まだ20代の人で、社会人としての経験が十分ではないためにお金を借りすぎてしまい、人生に重大な影響を及ぼしてしまうということがあるようです。借金をするときにはよく考えてからにするべきでしょう。
それほど深刻な問題ではなくても、知識と経験が不十分な人は適切な対応がとれないために、結果的には問題を深刻化させてしまうこともあります。
ここでは、まだ20代なのに借金を抱えてしまった女性にスポットライトをあてて、トラブルの解決策を考えてみます。
若い人が借金を抱えてしまう理由
若い人が借金を抱えてしまう理由はさまざまです。中には、親から相続をしてしまったという本人にはそれほど責任がないケースもあります。
借金がどんどん増えていってしまったケース
若い人が多額の借金を抱えてしまうケースとして最も多いのは、借金がどんどん増えていってしまったというケースでしょう。
1つの例をあげてみます。
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支払い方法を一括払いからリボ払いに変更した
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リボ払いにしたら負担が減ったので、どんどん買物をした
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クレジットカード2枚のショッピング枠の合計が100万円になり、枠がいっぱいになった
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リボ払いでも支払いが厳しくなり、キャッシング枠(合計50万円)でお金を借りるようになる
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キャッシング枠もいっぱいまで使ってしまったので、大手の消費者金融で限度額30万円のカードローンを契約
このケースでは、クレジットカードのショッピング枠をリボ払いにするところからトラブルが始まったと言えます。
計画通りに利用をしていて、リボ払いで返済をするのであればなにも問題はありません。
しかし、一括払いで支払いができなくなったからやむを得ずにリボ払いに変更するという流れは好ましくありません。
この時点で危機感を感じて、無駄使いを控えるようにしておけば早い段階で解決ができたでしょう。
その後キャッシング枠、大手の消費者金融でお金を借りるようになり、合計80万円の借金をしてしまっています。
意外と気づかない人もいますが、ショッピング枠についてもリボ払いにしていたら借金とほぼ同じです。
つまり、ショッピング枠100万円、キャッシング80万円の合計180万円の借金を抱えているのと同じです。
まだ20代で年収が300万円くらいの人にとっては、180万円でも返済が困難なレベルの金額となることもあるでしょう。
実家に住んでいて家賃の支払いがないという女性ならば返済をしていける可能性もあります。おまとめローンや借り換えローンも検討してみましょう。
一般的には、借金の金額が年収の半分を超えているので債務整理を考えるべきと言えます。
なぜ借金を重ねてしまうのか?
なぜ借金を重ねてしまうのかという理由は人それぞれです。
若い女性の場合、ストレスなどから高級ブランド品などの買物依存症になってしまっている人もいます。
ギャンブル依存症、パチンコ依存症などにも要注意です。
依存症は一種の病気と考えられるので、借金を増やす前に医師の診断を受けるとよいでしょう。
生活費を借りるために借金をする人もいます。一時的な生活費ならばよいものの、慢性的に生活費を借金で借りるという状況は危険です。生活費がない場合には国の制度を利用できる可能性もあるので役所に相談をしましょう。
親から相続をしてしまったケース
親から多額の借金を相続してしまったという20代の女性も存在します。
民法第896条 『相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。』
とあります。相続人は被相続人が保有していた一切の権利義務を包括的に承継します。
包括承継という言葉は難しいですが、親が持っていたすべての権利や義務などをまるごともらうと考えておいて差し支えないでしょう。
企業のM&Aで言うなら、「合併」や「会社分割」の場合に包括承継がされます。
包括承継に対して、権利や義務の一部だけを選択して引き継ぐことを特定承継と言います。M&Aにおける「事業譲渡」では特定承継がされます。
相続では基本的に包括承継がされるので、「この財産だけを受け継いで、この財産は受け継がない」ということはできません。マイナスの財産である借金も一緒に受け継いでしまいます。
