ブックメーカーの両建ては条件さえ揃えば損はしない戦法

ブックメーカーの賭け方の一つに、両建てというものがあります。英語でアービトラージということもありますが、意味は同じです。ブックマーカーごとに配当倍率が微妙に異なることを利用して賭けるこの戦術は、必勝法というアオリ文とともに紹介されることが多いです。

しかし、実際にはもちろんそんなことはありません。そんな賭け方が存在していたらブックメーカーはあっという間に倒産してしまいます。

しかし、両建ては条件が揃えば絶対に損しないという長所があるのもまた事実であり、うまく使えば心強い味方になります。今回は両建てという戦術のメリットと実践方法、注意点などをまとめて紹介したいと思います。

両建ては配当倍率が違うブックメーカーを2つ以上利用するもの

現在メジャーなブックメーカーの殆どは、それぞれが独自の方法で配当倍率を決めています。必然的に、ブックメーカー同士で配当倍率が異なることもありえます。その差を利用して稼ぐというのが、両建ての基本戦術です。

両建ての例1

例えば、サッカーのイタリアvsフランスの試合結果を予測するとします。同点になった場合は延長、さらにはPKで勝敗をつける(引き分けはない)ものと仮定します。このような状況下で

  • ブックメーカーAはイタリアの実力を高く評価し、イタリアの配当倍率を1.8倍、フランスを2.1倍としました。
  • ブックメーカーBはフランスの実力を高く評価し、イタリアの配当倍率を2.1倍、フランスを1.8倍としました。

この時、ブックメーカーAでフランスに100ドル、ブックメーカーでイタリアに100ドル賭けるとどうなるでしょうか。

仮にフランスが勝てば、ブックメーカーAから配当210ドルを受け取れます。イタリアが勝った場合は、ブックメーカーBから配当210ドルを受け取れます。

どちらにせよ200ドル使って210ドルヲ手に入れたことになるのですから、差し引き10ドルの儲けです。これが両建ての考え方です。どちらが勝っても賭け金(200ドル)より配当のほうが多くなるので、絶対に黒字になります。これが両建てです。

ちなみに、両建ての考え方を発展させたものに三建てというものがあります。これは引き分けがあるスポーツなどで有効な賭け方で、3つのブックメーカーで「イタリアの勝ち」「フランスの勝ち」「引き分け」と言った感じで選びます。

両建ての例2

今度は、イタリアvs日本の試合結果を予測するとします。同点になった場合は延長、さらにはPKで勝敗をつける(引き分けはない)ものと仮定します。このような状況下で

  • ブックメーカーAはイタリアの配当倍率を1.3倍、日本を4.0倍としました。
  • ブックメーカーBはイタリアの配当倍率を1.5倍、日本を3.5倍としました。

この場合は、両方のブックメーカーに賭ける金額を調整することによって両建てが可能になります。例えば、ブックメーカーAでは日本に100ドル、ブックメーカーBではイタリアに280ドル賭けます。

仮に日本が勝てば、ブックメーカーAから配当400ドルを受け取れます。イタリアが勝った場合は、ブックメーカーBから配当420ドルを受け取れます。どちらも賭け金(380ドル)よりも配当のほうが多くなるので、絶対に黒字になります。

両建ての3つのデメリット

一見完璧な理論にも思える両建てですが、もちろんデメリットがないわけではありません。両建てのデメリットは、以下の3つです。

配当倍率が違う試合を見つけるのが大変

ブックメーカーは毎日、様々な賭けを主催しています。賭けの対象となるスポーツも賭け方も非常に豊富なことがブックメーカーの大きなメリットなのですが、両建てをする上ではそれが足かせとなります。

あまりにも書け方の種類が多すぎて、配当倍率が違う書けの組み合わせを見つけるのが非常に大変なのです。いちいち2つのブックメーカーのサイトを開いて比較していく、と言うのは非常に手間がかかります。

最近は両建てに有利な試合が開催される前にお知らせをくれるサービスなんかもありますが、すべて海外製です。しかもツールに不具合がある場合も少なくないため、あまりあてにはならないでしょう。

利率が低い

例えば前述のフランスvsイタリアのサッカーの試合の場合、どちらが勝っても200ドルの元手で210ドルを得ることが出来ます。この場合の利率は(210-200)÷200=0.05=5%です。この数字は決して高いとはいえません。仮に10回連続で5%の利回りを得ても、資金は1.62倍にしかなりません。

それでも増えることには間違いないのだからいいではないか、と思われるかもしれませんが、賭け間違いが起こった場合は損失が出る恐れがあります。賭け間違いなんかしないよ、と今は思っていても、いざ賭ける段階になると焦りで結構失敗します。

利益を増やすためには元手を多くするしかありませんが、元手がたくさんあるならばブックメーカーではなく不動産投資や株式投資などの別の投資法を考えたほうがいいでしょう。あちらは投資なので原則長期的にやれば資産は増えていくはずです。

MAXbet制限がある

ブックメーカーの中には、勝ち続けているプレイヤーのMAXbet(1回あたりに賭けられる金額の上限)を非常に低く制限するところがあります。というか、殆どのブックメーカーはそうしています。

制限額はブックメーカーによってまちまちですが、10ドル程度のところが多いです。仮に10ドルの制限がかかった場合、利率が5%なら1回買って得られる利益はわずか0.5ドル=50セント≒60円です。賭け金をこれ以上増やせないので複利効果もかかりません。

MAXbetの対象となってしまった場合は他のブックメーカーを探すしかありませんが、それにも手間がかかります。

両建ては小銭を稼ぐのには向いているが、大勝ちは難しい

両建てという戦術が基本的に「負けない戦術」であることは間違いありません。しかし、一方で様々な制限から大勝ちがしづらい仕組みになっているのも確かです。

絶対に負けたくない、少しでもいいから資金を増やしたいという方にはおすすめですが、大勝ちしたいという方には別のギャンブルの方をおすすめします。

例えばカジノのスロットなどは、1回の当たりで数千万ドルを得られる可能性があります。(参考:借金地獄とは無縁!数十億円も夢じゃないカジノスロット攻略法