少し前に夕張市が実質的な財政破綻を起こして話題になりましたね。
最近は財政的に余裕が無い自治体が増えている一方で、豊かな税収に恵まれ高い行政サービスを維持している自治体も少なくありません。
同じように税金を払っているのに受けられるサービスに差がつくのはなんとも理不尽ですが、では一体どこの自治体が貧しく、どこの自治体が裕福なのでしょうか。
いろいろと調べてみたところ、面白い事実が明らかになりました。
目次
そもそも財政破綻ってなんだ?
財政破綻とは簡単にいえば、借金が返せなくなる状態のことです。
自治体の財政が正常に機能しなくなり、活動に必要な費用が十分に用意できなくなること、と言っても構わないかもしれません。
自治体は地方債を発行しています。地方債とは文字通り都道府県や市区町村などの地方自治体が発行する債券のことです。
自治体の主な収入源は税収と国庫支出金ですが、それだけで運営されている自治体は少ないです。多くの自治体は地方債を発行することにより、足りない収入を穴埋めしているのです。
地方債は債券の一種ですから、発行している自治体は当然利子を払わなければなりませんし、償還日が来たら元本も返済しなければなりません。
自治体が健全に運営されているうちは良いのですが、財政的に苦しくなってくるとこの利子や元本の支払いができなくなります。そうなると自治体に残された道は財政破綻しかありません。
財政再建団体・財政再生団体とは?
財政再建団体とは、赤字額が標準財政規模の5%(都道府県)または20%(市区町村)を超えた破綻状態にあり、なおかつ財政再建団体を策定して総務大臣の同意を得た地方自治体のことです。
標準財政規模とは地方自治体の一般財源の規模のことです。自治体の収入から地方債と国庫支出金を除いたもの、と考えれば大体正しいです(厳密には違いますが、そこまで詳しく理解する必要はないでしょう)。
1950年台には朝鮮戦争の特需が終わった反動で多くの地方自治体が赤字に陥りました。その自治体を支援するために作られた仕組みが財政再建団体です。
財政再建団体となった自治体は国の指導のもと「財政再建計画」を作成し、地方議会と総務大臣の承認を得たうえで予算を編成します。
再建過程では赤字は借金で埋めて、国から利子の補給を受けるなどして財政を再建していきます。地方自治体として地方自治を行うことができなくなり、予算の制約を置けることは免れません。
財政再建団体になったところで歳入が急速に増えるわけもなく、結局は歳出を切り詰めるしかありませんが、それにも限界があります。また、その結果住民負担が大きくなったり、行政サービスが著しく低下したりすることがあります。
そうなれば住民はますます離れていき、歳入は減るという悪循環に陥ってしまいがちです。
なお、財政再建団体は現在は財政再生団体と呼ばれています。
- 赤字額の標準財政規模が5%(都道府県)もしくは20%(市区町村)を超えている
- 連結実質赤字比率が15%(都道府県)もしくは30%(市区町村)を超えている
- 実質公債費比率が35%を超えている
のいずれか一つに該当した場合、財政再生計画を策定することが義務付けられています。
現在、財政再生団体に該当しているのは北海道の夕張市のみです。
なお、財政再生団体ほどではないのもの財政的に苦境に陥っている地方自治体を財政健全化団体といいます。
財政健全化団体は2015年時点では存在していませんが、過去には大阪県泉佐野市、高知県安芸市、福島県安芸市などが指定されていました。
財政再生団体夕張市の栄枯盛衰
メロンで有名な夕張市はかつては単行で栄えた街です。1960年台は約12万人もの人口がありましたが、産業のエネルギーが石炭から石油に変わり始めると、単行は次々に閉山となり、人口は激減。
1970年台には5万人を割り込み、その後もズルズルと減り続けて現在は1万人を切っています。人口増加率は-19.01%であり、減少率は全国6位(東日本大震災で被災地となった自治体を除く)となっています。
人口減による税収減と高齢化による社会保障費の増大に伴い、ついに実質的な財政破綻を起こしてしまいました。
