本記事では借金に関するさまざまな単語をまとめています。借金をしようとしたとき、あるいは返済しているときなどにわからない単語が出てきたら、当記事を参照していただければと思います。
借金の基礎について
まずは借金に関する基本的な用語をいくつか説明していきます。
金利・利息とは
キャッシングやカードローンのウェブサイトに必ず掲載されているのが「金利」です。金利というのは借金のレンタル料のようなもので、借金に対してどれくらいのレンタル料金が発生するかを示した数値です。
金利は通常「%」で表されます。たとえば、金利15%と表記されている場合は、借りた額の15%をレンタル料として支払う必要がある、ということです。
通常、金利は年率であらわされます。たとえば金利15%で20万円を借りた場合、1年間で20万円×15%(0.15)=3万円を支払う必要があります。このレンタル料そのものを「利息」といいます。
利息は原則として月払いです。たとえば先の例の場合は、年間3万円の利息(レンタル料)を12か月に分割して、3万円÷12=2500円ずつ返済していくことになります。
金利を無制限に認めてしまうと消費者に不利益が発生するため、現在は法律で金利に上限が定められています。法律で定められている金利の上限は以下の通りです。
- 元金が10万円未満の場合:20%
- 元金が10万円以上100万円未満の場合:18%
- 元金が100万円以上の場合:15%
もしもこの法定金利よりも高い金利を取っている業者があれば、それは100%違法業者なので、そこでは絶対に借りず、できれば日本貸金業協会や金融庁などに連絡するようにしましょう。
さて、このように金利は上限こそ決められていますが、それさえ守っていれば金融機関が自由に設定することができます。そのため、同じ額を同じ条件で借りても金融機関によって金利に差が出ることがあります。
原則としては中小の金融機関よりも大手の金融機関のほうが、消費者金融よりも銀行のほうが金利は低い傾向にあります。
優遇金利とは
通常よりも優遇された金利のことです。同じ金融機関で同じように借りたからと言って必ずしも金利が同じになるとは限りません。たとえば、三菱東京UFJ銀行カードローン「バンクイック」の金利は年4.6%~14.6%と定められています。
この中のどの金利が適用されるかは、審査を受けるまで分かりません。優良な顧客だと判断されれば低くなりますし、あまり優良でない顧客だと判断されれば高くなります。優良な顧客に対して付けられる低い金利を優遇金利といいます。
優遇金利は利用履歴が多く、なおかつ返済実績も多い顧客に対して適用されます。金融機関からしてみれば、優良顧客は金利を優遇してでも止めおきたい存在なのです。
初めて借りる場合は、たとえ年収が1000万円以上で安定していても上限金利(バンクイックの場合は14.6%)になることが一般的です。借り入れて、予定通りに返済してを繰り返していけば、いつかもっと低い金利で借りられるようになるでしょう。
単利・複利とは
金利の計算方法には単利と複利があります。一般的に預貯金などの金融商品の金利は複利で、借金の金利は単利で計算されることになります。
単利とは簡単に言ってしまえば、借りているお金や預けているお金の元金にのみ金利がかかる計算方法です。一方、複利とは、借りているお金や預けているお金の元金と、そこに上乗せされた利息に金利がかかる計算方法です。
ちょっとわかりづらいので具体的な例を見てみましょう。100万円を金利10%で借り、しばらく放置してみます。
まずは1年目。単利の場合も複利の場合も、元金の100万円に金利10%がかかるので、利息は100万円×10%=10万円が上積みされて借金の総額は110万円となります。
続いて2年目。単利の場合は元金100万円にのみ金利10%がかかるので、利息は100万円×10%=10万円です。これが現在の借金110万円に上乗せされるので、借金総額は120万円となります。
一方、複利の場合は元金と1年目の利息を合わせた110万円に金利10%がかかるので、利息は110万円×10%=11万円です。これが現在の借金110万円に上乗せされるので、借金総額は121万円になります。
続いて3年目。単利の場合は元金100万円にのみ金利10%がかかるので、利息は100万円×10%=10万円です。これが現在の借金120万円に上乗せされるので、借金総額は130万円となります。
一方、複利の場合は元金と1年目の利息を合わせた121万円に金利10%がかかるので、利息は121万円×10%=12.1万円です。これが現在の借金121万円に上乗せされるので、借金総額は133.1万円になります。
このように、複利で計算をすると借金(あるいは預金)は加速度的に増えていきます。仮にこの状況が30年間続いた場合、単利では借金総額は400万円にしかなりませんが、複利の場合は1744.94万円まで借金は膨れ上がります。
利息に利息がかかり、さらにそれに利息がかかることによって借金の勢いにブーストがかかるのですね。
通常の業者からの借金は単利で計算されるなのでそこまで気にする必要はありませんが、闇金などは複利を採用していることもあるので気を付けましょう。
なお、複利計算の計算を大雑把に行う上で便利な計算式に、72の法則というのがあります。これは複利計算をする場合、借金(あるいは預金)が何年で2倍になるかを計算する式で
期間(年)=72÷利率(%)
であらわすことができます。たとえば、利率2%で資産を運用していく場合、そのお金を2倍にするには72÷2=36年かかるということです。
逆に、期間から利率を求めることもできます。10年間で資産を2倍にしたいという場合は、利率7.2%で運用すればいいことがわかります。
遅延損害金とは
遅延損害金は、借金の支払いが遅れた場合に支払わなければならない損害賠償金のことです。遅延利息、延滞利息と表現されることもあります。借金の返済が1日でも遅れた場合は遅延損害金が発生することになるので、必ず期日までに支払うようにしましょう。
遅延損害金の金額は以下の計算式で導きます。
遅延損害金金額=借入残高×遅延損害率÷365日×遅延日数
遅延損害率は利息制限法で最大で20%までと制限されています。ほとんどの業者では20%に設定されていますが、中には15%程度の業者もあります。
また、セブン銀行ローンサービスには遅延損害金自体が存在していません。万が一のことまで考えるならば、このような業者で借りるというのも手と言えるでしょう。
具体的に計算してみましょう。借入残高が100万円、遅延損害率が20%で30日延滞した場合、遅延損害金金額は以下のようになります。
遅延損害金金額=100万円×20%÷365×30=1万6438円
支払いが遅れると間もなく業者から連絡が来るはずですので、その際に支払日を約束しましょう。できるだけ早く支払ったほうが、遅延損害金は少なくなります。
遅延損害金を支払ってもいいことなど何一つありません。場合によってはいわゆるブラックリストに掲載されることにもつながります。うっかりによる返済忘れをなくすためにも、返済方補王はなるべく口座からの自動引き落としを選択するようにしましょう。
どうしても返済が難しいという場合は、業者に相談すれば利息のみの支払いを認めてもらえるケースもあります。利息だけでも期日までに払えば、遅延損害金は発生しません。
一括請求とは
一括請求とは、金融機関が債務者に対して借金の一括返済を求める請求のことです。借金の返済の督促を無視し続けた場合、債権者は期限の利益(期限が定められていることによって債務者が受ける利益)が喪失するため、債務者に対して一括請求を行うことができます。
債務者は一括請求の通知が来たからといって、必ずしもそれに応じる必要はありません。一括請求は言って見れば債権者が債務者に対してプレッシャーをかけるための脅しのようなものです。
延滞を繰り返すような債務者に一括支払い能力がないことは、債権者も重々承知しています。返済する意思を見せ、分割であれば支払える意思を見せれば、たいていの場合は応じてもらえます。
業者からの一括請求を無視していると、今度は裁判所から通知が来ることがあります。裁判所から通知が来た場合、それを無視していると裁判をせずして敗けることになってしまいますので、必ず応じるようにしましょう。
仮に裁判を起こされてもまだ債務整理は行えますし、もっと言えば裁判で判決が出た後でも債務整理は行えます。
最も、このような態度はまず人として褒められたものではありません。業者から一括請求が来る前にこちらから連絡し、返済が遅れたことをわびたうえで今後の方針について話し合う、というのが大人の態度です。
おまとめローンとは
おまとめローンとは、複数の借金を一つにまとめること、もしくはそのために用意された金融商品(ローン)のことです。消費者金融から借りた高い金利での細かい借金を、銀行などで低い金利で借りなおすことによって、金利の支払いを減らすことができます。
ただし、おまとめローンにもいろいろな種類のものがあり、商品選びを間違ってしまうとかえって損をする可能性があるので注意しましょう。
おまとめローンを利用する際には、まずは審査を受ける必要があります。消費者金融系は審査は比較的簡単ですが、その分金利が高いです。銀行系は審査はやや厳しいものの、金利は低めに設定されています。
金利の低いところで借金を一本関するのがおまとめローンの最大の目的である以上、なるべく銀行を選んだほうがいいということは言うまでもありません。
おまとめローンの審査で特に重視されるのが借入件数で(借入額は実はそれほど重要ではありません)。借入件数は原則、少なければ少ない方が評価されます。
もともと1社からしか借りていない場合はそもそもおまとめローンをまず利用しないでしょうから、最少は2社ということになります。3社までなら問題ない場合が大半ですが、4社だと黄色信号、そして5社だとまず借り換えは不可能だと考えたほうがいいでしょう。
現在すでに5社以上から借りているという場合は、債務が少ないところの分だけでも一括で返済するなどして、3社以下にしたほうがいいでしょう。
なお、おまとめローンは下記の総量規制の対象外となっていますので、借金の総額が年収の3分の1を超えていても問題ありません。しかし、借金の総額があまりにも多すぎる場合は審査に合格しないことも考えられます。
借金の額を理由におまとめローンを断られた場合は、債務整理も検討したほうがいいかもしれません。
総量規制とは
総量規制とは、個人の借入額が原則として年収の3分の1にまで制限される仕組みのことです。たとえば、年収が600万円の人は、合計で200万円までしか借りられなくなるわけです。ただし、すべての借り入れについて総量規制が適用されるわけではないので注意が必要です。
個人への貸付け契約には「個人向け貸付」と「個人向け保証」があります。前者は貸付、後者は簡単に言えば保証人になることですが、総量規制が適用されるのは前者のみです。保証人になる場合は総量規制は適用されないということです。
また、個人への貸付けについても、すべてが規制されるわけではありません。総量規制で規制されるのは主に「消費者金融」「信販会社」「クレジット会社」からの借り入れです。
たとえばプロミスやアコムなどからのカードローン、あるいはキャッシング、クレジットカードを利用した借り入れなどは総量規制の対象となるため、合計で年収の3分の1までしか借りることができません。
個人顧客から申し込みがあった場合、上記の金融機関は信用情報機関が保存している個人信用情報にアクセスします。個人信用情報にはその人の借入残高が記録されています。したがって、借入残高を隠したまま融資を受けることは不可能です。
なお、総量規制における年収とは主に「控除前の給与」「年金(私的年金含む)」「不動産の賃貸収入」「個人事業の所得」などが挙げられます。退職金や宝くじの当選金、保険金などは対象外となっているので注意しましょう。