限定承認や相続放棄をすれば借金を引き継がずにすむ
親が多額の借金を背負っているとき、子どもが絶対にそれを引き継いでしまうというのでは、子どもにとって酷です。
そのため、そういった事態を回避するための制度も用意されています。
それが、限定承認もしくは相続放棄です。
限定承認
限定承認をすると相続財産のうち、マイナスの部分は放棄することができます。
相続財産に土地などが含まれている場合には大きな意味を持つ制度です。
「1,000万円の借金と800万円の価値がある土地」が相続財産であったとします。
この場合、相続放棄をしてしまえば借金も土地も引き継ぐことはなくなります。
しかし、なにか事情があって土地は引き継ぎたいというときには、限定承認をすることで、
「800万円の借金と800万円の価値がある土地」を相続することができます。
限定承認は相続人すべての同意を得た上で、相続の開始を知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に申請をしなければなりません。
相続放棄
相続放棄はすべての財産の相続を放棄し、「相続人ではない」という状態になることができます。限定承認と比べるとシンプルでわかりやすいでしょう。
こちらは相続人の同意は必要なく、本人の意思だけで申請ができます。限定承認と同じく相続の開始を知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に申請をしなければなりません。
3ヶ月を過ぎたら
相続の開始を知ったときから3ヶ月を過ぎたら自動的に単純承認となってしまい、残念ながら借金の相続を放棄することは基本的にできなくなります。
その場合でも弁護士に相談をすれば借金の相続を回避してくれることもあるので、早めに相談をしてみましょう。
学生時代の奨学金
学生時代に奨学金を借りていたという人は、社会人のスタート時点で数百万円の借金を抱えた状態にあります。
奨学金は金利が低く、毎月の返済額もひかえめなので、それだけで返済が不可能になることは少ないでしょう。
しかし、奨学金の返済に加えてクレジットカードのリボ払い、消費者金融からの借金などもできてしまうと一気に返済困難になるリスクが上がってしまいます。
奨学金は審査に影響?
実は、クレジットカードやローンの審査では奨学金について考慮されていないこともよくあります。
日本学生支援機構は全国銀行個人信用情報センター(KSC)に加盟をしていますので、奨学金を借りているということは金融機関に調べられるとわかってしまいます。
しかし、「個人信用情報の取扱いに関する同意書」を提出していない人は勝手に個人信用情報に記録されるということはありません。
平成21年4月以降に奨学金を借りた人は「個人信用情報の取扱いに関する同意書」の提出が必須なので必ず個人信用情報に記録が残ります。しかし、それ以前に借りていた人は「個人信用情報の取扱いに関する同意書」を提出していなければ信用情報に記録が残っていません。
また、信販会社や消費者金融は主にCICとJICCに加盟しており、銀行は主にKSCに加盟しています。
平成21年4月以降に奨学金を借りた人、それ以後に借りて「個人信用情報の取扱いに関する同意書」を提出した人でも、信販会社や消費者金融の審査には影響しないことがあるのです。
審査で奨学金が影響しないということは一見するとメリットですが、奨学金について考慮をされずに、多額のお金が貸し出されてしまう可能性があるというリスクも存在します。
借金を抱えてしまったときにとるべき対応
借金を抱えてしまったときには、できるだけ早くにしかるべき対応をするということが大切です。
おまとめ・借り換え
クレジットカードのリボ払いの手数料は基本的に15%となっています。
地方銀行や信用金庫のカードローンの中には、限度額50万円以下でも金利が10%前後というカードローンも存在しています。
メガバンクやネット銀行だけでなく、地方銀行や信用金庫のカードローンも検討をしてみましょう。
地方銀行や信用金庫は地域密着型の金融機関なので、営業区域内に住んでいるか、もしくは勤務地があるという条件がつきます。
キャッシングや消費者金融を利用しているなら金利は18%となっているでしょう。メガバンクやネット銀行のカードローンに借り換えをすることでも、金利を14%程度まで下げられ、メリットがあります。
おまとめローンは審査が厳しいですが、延滞をしておらず、生活に余裕がある人は審査に通る可能性もそれなりに高いです。
多重債務者の人はおまとめローンの審査には通らない可能性が高いので、なるべく借入件数が2件もしくは3件のときにおまとめローンへの申し込みをしましょう。
