賦課方式とは?積立方式とどっちがいいの?

近年何かと注目を集めている公的年金制度。もうすぐ公的年金制度は崩壊するとか、いやあと100年は大丈夫だとかいろいろな意見があります。

今回は現在の公的年金制度の仕組みについて考えていきたいと思います。

年金制度には賦課方式と積立方式がある

年金

年金制度は大きく、賦課方式と積立方式に分けることができます。現在の日本の公的年金は原則として賦課方式を採用しています。

賦課方式は下の世代が上の世代を支える仕組み

賦課方式とは、毎年の給付をその年の収入、つまりは若い人が払った年金保険料で賄う方式です。もっと簡単に言えば、若い人の払った保険料がそのまま高齢者の受け取る年金になる方式です。

年金は世代と世代の助け合いといいますが、実際には現役世代が一方的に高齢者を支えているだけなのです。

付加年金のいいところは、インフレに強いことです。賦課方式だとインフレが発生して年金保険料が高くなったとしても、その分現役世代の賃金も増加するため、事実上の負担額(収入に対する国民年金保険料の割合)は変わりません。

もちろん、逆にデフレが起こって年金保険料が安くなっても、その分賃金も減少するためやはり事実上の負担額は変わりません。負担が安定しやすいのが最大のメリットです。

一方、賦課方式のデメリットは、世代間格差が明確になりやすく、少子高齢化に弱いことです。付加年金は前述の通り、現役世代が高齢者を支える制度です。

人口が順調に増加しており、現役世代に対する高齢者の割合が少ない場合は負担が分散されるため現役世代もそれほど大変ではありませんが、少子高齢化が進展すると現役世代に対する高齢者の割合が増えるため、現役世代1人1人に掛かる負担が大きくなってしまいます。

現在は現役世代約3人で高齢者人1を支えていますが、2050年には現役世代1人で高齢者1人を支えなければならないという試算もあります。単純に計算すれば、2050年の現役世代の負担は、現在の現役世代の負担の3倍になってしまうというわけです。

現役世代の負担を減らすためには年金の給付水準を下げるしかありませんが、それは高齢者からの反発を生みます。一方で高齢者の生活を守るために年金の給付水準を維持すれば、現役世代からの反発を生みます。賦課方式というのは世代間の対立を招きやすい方式なのです。

積立方式は自分で自分を支える仕組み

積立方式は、自分で支払った保険料を運用し、年金を受給する年齢になったら今まで払ってきた国民年金保険料と運用益を受け取る方式です。

現役世代が高齢者を支えるのではなく、現在の自分が将来の自分を支えるのです。確定拠出年金や保険会社が提供している私的年金などは、この方式を採用しています。

積立方式のメリットは、世代間格差が生まれないところです。世代が別の世代を支えることを強要されないのですから、当然といえば当然です。

少子高齢化にも比較的強く(もちろん少子高齢化が進めば積み立てたお金を運用するのは難しくなりますが)、一見いい所しかないようににも見えます。

しかし、もちろん積立方式にもデメリットはあります。それはインフレに弱いことです。例えば、今なんらかの理由で物価が100倍、賃金水準も100倍になったとします。この場合、今までコツコツと積み立ててきた年金保険料はほぼ無価値になってしまいます。

もちろん、賦課方式を採用していたとしてもいきなり物価が100倍になったら混乱が起こることは避けられませんが、積立方式はよりダメージが大きくなってしまうものなのです。

殆どの先進国は賦課方式を採用している

先進国

公的年金制度が比較的早い段階で整えられた欧米諸国の殆どは当初、積立方式を採用していました。日本でも1944年に厚生年金が始まりましたが、それも積立方式でした。

しかし、こうして始まった年金制度はその後発生した第二次世界大戦によって起きたハイパーインフレの影響をモロに受けてしまいました。こうした過去の反省から、先進国は軒並み賦課方式に転換しました。

今から積立方式に変えるのは難しい?

積立方式に一定のメリットが有ることは確かです。しかし、現在の賦課年金制度を積立年金制度に切り替える場合、ある問題が発生します。二重負担問題です。

いま賦課方式を積立方式に切り替えた場合、現在の現役世代は現在の高齢者を支えるための年金保険料と、将来の自分を支えるための年金保険料の両方を負担しなければなりません。単純計算で負担が2倍になってしまうわけです。

だからといって高齢者の年金を切り下げれば当然反発が起きるでしょう。高齢者の数が多い現状では、政治家もそちらの意見を優先せざるを得ません。

年金積立金って何?

