこで今回は、借金の借入先、総額を調べる具体的な方法を解説します。方法を大まかに分類すると、請求書や領収書から調べる、信用情報機関に問い合わせる、の2つです。
目次
借金の借入先は分かっているが、総額が分からない場合
借入先から、毎月請求書や領収書が送られてきている場合は、それらに記載されている借金の残高をチェックしましょう。合計した金額が現在の借金の総額になります。
しかし、金融機関の中にはこちらから請求しないと、請求書などを発行してくれない場合もあります。そのため、借入している金融機関を全て把握していないと、借金の総額は分からないかもしれません。
全ての借入先を把握できていない場合は、後述する「信用情報機関への開示請求」を行いましょう。
取引履歴の開示請求を行う
直近の領収書や請求書を捨ててしまっている場合は、取引履歴の開示請求を行いましょう。いつ、いくら借金をし、現在までにいくら返済しているかなど、その金融機関とのお金の動きが全て分かります。
取引履歴の開示請求の具体的な方法は、業者によって異なります。電話だけで郵送してくれたり、支店窓口へ行けばすぐに交付してくれたりする場合もあれば、開示請求書への記載が必要になる場合もあります。
まずは、借金をしている金融機関に電話で問い合わせてみましょう。電話番号はその金融機関のどの部署でも構いません。取引履歴の開示請求をお願いしたいと伝えれば、担当の部署に繋いでもらえるでしょう。
ただ、この方法も各金融期間に問い合わせる必要があるので、借入先を把握している場合でないと、正確な借金総額を知ることはできません。注意しましょう。
取引履歴の様式には様々な内容が記載されていますが、元金残高(もしくはそれに類する表記)をチェックしましょう。その合計額が現在の借金総額になります。
取引履歴開示請求書が必要になる場合
取引履歴の開示請求を行う際、金融機関によっては取引履歴開示請求書の提出を求められる場合があります。
この取引履歴開示請求書は決まった様式がなく、それぞれの金融機関で独自の様式を用意している場合も多いです。また、業者によっては取引履歴開示請求書という名前の様式ではない場合もあります。
多くの金融業者は公式ホームページで様式を公開しているので、検索エンジンで「取引履歴開示請求書 〇〇(金融機関名)」などと入力して、該当ページから様式をダウンロードしましょう。
開示には手数料は不要ですが、本人確認ができる身分証明書のコピーが必要になります。具体的には運転免許証や健康保険証、パスポートなどです。
送付方法はほとんどの業者が郵送かFAXで受け付けていますが、店舗の窓口のみの手続きの場合もあるので、最初に電話した際にあらかじめ聞いておきましょう。
借入先が分からない場合の調べ方
借金をどこから借りているのかも分からない・・・、こうなると、少し手間はかかりますが、信用情報機関へ信用情報の開示請求を行う必要があります。以下で詳しく解説していきます。
信用情報機関とは?