財政破綻した自治体では当然、行政サービスの質が悪化し、価格は高くなります。夕張市の行政サービスは「最高の費用で最低の内容」と揶揄されるほどです。ゴミの収集は殆どの自治体では無料ですが、夕張市は有料(1リットルにつき2円)となっています。
水道料金も東京の裕福な自治体と比べて高額であり、市民税や道民税も世界一高くなっています。市職員は260人から100人に、市議会議員は18人から9人に減らされ、職員や議員の負担も増しています。
様々なランキングから見る自治体の財政健全度
ここからは様々なデータで、日本の自治体の財政健全度を図っていきたいと思います。
経常収支比率
自治体の財政健全度を見るときによく使われるのが経常収支比率です。経常収支比率とは、人件費や扶助費、公債費などの削るのが難しい経費、毎年の支出が決まっている経費(義務的経費)の、一般財源に対する割合です。
例えば、義務的経費が80億円、一般財源が100億円の場合、経常収支比率は80%となります。経常収支比率が低いほど自治体が政策的に使えるお金の割合が多いということになります。
経常収支比率は75%程度に収まることが理想であり、80%を超えると要注意水準となります。ただ、近年は財政的に苦しい自治体が多く、中には経常収支比率が100%を超えているようなところもあります。
まずは経常収支比率トップ(経常収支比率が低い)5を見てみましょう(ランキングは平成25年度時点のものです)。
経常収支比率ベスト5
1位:北海道泊村(40.60%)
1位に入ったのは以外にも大自治体ではなく、地元の人にしか知られていないような小自治体でした。北海道泊村は北海道の西部、札幌市から約50kmの場所に位置する村です。
総面積約82km2に対して総人口は約1750人と非常に小さな自治体で、鉄道駅もなければ目立った産業もなく、村域のほぼすべてが山という典型的な田舎の自治体に見えますが、北海道唯一の原発(泊原発)があるため、財政的に非常にゆたかです。
2位:福島県檜枝岐村(52.78%)
福島県檜枝岐村は福島県の西部、群馬県と栃木県の県境付近にある村です。横浜市とほぼ同じ免責を持ちながらその人口はわずか600人しかおらず、日本一人口密度の低い市町村となっています。
村域のほぼすべてが森林、山ですが、尾瀬国立公園をはじめとする観光資源も少なくありません。財政規模は非常に小さいものの完全失業率なども低く、現段階では裕福な自治体と言えます。
3位:新潟県刈羽村(56.48%)
新潟県刈羽村は新潟県の中央よりやや北東に位置する村です。人口4760人ほどの小さな村で、新潟県柏崎市と、同県刈羽郡刈羽村にまたがる柏崎刈羽原子力発電所があるため裕福です。
4位:北海道中頓別町(59.40%)
北海道中頓別町は北海道の北部にある町です。経常収支比率トップ5の自治体の中では唯一の町ですが、それでも人口は2000人弱と決して多くはありません。
ランキング入りしている他の自治体と同様に町域の殆どが山、森林であり、全国1位の冷え込みを記録することもあるなど、気候的に厳しい自治体としてそれなりに有名です。
現在の経常収支比率だけ見れば豊かに見えますが、実はその数年前までは財政健全化団体だったという過去があります。財政健全化が最もうまく言った自治体といえるのかもしれません。
5位:長野県平谷村(60.06%)
長野県平谷村は長野県の最南西部に位置する村で、岐阜県に隣接しています。人口は約700人と非常に小さい村ですが、財政的には豊かです。
続いて、経常収支比率ワースト(経常収支比率が高い)トップ5を見ていきましょう。
経常収支比率ワースト5
1位:北海道夕張市(120.87%)
唯一の財政再建団体である夕張市がトップです。人口は全盛期の12分の1以下に落ち込み、バブル期に作った箱物の維持費や高齢者の割合の増加が重くのしかかっています。財政破綻後も人口流出に歯止めはかかっておらず、厳しい状態が続いています。
2位:宮城県多賀城市(107.11%)
宮城県多賀城市は宮城県の東部、仙台市のすぐ北側に位置する市です。人口は約6万2000人で、ここ40年ほど一貫して増え続けています。一時期は仙台市との合併要求もありましたが、これを受け入れずに市としての独立を保ったという過去があります。
人口は一貫して増え続けており、しかも若い人が多いですが、経常収支比率は高止まりしています。しかし、財政力指数は比較的高く、貧しい自治体というわけでもないようです。
