日本の国家予算の使い道は?借金返済は何割?

毎年組まれる国家予算。その額は100兆円にも達する勢いですが、この100兆円がどのように集められているか、あるいはどのように使われているかご存知でない方も多いでしょう。今回の記事では国家予算の概要をご説明したいと思います。

国家予算は「見積もり」である

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国家予算は、一定の期間(通常は1年間)の国の活動に必要な収入、及び支出の計画を取りまとめたものです。国が行う事業や政策にはお金が必要です。

そのお金をどのように賄うか、あるいはどのように使っていくかを取りまとめたものが国家予算です。国家予算には「本予算」「補正予算」「暫定予算」の3つがあります。

本予算は最初の予算

本予算は、ある年の4月1日から翌年の3月31日までの1年間の財政計画にもとづいて作成された予算です。年度前には国会で必ず本予算について審議し、議決を取ります。

本予算について衆議院と参議院で意見が一致せず、その後の話し合いを経ても意見がまとまらなかった場合は衆議院の議決が国会の議決となります。これを衆議院の優越といいます。

補正予算は必要に応じて組まれる予算

最初に組んだ本予算通りに物事が進むとは限りません。景気が良くなって当初見込んでいたよりも税収が増えるかもしれませんし、大きな災害が起きて支出が増えるかもしれません。

予算に過不足が生じた場合は、その都度補正予算を汲んで対応します。本予算と同じく、国会の議決を経て成立します。

暫定予算は本予算の前に組む予算

暫定予算は、新しい年度が始まる前に必要な範囲で作成する予算です。予算がないと新年度の当初に何もできなくなってしまいます。それを防ぐのが暫定予算です。応急措置的な性格を持つため、国政上必要不可欠なものに限定されます。

一般会計と特別会計の違い

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一般会計とは、一般的な行政にかかるお金を計算したものです。通常の行政の範囲で毎年必要になる予算、例えば公共事業や社会保障費、あるいは所得税や国債などが一般会計に該当します。

一方、特別会計とは一般会計から切り離される会計のことです。特定の事業においては一般会計から切り離して特別会計とすることにより、お金の流れを明確でわかりやすいものにしています。

国家予算規模は97兆円!

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2015年に提出された2016年の予算案の一般会計総額は96兆7218億円でした。これはどういうことかといいますと、1年の間に約97兆円の収入を見込んでおり、なおかつその97兆円をいろいろな形で支出するということです。

国の収入を再入、支出を歳出といいます。まずは歳入の内訳を見ていきましょう。

歳入は概ね「税収」と「国債」に分類できる

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国の歳入は大雑把に分けると「税収」と「国債」に分けることができます。税収とはその名の通り、税金による収入です。日本には所得税、法人税など様々な税金があります。

国が掛けている税金を国税、県や市区町村が掛けている税金を地方税といいます。所得税や法人税は国税、住民税や自動車税は地方税に含まれます。

さて、この税収だけですべてが賄えればそれに越したことはないのですが、残念ながら日本は(そして世界の国の殆どは)歳入よりも歳出のほうが多くなっています。それを補うために、殆どの国は国債というものを発行しています。

国債とは国が発行する債券で、投資家が買うものです。国債を持っていると利息がもらえ、償還期間まで持ち続けると元本を受け取ることができます(国債についての詳しい説明はこちら)。日本の税収と国債の割合は大体60:40ぐらいです(毎年変動します)。

税収の内訳

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税収の柱は「所得税」「法人税」「消費税」「その他」の4つです。

所得税

所得税は個人の所得に対して掛かって来る税金です。会社員の人は通常給料から天引きされるのでなかなか実感がわかないかと思いますが、計算してみると意外に多くの額を取られていることがわかります。所得税は歳入総額の約15%を占めています。

法人税

法人税は企業や協同組合などの法人が支払う税金です。個人がお金を稼いだ場合、その稼ぎに応じて所得税を支払わなければなりませんが、法人がお金を稼いだ場合は、その稼ぎに応じて法人税を収めなければなりません。

法人税の計算は所得税のそれと比べてかなり複雑になっていますが、そこそこ収入のある企業の場合はだいたい純利益の半分ほどが法人税で持っていかれることになります。法人税は歳入総額の約10%を占めています。

