IT化・コンピューター化が進んでいますが、今後ますますその傾向が顕著になるという予想があります。
ITエンジニアの活躍の場が広がっているとも言えます。
10年後、20年後の未来はだれにもわかりませんが、ITエンジニアになっていれば、将来も食べることに困ることはないでしょう。
未経験者がITエンジニアを目指すなら、まずはプログラマーという選択肢がおすすめできます。そこからシステムエンジニアなどにキャリアアップを目指しましょう。
未経験者がプログラマーに応募するときのポイント
新卒採用というイベントは、人生で一度きりのものです。大学生の時に就職活動をがんばっているかどうかで、人生が決まると考えている人もいます。高卒で働く場合にも、同じことが言えます。
新卒採用というイベントで正社員になることに失敗したら、あたかもドロップアウトしたかのように考えてしまう風潮が日本にはあり、問題視されています。
今後の日本は変わっていく可能性がありますが、現状としては、まだまだ未経験からの転職は、厳しいものがあります。
なぜ未経験者の転職は厳しいの?
なぜ未経験者の転職が厳しいのかという理由は、とてもシンプルです。
新卒採用では、フレッシュな新人を採用して、将来役に立つ人材を育て上げるという目的があります。
それに対して、中途採用では、即戦力となる人材が求められています。未経験者は即戦力とはなりませんから、中途採用では厳しい戦いを強いられてしまうのです。
企業がコストと時間をたくさんかけて、社会人経験が少なく、そのままではさして役に立たない人材をじっくりと育て上げてくれるのは、基本的には新卒採用だけです。
プログラマーは未経験からでも挑戦ができる
例外的に、「若年者トライアル雇用」といった制度などもあります。
優秀な人材が足りている企業なら、わざわざ中途採用で未経験の人材を募集して、コストと時間をかけて育てたりはしないでしょう。
大企業や優良企業では、基本的に未経験者を採用するのは、新卒採用というイベントのときだけになります。
しかし、どこの企業でも優秀な人材が足りているわけではありません。
中小企業の中には、優秀な人材が足りないなら、育て上げようと考えているところもあります。そのような企業などが、未経験者を積極的に採用しています。
ITエンジニアの需要は高いですが、決して楽な仕事でもありません。
新卒採用でプログラマーとして採用されても、なにも身に付かずに3年以内に辞めてしまう人もたくさんいいます。
プログラマーという職種は、適正が重要になる仕事なのかもしれません。
ITエンジニアの需要は高い、しかし辞めていく人も多い・・・・
ということは、まだ枠が余っていると前向きに考えることもできますね。
プログラマーは、未経験者でも積極的に採用している中小企業がたくさんあります。
未経験者が求人を見るときのポイント
未経験者が求人を見るときは、「未経験者可」もしくは「未経験者歓迎」と書かれている求人に応募するようにしましょう。
「実務経験1年以上」と書かれている求人に応募しても、書類選考で落とされる可能性が高いです。
もちろん、難関大学の情報系学部を卒業している、日本で合格者が数人しかいないような難関資格を保有しているなど、突出した経歴がある人なら可能性はあります。
「未経験者可」と書かれている求人よりも、「未経験者歓迎」と書かれている求人に応募することが好ましいです。なぜなら、「歓迎」ということは、未経験者を積極的に採用しようという姿勢が見えるからです。
「未経験者可」ということは、実務経験がある人が応募してきたら、そちらを優先されてしまう可能性も高いということです。
しかし、実務経験が問われない求人は貴重なので、「可」というところでも積極的に応募してみるのがよいでしょう。
研修が付いている求人は安心できる?
