借金が原因で会社をクビになることってあるの?債務整理した場合は?

大きな額の借金をしているけれど、会社にバレたらどうしよう。もし返済が滞って会社に取り立ての電話がきてしまったら?返しきれなくなって債務整理することになった場合は?・・・大きな借金をすると、こんな風に悩みの種はつきませんよね。

とくに借金のことが会社にバレるのはなんとしても避けたいところです。数年勤めている会社ならそこそこのポストに任命されているでしょうし、そのプライドからも同僚や部下に弱みは見せたくありませんよね。

また、借金がバレたら会社をクビになってしまうのではないか?という心配もあるでしょう。クビになれば収入源がなくなり、借金を返せなくなってしまいます。この不安はとても大きいものでしょう。

ただ、借金が原因でクビになることはほぼありません。多額の借金をしているということだけで解雇するのは違法です。これは債務整理をした場合も同様なので安心してください。

そもそも、借金が会社にバレるのはどういった場合なのでしょうか?バレるケースはいくつかあるので、それについてまずは解説していきますね。

ページの後半では、借金が原因で仕事をクビになることはあるのかについて詳しく解説していきます。

少しくらい返済が滞っても借金が会社にバレることはない

基本的に、借金が会社にバレることはありません。借入時に在籍確認として職場に電話がかかってくることはありますが、この際に借入金額をバラされることはありませんし、これは珍しいことでもないので、職場の人も何も思わないでしょう。

バレるとしたら、返済が滞り、催促の電話が会社にかかってきた場合です。この場合も、借金の返済が遅れていることを他人に通知することはありませんが、何度もかかってくるようであれば職場の人に不審がられるかもしれません。

ただ、たとえ返済が滞ろうとも、正当な理由なく勤め先に催促の電話をするのは「賃金業法」と呼ばれる法律で禁止されています。借金をした際、契約書に連絡先を記入しましたよね。この連絡先以外に無断で連絡するのは違法なのです。

職場に直接取り立てに行くなんてことはもってのほかです。この場合は「業務妨害罪」や「不退去罪」が適用になることもあります。

正当な理由とは、借金の返済が延滞しているのに本人と全く連絡が取れない、などです。この場合は職場に確認のための電話をすることは許可されています。逆に言えば、返済が遅れても金融会社としっかり連絡を取っていれば職場に電話されることはありません。

ですから、借金をし、その返済が遅れたからといって職場に借金がバレることはないと言ってもいいでしょう。

違法な消費者金融で借金をすると職場に取り立てにくることも

どのような手段であれ、正当な理由なく金融会社の人間が職場に取り立てに行くことは禁止されています。しかしこの原則が守られない、唯一の例外があります。それは、違法な消費者金融で借金してしまった場合です

昔から言われている言葉で「ヤミ金」なんて言ったりもしますが、彼らはもとから法律を守る気はありません。もちろん、期日までに返済できれば何も問題はありませんが、少しでも遅れればあらゆる方法で厳しい取り立てを行うでしょう。

突然職場に電話をかけてきたり、直接訪問してきたりするかもしれません。むしろ、プレッシャーを与えるためにわざと職場に借金のことを知らせようとするかもしれません。

もし、現在こういった嫌がらせを受けているなら、すぐに弁護士に相談しましょう。借金をしている弱みから強く出れない気持ちがあるかもしれませんが、このような行為は完全に違法なので、弁護士に依頼することで止めさせることが可能です。

これから借金しようと考えている人は、違法な会社で貸付契約をしないように気をつけましょうね。

会社に借金がバレる2つのケース

多額の借金をしても、きちんと返済をしているなら、その借金のことが職場にバレることはありません。また、多少返済が遅れてしまっても、連絡先を自分の携帯や自宅に指定しているなら、職場に催促に来ることはありません。

しかし、返済が滞っているのに借入先からの電話を無視し続けたり、長期的に返済できていない場合は差し押さえの措置を取られることになり、これがきっかけで会社に借金のことがバレてしまいます。

差し押さえは毎月の給料や銀行預金から強制的に返済金を徴収する仕組みです。そして、差し押さえの通知は本人だけでなく、給料の支払い元にもされるので、結果的に借金の返済が滞っていることが知られてしまうのですね。

借金の存在がバレるもう一つのケースは、債務整理をした場合です。債務整理には主に「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」の3種類があり、このうち個人再生と自己破産を行った場合に借金バレのリスクが生じます。

この2つでは裁判所を介して法的手続きを行い、借金の減額をしてもらいますが、その事実が個人名とともに「官報」と呼ばれる情報誌に掲載されてしまうのです。

もし官報を定期的に見る職場であったり、個人的に見たりする人がいれば、すぐにバレてしまうでしょう。ただ、官報はかなりマイナーなものなので、普段から趣味で目を通しているような人はほとんどいないはずです。

官報をチェックしている職場もほぼありませんから、債務整理が原因で借金が会社にバレることはないと言ってもいいかもしれません。

債務整理の際に借金バレのリスクを完全にゼロにしたい場合は、任意整理を選びましょう。任意整理なら自分と弁護士、貸し手の3者だけで解決しますから、借金が職場にバレる可能性はほぼゼロに等しくなります。

ここまで会社に借金がバレることはほとんどない、バレるのは差し押さえと債務整理を行った場合だけだと解説してきました。それではもし、会社に借金のことがバレてしまったらどうなるのでしょうか?以下で詳しく解説していきますね。

借金が原因で会社をクビになることはある?