消費税

消費税は我々にとって馴染み深い税金の一つで、消費に対して掛かって来る税金です。日本では1989年より導入された比較的新しい税金であり、現在の日本の消費税は8%です。

消費にかかる税金であるため、当然消費が増えれば増えるほど歳入も増えることになります。消費税は歳入総額の約15%を占めています。

その他

揮発油税、酒税、相続税、たばこ税、印紙収入などが該当します。

税の国際比較

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税に関する国際比較をしてみましょう。まずは消費税。日本の消費税は皆さんも御存知の通り8%ですが、これは諸外国と比べると低い水準です。例えば韓国は10%ですし、中国は17%、ドイツは19%、フランスは20%、イギリスは20%、イタリアは22%となっています。

アメリカには消費税はなく、変わりに販売税が設けられています。販売税の税率は週によって異なりますが、だいたいどこでも6~10%の水準になっています。オレゴン州とモンタナ州は0%です。

続いて所得税と住民税。日本の所得税・住民税は諸外国と比べると低めに設定されています。例えば、年収が500万円だった場合、日本の所得税・住民税の合計は20万円程度になりますが、アメリカは25万円、ドイツは35万円、フランスは40万円、イギリスは75万円です。

一方で諸外国は日本と比べると所得控除が大きい国も多く、低所得者の場合は外国の方が有利になることもあります。

国債の内訳

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国債は大きく「建設国債」と「赤字国債」に分類することができます。

建設国債

建設国債とは、公共事業を行うために発行される国債です。日本政府は(あるいは海外の政府も)、雇用を創成し、インフラを整備するために公共事業を行います。その公共事業を行うために発行されるのが建設国債です。建設国債は歳入総額の約6%を占めています。

赤字国債

赤字国債は、財政赤字を補填するために発行される国債です。日本の法律では原則として、公共事業に充当する場合に飲み国債を発行できると定められています。

つまり、建設国債の発行しか認めていないわけです。建設国債はインフラの整備、雇用の創出といったメリットがあるので認めるけれど、赤字国債はただ将来につけを回すだけなので認めない、という姿勢です。

しかし、現実には毎年度赤字国債が発行されています。何故かというと、毎年度特例として赤字国債を発行することを認める法律を作っているからです。そのため、赤字国債は特例国債と呼ばれることもあります。

新しい年度が来るたびにそのような法律を作っているので、毎年赤字国債が発行出来ているわけですね。赤字国債は歳入総額の約35%を占めています。

国債を毎年こんなに発行して大丈夫なの?

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日本は国債を毎年たくさん発行しています。日本以外の国、例えばアメリカ、フランス、中国なども国債を発行しています。

どこの政府もそんなに国債で借金を積み重ねて大丈夫なのかと思われるかもしれませんが、日本を含む先進国が財政破綻をするリスクは短期的にはほぼ無いといえます。

特に日本の国債は、ほとんど日本人が所有しているため、まず問題はないでしょう。もちろん、長期的に見れば今後日本人が国債を買えなくなり、相対的に外国人の日本国債所有率が上昇するリスクは十分にあります。

歳出の内訳

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さて、ここからは日本政府が税収や国債で得たお金をどのように使っているか、つまり歳出を見ていきましょう。日本の歳出は概ね「社会保障費」「公共事業費」「文教科学費」「防衛費」「地方交付税交付金等」「国債費」に分類することができます。

社会保障費

社会保障費とは、社会保障制度によって国から国民に給付される金銭やサービスの合計額のことです。社会保障制度とは、医療、年金、福祉、介護、生活保護などのことです。

例えば医療や介護における自己負担分以外の給付額、あるいは年金の給付額などが社会保障費に含まれます。

社会保障費は社会が成熟してくるほど増える傾向にあります。日本では社会保障の充実に伴い、社会保障の給付が増えましたが、最近はその伸びのペースが経済の伸びのペースを上回っており、問題となっています。