プログラマーの求人の中には、「3ヶ月の研修期間あり」などと書かれている求人があります。
未経験なのにいきなり現場に放り出されてしまう会社もある中、3ヶ月の研修で技術を身につけてから仕事につくことができるので、安心ができます。
しかし、3ヶ月の研修中は試用期間であり、給料が低めに設定されていることも多いです。その間に生活ができるかどうかも、しっかりとシミュレーションしておきましょう。
未経験者が持っていると好ましいスキル
未経験からプログラマーに挑戦するとき、持っていると好ましいスキルについて紹介します。
情報系の資格
情報系の資格は、あったほうが好ましいです。IT企業に就職をするために資格の勉強をしているという人はいますが、注意点もあります。まずはどのような資格を持っていると有利になるのかを紹介します。
ITパスポート試験
情報処理技術者試験のうち、最も入門にあたる資格です。最低限のIT基礎知識を持っていることの証明になります。
昔の初級システムアドミニストレータ試験の後継資格であると言われることもありますが、難易度は低めです。
初級システムアドミニストレータ試験は大学生が取れる資格の中では難易度が高いほうでしたが、それよりも難易度は低いので、取得難易度は下がっている反面で、プログラマーになるための資格としては不十分かもしれません。
プログラマーを目指すなら、最低でも基本情報技術者試験を目指しましょう。
試験会場にもよりますが、頻繁に試験が開催されているので受けやすいです。試験時間は120分です。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は昔からある資格です。初級システムアドミニストレータ試験の上位の資格として位置づけられていましたが、初級シスアドが廃止され、その試験範囲の一部が基本情報技術者試験に吸収されたので、難易度は下がっているという意見があります。
プログラマーを目指すなら、基本情報技術者試験は取得しておきたいところです。
年に2回、春期と秋期に試験が開催されています。難易度はやや高めです。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験の上位にあたる資格です。
ITエンジニアとしての実務経験がない人が独学で合格できるレベルとしては、応用情報技術者試験が限界になるかもしれません。
逆に言えば、応用情報技術者試験までなら独学でも合格できるということです。高校生でもこの資格を持っている人がいます。
ITエンジニアとして1年~2年程度の経験を積んだ人が持っているとよいと言われている資格なので、未経験者は無理をしてここまで勉強する必要はないかもしれません。それよりも、他にやることがたくさんあるので、余裕がある人向けの資格です。
資格を持っていることのメリットとは?
資格を持っていることで、企業が新人の教育にかける時間やコストをわずかに節約できます。
また、プログラマーになってから1年間勉強をしたのに、結局身につかずに辞めていってしまうという人もいます。資格を持っている人はすでに一定のハードルを超えているので、勉強ができずに辞めてしまうという可能性は低いです。
資格マニアになってはいけない
資格を持っていることは、IT基礎知識を持っていることの証明になりますが、それほど大きく有利になるわけではありません。
基本情報技術者試験くらいのレベルの知識なら、1年~2年もプログラマーとして仕事をしていれば、自然に身についていくものです。
同じ条件ならば、わずかに有利になるという程度の効果しかないと考えておきましょう。
それよりも、他に身につけるべきスキルはたくさんあるはずです。
資格をとることを優先順位の1番にもってきてはいけません。
資格は実務経験とセットで効果がある
大学生ならば、実務経験がゼロの人同士の戦いとなるので、資格や学歴は意味があります。
しかし、社会人になると、実務経験が一番重要になります。実務経験とセットで資格を持っていると、プラスアルファの効果があります。
例えば、「システム開発経験が2年あり、その上応用情報技術者の資格を持っている」という人は、一定の評価が得られるでしょう。
実務経験がゼロで、資格だけを持っていてもあまり意味がありません。
例外的に、日本で数人しか所有者がいないような難関資格なら、即採用となることもあるかもしれません。
応用情報技術者試験に合格をしたなら、さらに上級の資格の勉強をするよりも、その資格を活かしてプログラマーに就職することを考えましょう。
コミュニケーション能力が重要
プログラマーと言えば、オタクなイメージを持っている人も多いかもしれませんが、実はコミュニケーション能力が重要になります。
コミュニケーション能力とひとくちに言っても、論理的に話す能力、聞く能力、適切な相づちを打つ能力など、さまざまな能力があります。
人と話すことが苦手だからといって、ただちにコミュニケーション能力が低いとは言えないので、諦めないようにしましょう。総合的にコミュニケーション能力を高める努力が必要になります。
チームで仕事をすることが多い
ITエンジニアはチームで仕事をすることが多いです。そのため、プログラマーでも最低限のコミュニケーション能力は必要になります。
プログラマー35歳定年説とは?
