工場勤務といっても、その仕事内容はさまざまです。
工場の仕事はきつい、危険というイメージを持っている人もいるようですが、必ずしもそうではありません。
むしろ、技術の発達によって人がやる部分は減少しており、安全になってきていると言えます。安全教育を行っている工場も多いです。
ここでは、工場勤務の仕事内容とそのメリット・デメリットについて紹介します。
工場の仕事は多種多様
工場の求人でよく募集されている仕事内容は、ライン作業、マシンオペレーター、検査、ピッキングなどが代表的です。
ライン作業
工場の求人に応募すると、一番就くことになる可能性が高いのがこのライン作業ではないでしょうか。
ベルトコンベアや台車にのせられて流れてくる作りかけの製品を組み立てていく作業です。
ライン作業とひとくちに言っても、ネジを締める作業、自動車のタイヤなどのパーツを取り付けていく作業、お弁当におかずを盛り付けていく作業など、さまざまです。
なにを作っている工場なのかによって仕事内容がある程度は想像できたり、想像できなかったりします。
例えば、自動車や冷蔵庫、洗濯機などの身近なものを作っている工場なら、だいたい仕事内容は予想できるでしょう。
しかし、半導体などの製造工程は多くの人にとってわからないものなので、実際に働いてみないと想像もできないかもしれません。
また、自動車や冷蔵庫などは普段から使用しているものですが、その中身については不透明な点も多いので、やはり工場見学をしてみるとイメージと違ったということもしばしば起こるようです。
ライン作業は無資格・未経験の人でもできる仕事が多いということが特徴です。
マシンオペレーター
その名の通り、機械を操作する仕事です。
作っている製品によって仕事内容は大きく異なります。
ネジを作っている工場なら、機械にネジの元となる金属をセットしてスタートボタンを押し、加工が終わったら検査・計測をして異常がなければ次の工程へ流すといった流れになるようです。
工業高校の機械科を出ている人などがやる仕事であるというイメージを持っている人もいますが、未経験者でも応募できることが多いです。
技術の進歩によって専門の知識を持たない人でも機械の操作ができるようになってきています。面接でポイントとなりやすいのはむしろ健康であること、元気があること、社会人としてのマナーが身についていることなどになるでしょう。
検査
製品に異常・不具合がないかどうかをチェックする仕事となります。
目で簡単に異常がないことを確認するだけということもあれば、顕微鏡やマイクロメーターなどの器具を使って細部まで検査をすることもあります。
ライン作業においては、それなりに早いスピードで流れてくる製品を1つ1つ検査して、不適合品を取り除くという作業もあり、集中力が要求されます。
人間の集中力には限界があるので、ローテーションを組んで適度な休憩をはさみながら交代で作業を行っていくようになっていることが多いようです。
ピッキング
伝票に書かれたものを倉庫などから取り出していく作業になります。
フォークリフトの免許が必要になることもあります。
その他にもさまざまな仕事がある
代表的な工場勤務の仕事内容をあげてみましたが、その他にも塗装、部品供給、生産管理などさまざまな仕事内容があります。
また、正社員であるかアルバイトであるかによっても与えられる仕事内容は異なる傾向があります。
アルバイトの人は短期で辞めてしまうことも多いため、比較的すぐに覚えられる簡単な仕事を与えられやすいようです。
一方、正社員の人は定年まで働くことが予定されているので、さまざまな工程・部署をまわって仕事を体験し、全体の流れを把握したうえでリーダーなどの管理職につくということが多いです。
工場勤務のメリット・デメリット
製造業はIT化・コンピューター化してきているので、メリット・デメリットは昔とは変化しています。
メリット
メリットとしては次のような点があげられます。
接客のようなコミュニケーションスキルを求められない
高卒・未経験でも正社員を目指しやすい
若いうちから高い給料を得られる可能性がある
もともと接客業をやっていたが、対人関係でストレスが溜まって工場の仕事を始めるという人も多いようです。
大手のメーカーの工場などはとてもホワイトであるという噂があります。
ブラック企業という言葉が流行しており、民間企業では残業代の未払いなどが問題になることがありますが、工場の仕事では残業代や休日出勤代などが支払われないというトラブルはほとんど聞きません。
デメリット
デメリットは次のような点になります。
立ち作業が多い
単純作業が多いので、集中力が必要になる
交代勤務の場合、夜勤がある
多忙な時期には休日出勤や残業が多くなる
基本的には肉体労働なので、最低限の体力は必要になります。
座り作業もありますが、基本的には立ち作業となるようです。
自動車工場の組み立てライン工など、体力がある男性でなければこなすことが難しいようなハードな仕事もあれば、精密機械を扱う仕事など手先が器用な女性のほうが向いている仕事もあります。
交代勤務には大きく分けて2交代制と3交代制があります。例として、
3交代制:8時~16時、16時~24時、24時~8時
といったものになりますが、工場によって時間帯は異なっています。24時間稼動している工場では3交代制となっていることが多いですが、8時~21時、21時~8時というように2交代制で毎日残業があるところもあります。
夜勤や残業をすると手当てとして最低25%の割増賃金がもらえますので、この点ではメリットとなるでしょう。
人によって向き・不向きがある
工場の仕事は単純作業が多いということがデメリットとしてあげましたが、黙々と集中して作業をすることが得意という人にはむしろ向いている仕事と言えます。
逆に、飽きっぽい人には向いていないという意見が多いですが、ケースバイケースです。
派遣社員や契約社員でもやる気がある人にはいろいろな仕事を教えていくという工場もありますし、リーダーになれば人を管理する仕事もやるので、必ずしも単純作業ばかりであるとも言えません。
工場勤務の給料
工場の仕事はきついわりに給料が低いというイメージを持っている人もいますが、実は以外に給料は高いようです。
平均年収のトリック
製造業で働いている人の平均年収は金融、弁護士、コンサルタント、IT企業などに比べると高くはありませんが、実はトリックがあります。
平均年収を出す時には、正社員だけでなくアルバイトやパート、契約社員の給料なども計算に入れます。
例えば、
アルバイト1人、年収150万円
契約社員1人、年収250万円
という会社があったと仮定します。計算を簡単にするために数値や人数をシンプルにしています。
(800万円+150万円+250万円)÷3人=400万円
というように、正社員の年収は800万円であるにも関わらず、その会社で働く人の平均年収は400万円になってしまいます。
工場勤務で年収1,000万円以上は不可能であると考える人もいますが、地方の中小企業の工場でも工場長クラスになると年収1,000万円以上を稼いでいる人はたくさんいるようです。
工場の仕事ではアルバイトや契約社員などの非正規雇用が多いため、実際の給料はデータよりもかなり高くなっているケースもあるということは知っておきましょう。
製造業の中でも、繊維、非鉄金属、自動車、通信機器、半導体などの業種は特に年収が高いようです。
学歴と年収の関係
工場の仕事では学歴は関係ありませんが、大手企業では高卒の人は現場主任や係長が限界という説があります。
中小企業の場合には高卒の人でも社長、専務、部長といった役職についていることが珍しくありません。
日本は実力主義の社会になってきているので、今後はますます学歴は関係なくなっていくかもしれません。
期間工の給料は高い?