3位:沖縄県渡名喜村(106.24%)
沖縄県渡名喜村は那覇市から約60kmに位置する村で、有人島の渡名喜村と無人島の入砂島の2島から成り立っています。人口は400人と全国的にも最低クラスです。島内に路線バスやタクシーなども存在せず、公共交通機関による島外との往来は船舶が唯一の手段です。
主な産業は観光ですが、交通の不便さから観光客はあまり多くありません。
4位:沖縄県渡嘉敷村(105.88%)
沖縄県渡嘉敷村は那覇市から約40km位置する村で、渡嘉敷島を始め10余りの島から成り立っています。。渡嘉敷島・前島以外は無人島であり、人口は約730人です。
観光資源の適切な維持・管理、環境美化・保全に係る費用の確保のため、全国的に見ても珍しい「渡嘉敷村観光協力税」を創設しています。
5位:京都府笠置町(105.84%)
京都府笠置町は京都府南部、奈良県都の県境近くに存在する村です。人口は約1600人程度で、町としては全国2番めに少ない数となっています。高齢者の割合が非常に多く、人は減るばかりです。
その他主要都市の経常収支比率(ワースト)
12位:神奈川県三浦市(100.99%)
神奈川県三浦市は神奈川県南東部、三浦半島の一番南にある市です。人口は約4万8000人です。2010年度に市土地開発公社が解散し、第三セクターなど改革推進債105億円を記載して市が肩代わりした経緯があり、それが財政に重くのしかかっています。
15位:京都府京都市(100.29%)
京都府京都市は京都府南部に位置する同府最大の市です。同府唯一の100万都市であり、人口の多さは全国8位、観光資源も多く一見財政難とは無縁に見えますが、実はそうではないのです。
2008年には当時の門川市長が財政再建団体への転落を示唆したことがあります(その後行財政改革により黒字になりましたが、経常収支比率は依然として高いままです)。
宗教法人や学校法人が多く税収が少なく、また京都市営地下鉄や市バスも利用者が少なく、華やかな見た目に反して財政的には苦しいようです。
175位:神奈川県横浜市(94.25%)
神奈川県横浜市は神奈川県東部に位置する神奈川最大の市にして、日本最大の市です。市区町村の中では唯一人口が300万人を超えており、一見裕福見えますが、実際のところそれほどお金があるわけではありません。
確かに税収は多いのですが高齢者の増加に伴う歳出も増え続けており、特に社会保障費の増大が深刻な問題となっています。
第441位:東京都中野区(90.96%)
東京都中野区は23区の西部に位置する区です。総じて財政的に豊かな自治体が多い23区ですが、その中でも最も経常収支比率が高いのが中野区です。と言っても、特別高いわけではありません。全国的に見れば並といったところです。
第1681位:東京都港区(72.13%)
東京都港区は23区の南部に位置する区です。総じて財政的に豊かな自治体が多い23区の中でも最も経常収支比率が低く、財政的に豊かな区です。
経常収支比率からわかること
このランキングを見てもわかるように、経常収支比率が低い自治体は意外と地方の小さな自治体が多いです。経常収支比率トップ50の自治体に市は一つも入っていません。
ただ、小さな自治体はちょっとした要因で簡単に財政が傾いてしまうため、今健全でも将来どうなるかはわかりません。ある程度規模がある自治体に絞ってみれば、東京都港区が断然優秀です。
その他の23区も概ね優秀ですが、一方で政令指定都市は意外と経常収支比率が高いところが多いです。財政規模が大きくてもその分社会保障費が多いので、総合的に見れば苦しいのかもしれませんね。
財政力指数
財政力指数とは、地方公共団体の財政力を示す指数の一つです。地方自治体の基準財政収入額を基準財政需要額で除した指標であり、これが1を下回ると地方交付税の交付団体となります。
地方交付税とは、地方公共団体感に存在する格差を解消するために国が交付する税金のことです。逆に財政力指数が1を上回っている場合はその自治体内の税収のみで行政を遂行できると判断され、地方交付税は支給されません。