プログラマー35歳定年説がありますが、これはプログラマーが35歳になると引退するということを意味するのではありません。
35歳になるころには、システムエンジニアなどの上級の職種にキャリアアップしたり、独立をして会社を興したり、別の道を進んでいることが多いということを意味しています。
プログラマーの年収はそれほど高くはないので、システムエンジニアなどにキャリアアップしていくことが重要になります。
プログラマーの年収は、ケースバイケースですが、だいたい300万円~450万円程度になるようです。
システムエンジニアになると、400万円~600万円程度に上がるようです。上級システムエンジニアになると年収が800万円を超えることもあります。
SEでも年収が1000万円を超えることは難しく、ITコンサルタントなどのさらに上級の職種にキャリアアップすることが必要になるでしょう。
40歳を超えてもプログラマーを続けることは可能ですが、高い収入は見込めないかもしれません。
コミュニケーション能力を向上させる
このように、プログラマーになったらそこがゴールなのではなく、経験を積むほど上級の職種にキャリアアップしていくことになります。
キャリアアップをするためには、幅広い知識を身につけることや、リーダーとしてチームをひっぱっていけるような魅力的な人材になることなどが重要になります。
コミュニケーション能力は向上させることができるので、仕事以外でもセミナーに参加してみたり、普段話すことがない人と話す機会ができたら積極的に話をして情報交換をするなど、コミュニケーション能力を向上させて人脈を広げる努力をしてみましょう。
転職サイトを活用
意外と失敗している人が多いのが、転職サイトの活用方法です。
転職サイトは大手のサイトにだけ登録するという人がいますが、これはよくありません。
大手の転職サイトに広告をのせるためには、100万円以上のコストがかかります。そのため、資金力がある大手企業や、中小企業の中でも優良な企業しか、大手の転職サイトには広告をのせていません。
転職サイトでは、大は小をかねるという法則は適用されません。
未経験からプログラマーになろうとする人の多くは、中小企業をターゲットにしていると思います。
中小企業を中心に扱った転職サイトを最低でも4つくらいはチェックしておきましょう。
若い人なら転職エージェントを利用できる可能性も
転職エージェントとは、完全無料でプロの転職アドバイザーが、転職をサポートしてくれるというサービスです。
なぜ完全無料なのかというと、企業がコストを出しているからです。
そのため、企業が欲しがるようなキャリアをもった人材が利用するというイメージがあります。
しかし、若い人は、「若さ」というスキルをもっているので、転職エージェントを利用できる可能性があります。
転職エージェントなら、非公開求人を紹介してもらえることもあり、普通に求人サイトを見て応募するよりも優良な企業に就職できる可能性が高まります。
若い人は、転職エージェントも活用してみましょう。
派遣社員や契約社員の仕事もチェック
派遣社員や契約社員の仕事は、契約期間の定めのある契約であり、契約期間が終わると失業をしてしまうリスクがあります。
しかし、プログラマーという職業では、実務経験を積んでいくことが重要なので、派遣社員や契約社員でもよいのでとりあえずシステム開発の仕事に関わって経験を積むということには、意味があります。
派遣や契約社員という雇用形態なら、大企業で働ける可能性もあります。
履歴書を書くときのコツ
プログラマーになるための第一の関門が、書類選考です。書類選考に通らなければ、面接を受けることすら叶いません。
学歴や職歴などは、ありのままを書けばよいので、迷うことはありません。なるべく手書きで丁寧に書いたほうが、本気度が伝わりやすいです。
自己PRは3ステップを踏む
自己PRでは、「私は努力家です」などと、1ステップで終わらせてしまう人がいますが、これはよくありません。
1.「私の強みは、努力を続けることができることです。」
2.「中学・高校の6年間サッカーをやっていました。6年間努力をし続けて、高校3年生の時にレギュラーの座をつかみました。」
3.「この経験を通じて、なにごとも努力を続けることで達成できるということを知りました。」
というように、結論、具体例、結果という3ステップを踏むと、説得力が増します。もちろんこれは一例であり、4つ以上のステップを踏んでアピールをするという方法もあります。
採用担当者は同じような履歴書ばかりを見ていて飽き飽きしているという話もあるので、差別化をはかるようにしましょう。
志望動機の書き方
未経験からプログラマーに応募するときに欠かせないのが、やる気があることです。
プログラマーの仕事は甘い仕事ではありませんが、未経験から始めるとなると、過酷さは増します。
未経験者はスキルがない分を、やる気でカバーしなければなりません。
やる気や熱意というのは、実際に顔を会わせて会話をすれば、表情、声、態度などから伝わってくるものです。しかし、履歴書からはそれが伝わりません。
対人能力が高い人でも、履歴書ではいまいち自分をアピールできないという人もいます。
志望動機は、やる気や熱意を伝えるように意識をして書きましょう。
企業研究には時間をかけない
志望動機を書く上で欠かせないのが、企業研究です。
応募する企業がどんなところかがわからないのに、志望動機は書けません。
しかし、企業研究は、応用がきかない部分でもあります。例えば、A会社のことをとことん研究して応募をしても、落ちてしまえば、それまでかけた時間は無駄になります。別の会社に応募をするときには、A社の研究結果は基本的に役に立ちません。