社会保障制度を長期的に持続可能なものにするためには、適切な社会保障費の配分が必要になります。社会保障費は歳出全体の約30%を占めています。

公共事業費

公共事業費は、公共事業のために使われる費用です。道路やダム、あるいは大きな箸などは市場経済に任せているだけでは適切に供給されないことがあります。その供給を行うのが公共事業の役割です。

公共事業は社会に必要なインフラを整備するだけでなく、雇用の創出や企業誘致を招くといった一面もあります。無駄な公共事業は削減すべきですが、一方で必要な公共事業を減らすのは避けなければなりません。公共事業費は歳出全体の約5%を占めています。

文教科学費

文教科学人は、教育、及び科学技術の発展のために使われる費用です。例えば小中学校の教員に支払う給与や、国公立大学法人・私立学校の援助のための振興助成費などが該当します。

教育や科学技術を発展させることは、将来的な日本人の収入の向上、日本企業の世界における立場の向上、ひいては日本の税収増にも繋がると考えられます。文教科学費は歳出全体の5%を占めています。

防衛費

防衛人はその名の通り防衛に使う費用のことです。かつては防衛費をGNP(国民総生産)の1%いかに抑える、「防衛費1%枠」という政策が取られていました。

日本は戦後幸運にも大きな戦争に直接巻き込まれることなく、そのためか防衛費は無駄なものであるという認識が広がっていました。

1976年には当時の三木内閣によって防衛費をGNPの1%以内に抑えるという政策が閣議決定され、その後の内閣もしばらく同様の方針を引き継ぎました。そ

の後新冷戦によるアメリカ・ソ連間の緊張増加により、アメリカは日本に対しても防衛力の増加を求めるようになり、1986年にこの枠は撤廃されました。

現在、GNPという概念は消失してしまいましたが、ほぼ同様の概念にGNI(国民総所得)があります。

近年、防衛費は増加傾向にありますが、これは一時期減りすぎたものが元に戻っているだけといえます。2015年の防衛費は1996年を下回っており、前の水準に戻るにはもう少し時間がかかるものと思われます。防衛費は歳出全体の約5%を占めています。

地方交付税交付金等

地方交付税交付金等とは、地方自治体の収入の格差を少なくするために、交付される資金のことです。

今の日本には47の都道府県と、1700位上の市町村があります。都道府県や市彫塑が提供するサービスは警察・消防・環境衛生など生活に根ざしたものが多いです。これらのサービスは本来、どの都道府県や市区町村に住んでいようが公平に受けられなければなりません。

しかし、世の中には裕福な自治体もあれば、財政的に厳しい自治体もあります。財政的に厳しい自治体に住んでいるというだけで、必要なサービスが受けられないのでは困ります。

地方交付税交付金は、この自治体間格差を穴埋めするため、国が自治体に対して交付する交付金です。交付されたお金は、自治体が自由に使途を決めることができます。

自治体だけで必要な歳入が全て確保されており、地方交付税が必要ない自治体を不交付団体と呼びます。不交付団体は自治体の財政が健全である証の一つといえます。

2015年時点で不交付団体となっているのは都道府県では東京都のみ、市区町村は全部で60市町村となっています。

大きな自治体ほど裕福かといえばそうでもないようで、政令指定都市は一つも不交付団体に指定されていません。いわゆる大企業の城下町や、原発、あるいは観光などで地元の経済が潤っている自治体が多いようです。地方交付税交付金等は歳出全体の約15%を占めています。

国債費

国債費は、国債の利息や元金の支払に充てるための費用です。前述のとおり、国債は国が発行する債券です。債券を発行した以上、債券を持っている人に対しては利息や元金を支払わなければなりません。

それらの支払いに充てられるのが国債費です。国債を発行し過ぎると国債費が膨らんで他のことに歳出が回せず、国の財政が悪化します。国債費は歳出全体の約25%を占めています。

国ごとに異なる歳出の傾向

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国によって歳出の傾向は異なります。ここではアメリカと比較して見たいと思います。日本の防衛費は歳出全体のわずか5%に過ぎませんが、アメリカの国防費は22%です。

一方、両国ともに増加の一途をたどっているのが社会保障費(アメリカの場合は医療・年金)です。どちらも国民が長生き出来るようになった結果、増加し続ける社会保障費に頭を悩ませているようです。

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