借金が職場にバレたとしても、それだけが原因でクビになることはありません。というのも、借金を理由に労働者を解雇するのは不当解雇になり、会社側に大きな非が生まれてしまうためです

解雇に関しては「労働基準法」で厳密に規則されています。とくに第18条の2で、

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」

とされており、借金は解雇のための合理的な理由には当たらないとされています。また、これは債務整理を行った場合も同様で、たとえ自己破産をしたとしても解雇されることはありません。

しかし、絶対にクビにならないとは言い切れない部分もあります。たとえば、職場に何度も取り立ての電話がかかってきたり、直接取り立てに来たりして、慢性的に業務が妨害されている場合、そのことが原因で懲戒解雇を受けてしまうかもしれません。

先述した通り、いきなり職場に取り立てを行うのは完全に違法行為なのですが、悪徳な消費者金融はその違法行為を平然と行ってくることがあります。

そして、そういった消費者金融は反社会勢力と繋がっていることが多く、その結果、自分も反社会勢力と関わりがあるとみなされてしまうリスクがあります。

もし、いわゆるヤクザと繋がりがあると判断されれば、それは解雇のための合理的な理由になるので、クビを言い渡されてしまう可能性も出てくるでしょう。

真っ当な金融会社であればこのような心配は全くないので、安心してくださいね。といっても借金を延滞してもいいわけではありませんよ。

借金バレがクビの直接の理由にならないとしても、精神的にとても辛い日々を送ることになるかもしれません。どういうことか、以下で詳しく解説していきますね。

借金が職場にバレると周りの目が変わる

借金を理由に解雇するのは不当であるとお話ししました。確かに、借金の返済が遅れてしまい、最終的に会社に借金のことがバレてしまってもクビになるわけではありません。ただ、やはり周囲からの目線は変化してしまうものです

〇〇さんは多額の借金をしていて、しかも返済が遅れているらしい・・・、こんな視線で毎日見られれば職場にいるのが苦痛になってしまうでしょう。長年勤めて作り上げた信頼がたった一日で崩壊してしまうこともあります。

また、昇進にも影響が出るかもしれません。もちろん、表立って借金を理由にはしないでしょうが、なにかしらの理由をつけて人事評価を下げられてしまう可能性があります。

こういった内部評価のいざこざははっきりとした証拠もないため、弁護士に頼っても問題が改善しないケースも多いです。泣き寝入りのような状態になってしまうのですね。

他にも、自主退職を迫られたという経験談もいくつかあります。借金が理由の懲戒解雇処分は不当ですが、本人が自ら希望して辞める分には何も問題ありません。

やはり借金のことが会社にバレるとそれなりの不利益が生じてしまいます。ですから、借金の延滞がやむをえない場合は必ず金融会社に連絡しましょう。

金融会社に連絡することで借金バレのリスクは減る?

借金がバレるのは、主に差し押さえ処分を受けたときです。ただ、少し借金の返済が遅れたからといって、すぐに差し押さえが始まるわけではありません。

一般的に、期日までに返済が行われないと金融会社から電話がかかってきます。その内容は、厳しい取り立てや催促ではなく、返済が遅れていますが大丈夫ですか?といった確認のようなものです。

そこで返済が厳しい旨を伝えると、親身になって対応してくれますし、具体的な返済スケジュールも提案してもらえます。さすがに返済額の減額はされませんが、期日を延長してもらうことは十分可能です。

最もやってはいけないことは、金融会社からの電話に出ないことです。連絡が取れないと、借金を返す予定はあるのか、それはいつごろになるのかの確認ができません。

ずっとその状態が続くと貸し手側も法的手段を取らざるをえなくなり、最終的に差し押さえとなってしまうのですね。

金融会社側も進んで差し押さえをしたいわけではありません。余計な業務も増えますし、裁判所に依頼すれば費用も当然かかります。借り手と貸し手の間で、まさにlose-loseな関係になってしまうのです。

ですから、返済が間に合わないようであれば金融会社に連絡し、期日を延長してもらえるよう相談しましょう。差し押さえされるリスクも減りますし、結果的に職場に借金がバレる可能性もなくせます。

現在、返済が滞っていて、金融会社からの連絡を無視している人は、必ず電話に出るようにしてくださいね。後ろめたい気持ちから電話に出にくいのはわかりますが、そのまま放っておくとどんどん悪い状況になってしまいますよ。

まとめ

借金が原因で会社をクビになることはほぼありません。差し押さえや債務整理で職場に借金のことがバレてしまう可能性はありますが、それも自分の対応次第である程度コントロールできます。

そもそも、借金すること自体はそこまで珍しいものではないのです。たとえば、住宅ローンや奨学金、車のローンだって借金の一種ですよね。

問題は、借金の返済が滞った際に貸し手からの連絡を無視してしまうことです。これをすると差し押さえされるリスクが一気に上昇し、同時に職場にバレる可能性も大きく上がってしまいます。

返済が間に合わないようならすぐに金融会社に連絡し、現実的な返済スケジュールを一緒に考えてもらいましょうね。