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ここまで日本の年金制度は賦課方式であると解説してきましたが、実は完全な賦課方式ではなく、一部積立方式の要素も入っています。保険料の一部を年金積立金として国が保有・運用し、増えた積立金を給付に充てることによって現役世代の負担を減らしているのです。

問題は年金積立金の運用がうまく言っているかどうかということですが、平成13年度のからの運用状況は累積で見れば安定しており、合計で約62兆円のプラスになっています。

投資は不安定なものであり、単年度で見ればマイナスになっていることもありますが、全体ではとりあえずプラスになっているわけですね。もちろん、今後ずっとプラスが続く保証は全くありません。

なお、現在の年金積立金のポートフォリオ(資産構成)は国内債券が35%、国内株式が25%、外国債券が15%、外国株式が25%となっています。異なる資産を持つことによってリスクヘッジを測っています。

公的年金と私的年金、どっちがお得?

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公的年金に対する信用が大きく揺らいでいる今、公的年金に見切りをつけて保険会社などが販売している私的年金で将来に備えようとする方も少なくありません。ですが、現状ではまだ公的年金のほうが私的年金よりは有利な金融商品であると言わざるを得ません。

まず、国民年金には私的年金にはない様々な特典があります。まず、毎年支払った国民年金保険料は、その全額が社会保険料控除の対象となります。控除になった文、所得税や住民税が安くなります。

一方、私的年金の保険料は個人年金保険料控除の対象となりますが、こちらは控除額に上限があります。

毎年払う保険料の合計が1万2000円を超えてしまった場合、全額が控除の対象とはならなくなってしまいます。節税メリットは公的年金のほうが大きいのです。

公的年金は返戻率が高い!

公的年金は何年生きたかによって返戻率(払い込んだ保険料に対してもらえる保険金の額)が変わってきますが、仮に平均余命まで生きた場合、公的年金の返戻率は私的年金のそれよりもずっと高くなります。

私的年金の返戻率は保険商品によって多少異なりますが、だいたいどれを選んでも120%前後に落ち着きます。

一方、公的年金の返戻率はかなり不利とされている1985年生まれ(現時点で31歳)の男性でも170%以上となっています。平均余命がより長い女性の場合は200%以上です。

公的年金は物価変動に強い!

前述の通り、公的年金は賦課方式であるため、物価が急激に上がったとしてもその分旧服が増えるため問題ありません。

一方、私的年金は積立方式であるため、物価が急激に上がるとそれまで払い込んできた保険料が紙くず同然になってしまう可能性が否定できません。

公的年金は一生保証!

公的年金は65歳から一生涯年金が保証されます。つまり、100歳まで生きたとしても、110歳まで生きたとしても、命がある限りはずっと年金がもらえるのです。

一方、私的年金も終身年金を選べば亡くなるまでずっと保証が受けられますが、年金受取開始年齢が早くなるとその分もらえる年金額が少なくなってしまうというデメリットがあります。

公的年金はもしものときも安心!

公的年金にはもしもの時のための保証がついてきます。まず、本人が年金の払込期間中に亡くなってしまった場合、残された家族は遺族年金を受け取れます。

また、本人が病気や怪我になり、障害が残ってしまった場合は、障害年金が受け取れます。どちらも私的年金には通常備わっていない特典です。

公的年金は国の補助が受けられる!

我々は毎月国民年金保険料を納めていますが、実は国民は直接保険料を全額負担しているわけではありません。国から知らないうちに一部補助を受けているのです。これを国庫負担と言います。国庫負担割合は保険料の3分の1ですが、将来的には2分の1まで増えることになっています。

国庫負担の財源は税金なのだから結局自分で払っていることには変わりないじゃないか、と思われるかもしれませんが、税金は所得の多い人がたくさん払うシステムになっているため、低所得者層~中所得者層は国庫負担割合の増加で得する可能性が高いです。

公的年金は必ず払って、私的年金は補助として利用するべき

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このようなメリットの多さを考えると、公的年金保険料を払わないのは賢い選択とはいえません。とりあえず公的年金保険料は納めた上で、なお家計に余裕がある場合は、将来の足しにするために私的年金に入る、というようにした方がいいでしょう。

私的年金は強制的に年金保険料が積み立てて行かれるので貯蓄が苦手な人でも簡単に貯めることができ、また返戻率が最初から決まっているのでリスクもありません。

老後資金をさらに確実に増やしたい人は、私的年金を補助的に使ってみて下さい。

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