まず、信用情報機関とは何かについて簡単に説明しましょう。信用情報機関には、各金融機関を通して得られた個人情報が記録されています。どこで、いつ、誰が、どの金融機関でお金を借りたかなどの利用情報が管理されているのですね。
そして、ほとんどの金融機関は3つある信用情報機関のいずれかに加盟しています。そのため、全ての信用情報機関に問い合わせれば、借金の借入先や総額を照会できるのですね。
信用情報機関は3つあり、それぞれ問い合わせ方が異なる
現在、日本には信用情報機関は3つ存在しています。それぞれの機関名は、
で、問い合わせ方が機関ごとに異なっています。
手続きが面倒だから、自分が関係しているところだけに問い合わせできないのか?と思うかもしれません。しかし、詳しい理由は後述しますが、借金の総額、借入先を知ろうとする場合は、基本的に3社ともに問い合わせる必要があります。
以下にそれぞれの信用情報機関への、具体的な問い合わせ方について解説していきますね。
全国銀行個人信用情報センター(KSC)への情報開示請求の方法
郵送の場合
郵送のみの受付になっています。以下に請求に必要な書類などを記します。
登録情報開示申込書
KSCのホームページからダウンロード(pdf)できます。プリントアウトしたら住所、氏名などの必要事項を記入します。
必要事項
コピーを用意するもの
・運転免許証
・平成4月1日以降に交付された運転経歴証明書
・マイナンバーカード
・パスポート
・氏名と生年月日が記載された住民基本台帳カード
・健康保険証
・公的年金手帳
・福祉手帳
・外国人登録証明書
原本が必要になるもの
・戸籍謄本、戸籍抄本
・住民票
・印鑑登録証明書
(いずれも発行3か月以内のものに限る)
これらの中から2点用意します。また、最低1点は現在の住所が記載されている必要があります。特に運転免許証などは住所変更を忘れていないかチェックしましょう。
手数料
開示請求の手数料として必要になります。郵便局の窓口で購入できます。
以上の4点(登録情報開示申込書、身分証2点、定額小為替)を封筒に入れて、KSCの指定する住所へ送付しましょう。普通郵便で構いません。
送付先
一般社団法人全国銀行協会 全国銀行個人信用情報センター
こちらから送付後、最大10日程度で本人限定受取郵便として、申込書に記入した住所に返送されてきます。
以下にKSCの公式ホームページのURLを貼っておきます。情報開示請求のページにリンクを貼っているので、より詳しい情報を知りたい方はこちらからどうぞ。
全国銀行個人信用情報センター(KSC) 本人開示の手続き
http://www.zenginkyo.or.jp/pcic/open/
株式会社 日本信用情報機構(JICC)への情報開示請求の方法
JICCは郵送、専用窓口、スマートフォンの専用アプリで開示請求の手続きを受け付けています。
郵送で開示請求を行う場合
大まかな流れはKSCと一緒です。以下に必要な書類などを記します。
信用情報開示申込書
JICCのホームページからPDFファイルとしてダウンロードし、氏名などの必要事項を記入します。また、プリンターなどがない場合は、JICCに電話すれば送付してもらうこともできます。
身分証明になるもの(本人確認のため)
1点でよいもの
・運転免許証
・運転経歴証明書
・マイナンバーカード
・パスポート
・写真付きの住民基本台帳カード
・身体障害者手帳
・外国人登録証明書
2点必要になるもの
・健康保険証
・年金手帳
・住民票(原本、発行3か月以内のもの、個人番号記載のないもの)
・戸籍謄本または戸籍抄本(原本、発行3か月以内のもの)
・印鑑登録証明書(原本、発行3か月以内のもの)
また、1点は現住所が記載されているものが必要です。
手数料
手数料として必要です。郵便局で購入しましょう。
以上の3点もしくは4点(信用情報開示申込書、身分証1、2点、定額小為替)を封筒に入れ、JICCの指定する住所に送付しましょう。
送付先
大阪府大阪市浪速区難波中2-10-70 パークスタワー17F
株式会社日本信用情報機構 開示窓口宛
最大10日程度で、信用情報が記載された書類が、申込書に記入した住所に簡易書留で返送されてきます。家族に知られたくない場合などは、オプションで本人限定受取や速達での送付を指定できます。申込書の上部にチェック欄があるので、希望する送付方法のチェック欄をマークしましょう。
速達や本人限定受取の手数料はこちら持ちですので、定額小為替の金額を調整して送付しましょう。
以下にJICCの公式ホームページのURLを貼っておきます。
日本信用情報機構(JICC) ご本人による郵送開示のお申込み手続きについて