年収は原則として自己申告でOKですが、1つの貸金業者からの借り入れが50万円を超える場合や、借入総額が100万円を超える場合は、源泉徴収票や確定申告書などの収入を証明する書面のコピーを求められることになります。
以上が総量規制の基本的な仕組みですが、これには例外もあります。すべての融資に対して総量規制を適用してしまうと住宅ローンや自動車ローンも組めなくなってしまいます。これでは買えるものも買えなくなってしまいますし、売れるものも売れなくなってしまいます。
そのため、貸金業者(消費者金融)以外からの借り入れは、総量規制の対象外となっています。その業者が貸金業者かそうでないのかわからない場合は、その業者のウェブサイトをチェックしましょう。貸金業者ならばどこかに登録番号が表記されているはずです。
また、貸金業者からの借り入れであっても、住宅ローンや自動車ローン、不動産担保有での借り入れは総量規制の対象外となっています。また、個人事業主としての借り入れや、借りる側にとって一方的に有利になる借入(おまとめローンなど)も対象外となります。
なお、当たり前の話ですが、総量規制の対象内の借り入れだからと言って、審査に必ず通るわけではありません。年齢、性別、勤務先などから、総合的に判断を行います。
年収600万の人は最大で200万円借りられる可能性があるというだけで、必ずしも200万円借りられるわけではないことに注意しましょう。
借金の時効とは
借金には時効があります。最後に借金を返済してから(一度も返済していない場合は借入から)一定の期間が経過したうえで、なおかつ所定の手続きをとると、借金がなかったことになるのです。
民法では借金の時効は10年と定められていますが、個人同士の借金については例外的に5年となっています。
これだけ聞けば借金をした後でひたすら雲隠れを続ければいいのでは、と思われるかもしれませんが、そうは問屋が卸しません。
借金の時効を迎えるまでの道のりはひたすら険しく、またたとえ時効を成立させて所定の手続きを取って借金がチャラになったとしても、その後苦労することになるのです。
現在の法律では、債権者には「時効のカウントをストップ、もしくはリセットできる手段」が認められています。その手段は全部で3つ、「債務の承認」「請求」「差し押さえ」です。
債務の承認とは、債務者に借金があると認めさせることです。債務者が自身の債務を認めた場合、その時点で経過していた時間はリセットされ、また1から数え直しになります。
では自身の債務を認めるとは一体どういうことなのでしょうか。簡単に言えば、債務者が1年でも債務を返済すれば、債務を認めたことになります。そのため、債権者は「利息だけでも払ってもらえませんか」などとあの手この手を使って債務を認めさせようとします。
請求はそのまま、債務者に対してお金を支払うように求めることです。ただし、口頭やFAXなどを用いたものは請求とは認められません。支払い督促や訴訟といった法的な手続きの実が請求と認められています。
債務の承認は逃げ続けていれば無視することができますが、請求は金融機関の判断で行われるものなので、ストップすることはできません。
差し押さえとは、財産を没収されることです。自宅に執行官がやってきて家財を抑えられてしまうというイメージが強いかもしれませんが、実際には預金口座や給料などの換金性の高い財産が優先的に差し押さえられます。
このような仕組みがあるため、個人のお金の貸し借り以外で借金の時効が成立する可能性はほぼ0と言っても過言ではないでしょう。業者も仕事でお金を貸している以上、悪質な顧客に対しては強気に出てきます。
そして、仮に万が一一定期間(5年もしくは10年)が経過したとしても、それだけでは時効は成立しません。時効を成立させるためには、もう返済をしないという宣言(意思表示)を行う必要があります。これを時効援用といいます。
時効援用は通常、内容証明郵便と配達証明を用いて行います。(参考:借金の督促に使う「内容証明郵便」ってどんなもの?)
このような非常に高いハードルを乗り越えて時効を成立させることができたとしても、手放しで喜ぶことはでいません。時効が適用されると、そのことが個人信用機関に登録されます。
つまり、その人が借金を踏み倒したことが記録されてしまうわけです。となれば当然新たな借り入れはできなくなってしまいます。今後は自動車も、住宅もすべて現金一括購入しなければならないのです。もちろんクレジットカードも作れません。
このように借金の時効はあまりにもハードルが高いのでお勧めしません。どうしても借金が返済できないという場合は、時効を待つのではなく債務整理によって借金を整理したほうがいいでしょう。
090金融とは
090金融は、固定電話を持たずに携帯電話の実で営業を行っている違法な貸金業者です。携帯電話の番号が090で始まることに由来しています(最近は070や080で始まる携帯電話番号もありますが、その場合でも090金融に含まれます)。
090金融=闇金という考え方でまず間違いないでしょう。
日本で貸金業を営む場合、固定電話を設置することが義務付けられています。また、宣伝広告にはその固定電話のみを掲載しなければならないと法律で定められています。
つまり、宣伝広告に携帯電話番号を使っている貸金業者があったら、それは必ず違法業者であるということです。街中でそういう広告を見かけたとしても、絶対に借りてはいけません。
また、090金融の特徴として、実店舗を持たずに営業していることが挙げられます。そのため、摘発リスクが迫ってきても簡単に逃げることができ、それゆえに警察がなかなか摘発しにくく、なかなかなくならないのです。
その分規模は小さいですが、最近は規模の大きさ、つまりは稼ぎを捨ててでもリスクを最小限にすることを選ぶ闇金業者が多いようです。
090金融への一番の対策方法はもちろんそこで借りないこと、そもそも近づかないことですが、万が一借りてしまった場合は警察に相談しましょう。
ただし、最近は090金融側もどうすれば警察が動けないかをよく知っているので、警察が必ずしも頼るとは限りません。
そのような場合には、法律の専門家である弁護士などに相談しましょう。090金融は自身の違法性をよくわかっているので、法律の専門家を立てられると刑事事件への発展を恐れて手を引いていくことが多いです。
個人信用機関とは
個人信用情報とは、ある人がどこから、どれくらい借金をしているのかをまとめた情報のことです。そのほか、年齢、生年月日、住所、電話番号、勤務先なども記載されています。
個人信用情報を管理する機関が個人信用情報機関です。個人信用情報機関は民間の会社であり、現在の日本には以下の3つの期間があります。
- 株式会社シー・アイ・シー:主にクレジットカード会社や信販会社、消費者金融などが加盟しています。
- 全国銀行個人信用情報センター:主に銀行、信用金庫、信用組合、農協などが加盟しています。
- 日本信用情報機関(JICC):主にクレジットカード会社、保証会社などが加盟しています。
3つの信用情報機関は一部の情報を「CRIN」というシステムで共有しています。この情報共有によって総量規制に違反していないか、過去に返済事故を起こしていないかなどの審査を行います。
個人信用情報は個人で開示することも可能です。借金をどこからしているのかよくわからなくなってしまったという場合は、個人信用情報機関に開示請求を行うといいでしょう。
ブラックリストとは
ブラックリストという単語を聞いたことがある方は多いかと思いますが、実は金融業界にブラックリストというリスト自体は存在していません。
ただし、個人信用情報に傷がつく(債務整理をしたり、返済が著しく遅れた場合)ことを比喩的に「ブラックリストに掲載される」ということがあります。ブラックリストは事故情報と同じであると考えてください。
では、具体的にどのようなことをするとブラックリストに掲載される(事故情報が残る)のでしょうか。まず、返済遅れを起こすとブラックリストに掲載されます。
ただし、数日間遅れた程度ではブラックリストには掲載されないことがほとんどです。逆に3か月以上遅れた場合はまず掲載されます。また、1か月程度の返済遅れでも、それを2度3度と繰り返すと掲載されることがあります。
また、債務整理(任意整理、個人再生、自己破産など)をした場合も、そのことがブラックリストに掲載されます。そのほか、代位弁済(保証人などによる返済)があった場合も、ブラックリストに掲載されます。
なお、過払い金の請求は正当な権利の行使なので、行ってもブラックリストには掲載されません。
ブラックリストに掲載される期間は、その事故の規模の大小によって異なります。最も大きい事故である自己破産の場合は通常10年掲載されます。一定の期間が過ぎれば、事故情報は削除されます。
期間が過ぎる前に情報を削除する方法はありません。中にはそのようなうたい文句で広告を出している業者もありますが、詐欺なので無視してください。
ブラックリストに掲載されている期間中は、原則として新たに借り入れをすることができなくなってしまいます。住宅ローンや自動車ローンはもちろん、クレジットカードも使うことができなくなってしまうので注意しましょう。
それ以外には特に影響はありません。ブラックリストに載っていることは金融機関以外にはまずばれないので就職が不利になったり、勤務先に調査されたりすることもあります。
また、家族や親類などに損害を及ぼすこともありません。ただし、就職先が金融機関である場合はデメリットを被ることがあります。
自分がブラックリストに掲載されているのかいないのか確認したいという場合は、信用情報機関に問い合わせを行いましょう。問い合わせには正確な情報が必要になりますので、あらかじめ転居前の住所や戸籍謄本などを集めておくようにしましょう。
万が一、返済遅れや債務整理などの経験がないにもかかわらずブラックリストに登録されていた場合は信用情報機関に問い合わせて削除してもらいましょう。
担保とは
担保とは、借金をする際に、万が一返済ができなくなった場合に備えて、債権者が債務者に用意させる対象のことです。借金の返済が困難になった場合は、その履行の代わりに担保を没収することによって返済することになります。担保として使えるのは不動産屋有価証券などです。
ただし、中には担保を用意せずとも借りられる借金もあります。例えば、一般的にカードローンやキャッシングなどの比較的少額な融資は担保無しで借りることができます。逆に住宅ローンや自動車ローンなどの高額になりやすいローンでは担保が求められることが多いです。
一般的に担保がある借金は債権者にとっては有利なので、その分利息は低くなります。
担保には物的担保と人的担保があります。物的担保は不動産屋有価証券などのものによる担保、人的担保は保証人や連帯保証人による担保です。
抵当権・根抵当権とは
抵当権とは不動産に設定する担保権のことです。例えば、Aさんが銀行からお金を借りる場合について考えます。この場合、Aさんは自分の家に抵当権を設定してお金を借ります。
銀行はもし債務の返済が行われなかった場合、抵当権を行使し、その不動産を競売にかけることができます。
なお、抵当権は債務の返済が行われなかった時に初めて行使できる権利です。Aさんは債務を返済している限り、抵当権を設定した不動産を自由に使うことができますし、銀行の許可無く売却することもできます。
抵当権の契約自体は口約束だけでも効果はありますが、後で言った言わないで揉めると困るので普通は「抵当権設定登記」をすることになります。これは債務者(Aさん)が債権者(銀行)に対して抵当権を認めるという契約をしたと登記することです。
予定通りに借金が返済された場合、債権者は抵当権を消滅させるための手続きを行います。これを「抵当権抹消登記」と言います。
この手続を忘れていると将来不動産を売却するときにいろいろと揉めることになるので、債権者からそのための書類が送られてきたらすぐに手続きを行いましょう。