正社員に比べるとパートやアルバイト、契約社員の給料は低く設定されている傾向があります。
正社員のほうが経験を積むごとに責任が重い仕事を与えられていくのでこれは仕方がありません。
若い人はまだ正社員になれる可能性が高いので、正社員登用制度などを利用して早いうちに正社員になっておきましょう。
非正規社員の仕事の中でも、期間工の給料は正社員に劣らないくらいに高いです。
月収例・・・32万円
皆勤手当て・・・月4万円
6ヶ月後にもらえる満了金・・・20万円
寮費・水道光熱費無料といった福利厚生付き
などというようにとても好待遇となっています。年収に換算すると400万円前後になります。
体力に自信がある人ならば、期間工として2年程度働いて、正社員登用制度を利用して正社員になるというのが理想的なルートの1つとなるでしょう。
しかし、正社員登用制度があるとは言っても、とても狭き門となっているようなので、最初から正社員の求人に応募をしたほうが可能性は高いでしょう。
勤務地
工場勤務では寮が付いているので、必ずしも自宅に近い勤務地を選ぶ必要はありません。
車を持っていない人でも応募をすることができますが、地方で働く場合には車がないと不便であるという意見が多いので、なるべく免許はとっておいたほうが良いです。仕事を始めてから免許を取得したいと思っても、なかなか時間が作れなくなります。
勤務地は地元から離れていてもかまいません。
九州に住んでいる人が関東まで出てきて自動車工場の期間工をやるといったことも珍しくありません。
その場合、九州から関東へ移動する時の交通費、帰りの交通費は会社が負担することになります。ただし、期間工の仕事を期間満了前に自己都合で辞めた場合には帰りの交通費は基本的に自己負担となります。
期間工の仕事に限った話ではありませんが、自己都合で辞めた場合にはさまざまなデメリットがあるので、契約期間はしっかりと働くようにしておきましょう。
新幹線のチケット代などの交通費は会社負担となるので、会社の担当者から地元で働くことを勧められるというケースもありますが、健康でやる気がある人ならば遠方でも活躍してくれることを期待して、採用される可能性も高いです。
寮に入る場合の注意点
寮に入る場合には、寮のルールをしっかりと守るようにしておきましょう。
・恋人など部外者を泊めることは禁止
・ゴミの出し方
・仕事が終わったらすみやかに退寮する
・原状回復義務
・ペットの飼育
・他の住民への迷惑行為
といったルールが設定されていることが多いです。ルールを破ったら即退寮させられるという会社もあるので、ルールについてはあらかじめ確認をしておきましょう。
社会人としての常識がある人なら、普通に生活をしていればルールを破ってしまうということはないでしょう。
タバコを吸う人は「原状回復義務」によって、クロスの張り替え費用を請求されてしまうこともあります。あらかじめ部屋の中でタバコを吸ってよいかどうかを確認しておくべきでしょう。
一般向けの賃貸マンションやアパートとしている場合には門限はありませんが、会社が所有している寮の場合には門限が設定されていることもあります。
退寮のトラブル
ある意味で一番重要になるのが退寮時のルールとなります。
基本的には契約が終わってその会社の従業員ではなくなったらすみやかに寮を出なければなりません。
1週間くらいは待ってもらえることが多いですが、自己都合で辞めた場合には「明日までに部屋を空けてください」などと言われることもあります。
担当者は期間満了までしっかりと働いた人に比べて、期間の途中で自己都合で辞めた人に対しては冷たい態度をとる傾向のようです。
実家に帰ることができず、しばらくはホテルに泊まることになってしまったというトラブルもよく耳にします。仕事が終わった後のことはしっかりと考えておき、準備をしておきましょう。
おすすめの求人サイト
工場で働く場合には、まずは正社員の仕事を検討してみましょう。
大手の転職サイトDODAにはぜひ登録をしておくことをおすすめします。
日本最大級の転職サイトのDODAは求人数も多く、工場勤務の仕事が多数紹介されています。
若い人の場合、転職エージェントを活用することがおすすめです。若い人は自分の能力を最大限に活かす方法を知らないために就職活動で失敗してしまっていることがあります。
転職エージェントなら経験豊富なアドバイザーがマンツーマンでサポートをしてくれるので、満足のいく転職ができる可能性が高まります。