http://www.jicc.co.jp/vcms_lf/honnin-kaiji-tegaki.pdf(PDF)
JICCの専用窓口で開示請求を行う場合
専用窓口は東京と大阪の2か所あります。以下のURLから住所、受付時間などが確認できます。
日本信用情報機構(JICC) ご本人の窓口での開示手続き
http://www.jicc.co.jp/kaiji/procedure/visit-person/index.html
開示請求に必要な書類
・信用情報開示請求書
JICCの公式ホームページからプリントアウトして持っていってもいいですし、窓口にも用意されています。
・身分証明になるもの(全て原本が必要です)
1点でよいもの
・運転免許証
・平成4月1日以降に交付された運転経歴証明書
・マイナンバーカード
・パスポート
・写真付きの住民基本台帳カード
・写真付きの健康保険証
・身体障害者手帳
・外国人登録証明書
2点必要なもの
・年金手帳
・健康保険証
・戸籍謄本または戸籍抄本(発行3か月以内のもの)
・印鑑登録証明書(発行3か月以内のもの
・外国人原票記載事項証明書(発行3か月以内のもの)
少しややこしいですが、間違いのないよう持参しましょう。当然ですが、2点必要なものは同じものを2点、というわけではありません。例えば、年金手帳と健康保険証、のようにこのグループのものを2点持っていくということです。
開示手数料
現金での支払いになります。もし、信用情報がなかったとしても、返金はされないので注意しましょう。
手続きが終了すれば、その場で信用情報が記載された書類を渡してもらえます。
JICCの専用アプリで開示請求を行う場合
スマートフォンを持っていて、アプリに対応している機種ならば、アプリから開示請求を行うことができます。
iOS7~9のiPhone 6S/6plus/6/5S/5C/5/4S/4(※iPad、iPodは非対応)、Android2.3以降のスマートフォン(推奨)
身分証明書
・運転免許証
・運転経歴証明書
・マイナンバーカード(個人番号カード)
・住民基本台帳カード(写真付き)
・在留カードまたは特別永住者証明書
・健康保険証
・身体障害者手帳
手数料
具体的な手続きの流れは、アプリ上で全て説明してくれます。そして、送信した内容に不備がなければ、最大10日程度で信用情報が簡易書留で送付されてきます。本人限定受取を希望する場合は、アプリでの手続きの際に伝えておきましょう。
JICCの公式ホームページに、より具体的な手順やQ&Aが記載されているので、そちらも参考にするといいでしょう。
日本信用情報機構(JICC) スマートフォンによる開示申込に関するQ&A
https://jicc.co.jp/faq/faq_05/index.html
株式会社 シー・アイ・シー(CIC)への情報開示請求の方法
CICには郵送、専用窓口、インターネットから情報開示請求を行うことができます。
郵送で開示請求を行う場合
大まかな流れはやはり他の機関と同じです。以下に必要な書類などについて記します。
信用情報開示申込書
CICの公式ホームページからダウンロードするか、電話で取り寄せます。氏名、住所など必要事項を記入して送付します。
身分証明書
身分証明になるもののコピー、または原本(本人確認のため)
コピーを用意するもの
・運転免許証
・運転経歴証明書
・マイナンバーカード
・パスポート
・健康保険証
・写真付き住民基本台帳カード
・年金手帳
・障害者手帳
・在留カードまたは特別永住者証明書
原本を用意するもの
・住民票
・戸籍謄本または戸籍抄本
・印鑑登録証明書
(いずれも発行3か月以内のもの)
これらのうちから2点必要になります。また、最低1点は現住所が確認できるものが必要です。このうち、本籍地、個人番号、基礎年金番号が記されているものは、マーカーなどで黒く塗りつぶす必要があります。忘れないようにしましょう。
手数料
手数料として必要です。郵便局で購入しましょう。
以上4点(信用情報開示申込書、身分証2点、定額小為替)を封筒に入れ、CICの指定する住所へ送りましょう。最大10日程度で、信用情報が記入された書類が簡易書留で送付されてきます。
本人限定受取郵便などを希望する場合は、申込書にその旨を記入し、別途手数料を封筒に切手を入れて調整します。
送付先
東京都新宿区西新宿1-23-7 新宿ファーストウエスト15階
(株)シー・アイ・シー 首都圏開示相談室 宛
株式会社 シー・アイ・シー(CIC) 郵送で開示
http://www.cic.co.jp/mydata/mailing/
専用窓口で開示請求を行う場合