一方、根抵当権とは借金を何度もする企業のために作られた制度のことです。お金を何度貸し借りしてもそのままになる抵当権のことを根抵当権といいます。
通常は銀行からお金を借りたら抵当権を設定し、それを返済したら抵当権を抹消しますが、繰り返し借り入れを行う場合、何度も抵当権を設定したり抹消したりするのは面倒です。
そのため、「債権者は予め貸し出すお金の上限を設定し、それ以下の金額ならば、何度借りたり返したりしても抵当権をいちいち登録したり抹消したりせずに、そのままにしておく」という仕組みが作られました。これが根抵当権です。
保証人・連帯保証人とは
保証人・連帯保証人はどちらも人的担保の一つです。もし債務者が借金を返せない場合は、(連帯)保証人がそれに変わって借金を返済することになります。
仮に借金を代わりに返済した場合、保証人は債務者に対してお金を求めることができますが、借金を返済できなかった債務者には支払い能力がないことがほとんどなので支払いには期待できません。
保証人は借りた人と同じ借金を背負うことになるため、安易に保証人になるべきではありません。
保証人には単なる「保証人」と「連帯保証人」があります。どちらも債務者の借金を肩代わりする可能性があるという点では同じですが、いくつか細かな点で違いがあります。
大雑把に言えば連帯保証人のほうが単なる保証人よりも背負わなければならないものが多く、より危険であるといえるでしょう。
具体的に言えば、単なる保証人には「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」「分別の利益」が認められていますが、連帯保証人には認められていません。
催告の抗弁権とは、保証人が債権者に対して「まず債務者から借金を回収するようにしてください」と求める権利のことです。
検索の抗弁権は保証人が債権者に対して「まずは債務者の主たる財産を差し押さえるようにしてください」と求める権利のことです。
分別の利益とは、保証人が複数いる場合に、保証人が負担すべき金額の上限を分割できるというものです。例えば、300万円の借金に6人の保証人がいる場合、一人の保証人が保証しなければならない金額は最大でも50万円になります。
連帯保証人には分別の利益がないため、他の連帯保証人に返済能力がない場合は300万円をまるまる背負わされる事になります。
このように連帯保証人は非常に厳しい立場に立たされることになります。連帯保証人になるのは絶対に避けましょう。親友の頼みなので断れない、という人もいるかもしれませんが、そもそもあなたに連帯保証人になってほしいと頼むような人が親友だとはとても思えません。
真に相手のことを思っているのならば、そんな危ないことはさせないはずです。あなたにとって相手は親友でも、相手にとってあなたはどうでもいい存在だった、ということです。
また、単なる保証人は連帯保証人よりもリスクは小さいですが、それでも借金を背負うハメになる可能性はあります。こちらも極力避けたほうがいいでしょう。
逆に保証人を見つけなければならないという時は、知人友人に頼むのではなく、保証会社を利用した方がいいでしょう。保証会社とは保証料と引き換えに保証人になってくれる会社のことです。
これならば万が一借金が返済できなくなっても、周りの人に影響が及ぶことはありません。
金融機関について
世の中には様々な金融機関があり、それぞれが微妙に異なる業務を行っています。審査が厳しい金融機関もあれば比較的ゆるい金融機関もあります。金利が高く設定されている金融機関もあれば、低く設定されている金融機関もあります。
ここでは世の中の主な金融機関について説明したいと思います。
政府系金融機関
政府系金融機関とは、政府が民間金融機関の不備を補完するために設置している金融機関のことです。民間では融資を行うことが難しい分野に対して、財政投融資制度を用いて融資を行っています。
我々一般人にとっては、政府系金融機関=日本政策金融公庫という認識で間違いないかと思います。
日本政策金融公庫は、中小企業や個人に対して融資を行っている政府系金融機関です。民間から融資を受けることが難しいベンチャー企業にとっては心強い味方であり、審査は比較的簡単で、なおかつ金利も低いという特徴があります。
住宅ローンや教育ローンなど、個人向けの融資も充実しています。
ただし、日本政策金融公庫も金融機関の一種ですから、誰かれ構わずに融資を行っているわけではありません。審査は比較的簡単と言っても、しっかりと準備する必要があります。
都市銀行とは
都市銀行とは、東京や大阪をはじめとする大都市に店舗を構えていて、店舗を広域に展開している銀行のことを言います。
都市銀行という言葉自体には明確な定義はないのですが、一般的には以下の5行が都市銀行に当てはまると考えられています(かつては13の都市銀行が存在していたのですが、20世紀後半から21世紀初頭に行われた金融改革によって統廃合が進められました)。
- みずほ銀行
- 三菱東京UFJ銀行
- 三井住友銀行
- りそな銀行
- 埼玉りそな銀行
都市銀行はその規模の大きさを活かして、大企業への融資や国際取引などを積極的に行っています。
反面、個人の利用者はあまり重視しておらず(決して個人の顧客を蔑ろにしているというわけではありませんが)、そのため相当条件が良くないと都市銀行から融資を受けるのは難しいとされています。逆に審査に受かってしまえば、非常に低金利で融資を受けることができます。
都市銀行は地方銀行と比べると、担保よりも借りる本人の属性を重視することが多いです。年収が高くて安定しており、なおかつ金融資産をそれなりに持っていなければ、都市銀行から融資を受けるのは難しいでしょう。
都市銀行は大都市を中心に店舗展開されているため、全国どこでもサービスを受けられるというのが大きなメリットです。逆にそのサービスを維持するために手数料などは高く設定されています。地方住みの人は地方銀行で口座を作ったほうがいいかもしれません。
地方銀行とは
地方銀行は各都道府県に本店を置き、地方を中心に営業をしている銀行のことです。都市銀行が世界に名だたる大企業などを中心に融資を行っているのに対して、地方銀行は地元の中小企業や個人を中心に融資を行っています。
地方銀行は地元企業や個人への融資の他に、地元に密着した様々なサービスを展開しています。個人向けの商品も充実しており、銀行ごとにバラエティに飛んだ商品が用意されています。
地方銀行の中でも特に営業規模が大きいのが横浜銀行、千葉銀行、静岡銀行の3行です。これらの地方銀行は他県にも積極的に店舗を展開しており、地方銀行でありながら都市銀行としての性質も持ち合わせているといえます。
例えば、横浜銀行は神奈川県内の他に、東京都、群馬県、愛知県、大阪府、そして海外にも店舗を持っています。
最近は地方銀行もインターネット支店を構えることが多くなっているため、地元でない地域の地方銀行で口座を作ったり、融資を受けたりすることも可能となっています。ただし、やはり融資は地元民のほうが受けやすい傾向があります。
地方銀行は都市銀行と比べると融資の審査は比較的簡単です。特に地方銀行には地元経済の基盤を支えて、その発展に寄与するという目的があるため、地元の中小企業や個人に対しては比較的積極的に融資を行っています。反面、金利は都市銀行と比べると高めに設定されています。
地方銀行は全国的に見れば無名かもしれませんが、地元では非常に名を知られた存在です。例えば神奈川県民、特に横浜市民にとって横浜銀行は都市銀行よりもよっぽど身近な存在といえます。地方在住の場合は、地方銀行で口座を作ったほうが便利なケースがままあります。
第二地方銀行とは
第二地方銀行は地方銀行とはまた異なる金融機関の一種です。地方銀行の中でも一般社団法人「第二地方銀行協会」 の会員である銀行を第二地方銀行といいます。
第二地方銀行はもともと中小企業などの相互掛け金を取り扱っていた「相互銀行」が元になっており、地方銀行と比べてもさらに規模は小さく、より地元に密着した金融機関であるといえます。
そのため、都市銀行や大手地方銀行が行っているような大規模な融資は体力的に行なえませんし、金融商品もそれほど充実していません。
反面、その地域内においては地方銀行と同様に大きな影響力を持っています。地域内での融資には地方銀行以上に積極的であり、個人の顧客に対するローンは比較的充実しています。審査が比較的簡単なぶん、金利はやや高めに設定されています。
信用金庫とは
信用金庫とは、地域の人々が利用者となり、互いに地域の反映を図ることを目的にした金融機関です。
地方に根ざした活動をしており、なおかつ取引先は中小企業や個人がメインという点では地方銀行と同じですが、信用金庫は非営利法人であり、利益第一主義ではなく、利用者、つまりは地域社会の利益が重視されます。
一方、地方銀行はあくまで株式会社であり、利益を出して株主に還元することが第一目的です。
また、信用金庫は中小企業(原則資本金9億円以内・従業員300人以内)や地元住民以外には融資できないことになっています。地方銀行も主な顧客は中小企業や地元民ですが、それ以外にも融資することはできます。
このような決まりがあるため、信用金庫は地元民に対しては積極的に融資を行っています。金利は地方銀行と比べても高いですが、とにかく借りられることが重要であるという人にとっては有力な選択肢になるでしょう。
信用組合とは
信用組合は地域に根ざした金融機関の一つです。正式名称は信用共同組合といい、銀行や信用金庫などと同じく融資やローンなどを行っていますが、株式会社である銀行とは違い、地域社会や組合員の利益を第一に考えています。
この点では信用組合は信用金庫と似ていますが、根拠法や会員資格に少し違いがあります。例えば、信用金庫の場合は出資金の最低金額は1億円(一部地域では2億円)となっていますが、信用組合は1000万円(一部地域では2000万円)となっています。
また、信用金庫は組合員でない人の預金も制限なく受け付けているのに対して、信用金庫は組合員出ない人の預金は全体の20%以下になるように制限されています。信用金庫と比べてより規模が小さく地域に根ざしており、組合員の利益を優先するのが信用組合の特徴と言えます。
信用組合の融資の特徴は信用金庫のそれに準じます。審査は比較的簡単ですが、金利は高めに設定されています。
労働金庫とは
労働金庫は労働組合や生活協同組合の働く仲間の相互扶助のために作られた金融機関です。関東の中央ろうきんを筆頭に、全国に13のろうきんがあります。
労働金庫の業務内容は銀行に似ていますが、こちらは営利を目的としない金融機関です。その点では信用金庫や信用組合と同じですね。
労働金庫の特徴として、ATMが無料であることがあげられます。一般的な銀行の場合は時間外は手数料がとられることがありますが、労働金庫の場合は土日や祝日、夜間などに利用しても手数料は無料です。
また、銀行の主な融資先は企業であるのに対して、労働金庫の融資先は個人です。労働金庫の融資の8割以上は一般住宅資金(住宅ローン)に割り当てられています。
その他、生活資金や福利共済資金にも割り当てられています。労働金庫はより生活者本位な金融機関であるといえるでしょう。
労働金庫の金融商品のラインナップは一般的な銀行と変わりありませんが、商品数では銀行に劣る場合が多いようです。
ただし住宅ローンは非常に充実しており、利用者のためのキャンペーンも度々開催されるため、メインの金融機関は銀行だけれど、サブの金融機関として労働金庫を使うという人は決して少なくありません。
信販会社とは
信販会社とは、販売取引信用を営んでいる会社のことです。もう少し噛み砕いて言えば、クレジットカードを発行している会社のことです。
具体的に言えば、三井住友カード、ニコン、セゾン、ジャックスなどが該当します。VISAやマスターカードなどの国際ブランドではないので注意してください。