現在、日本には47の都道府県がありますが、財政力指数が1を上回っている都道府県は一つもありません。市町村においても財政力指数が1を上回っている自治体は僅かであり、ほとんどの地方自治体は地方交付税に頼らざるをえない状態が続いています。
まずは財政力指数ランキングトップ5を見てみましょう。
財政力指数ベスト5
1位:愛知県飛島村(2.08)
愛知県飛島村は愛知県の西部、名古屋市のすぐ西側に位置する村です。名古屋からのアクセスは良好ですが、人口は4600人程度の小さな村です。
かつては非常に貧しい村であり、戦前はたびたび市町村合併に挑むも、ことごとく相手自治体から断られ続けてきたという過去がります。さらに戦中末期の東南海地震、戦後の伊勢湾台風などの被害にも会うなど不運も重なり、1960年時点での財政力指数は0.22でした。
しかし、その後臨海部分に多数の工場が建設されると状況は一変。火力発電所の誘致にも成功し、人口の割に高い税収を得ることに成功します。現在財政力指数が2.0を超えている数少ない自治体であり、行政サービスが非常に充実しています。
飛島村で生まれると1年間住むと10万円が支給され、更に小学校に入学すると10万円、中学校に入学すると10万円が支給されます。また、医療費は高校卒業まで全員無料、90歳以上になるとお祝い金が交付されるなど、行政サービスは非常に充実しています。
一方で農地が多く移住が難しいため、裕福な財政の割に人口増加が見込めないという問題も抱えています。
2位:北海道泊村(2.01)
すでにご紹介したのでここでの説明は省略します。
3位:山梨県山中湖村(1.86)
山梨県山中湖村は山梨県の南東、静岡県と神奈川県の県境近くに存在する村です。人口は約5100人の小さな村ですが、豊かな観光資源を持っており、中でも北富士演習場補助金とファナックからの税収が多くの比重を占めています。
4位:青森県六ケ所村(1.58)
青森県六ケ所村は青森県の東部、下北半島に位置する村です。人口は約1万500人と村としては比較的大きな方です。エネルギー関連施設が多数存在しており、そこから多数の税収がある雨財政的には非常に豊かです。
村の予算規模も人口に比べて大きく、地方交付税も受け取っていません。
主な産業はエネルギー産業。日本原燃本社が籍をおいているほか、石油、風力など幅広いエネルギー関連施設が点在しています。それ以外では農業、漁業が盛んであり、冷害に強い作物の研究が進んでいます。
5位:長野県軽井沢町(1.49)
長野県軽井沢町は長野県の東武、群馬県都の県境に位置する町です。人口は約2万人です。西武グループによる観光開発が行われたため、首都圏、中京圏からの観光客が非常に多いです。避暑地としても有名であり、毎年500万人以上の観光客が押し寄せています。
東レ、文藝春秋、東京メトロ、ブリジストン、東芝など日本を代表する大企業の避暑地も数多く存在しています。そのため財政的には非常に豊かです。
続いて財政力指数ワースト5を見てみましょう。
財政力指数ワースト5
1位:鹿児島県三島村(0.05)
鹿児島県三島村は鹿児島県の本土の端から40kmほど南にある村です。戦前はトカラ列島の7島を含めた10島が村域でしたが、現在は3島に減ってしまいました。
村役場は鹿児島市内に置かれています。利便性を考えてのことですが、役場で働く職員の殆どが鹿児島市民であり三島村民ではないため、税収が入ってこないという欠点を抱えています。
そのため財政力指数は全国最下位であり、本土から切り捨てられるという切実な悩みを抱えているためか選挙の投票率は毎回非常に高いです。それでも人口減少に歯止めかからず、地方交付税でなんとかやりくりしているというのが現状です。
2位:鹿児島県十島村(0.05)
鹿児島県利島村は鹿児島県野端から約40km南にある村です。7つの有人島と5つの無人島から成り立っています。村役場が鹿児島市内にあるなど、三島村と同じような問題を抱えています。主な産業は観光ですがアクセスが非常に悪いためお世辞にも人気が高いとはいえません。
3位:沖縄県渡名喜村(0.06)
すでに紹介済みのため、詳細は省略させていただきます。
4位:山梨県丹波山村(0.06)
山梨県丹波山村は山梨県の北東部にある村です。人口は550人程度、目立った産業などもなく、財政力指数は非常に低いです。県内でもぶっちぎりの最下位であり、財政的には非常に苦しい状態が続いています。