CICの窓口は全部で7か所あります。最寄りの窓口を確認しておきましょう。以下に窓口の住所、受付時間などが記載されたページを貼っておきます。
株式会社 シー・アイ・シー(CIC) 窓口で開示
http://www.cic.co.jp/mydata/contact/
CICでは申込書は必要ありません。窓口の近くに「C-touch」と呼ばれる端末があり、それを操作して個人情報の記入などを行っていきます。
身分証明書
記入後、窓口で本人確認書類を提示する必要があります。身分証明書として認められているのは以下のものです。
1点でよいもの
・運転免許証
・運転経歴証明証
・パスポート
・写真付きの住民基本台帳カード
・身体障害者手帳
・在留カードまたは特別永住者証明書
2点必要になるもの
・年金手帳
・健康保険証
・戸籍謄本または戸籍抄本(発行3か月以内のもの)
・印鑑登録証明書(発行3か月以内のもの)
手数料
これに加えて、開示手数料が500円かかります。支払いは現金のみです。以上の手続きが終了すると、その場で信用情報が記載された書類を受け取ることができます。
インターネットで開示請求を行う場合
CICはインターネットでも開示請求を受け付けています。インターネットによる開示請求には本人確認書類が必要なく、クレジットカードがあれば手続きできるため、他の方法よりも手間が少なく開示請求を行えます。
パソコンとスマートフォンでは少し手続きの流れが異なるため、別々に解説していきます。
パソコンを用いて開示請求を行う場合
まず、PDFがお使いのパソコンで閲覧できるかを確認してください。閲覧できない場合は、「Adobe Reader」をインストールする必要があります。
次に、開示手数料の決済に使うクレジットカードの会社に届け出ている電話番号から、CICに電話をします。違う番号から電話をすると、正しい開示報告書が回答されないため注意しましょう。また、CICの電話番号は以下のページでも確認できます。
株式会社 シー・アイ・シー パソコンでの開示手順
http://www.cic.co.jp/mydata/pc/procedure.html
電話をすると、手数料の決済に使うクレジットカード番号と有効期限の入力を求められます。その入力が終わると、受付番号が発行されるので必ずメモしておきましょう。この受付番号の有効期限は発行後1時間です。
次に、上記のリンクページから手続きを進めていきます。画面内容に従って、受付番号や個人情報などを入力していきます。最後に決済に使うクレジットカード番号などを記入し、入力内容に間違いがなければ、確認ボタンを押します。
すると、クレジットカードの決済が行われ、パスワードが表示されます。このパスワードは信用情報が記載されたPDFファイルを開くときに必要になるので、必ずメモしておきましょう。
その後、PDFファイルのダウンロード画面になるので、「ファイルの保存」を選択します。ファイルを開こうとすると、パスワードを求められるので、先ほど表示されたパスワードを入力します。以上でパソコンによる開示請求の手続きは終了です。
情報開示後、開示手続きを行った旨の確認はがきが自宅に送られてきます。
スマートフォンを用いて開示請求を行う場合
まず、お使いのスマートフォンがインターネット開示に対応しているか確認しましょう。
iPhone(iOS 7.0.6 以降) Android(4.1以降)
受付番号、決済の流れはパソコンの場合と同じです。決済後、パスワードが表示されますので、忘れずにメモし、ファイルがダウンロードされたらパスワードを入力することで、信用情報を確認することができます。
基本的に3社ともに情報開示請求を行う必要がある
開示請求は手間もかかりますし、手数料も1社あたり1000円程度とはいえ、数が増えれば馬鹿にはなりません。できるだけ自分が関係している1社だけで済ませたいと思うのが当然でしょう。
しかし、金融機関は全ての信用情報機関に加盟しているわけではありませんし、そもそも借入先が分からない以上、自分の信用情報がどの信用情報機関に管理されているか確実にはわかりません。
傾向として、銀行はKSC系、消費者金融系はJICC、クレジット系はCICに加盟している場合が多いようですが、例外も多くあります。
面倒だからと手を抜いてしまうと、後から見逃してしまった借金の大きな利息に追われかねません。しっかり3社ともに情報開示請求を行って、全ての借金を把握しましょう。
まとめ
借金は放っておくと、どんどん利息が膨らみ、とても返しきれない額になってしまいます。そうなる前に借金の全貌をしっかり把握し、場合によっては債務整理を行うなどの手立てを打ちましょう。