信販会社の業務は、利用者の代わりに一旦代金を立て替えて、後で請求することです。要するにクレジットカードですね。クレジットカードの支払い方法には一括払い、リボ払い、分割払いがあり、一括払いならば手数料は無料です。
また、クレジットカードによっては買い物金額に応じてポイントが加算されることがあります。クレジットカードの利用限度額をショッピング枠といいます。
例えば、ショッピング枠が10万円になっている場合、クレジットカードで1ヶ月に買い物できる金額は10万円に制限されることになります。
また、多くのクレジットカードにはショッピング枠とは別にキャッシング枠が設定されています。キャッシングとは簡単にいえば直接お金を借りることができる仕組みであり、ショッピング枠とはまた別のものです。
クレジットカードのキャッシング枠はおまけのようなものであり、カードローンのように大きな額を借りることはできませんが、カード発行時に審査に通っていればその後改めて審査を受ける必要が無いのが大きな魅力です。
そのほか、最近の発行会社は個人向けのカードローンを取り扱っている会社も少なくありません。発行会社のカードローンの金利は銀行のカードローンよりも高く、消費者金融のカードローンよりは低いのが一般的です。
消費者金融とは
消費者金融とは法律に則ってお金を貸している業者のことです。違法な事業を行っているヤミ金とは全く別のものなので注意してください。
銀行は顧客の預け入れたお金を使って融資を行っているのに対して、消費者金融は銀行から借りたお金で融資を行っているという違いがあります。必然的に、消費者金融の金利は銀行のそれと比べて高くなります。
反面、審査は銀行と比べれば簡単で、場合によっては即日融資が受けられることもあります。安定した収入がある場合、50万円程度の金額ならば無担保・無保証で融資を受けられるケースが大半です。
ただし、前述のとおり消費者金融は金利が高いため、利用には注意が必要です。
ローンの種類について
一口にローンと言ってもその種類は様々です。同じ金融機関でもローンの種類によって金利が違うことはままあります。ここでは代表的なローンを幾つか紹介したいと思います。
キャッシングとは
キャッシングとは、信販会社や消費者金融が発行するクレジットカードやキャッシングカードなどを利用して、ATMやCD、窓口などでお金を借りられるサービスのことです。
キャッシングとは一般的には短期かつ小口の借金のことを指しています。限度額は多くても50万円程度であり、原則として翌月に一括で返済します。
一括返済なので支払う金額は大きくなりがちですが、返済が1ヶ月で終了するので返済計画が立てやすく、利息の計算も簡単であるという特徴があります。
キャッシングを利用するには信販会社でキャッシング機能付きのクレジットカードを作るか、消費者金融でキャッシングカードを作るかする必要があります。どちらも融資を受ける前には審査があります。
キャッシングの一番の特徴は審査が速いことです。消費者金融によっては、即日で融資が受けられることもあります。一方、クレジットカードの場合は審査から契約~郵送までに1周間~1ヶ月程度かかります。
一方、肝心の金利はカードローンと比べると高く設定されているところが多いです。ただし、キャッシングは原則として翌月一括払いなので、金利が膨らんでしまうケースはそこまで多くありません。
また、消費者金融の中には無利息キャンペーンを行っているところもあります。そうしたサービスを上手く使えば、無駄な金利を支払うことなくキャッシングを利用することができます。
カードローンとは
カードローンは、銀行や消費者金融が発行するカードローン用のカードを利用して、ATMやCD、窓口などでお金を借りられるサービスのことです。キャッシングとそこまで大きな違いはありませんが、カードローンは融資額が100万円を超えることも少なくありません。
返済方法は分割払いやリボ払いがメインで、数ヶ月~数年にわたって返済をしていきます。一括返済ではないので毎月の負担は少ないですが、その分利息負担が大きくなりがちなので注意が必要です。
カードローンを利用するにあたっては、銀行や消費者金融の審査を受ける必要があります。
カードローンの特徴は、キャッシングと比べると金利が低いことです。カードローンとキャッシング、どちらも利用できるケースでは、前者を利用したほうが金利負担が少なくなります。
反面、審査はキャッシングと比べるとやや厳しいですが、それでも人並みの収入があり、それなりの職業に就いていれば問題なく審査に合格できる可能性が高いです。
カードローンは銀行や消費者金融によってかなり金利に差があります。なるべく金利が低いところから借りるようにしましょう。
フリーローンとは
ローンには、借りたお金の使い方が予め決められている「目的別ローン」と、そうではない「フリーローン」があります。
フリーローンは主に銀行が取り扱っている個人向けのローンです。借りたお金は基本的になにに使っても自由なのですが、事業や投資を目的とした借り入れは原則として認められていません。また、申込時によっては使用目的の申告が必要になることがあります。
カードローンとフリーローンはどちらも借り入れたお金の使いみちが自由であるという点では似ていますが、違いもあります。一番の違いは借りられる回数です。
カードローンは、一度審査に合格してしまえば、何度でもお金を借りることができます。一方、フリーローンは一度しか融資を受けることができません。追加融資を受けたい場合は、もう一度審査を受けなければなりません。
これだけ見ればカードローンのほうが便利に見えますが、カードローンは何度も借りられるため、無駄な借り入れを起こしてしまいやすいというデメリットも有ります。
カードローンは追加融資が自由にできないので借入残高を確実に減らすことができます。借金をいつまでも持ち越さないで済む点はフリーローンのメリットと言えます。
また、金利は一般的にフリーローンのほうが低く設定されています。同じ額を同じ金融機関で借りるのならば、フリーローンを利用したほうが利息の負担は少なくなるということです。
審査については諸説ありますが、一般的にはフリーローンのほうが通りやすいと考えられています。
住宅ローンとは
住宅ローンとは住宅の購入資金を融資するローンです(別荘や投資用の物件には使えません)。金利が他のローンと比べて極めて安く、なおかつ35年と長期の借り入れができるのが最大の特徴です。
ただし、融資の額が極めて大きいので、審査は他のローンと比べてかなり厳し目です。
住宅ローンは様々な金融機関が取り扱っていますが、大きく公的住宅ローンと民間住宅ローンに分類することができます。公的住宅ローンは都道府県や市町村などの自治体や、住宅金融支援機構などが行っている融資です。比較的低金利なのが特徴です。
民間住宅ローンは銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、JA、生命保険会社、損害保険会社などが取り扱っています。また、公的住宅ローンと民間住宅ローンの中間にある「フラット35」も最近は人気があります。
フラット35は民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している住宅ローンです。金利は民間金融機関が決めるため、金融機関によって金利や融資額に差がつくことがあります。
保証料、保証人が不必要であり、なおかつ固定金利なので返済プランが立てやすいなど、利用者にとってメリットが大きい住宅ローンであるといえます。
また、耐震性や省エネルギー性が一定の条件を超えた場合には、フラット35Sという制度を利用すれば、金利を一定期間下げてもらうことができます。
教育ローン・奨学金とは
教育ローンとは、金融機関が個人を対象に行う、教育関係費(入学金や学費など)を補うためのローンです。教育ローンの申込者は保護者であり、返済義務を負うのも保護者です。日本政策金融公庫、銀行、信販会社などが教育ローンを取り扱っています。
一方、奨学金とは家庭の経済事情により進学が困難な学生向けの経済的支援制度です。奨学金には返済義務がない給付型と返済義務がある貸与型があります。
貸与型は更に無利子タイプと有利子タイプに分けることができます。貸与型の有利子タイプは利子付きの借金なので教育ローンと同じようにも思えますが、奨学金の場合は返済義務を追うのは子供です。
奨学金には成績に関する条件がありますが、教育ローンにはそれがありません。ただし、どちらも収入に関する条件が定めらているので、教育ローンならば誰でも借りられるというわけではありません。
また、奨学金は原則として春の一定の期間中に申し込まなければならないのに対して、教育ローンは年中いつでも申し込みが可能です。
その他、奨学金は大学を卒業してから返済を開始するのに対して、教育ローンは在学中から返済を開始するという違いがあります。奨学金の利子は在学中には発生しません。
このように、教育ローンと奨学金では様々な違いがあります。どちらも一長一短なので、利用する前に両者のメリットやデメリットを良く比較するようにしましょう。
カーローンとは
カーローンとは、自動車の購入資金を用意するためのローンです。住宅ローンほどではないものの金利が比較的低めに設定されており、なおかつ長期で借りられるローンです。
金利には変動金利と固定金利があります。変動金利は将来の金利変動に合わせて金利が変動します。今よりも低くなる可能性がある反面、その逆の可能性も秘めており不確実性が大きいといえます。
固定金利型は金利が予め決められており、返済計画が立てやすいというメリットは有りますが、ベースとなる金利は変動金利よりも高めです。社会状況に応じて選ぶようにしましょう。
また、カーローンには原則として保証人は必要ありませんが、その代わり保証会社に保証をして貰う必要があります。保証料は一括で前払いするタイプのものと、金利に上乗せされるタイプのものがあります。
金利が低くても保証料が高くては台無しです。カーローンを選ぶ際には金利だけに注目するのではなく、保証料や手数料などもしっかりと考慮して総合的な観点から選ぶようにしましょう。
借金の審査について
借金の審査は一般的に借入額が大きく、なおかつ金利が低いほど厳しくなります。キャッシングや消費者金融のカードローンと住宅ローンではまるで難易度が違います(当然、後者のほうが難易度は高いです)。
しかし、どのようなローンでも基本的にチェックされるポイントは一緒です。ここではローン申し込みの際にチェックされるポイントを解説していきます。
信用情報
信用情報とは、信用情報機関が所持している情報のこと、つまりは過去の借金の返済歴のことです。借金をしてそれを滞り無く返済していれば、評価が上る可能性があります。
逆に長期(概ね3ヶ月以上)の返済遅れがあったり、債務整理の経験がある場合は属性が良くても借り入れは極めて厳しい物になるでしょう。
信用情報は一定期間(5年~10年)程度で削除されるので、急いでいない場合はそれまで待ったほうがいいかもしれません。
年齢
年齢は一般的に働き盛りと言われている年代が最も有利になります。キャッシングやカードローンなどの少額借入の場合は、20代後半~50代前半ぐらいまでが最も評価が高くなります。
住宅ローンなどの高額かつ長期に渡る借入の場合は、40代前半ぐらいまでが高く評価されます。
年収
金融機関やローンの種類によっても様々ですが、一般的には最低でも200万円程度の年収が求められます。審査が厳しいところでは500万円程度の年収が求められることもあります。
自営業者の場合は所得(収入から経費を引いたもの)が審査の対称となるので、税金対策で所得を少なくしていると借り入れが難しくなるかもしれません。
年収負担率
年収負担率とは、年収に対する年間返済額の割合です。例えば、年収が500万円で、年間返済額が100万円の場合、100万円÷500万円=20%となります。