応用がきかない部分ですので、1社ごとにかける企業研究の時間は、最小限でかまいません。
ホームページに書かれている企業理念などは必ず読んで頭に入れておきましょう。
「御社の企業理念に共感しました」などと志望動機に書く人は多いですが、きちんと理解ができていることが前提です。ここで外してしまうと、落とされる可能性が高まります。
志望動機のついていない履歴書はNG
市販の履歴書には、志望動機がついていないものもありますが、これはNGです。
アルバイトへの応募なら、こういった履歴書を使用してもよいですが、プログラマー求人への応募では、きちんと志望動機がついている履歴書を使いましょう。
嘘はつかない
書類選考に落ち続けていると、嘘をついてでも書類選考に通過しようと考えてしまう人が出てきます。
しかし、嘘をついて書類選考に通過したとしても、面接では細部まで詳細に聞かれるので、高い確率でバレてしまいます。
一次面接、二次面接まで行って、嘘をついていたことが原因で落ちたとしたら、それまで費やした時間が無駄に消えてしまいます。
履歴書に書いた内容は、面接では必ず確認されるポイントなので、嘘はつかないことはもちろん、さらにつっこんで質問をされることまで考えて、細部まで説明できるように準備をしておきましょう。
プログラマーの面接に受かるためのポイント
プログラマーの面接には、「こうすれば必ず通る」というコツのようなものはありません。しかし、一定の共通点は存在します。
プログラマーの面接で見られているポイント
身だしなみ
プログラマーの面接は、基本的にはスーツで受けに行きます。だらしないスーツの着こなし方をしていると、アウトです。
技術職とは言っても、最低限の身だしなみは必要になります。
健康であること
プログラマーの仕事は、長い時間をかけてスキルを磨いていきます。正社員として採用をして、コストをかけて育成をしたのに、1年で辞められてしまったら、企業としては損失です。
健康であることも重要です。風邪を引いていてもおかまいなしに面接を受けに行く人がいますが、健康管理にはしっかりと気をつけて、万全の状態で面接を受けに行くようにしましょう。
体育会のように、大きな声でハキハキと受け答えができなければ面接に落ちるというわけでもありませんが、ボソボソと小さな声でしゃべっていたらマイナスイメージをもたれます。
未経験の人は特に、明るく元気な人が求められます。
積極性・やる気
プログラマーを目指す人は、「これからの時代の花形だから」、「華やかなイメージがあるから」などということを志望動機にしている人もいますが、そういう人はすぐに辞めてしまう傾向があります。
「苦しいことでも努力と根性で乗り越えていきます」というように、やる気や熱意がある人のほうが採用されやすいでしょう。
結果が重要
やる気や熱意というのは、どうやって伝えればよいでしょうか?口先だけでありきたりな事をたくさん話したところで、やる気や熱意は伝わりません。
社会人ともなると、大事なのは結果を出していることです。
「独学でプログラミングの勉強をしている」
というだけでは弱いです。
「独学でプログラミングの勉強をして、資格を取得した」
というのであれば、努力をしたうえ、一応の結果が出ています。
「資格を取得した」、「独学でプログラミングを学び、WEBアプリケーションを開発した」、「アンドロイドアプリを開発した」、といように、口先だけではないということをアピールできるものをなにか用意しておきましょう。
年齢
年齢で差別をすることは禁止されていますが、若い方が有利であることは間違いないでしょう。
30代で絶対に受からないということはありませんが、給料は新入社員と同じなので、給料が見合わないことは覚悟しておきましょう。
コミュニケーション能力
コミュニケーション力といっても、おもしろい話ができたり、うまい話ができたりということではありません。問題解決に向かって会話ができるかどうかということです。
チームで仕事をしていくので、積極的に情報交換を行っていないと、その人が病気などで休んだときなどに、他の人が困ることがあります。
それまでの仕事で得た経験
未経験からの応募だからといって、職務経験が問われないわけではありません。
「コンビニのレジのバイトをしていたので、特にアピールできない」などと考える人もいますが、そんなことはありません。
どのような仕事でも、一生懸命にやっていればなにかしら得るものがあったはずです。
具体的にアピールを
「コンビニでアルバイトをまとめるリーダーをやっていました」などとアピールをしても、具体性が欠けているのでたいして意味がありません。
どのような経験をして、どのようなスキルを使って、どんな問題を解決したのかということを、具体的に語れるようにしておきましょう。
企業によって基準は異なる
プログラマーの面接は、企業によって採用の基準が異なります。
正社員の面接なら、一時面接、二次面接、最終面接という3段階の面接を通過しなければならないでしょう。
一時面接では人事の人が評価し、二次面接では現場の技術者が評価をするというように、それぞれ評価の仕方が異なるということもあります。
面接を担当するのはエンジニアじゃないの?
日本のエンジニアの採用面接の特徴として、人事の人が担当するということが多いようです。システム開発のことがなにもわからない人が面接官をして、正しい評価ができるのか?という疑問もありますが、企業によってはそういうこともあります。
面接における評価の仕方は企業によって異なっているので、1社に落ちたからといってあまり落ち込まず、気を取り直して次の1社にチャレンジしてみましょう。