5位:島根県知夫村(0.07)
島根県知夫村は人口約610人の小さな村です。島の中央部に僅かに平地があるほかは断崖絶壁であり、西海岸には高さ200メートルもの巨大な赤い岩の壁「知夫赤壁」があリます。
諸島内では唯一たぬきが生息している村でもあります。人口は一貫して減少し続けており、目立った産業もなく財政的には苦しい状態が続いています。
実質公債費比率
実質公債火比率とは、自治体の一般財源の規模、つまりは税収に対する公債費、借金の割合のことです。例えば、一般財源による収入が100億円、公債費が10億円の場合、実質公債比率は10%となります。
実質公債比率が18%を超えると、地方債を発行するときに国の許可が必要になります。また、実質公債比率が25%以上になると、単独事業を行うために地方債を発行することができなくなります。
2012年時点での都道府県の実質公債比率トップ3(実質公債比率が少ない)は以下のようになっています。
都道府県の実質公債比率ベスト3
1位:東京都(1.0%)
やはりというべきか、東京都がダントツで1位となっています。都民の収入も高いことに加えて、大企業が多数存在しているため収入源には事欠きません。
無論その分人口も多いのですが、狭いところにたくさん人が住んでいるため行政サービスを効率化させやすいという特徴もあります。なお、財政力指数では47都道府県中3位となっています。
2位:神奈川県(10.6%)
東京都にはかなり離されてしまいましたが、それでも一応神奈川県が2位です。県民が全体的に高所得であり、東京都ほどではないもののそれなりに企業も多く財政的にはそれなりに豊かといえるでしょう。なお、財政力指数では4都道府県県中2位となっています。
3位:沖縄県(11.0%)
3位に入ってきたのは以外にも(?)沖縄県でした。ただ、実質公債比率こそ少ないものの、財政力指数は47都道府県注43位とかなり低い方に位置しており、東京や神奈川と違って必ずしも在性的に豊かとはいえないようです。
自治体が借金を減らす方法
ここまで財政的に豊かな自治体や、逆に貧しい自治体について見てきましたが、財政的に貧しく、借金が多い自治体はどうすれば借金を減らすことが出来るのでしょうか。ここでは夕張市が具体的にどのような取り組みを行っているのか見ていきたいと思います。
まず夕張市が公表している文章を見てみましょう。
1 事務事業の抜本的見直し
(1) 住民生活に必要な最小限の事務事業以外は、中止・縮小する、補助金の支出は原則取りやめるなどという、ゼロベースでの見直しを行う。
(2) 組織や施設等の集約化・廃止など徹底したスリム化を進める。
(3) 第三セクターに対する赤字補てん的支出を行わない。
2 歳入の確保
(1)市民の過重な負担増とならないよう 配慮しつつ、市税負担の見直しを行う。
(2)使用料・手数料など受益者負担の見直しを行う。
(3) 税や使用料などの徴収率の向上対策に努める。
3 総人件費の大幅な抑制
(1) 職員採用の停止及び早期退職の促進により、職員数の早期削減を図る。
(2) 組織・機構の見直しにより、職員数の大幅な削減を図る。
(3) 給与水準の引き下げや制度の見直しにより、人件費の抑制を図る。
4 観光事業の見直し
(1) 不採算の観光事業は、実施しない。
(2) 委託業務のうち公園等 公共性の高い施設の管理業務に係る経費の削減を図る。
(3) 業務の委託先の見直しや観光施設の民間売却を進める。
5 病院事業の見直し
(1)「公営企業再建計画」による抜本的な医療・経営改革に取り組む。
(2)他の医療機関との連携を図るとともに、必要最小限の医療機能を存続させることを基本に、経営改革に取り組む。
(3)不良債務の計画的解消を図る。
いろいろと書いてありますが、要するに無駄な歳出を減らすとともに、市民の負担増によって歳入を増やします、ということです。当たり前の話ですがやはり市民にとっては厳しい話ですね。
残念ながら債務を痛みなく減らす方法というのはありません。そんな方法があったらすでに多くの自治体が取り組んでいます。大切なのは財政破綻する前に危機に気づくことぐらいでしょうか……。