一般的には年収負担額は年収の25~35%以内としているところが多いようです。年収が多いほうが、年収負担率の上限は高くなります。
勤務先
年収が高くても安定していないと審査に通りにくくなります。年収が同じ場合は、立場が安定している職業ほど高く評価される傾向があります。
総じて高評価なのは公務員です。特に政令指定都市クラスの市や県庁の職員は高く評価されます。同じ公務員でも町村役場の場合はややランクダウンといったところです。
民間企業の場合は、大企業の正社員ならば公務員と同等以上に評価されます。大企業の場合は退職金がたくさん支払われる傾向があるため、退職までに返済が終わらない借り入れでも問題視されないケースが大半です。
中小企業の会社員はそれなりといったところです。ただし社員が数人しかいない零細企業の場合は例え正社員でもあまり評価は高くなりません。
自営業や個人事業主の場合は、たとえ収入が高くても評価は低くなりがちです。収入が安定していないことが大きな理由ですが、借入金を事業に流用する可能性が高いことも原因の一つになっています。
本来、カードローンやキャッシングの借入金を事業に充てることは禁止されているのですが、銀行や消費者金融は貸してしまったお金の使いみちを確認することはできません。
したがって、借入金を事業に当てないでも十分に稼げていると明確に確認できる人以外には貸し出さないようにしているのです。
契約社員や派遣社員、アルバイト、パートなどの場合はさらに評価が低くなります。無職の場合はいくら貯蓄があってもそれだけで審査に通るのはほぼ不可能になると言っても過言ではないでしょう。
主婦/主夫の場合は、配偶者の収入によっては借りられることがありますが、本人に収入がないので限度額は低くなります。
勤続年数
勤続年数は長いほうが有利で、3年以上あればまず問題にはなりません。ただし、この場合の勤続年数とは社会人になってからの年数ではなく、現在の会社に就職してからの年数を指します。
例えばある企業で10年間働いて、別の企業に映って丸2目という場合、勤続年数は2年と判断されてしまいます。勤続年数が1年以下の場合は、「どうして1年未満なのか」を質問されることもあるようです。今の仕事を長く続けるつもりであることを表明する必要があります。
居住形態
居住形態とは簡単にいえば持ち家か賃貸か、ということです。持ち家でも賃貸でもどちらでも評価は変わらない、とする金融機関もある一方で、持ち家の方を高く評価する金融機関もあります。
賃貸を高く評価するという事はまず無いでしょう。持ち家があれば返済から逃れるために逃亡する危険性は低いと考えられ、また万が一の際には自宅を差し押さえることもできるからです。
ただし、数十万円程度の借り入れのために持ち家を差し押さえることはほとんどありません。キャッシングやカードローンの場合は、居住形態はほぼ審査に影響を与えることはありません。
住宅ローンや家賃の負担額
住宅ローンや家賃の支払が収入に対して多い場合は、評価が下がることがあります。持ち家ですでにローンを完済しているという場合は、返済に充てられるお金が増えるので評価は上がります。住宅ローンや家賃の支払が月収の30%を上回っている場合は注意が必要です。
居住年数
持ち家の場合は居住年数はほとんど影響しませんが、賃貸の場合は居住年数が1年以下だと低く評価されることがあります。返済から逃れるために転居を繰り返す可能性が高いからです。やむを得ない事情がないにもかかわらず、転居を繰り返すのはやめたほうがいいでしょう。
家族構成
頼れる人がおらず、なおかつ扶養家族が多いと審査で不利になることがあります。子供がたくさんいて親と同居していないという場合は注意が必要です。
逆に親と同居していれば審査で有利になることがあります。配偶者がいる場合は、その人が働いていれば評価は上がり、そうでなければ下がる傾向にあるようです。
健康状態
キャッシングやカードローンではあまり注目されることはありませんが、住宅ローンの場合は団体信用生命保険への加入が必要なため、健康状態についても厳しくチェックされます。
金融機関によっては審査が緩い引受条件緩和型の団体信用生命保険を取り扱っている場合もあるので、不安な場合は相談してみるといいでしょう。
申告は正直に
借金の審査は多角的な観点から行われるので、1つや2つ条件で不利なところがあっても、それだけで審査に落ちるということはあまりありません。不利な面があったとしても、必ず正直に申告しましょう。仮に嘘がバレた場合、審査に通るのは極めて困難になります。
借金の返済方法について
借金の返済方法にもいろいろなものがあります。金利が同じでも、返済方法によって返済総額が変わることがあります。なるべく負担が少なくなるような返済方法を選ぶことが大切です。
残債方式とアドオン方式とは
利息の計算方法には残債方式とアドオン方式があります。残債方式とは、一定期間(通常は毎月1回)ごとに残債(残りの借金)を見直し、それにしたがって利息を計算する方法です。
例えば、60万円を年利10%で借り入れ、元金を毎月5万円ずつ返済していく場合について考えます。
この場合、初月の利息は60万円(残債)×10%÷12=5000円となります。翌月は残債が減っているため、利息は55万円×10%÷12=4583.33……円となります。残債方式ではこのように、返済を進めていくほど利息の負担が少なくなります。
一方、アドオン方式とは最初の元金によって利息を計算し、その後元金と利息の総額割賦割賦で返済していく方法です。
この方法は計算は簡単ですが、元金が減らないものとして計算されているため、最終的な利息支払額は高くなります。現在はアドオン方式での金利表示は禁止されています。
一括返済とは
一括返済とは、その名の通り借金の残債を一括で返済することです。キャッシングの場合は原則として翌月一括返済ですが、住宅ローンやカードローンなど、その他の借金でもまとまったお金が手元にある場合には一括返済を選ぶことができます。
一括返済のメリットは、将来支払わなければならない利息をカットできることです。ローン残高が1000万円、返済期間が後10年、金利3%の場合、一括返済を行うと将来の利息を160万円もカットすることができます。一括返済は時期が速いほど効果的です。
一方、一括返済のデメリットとしては、返済を行うと手持ちの資金がなくなることが挙げられます。
たとえば、ローン残高が1000万円で退職金が1500万円だった場合、すべてを返済に当ててしまうと手持ちの資金が500万円にまで減ってしまい、病気などの急な出費に対応できなくなってしまう可能性があります。
その時に高い金利でお金を借りているようでは本末転倒としか言いようがありません。手元にあるお金を全て返済に当てるのではなく、余剰資金だけを返済に当てるように心がけましょう。
また、住宅ローンの場合は、返済が終わることによって団体信用生命保険が終了してしまうというデメリットも有ります。一括返済直後に世帯主が死亡した場合、手元にはお金もなく家族は苦しい生活に陥ることになります。一括返済は慎重に行いましょう。
元金均等返済とは
元金均等返済とは、元金を返済期間で均等に割り、その上に元金(残債)に応じて利息を上乗せしていく返済方法です。
元金が大きい初期ほど返済額が多くなり、返済が進むに連れて少なくなっていきます。後述の元利均等返済と比べると初期の返済額は多くなるものの、元金の減りが速いので返済総額は抑えることができます。
元利均等返済とは
元利均等返済とは、元金と利息を足した返済額は毎月一定になり、返済金額に占める元金と利息の割合が少しずつ変わっていく返済方法です。
元金均等方式と比べると毎月の返済額が一定になるので返済プランを立てやすいというメリットがある反面、最初は元金がなかなか減らず、返済総額が高くなってしまうというデメリットも有ります。
分割払いとは
分割払いとはクレジットカードの支払い方法の一つで、3回払い、6回払い、12回払いといった感じで、購入した商品の代金を分割して支払うというものです。支払回数は一般的には
3回・5回・6回・10回・12回・15回・18回・20回・24回
の9つの中から選ぶことができます。2回払いというのもありますが、これは一般的には分割払いには含めないことが多いようです。
分割払いには手数料がかかります(2回払いの場合は手数料はかかりません)。手数料と名はついていますが、これは要するに金利のことです。分割払いにおける手数料はかなり高く、安いものでも8%、高いものならば18%程度かかることもあります。
これは消費者金融でローンを組んだ時の金利とほぼ同じです。一括で購入できるものは、一括で購入したほうが良いでしょう。
ただ、この手数料はあくまでも年利であり、実際には返済を行うにつれて元金が減っていくため手数料の支払いは少なくなります。例えば、30万円の商品を3回払い、手数料18%で購入した場合、支払い合計額は30万8875円となります。
実際に支払った手数料は元金の2.8%程度にしか過ぎません。それだけの手数料で高額な商品が早く購入できるのならば、むしろ一括支払いよりもお得だという考え方もあります。
なお、分割払いの実質年利はカード会社や支払回数によって異なります。原則として、支払回数が長くなるほど実質年利は高くなるので注意しましょう。
分割払いの利用方法はとても簡単です。カードを提示して、「○回払いで」と伝えればいいだけです。ただし、店によっては分割払いを受け付けていなかったり、そもそもクレジットカードが使えなかったりすることもあるので気をつけましょう。
カードを提示する前に「クレジットカードは使えますか?」と尋ねるのが親切でいいかもしれませんね。
リボ払いとは
リボ払いとは、毎月一定の額を支払っていく返済方法です。こう聞くと分割払いと同じかのようにも思えますが、リボ払いと分割払いは全くの別物です。
例えば、ある日に商品A(5万円)をリボ払いで購入し、翌月に商品B(20万円)をリボ払いで購入した場合、購入金額が合計され25万円となります。
リボ払いでは債務総額が増えても毎月の支払金額は変わりませんが、支払回数が増えます。そのため、買い物をした額が増えれば増えるほど利息の支払いが大きくなります。
一方、分割払いは1商品に対して適用されます。例えば、商品A(5万円)を分割払い(6回払い)で購入し、翌月に商品Bを分割払い(6回払い)で購入した場合、購入金額は合計されませんし、支払回数も伸びません。その代わり、毎月の支払金額は大きくなります。
分割払いは利用すれば利用するほどひと月あたりの支払額が増えるので、無計画に使ってしまうと大変なことになりますが、その分無駄な買い物を抑制する効果があります。
一方、リボ払いはいくら使ってもひと月あたりの支払額は増えないので返済計画は立てやすいですが、返済期間が伸びてしまいがちで、知らず知らずのうちに借金地獄に足を踏み入れてしまうことも考えられます。リボ払いの利用には特に慎重になったほうがいいでしょう。
債務整理の方法について
借金を整理する方法を債務整理といいます。債務整理の手段の中でも最も有名なのはおそらく自己破産だと思いますが、自己破産は債務整理の一つにしか過ぎません。
その他にも借金を整理する方法はいくつかあります。自身の借金の額や収入、所持している資産の状況などに応じて、適切な債務整理の方法を選択することが大切です。
任意整理とは
任意整理とは、その名の通り任意、つまり債権者と債務者の話し合いで借金を減らせる仕組みのことです。任意整理では原則として利息をカットし、元金やそれに近い金額での返済を行っていくことになります。
債権者が話し合いなんかに応じてくれるの?と思われるかもしれませんが、困窮していて利息まで返すのが難しい場合には大抵の場合応じてもらうことができます。