債務整理をする
債務整理には任意整理・特定調停・個人再生・自己破産という4種類があります。
まだ20代の女性の場合、なるべく任意整理もしくは特定調停で解決をしてしまいましょう。
個人再生・自己破産では最長で10年間もの長い間ブラックリストにのってしまうので、デメリットが大きいです。住宅ローンを組めないといったトラブルになってしまうこともあります。
住宅ローンでは基本的に本人の個人信用情報のみが見られるので、妻がブラックリストにのっていても夫の信用情報が良好ならば審査には通る可能性があります。
しかし、妻が連帯保証人もしくは連帯債務者になる場合には妻の属性も重要になるので、住宅ローン審査に影響してしまいます。
個人再生・自己破産となることを避けるためには、早い段階で弁護士や司法書士に相談をするということです。
特定調停は自分で裁判所へ行って申請をする手続きなので弁護士や司法書士に依頼をするための報酬を節約できるというメリットがあります。
時間や手間を節約するなら弁護士・司法書士に依頼をして任意整理をするのがおすすめですが、コストを節約したい人は特定調停も検討してみましょう。
特定調停にかかるコストは1件あたり1,000円前後が目安です。
ブラックリストのデメリットを最小限に抑えるために
20代の女性にとって、ブラックリストにのるというデメリットは大きいものです。
クレジットカードやローンを利用できなくなるほか、賃貸契約時の保証会社の審査にも影響します。
連帯保証人を用意できれば賃貸契約で保証会社をつける必要はない場合がほとんどなので、親などに連帯保証人になってくれる人がいるという人はそれほど心配の必要はありません。
また、すべての保証会社が個人信用情報を照会するわけではなく、ブラックリストにのっていても保証をしてもらえる会社も存在します。
やはり一番大きいのはクレジットカードやローンとなるでしょう。
最近ではデビットカードやプリペイドカードの利便性が増してきているので、クレジットカードはなくてもそれほど影響はないかもしれません。
しかしローンのほうは、自動車ローン、住宅ローンなど人生において高い確率で必要になるものもあるので、重要な問題となりがちです。
返済が困難だとブラックリストにのることは避けられない?
借り換えローンやおまとめローンで解決ができるなら、ブラックリストにのることは避けられます。
しかし、返済が困難な状況、もしくはそれに近い状況にある場合、借り換えローンやおまとめローンでは解決ができない可能性が高いです。
追いつめられた状況になる前に、借金をそれ以上増やすことを止めて、借り換えやおまとめをするといった対策をとることが大切です。
どうせブラックリストにのるなら早い段階で
返済が困難な状況、もしくはそれに近い状況にあるなら、早い段階で債務整理をしてしまいましょう。
任意整理・特定調停・・・和解から5年
個人再生・自己破産・・・判決から5年もしくは10年
というのがブラックリストにのる期間の目安です。
どうせブラックリストにのるなら早い段階でのってしまったほうが、解除される時期も早まります。
一番最悪なのは、延滞を続けていていつまでも借金を完済できないという状態です。3ヶ月以上の延滞をしてブラックリストにのってしまったら、借金を完済できるまで10年でも20年でもブラックリストにのり続けてしまいます。
そのような最悪の状態が続くくらいなら、自己破産をして借金をゼロにしてしまったほうがメリットがあるでしょう。
借金問題は早期解決がカギを握ります。
過払い金があるならブラックリストにのらない?
過払い金があるならブラックリストにのらないケースがあります。3社から借金をしていて、
A社の過払い金150万円、B社の過払い金50万円、C社の過払い金50万円
というケースで考えてみます。
このケースでは、まずはA社に過払い金請求をすることで、50万円の過払い金を取り戻すことが可能です。個人で請求をした場合には4割~6割くらいの悪い条件になってしまうこともあるので、業者の対応次第では弁護士に依頼をするべきです。
B社に過払い金請求をしてしまうと、200万円-50万円=150万円の借金が残るので、その後任意整理などの手続きをすることになってしまいます。まだ時効までの期間に余裕があるのなら、過払い金請求は待ったほうがよいかもしれません。
C社からの借金については、先にA社に過払い金請求をして50万円を取り戻しておけば、そのお金と合わせて借金をゼロにすることができるでしょう。
100%の過払い金を取り戻すなら弁護士に依頼をしたほうが成功確率が上がります。時効などの問題もあるので、早い段階で弁護士や司法書士に相談をしておきましょう。