債務者を追い込みすぎてしまうと、自己破産されてしまうかもしれません。そうなったら一番困るのは債権者の方です。それくらいならば任意整理に応じて、元本だけでも返済してもらったほうがまだまし、というわけです。
任意整理の一番のメリットは、利息の負担がほぼなくなるので支払いが楽になることです。カードローンなどの金利が高いところから借りていると、毎月の利息の支払も結構馬鹿になりません。これをカットできるのは大きなメリットと言えます。
二つ目のメリットは、任意整理を専門家に依頼した時点で、すべての取り立てがストップするところです。弁護士は任意整理の依頼を受けるた直後に、債権者に対して「弁護士が代理人となり、債務整理を行います」という通知を行います。
その通知を受け取った債務者は、その後債務者に対して取り立てができなくなるのです。催促の電話や郵便物に悩まされている人にとって、これは大きなメリットと言えます。
三つ目のメリットは、手続きが簡単なことです。債務整理には他に個人再生や自己破産などがありますが、これらはいずれも裁判所を通して行う手続きです。
必然的にたくさんの書類が必要になりますし、時間も手間もかかります。その点、債務整理は単なる私的な話し合いなので資料収集の手間もかかりませんし、何より手続きがすぐに終わります。
四つ目のメリットは、任意整理の対象を選べることです。車のローンや住宅ローンは債務整理の対象から除外して、カードローンのみを整理する、といったようなこともできます。
五つ目のメリットは、財産の処分が必要ないことです。自己破産をした場合、原則として高額(自家20万円以上の財産、99万円以上の預金)は手放さなければいけないのですが、任意整理にはそのような決まりはありません。任意整理をしても、自動車や住宅は守られます。
一方、任意整理のデメリットとしては、信用情報機関に事故情報が残るため、借り入れができなくなることが挙げられます。その期間は概ね5年~7年程度とされています。
ただ、新たに借り入れができなくなるというのは、借金グセがある人にとってはむしろメリットといえるかもしれません。その5年~7年の間に借金グセをそぎ落としておくことが大切です。
二つ目のデメリットは、誰でも利用できるわけではないことです。任意整理をした後も借金の返済は続ける必要があります。必然的に、無収入の人は任意整理を選ぶことはできません。
三つ目のデメリットは、任意整理が常にうまくいくとは限らないことです。任意整理は前述のとおり、話し合いによる解決方法です。話し合いがいつもうまくいくとは限りません。債権者に突っぱねられてしまってはそれまでです。
ただし、現実問題、弁護士を立てた任意整理が失敗することはまず考えられません。よほどその弁護士の能力に難があったり、もしくは任意整理ではどうしようもないくらいの額の借金を抱えていたりしないかぎりは大丈夫です。
任意整理のデメリットはこれぐらいです。周りの人に知られることもまずないでしょうし、それだけで就職や転職が困難になることも考えられません。
弁護士には守秘義務があるのでそこから情報が漏れることもありません。任意整理はデメリットが少ないのが一番のメリットとも言えます。
特定調停とは
特定調停とは、裁判所を利用した債務整理の方法です。内容としては任意整理に近いですが、裁判所を通すという点が大きく異なります。
特定調停は現在は支払不能には至っていないものの、今後支払不能に陥る可能性が大きい債務者に対して認められた制度の一つであり、平成12年から施行された比較的新しい手続きであるといえます。
特定調停では、簡易裁判所が債務者と債権者の話し合いを仲裁し、合意が成立するように呼びかけます。話し合いでは3年間から5年間をめどに延滞や滞納などが発生しないような返済計画を立て、それに従って返済を進めていきます。
特定調停の一番のメリットは、任意整理と比べると借金の圧縮幅がより大きいことです。任意整理をしてもとても借金が払いきれそうにないという場合には、特定調停が第一の選択肢となります。
二つ目のメリットは、手続きが比較的簡単で、最終的な判断は裁判所が行ってくれることです(任意整理よりは大変です)。任意整理と違い原則として本人が行うことになるため(弁護士を代理人とすることが禁じられているわけではありません)、余計な費用もかかりません。
三つ目のメリットは、財産を失わないことです。任意整理と同様に、特定調停でも財産を失うことはありません。特定調停後も自動車や住宅は守られます。また、任意整理と同様に、借金を選んで整理することも認められています。
一方、特定調停のデメリットとしては、取り立てが停止するまでに時間がかかることが挙げられます。
任意整理の場合は弁護士に依頼すればその当日か翌日にはほぼ間違いなく取り立てがストップしますが、特定調停の場合は実際に裁判所に申し立てをするまで取り立ては止まりません。
特定調停の手続きは比較的簡単ですが、それでも取り立てが止まるまでに多少の時間がかかることがあります。
二つ目のデメリットは、強制執行の可能性が生まれることです。特定調停をすると調停調書が作成されますが、債権者はこの調書により強制執行を行う事が可能になります。
返済が遅れてしまうと即座に給料を差し押さえられてしまうかもしれません。本当に返済できるかよく考えないまま特定調停を行ってしまうと、後々後悔することになるので気をつけましょう。
三つ目のデメリットは、話し合いが成立しない可能性があることです。任意整理にも言えることですが、話し合いは双方の合意によって成り立ちます。
債権者が合意しなければどうしようもありません。裁判所や調停委員が債権者寄りの対応をするか、債務者寄りの対応をするかはほぼ運次第なのも辛いところです。
特定調停はピーク時には年間40万件を超えることもありましたが、その後はデメリットが大きいことがしれた割、現在は4万件程度にとどまっています。これは自己破産の10万件と比べても少ないです。特定調停を行う前には、必ず専門家に相談しましょう。
個人再生とは
個人再生は裁判所を介して行う債務整理の一つです。裁判所が間に入ってくるという点では特定調停と同じですが、特定調停はあくまでも話し合いによって債務を減額するのに対して、個人再生では法的な根拠を元に債務を減額します。
借金を大幅に減額し、残った債務を3年をめどに計画的に返済していきます。計画には債権者の意見が反映されますが、最終的に計画を認めるのは裁判所です。
再生計画案に不備があるといつまでたっても個人再生が認められないので、なるべく専門家に依頼した方がいいでしょう。
個人再生の一番のメリットは、債務の圧縮幅が任意整理や特定調停と比べて大きいところです。個人再生をした後は、債務は5分の1程度になります。任意整理や特定調停ではここまで借金が少なくなることはありません。
任意整理や特定調停ではどうしようもないところまで借金が増えてしまったという場合は、個人再生を選択することになるかと思います。
二つ目のメリットはマイホームを残すことができることです。自己破産では原則として20万円以上の財産は没収されますが、個人再生には住宅資金特別条項があるため、マイホームを残すことができます。
住宅資金特別条項とは、住宅ローンについては従来通り支払い続けて、その他の借金を個人再生で整理できる制度のことを言います。
当然、住宅ローンはそのままなので全借金に対する受託ローンの割合が高い人は支払いに苦しむことになりますが、住宅ローンは払えるけれどそれ以外の借金を支払うのは厳しいという場合には個人再生が第一の選択肢になります。
ただし、住宅資金特別条項は誰でも簡単に利用できるわけではありません。個人再生の要件を満たしたうえで、住宅資金特別条項の要件も満たす必要があります。
この条件は非常に複雑なので、住宅を残したまま個人再生を行いたいという場合は、弁護士などの専門家に相談した方がいいでしょう。
三つ目のメリットは資格制限がないことです。自己破産には資格制限があり、手続き中は一部の職業(弁護士、司法書士、税理士など)には就けなくなってしまいます。個人再生にはそのような縛りはないので、手続き中も仕事を続けることができます。
四つ目のメリットは、免責不許可事由がないことです。自己破産には免責不許可事由というものがあります。免責不許可事由とは自己破産が認められない原因のことで、例えば浪費やギャンブルによる借金などが当てはまります。
一方、個人再生には免責不許可事由はないので、なぜ借金をしたのかについて問われることはありません。
一方、個人再生のデメリットとしては、安定した収入がなければ利用できないことが挙げられます。個人再生は借金を大幅に圧縮できる制度です。もし希望者全員の債務を免除していては、金融機関が破綻してしまいます。
そのようなことがないように、個人再生には一定のハードルが設けられています。無職者、あるいは稼ぎが極端に少ない者などは個人再生が認められない可能性が高いです。その場合は自己破産をすることになります。
二つ目のデメリットは、住宅ローンは減額とはならないことです。個人再生には住宅資金特別条項があるため、住宅ローンを減らすことはできません。住宅ローンが支払えないという場合は、自己破産を選択したほうがいいかもしれません。
三つ目のデメリットは費用が高額になることです。個人再生は任意整理や特定調停などと比べると複雑な作りになっており、そのハードルは高いです。
個人でやると失敗する可能性が高いので専門家に依頼することになるかと思いますが、この手続の報酬はやや高めに設定されています。その他、裁判所等にも費用を支払わなければなりません。
ある程度の現金や預金が手元に無ければ、個人再生を選ぶのは難しいといえるでしょう。
なお、個人再生には小規模個人再生と給与所得者再生の2種類があります。
小規模個人再生は、継続的に収入を得られる見込みがあり、なおかつ債務の総額が5000万円以下の場合に利用できるものです。パートタイマーや年金生活者などでも、継続的な収入があればこちらを利用することができます。
小規模個人再生はもともとは個人事業者を対象に作られた制度ですが、後述する給与所得者再生にはないメリットも多いため、最近は給与所得者でも小規模個人再生を選ぶケースが増えてきています。
小規模個人再生を利用する場合は、半数以上の債権者の同意を得て、なおかつ同意した債権者からの債務が全債務の半分以上を占める必要があります。
小規模個人再生をすると、以下のように借金が減額されます。この金額を最低弁済額といいます。
- 債務額が100万円未満の場合は,その金額
- 債務額が100万円以上500万円未満の場合は,100万円
- 債務額が500万円以上1500万円未満の場合は,5分の1の額
- 債務額が1500万円以上3000万円未満の場合は,300万円
- 債務額が3000万円以上5000万円以下の場合は,10分の1の額
例えば、元の債務が400万円だった場合、債務総額は100万円になります。元の債務が2500万円だった場合、債務総額は300万円になります。
ただし、小規模個人再生をした時点で所有している財産の時価が最低弁済額を上回っている場合は、その額までしか減額されません。例えば、債務額が2500万円で、所有している財産の時価が1000万円の場合は、総債務額は1000万円となります。
債務を圧縮したら、それを分割払いで返済していきます。分割期間は原則として3年間ですが、事情によっては5年までの延長を認めてもらうことができます。支払いペースは通常は毎月1回、もしくは3ヶ月に1回となります。
給与所得者再生は、サラリーマンなどの将来に渡り安定的に収入を得られる見込みがあり、なおかつ債務の総額が5000万円以下だった場合に利用できる制度です。
給与所得者再生では、債務総額は可処分所得(収入から税金や社会保険料などを差し引いた自由に使える金額のこと)によって決まります。原則として、2年分の可処分所得がそのまま債務総額となります。
ただし、この金額は小規模個人再生の最低弁済額よりも必ず多くなるようにしなければならないとされています。
例えば、年間可処分所得が400万円、借金の総額が2000万円の場合について考えます。給与所得者再生を選択した場合、債務総額は400万円×2=800万円です。一方、小規模個人再生を選んだ場合、上の表より債務総額は300万円となります。
そのため、債務者から見れば、給与所得者再生よりも小規模個人再生のほうが明らかに有利であることは言うまでもないでしょう。
であれば、給与所得者再生を選ぶメリットはもはや全く無いかのようにも思えますが、一概にそうとも言えません。小規模個人再生には前述のとおり、全債権者の半数以上の同意を得て、なおかつ同意した債権者からの債務が全債務の半分以上を占める必要があります。
この条件をみたすのは簡単なことではありません。
一方、給与所得者再生は債権者の反対や意義があってもそれを無視して認可を受けることが可能です。債権者からの同意が得られそうにない場合は、給与所得者再生を選んだほうがいいことになります。
自己破産とは
自己破産とは、裁判所で自分が抱えている債務をすべて免除してもらう手続きのことです。任意整理、特定調停、個人再生のいずれも債務を少なくする制度だったのに対して、こちらは完全に借金をなくしてしまうものです。
手続きを開始すれば、貸金業者からの取り立ては止まります。自己破産をすることによって様々なものを得ることができますが、反面失うものも少なくないので手続前には注意が必要です。
自己破産は数ある債務整理の中でも最もリスクとリターンの両方が大きい制度です。とはいえ、自己破産をすればまともな生活が送れなくなってしまうというようなことはありません。何かとイメージの悪い自己破産ですが、夜逃げをするよりはよっぽどマシなはずです。
自己破産の一番のメリットは、もちろん借金が帳消しになることです。ただし、すべての借金が帳消しになるわけではありません。
自己破産が認められても、所得税や相続税、住民税、自動車税などの税金、健康保険料、詐欺や窃盗による損害賠償、子供の養育費などの支払い義務は残ります。自己破産しそうなときでもなるべく税金だけは支払っておいたほうがいいと言われているのはそのためです。
二つ目のメリットは、収入がなくても行えることです。
任意整理、特定調停、個人再生はいずれも手続き後も借金を返済する制度だったため、一定の収入がなければ行えないものでしたが、自己破産は借金をチャラにする制度であるため、無収入でも行うことができます。収入がない場合には、自己破産が第一の選択肢となります。
三つ目のメリットは、家族には影響を与えないことです。自己破産はあくまでも個人が債務の返済が不可能になった場合に行う制度なので、保証人にでもなっていないかぎり家族に直接影響が及ぶことはありません。
例えば親が自己破産しても子供はローンを組むことができますし、夫が破産しても妻はローンを組むことができます。
一方、自己破産のデメリットとしては、一定以上の財産については手放さなくてはならないことが挙げられます。
任意整理、特定調停、個人再生では原則として個人の所有物である財産は守られますが、自己破産の場合は個人の財産は一部が借金の返済に充てられることになります。
といってもすべての財産が没収されるわけではなく、99万円以下の預貯金、及び20万円以下の財産(家具やパソコンなど)は守ることができます。自動車や住宅は原則として手放すことを覚悟した方がいいでしょう。
二つ目のデメリットは、自己破産には免責不許可事由があることです。任意整理、特定調停、個人再生ではいずれも借金の原因などについて探られることはありませんが、自己破産については借金の原因を探られます。
もし借金の原因がギャンブルや浪費だった場合は自己破産が認められない可能性があります。このように、免責を許可できない事由を免責不許可事由といいます。免責不許可事由は他に
- 財産を隠匿、もしくは損壊する
- 一部の債権者にだけ返済を行う
- クレジットカードを現金化する
などがあります。これらの行為をした場合は免責がされないことになっています……が、実際には免責不許可事由に当てはまっても、免責が認められるケースがしばしば有ります。
免責不許可事由があるにも関わらず、裁判所の最良で免責を認めることを裁量免責といいます。現実的には免責不許可事由があっても9割以上の確率で免責が認められますが、だからといって財産隠しやクレジットカードの現金化を行うことはご法度です。
三つ目のデメリットは、前述のとおり税金や損害賠償などの支払いの義務はなくならないことです。このように、自己破産をしても支払い義務がなくなくならない債権を非免責債権といいます。非免責債権には税金、損害賠償、婚姻費用、養育費、生活費などがあります。
四つ目のデメリットは、場合によっては家族にも影響が出ることです。自己破産自体は個人の問題であり、例えば親が自己破産しても子供がローンを組めなくなることはありません。
しかし、例えば子供が親名義の家に住んでいた場合、自己破産をすればその家は手放すことになってしまうので子供にも影響が出ます。だからといって自己破産の寸前に家の名義を子供に変更するような行為は免責不許可事由に該当します。
当たり前の話ですが、自己破産しないで住むのならばそのほうがいいことには変わりありません。
5つ目のデメリットはブラックリストに掲載されることです。任意整理や特定調停、個人再生でもブラックリストには掲載されますが、自己破産の場合はそれよりも更に長い期間ブラックリストに掲載されることになります(原則10年)。
その間は当然新たなローンも組めませんし、クレジットカードなども作れなくなります。また、自己破産をした直後に再び自己破産をすることもできません。
六つ目のデメリットは、手続き中は一部の職業に就けなくなることです。自己破産の手続き中は、弁護士や司法書士、行政書士、保険外交員、警備員など一部の職業には就けなくなってしまいます。手続きが終了すれば、再びその職業に就けるようになります。
七つ目のデメリットは、自己破産をすると保証人に請求が行くことです。本人が自己破産をして債務をなくしたとしても、保証人や連帯保証人には支払い義務が残るので、そちらに請求が行きます。
保証人も債務を返済できない場合は一緒に自己破産をすることになるかと思いますが、その場合、保証人との関係は最悪なものになってしまうと覚悟しておいたほうがいいでしょう。
最近は奨学金を返せずに自己破産をして、その影響で保証人になっていた親も自己破産をする、というケースが少なくないようです。
自己破産によくある勘違い
自己破産をすると他人に知られてしまうのではないかと思われるかもしれませんが、自己破産した事実が他人に知られることはまずありません。弁護士は司法書士には守秘義務があるので、そこから漏れることはまずありません。
また、自己破産をした事実は「官報」という国の広報誌に掲載されます。官報はインターネットで見ることができますが、実際のところ官報に細かく目を通しているのはごく一部の人だけです。
近所の人がいちいち官報をチェックして、あなたの名前を見つけるということはほぼ考えられません。周りに知られるリスクは0ではないですが、ほぼ0であるといえます。
従って、賃貸物件の審査で自己破産を理由に断られることはありません(他の理由で断られることはあります)。また、年金や生活保護も受給できます。
ただし、自己破産をしている素振りを他人に見せてしまった場合はその限りではありません。
例えば自己破産をすると家は原則として手放すことになるので、いきなり引っ越したりすると勘の良い人には「もしかしたらあの人自己破産したのかも…」と気が付かれてしまうかもしれません。
また、弁護士に相談するためにたびたび早退を繰り返すのも不自然です。知られたくないという場合は、こうしたいつもと違い行動はなるべく人に見せないようにしましょう。
それから、自己破産をしても、公民権が停止されることはありません。公民権とは大雑把に言えば選挙権と被選挙権のこと、つまりは選挙で投票したり、選挙に出馬したりする権利のことです。
自己破産をしても投票はできますし、選挙費用が用意できれば出馬だってできます。例えば、2009年の衆議員議員選挙の近畿比例ブロックで民主党から出馬し当選した渡辺義彦さんは自己破産の経験があります。
ただ、渡辺さんの場合は自己破産した事実を隠して出馬しており、そのことについて有権者から批判されています。自己破産でも出馬はできますが、経済的に自立出来ていない人と見られ、選挙で不利になる可能性は十分に考えられます。
借金の相談相手について
借金の返済が苦しい時は、専門家に相談することをおすすめします。彼らは素人がインターネットや本でつけた付け焼き刃の知識とは比べ物にならないくらい豊富な知識を持っています。彼らに相談すれば、最も正しい借金の整理の方法を知ることができるかもしれません。
弁護士と司法書士とは
弁護士と司法書士はどちらも法律の専門家といったイメージが有りますが、両者はもちろん異なる資格です。弁護士は法律業務をすべて得取り扱うことができる、法律業務のエキスパートです。
それに対して司法書士は登記や供託を扱う資格であり、弁護士では行き届かない細かい目を保管する意義を持っています。
ただし、近年は弁護士人口が不足してきているため、法務省の認可を受けた認定司法書士に限り、一定の範囲で紛争解決業務を取り扱うことが認められています。認定司法書士となっても業務範囲は狭く、極限られた範囲の仕事しかできません。
債務整理は弁護士と認定司法書士どちらも行うことができます。ただし、認定司法書士が行えるのは債務額が140万円以下のケースについてのみです。債務がそれより多いという場合は、弁護士しか取り扱うことができません。
となれば司法書士に依頼するメリットはないかのように思えますが、一般的に司法書士のほうが弁護士よりも報酬は低めに設定されています。
自己破産を考えている人の中には弁護士報酬も満足に払えない人も多くいるでしょうから、司法書士を選ぶメリットは十分にあります。ただ、最近は弁護士費用の支払いを分割できる制度もあるので、司法書士を選ぶ経済的なメリットは以前と比べると小さくなってきています。
ただ、司法書士も弁護士と一口に言っても得意分野は千差万別です。借金整理を専門に扱っている司法書士や弁護士に依頼するのが一番いでしょう。まずは身近な弁護士・司法書士事務所を探すところから始めてみましょう。
法テラスとは
法テラスは正式名称を「日本司法支援センター」と言います。法テラスは借金問題を含む法律トラブルを解決できる総合案内所です。問い合わせの内容にあわせて、役立つ法制度や弁護士会、司法書士会、消費者団体などの関係機関への相談窓口を紹介しています。
また、無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替も行っています。法テラスは電話、メール、対面で相談を受け付けています。
フィナンシャルプランナーとは
フィナンシャルプランナーとは、個人の家計の状況からライフプランニング二束した資金計画やアドバイスをしてくれる専門家のことです。フィナンシャルプランナーは税金、投資、借金、相続などのありとあらゆるお金のことに精通したエキスパートです。
フィナンシャルプランナーは借金に特化した専門家ではありませんが、借金問題に関しても一通りの知識は持っているので、相談すれば心強い味方になってくれるかもしれません。
ただし、一般的にフィナンシャルプランナーへの相談は有料となっています。借金グセのある人はなるべく早いうちにフィナンシャルプランナーに相談して、早い段階で生活改善を行ったほうがいいでしょう。
国民生活センターとは
国民生活センターとは、消費生活・消費者問題に関する事例や対処方法を紹介している独立行政法人です。
地震に便乗した不審な訪問販売、電力自由化、マイナンバーを利用した詐欺、ネットオークショントラブルなど様々な消費者問題に対する知識提供を行っていますが、多重債務の相談窓口も設置されています。多重債務で苦しんでいる時には相談してみましょう。
その他借金用語集
押し貸しとは
押し貸しとはヤミ金が行っている手口の一つで、少額の金を一方的に口座に振り込んで貸しつけて、その後高額な利息をつけて返済するように迫るというものです。
押し貸しのパターンにもいろいろありますが、以前に闇金を利用していた人は相手に口座を知られているためリスクが高くなります。また、ヤミ金の利用経験がなくても、銀行から顧客名簿が流出した場合は要注意です。
押し貸しの最も簡単な対処法は、ヤミ金に教えた口座や、情報が流出した口座をすぐに凍結することです。これだけでほぼ確実に押し貸しを防ぐことができます。また、ヤミ金の携帯電話番号を教えてしまっている場合は、その番号もすぐに変えるようにしましょう。
それでも押し貸しを防げなかった場合は、弁護士や司法書士に相談しましょう。無駄な出費ではありますが、脇が甘かったつけだと思って素直に払ってください。押し貸しを放置するより無駄な労力がかかりません。それでも被害が続く場合は、警察や国民生活センターに相談しましょう。
過払い金請求とは
過払い金請求とは、過去に金融機関に対して支払い過ぎていた利息を請求する制度のことです。過払い金請求は法律で認められた制度の一つです。
貸金業者が守るべき金利を定めた法律には出資法と利息制限法の2つがあります。出資法はその正式名称を「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」と言い、そこで定められた以上の利息を取ってはいけないと定められていました。
もし出資法に違反した場合は厳しい罰則が与えられます。かつての利息の上限は29.2%でした。
一方、利息制限法は貸金業者が守るべき利息を定めた法律であり、例えば10万円以上、100万円未満の場合は18%が上限と定められていました。
しかし、利息制限法には罰則がなかったため、多くの貸金業者は利息制限法を守らず、出資法の限度である29.2%まで利息をとっていました。このような出資法的にはセーフでも、利息制限法的にはアウトの法律をグレーゾーン金利といいます。
グレーゾーン金利は本来違法なのですが、前述のとおり罰則がなかったため野放しにされていました。
これは問題があるということで、裁判所はグレーゾーン金利を認めないという判決を出しました。政府も法律を改正し、貸金業者の守るべき上限金利を利息制限法に一本化しました。これにより、グレーゾーン金利での貸出には罰則が与えられるようになりました。
過払い金請求とは、過去にグレーゾーン金利が適用されていた人が消費者金融に対して行える返金手続きのことです。払いすぎていた金利は返してもらうことができます。
ただし、過払い金請求には期限があります。過払い金請求の期限は「借金を完済してから10年」と定められています。グレーゾーン金利での貸出が違法になったのが2006年なので、この時期以降に借金を返済していたい人には払いすぎていた金利を取り戻すチャンスが有ります。
過払い金請求は債務整理とは別物なので、原則として行ってもいわゆるブラックリストに掲載されることはありません。
ただし、返済中の借金の過払い金請求は債務整理扱いになるので注意が必要です。また、過払い請求をかけた消費者金融からは二度と借りることができません。そして何より10年という期限があるので、手続きは早めに行いましょう。
過払い金請求は弁護士などの専門家に依頼すればスムーズに行きますが、一応自分で行うことも可能です。ただし、自分でやるにはかなりの手間と知識が必要になります。基本的には専門家に任せてしまったほうが安心です。
なお、過払い金請求はすべての金融機関に対して行えるわけではありません。グレーゾーン金利時代から利息制限法の範囲で化していた業者には、そもそも金利を払いすぎている可能性はないので請求をしても無駄です。
例えばモビット、アットローン、オリックスなどの消費者金融や信販会社は過払い金の可能性はありません。また、銀行や信用金庫、JAなどのカードローンはもともと低金利なので、過払い金の可能性はありません。
ちなみに、その金融機関が倒産してしまった場合は原則として過払い金請求を行うことはできません。仮に取り戻せたとしても過払い金の数%~2割程度しか取り戻せず、弁護士費用で赤字になってしまうことも考えられます。
すでに武富士をはじめとするいくつかの消費者金融は、過払い金請求による負担に耐えられずに倒産してしまっています。金融機関がいつ倒産するかはわからないので、過払い金請求はできるだけ速く行うようにしましょう。
多重債務とは
多重債務とは、複数の金融機関からお金を借りている状態です。
一つ一つからの金融機関の借入額が少なければ多重債務の状態でも問題ありませんが、以前は借金を返すために別の金融機関から借り入れを起こすという、いわゆる自転車操業の状態に落ちっている多重債務者が少なくありませんでした。
現在は総量規制が敷かれているため、以前と比べると多重債務に陥る人の数は減ったとされています。
多重債務で苦しんでいる場合は、債務整理が第一の選択肢となります。また、借金の額がそれほど多くない場合は、おまとめローンで借金を一本化すると返済が楽になることもあります。なんにせよ、債務はなるべく早く返済するように努めましょう。
取引履歴開示とは
取引履歴開示とは、借金の借入額、返済年月日、返済額などを開示することです。過払い金請求を行う際には、取引履歴の開示が必ず必要となります。取引履歴開示は本人が行うこともできますし、弁護士や司法書士に任せることもできます。
取引履歴開示の手続きの内容は金融機関によって異なりますが、電話や窓口で請求するのが一般的です。手続きをした当日に開示してもらえることもありますが、10日~1ヶ月程度かかることもあります。余裕を持って早めに手続きを行うことが大切です。
なお、どこの金融機関から借りているかわからなくなった場合には、信用情報機関に開示請求を行えば借入先を調べることができます。
取引履歴開示は金融機関の義務とされています。万が一開示請求が通らなかったり、一部の取引履歴しか開示されなかった場合は、日本貸金業協会や金融庁などに相談しましょう。
取り立てとは
取り立てとは、債権者が債務者に対して借金の返済を迫ることです。取り立て自体は債権者に認められた権利ですが、だからといってどんな手段を用いてもいいというわけではありません。取り立てにも一定のルールが有るのです。
例えば、取り立ては原則として午前8時~午後9時の時間中に行わなければならないとされています。正当な理由なく、これ以外の時間帯にFAXを送ったり、電話をかけたり、自宅を訪問したりするのは禁じられています。
ただし、正当な理由(債務者が昼寝て夜働く生活を送っているなど)がある場合は、その限りではありません。
これ以外にも取り立てには様々な制限があります。ヤクザまがいの人間が自宅に来て恫喝するようなことはありません。ただし、ヤミ金ならば話は別です。万が一ヤミ金から借りてしまった場合は、警察に通報し、弁護士に相談しましょう。
引き直し計算とは
引き直し計算とは、過去にグレーゾーン金利で返済をしていた場合に、改めて法定金利(15%~20%)に従って計算し直す作業のことです。過払い金請求を行うにあたっては、必ず引き直し計算を行う必要があります。
引き直し計算は弁護士や司法書士などに依頼することもできますし、自分で計算することもできます。また、引き直し計算を専門に行っているような業者もあります(最近はだいぶ減っているようですが)。
自分で引き直し計算をする場合は、まずは取引履歴開示を行う必要があります。引き直し計算は非常に複雑ですが、最近は取引履歴を順に入力していくだけで自動的に引き直し計算を行なってくれるような便利なフリーソフトもあります。
気になる方は「引き直し計算 フリーソフト」で検索してみてください。
返済限度額とは
返済限度額とは、債務者が返済可能な金額のことです。返済限度額は債務者の収入や消費性向に左右されますが、月収手取り額から住居費(家賃・住宅ローン)を控除して、更にそれを3分の1にしたものがおおよその返済限度額になるとされています。
例えば、月収手取り額が30万円で、家賃が月9万円の場合、(30万円-9万円)÷3=7万円が返済限度額になります。返済限度額ギリギリの生活を続けていると心に余裕もなくなってきますし、肝心の生活が立ちゆかなくなることもあります。
借り入れの前には毎月の返済額を確認し、ほんとうに返していけるのかをよく検討することが大切です。もし現時点ですでに返済が苦しくなっているという場合は、債務整理も検討した方がいいでしょう。
みなし弁済とは
みなし弁済とは、旧貸金業規制法で認められていた制度です。貸金業者が利息制限法所定の利率を超える利息を受領していたとしても、貸金業法43条所定の要件を満たしていた場合は、その返済を有効なものとして認めるという制度です。
本来、利息制限法を超えて支払った利息は無効です。債務者が利息制限法を超えて返済を行っていた場合、債権者はその部分を過払い金として返還しなければなりません。
しかし、貸金業法43条所定の要件を満たすとみなし弁済が適用されてしまい、本来無効であるはずの利息が有効になってしまうのです。みなし弁済は消費者泣かせの制度といえます。
みなし弁済の要件についてはここでは省略しますが、過去には多くの貸金業者がみなし弁済を利用して、利息制限法を超える利息を受け取っていました。
当然、消費者からは反発が起き、裁判になることもしばしばありました。平成18年にはみなし弁済の適用を実質的に否定する判決が為されており、平成21年には貸金業規制法が改正されみなし弁済は完全に撤廃されました。
ヤミ金とは
ヤミ金とは、国や都道府県などに登録を行わずに貸金業を営んでいる業者です。当然、違法な存在です。殆どのヤミ金は利息制限法を超えたい方な金利で貸出を行ったり、取り立てのルールを守らなかったりとやりたい放題です。
中には登録をしたうえでこのような行為を行う業者もあり、それらもヤミ金に含まれることもあります。
ヤミ金にはとにかく近づかないことが肝心です。関わったら間違いなく食い物にされます。ただ、最近はヤミ金もヤミ金であることをわからないように(合法な業者を装って)営業を行っているため、簡単には見分けられないこともあります。
では、一体どうすればヤミ金から逃れられるのでしょうか。
一番いいのは、名のしれた大きな消費者金融以外では借りないことです。もちろんCMをたくさん打っている消費者金融がすべての人にとっていい消費者金融とは限りませんが、少なくともこれらの業者はヤミ金ではないのは確かです。
あまり知られていない小さな消費者金融をどうしても利用したい等場合は、まずはその業者のホームページをチェックしましょう。
そのページに登録番号が載っていない業者はアウトです(番号があっても必ずセーフというわけではありません)。また、現代でホームページを持っていない貸金業者はほぼありません。ホームページがない業者からは借りないようにしましょう。
また、ヤミ金は足がつかないように携帯電話で営業を行っています。広告の電話番号が090や080で始まる業者からは絶対に借りないようにしましょう。
また、ヤミ金は金利について明言せず、返済額だけを提示することが多いです。例えば、1万円貸すので30日後に1万5000円返済して、と言った感じです。
法律に反した暴利であることをさとられないため、金利を隠すのです。ちなみに、先の例の金利は年利になおすと約608%になります。
それから社名もチェックしましょう。ヤミ金の中には「大手の金融機関によく似た社名」を掲げているところがあります。怪しい業者を見つけたら、まずはインターネットでその社名を検索してみましょう。
その業者を危険な業者として紹介するような記事が見つかったらもうそこはアウトです。