借金を延滞したり債務整理をしたりするとなにかペナルティはある?

借金の返済が期日に間に合わなかった場合、多少のペナルティが課せられます。それは恐喝まがいの恐い取り立てが行われるとかではなくて、金銭面に関わるペナルティです。

消費者金融や銀行からお金を借りていると、借入期間に応じて利息が発生しますよね。延滞中はこの利息の利率が少し上がってしまうのです。

さらに、延滞が長期間に及ぶと、あなたの個人情報が「信用情報機関」に登録され、しばらくの間ローンが利用できなくなる、クレジットカードが作れなくなるなどのペナルティも課せられます。これらについては記事の前半で詳しく解説していきますね。

また、債務整理を行った場合にもいくつかの制限が課せられることになります。この場合もローンの利用やクレジットカードが作れなくなり、さらにその期間は最長で10年にも及ぶので注意が必要です。このことについては記事の後半で説明します。

返済期日に間に合わなかった場合に生じる遅延損害金とは?

金融業者から借り入れを行った場合、当然ですが返済期日が設定されます。毎月決まった金額を返済し、完済を目指していくわけですが、月によっては期日までに返済が間に合わないこともあるかもしれません。

お金を貸す業者、とくにサラ金から借りたお金の返済が滞ると恐ろしい取り立てが待っているのでは・・・、と不安に思っている人もいるかもしれませんが、そのようなことは決して行われません。

期日を過ぎてから数日後に業者から電話がかかってきて、いつまでに返済できますか?と聞かれるので、◯日までには返しますと伝えれば、それでOKです。設定した日まで催促の電話がかかってくることはありませんし、突然自宅に訪ねてくるなんてこともありません。

ただ、本来の期日から実際に返済を行うまでの期間、特別な利息として「遅延損害金」が発生します。そのため、返済が遅れるほど返済額は大きくなってしまいます。

つまり、返済時には本来の利息に追加して遅延損害金を支払うことになります。損害金は決して安くはないので、延滞はなるべく避けたいところです。

遅延損害金の計算方法は?

遅延損害金は1日ごとに発生するため、なるべく早めに返済を行ったほうが金額は安くなります。

計算方法は一般的な利息と同じで、借入残高に遅延損害金の利率をかけ、それを365で割ったものが1日あたりに付与される金額となります。文章で見るといまいちわかりづらいので、計算式で見てみましょう。

借入残高×遅延損害金の利率÷365

上記の式で算出される数字が、1日あたりに上乗せされる金額になります。設定されている利率は金融業者によってそれぞれ違いますが、「利息制限法」と呼ばれる法律によって上限は20%と定められています。

消費者金融では上限ギリギリの20%、銀行でも18~20%と高い数字に設定されていることが多いです。具体的にいくらくらいになるのか、簡単にシミュレーションしてみましょう。

ここでは借入残高が30万円、遅延損害金の利率が20%であると仮定します。この場合、1日あたり164円の損害金が発生することになり、返済が30日遅れたとすると、追加で4,920円もの金額を支払わなければなりません。

遅延損害金はいつ支払う?

遅延損害金は次回の返済時に支払うことになります。つまり、遅れた返済分を支払う際にまとめて払う、ということですね。

支払う金額は定められている最少返済額でも構いません。ただ、これができるのは、利息と遅延損害金の合計額が最少返済額を超えない場合に限るので注意してください。

普段の返済額の中に遅延損害金を含めることになるので、借入残高の減りはかなり少なくなってしまいます。

本来は返済額から利息を引いた分だけ元本が減るのですが、延滞した場合は利息と遅延損害金を合計したものを返済額から引き、残った金額分が元本の返済に充てられることになります。

これでは返済期間が延びてしまい、それだけ最終的に支払う利息も増えてしまいます。それが嫌な場合は、最少返済額に遅延損害金を上乗せした金額を返済するようにしましょう。これなら以前と同じペースで借入残高を減らせますよ。

遅延損害金がいくらになるかは、業者に連絡すれば教えてもらえます。最初の連絡時に一緒に聞いておくとよいでしょう。

長期間延滞するとローンの利用、クレジットカードの作成が制限される

多少の延滞であれば、遅延損害金を支払うだけで済みました。しかし、長期間の延滞となるとそうはいきません。損害金に加えて、新たなペナルティが追加されてしまいます。

住宅ローンやマイカーローンなど各種ローンの利用ができなくなり、新しくクレジットカードを作ることもできなくなります。

なぜ、こういったペナルティが課せられるかというと、長期間延滞した場合は、その情報が個人情報とともに「信用情報機関」に伝えられるためです。

信用情報機関とは、あらゆる金融機関に保存されている個人情報をまとめて管理している団体です。3つの組織から構成されており、それぞれの名称は「日本信用情報機構(JICC)」、「シー・アイ・シー(CIC)」、「全国銀行個人情報センター」です。

これらの3社はお互いに情報交換・共有を行っています。加えて、ほぼ全ての金融機関はいずれかの団体・組織に加盟しており、情報提供を行っています。

さらに、信用情報機関からも金融機関へ情報を降ろしているので、この団体に所属している業者は自社はもちろん、他者の顧客情報も全て把握している、ということになるのです。

ですから、借入している業者から信用情報機関へあなたの延滞情報が伝えられてしまうと、その情報は他の業者にも共有されてしまいます。

当たり前ですが、延滞している人にはお金を貸しません。貸しても返ってくる保証がないのですから、当然ですよね。そのため、信用情報機関にあなたの延滞情報が記録されているうちは、各種ローンの利用、クレジットカードの作成ができなくなってしまうのです。

また、厄介なことに、返済をしたからといってすぐに延滞情報が抹消されるわけではありません。延滞解消日を基準として、JICCは1年間、CICと全国銀行個人情報センターでは5年間は記録が残ってしまいます。

利用している金融機関がどの団体に属しているかはわかりません。そのため、自分の延滞記録がまだ残っているかどうかを確認するためには、各団体に開示手続きを行う必要があります。

重要なのは、完済したからといってすぐにペナルティが解除されるわけではない、ということです。1年はともかく、5年の間、ローンやクレジットカードが利用できないのは大きな痛手ですよね。

では、具体的に何ヶ月延滞すると、信用情報機関に延滞記録が登録されてしまうのでしょうか?これははっきりとした基準が公開されておらず、業者によっても異なるようなので一概には言えません。

ただ、最初の返済期日から3ヵ月経過すると、高確率で信用情報機関に報告されてしまうようです。じゃあ、3ヵ月までなら大丈夫なのか、というと決してそうではないので、返済はなるべく遅らせないようにしましょう。

債務整理を行った場合のペナルティは?

債務整理とは、借金の減額、もしくは消滅させるための法的な手続きです。債務整理と一言に言っても、その手段はいくつかあり、「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」の3つが一般的だとされていますね。

任意整理と個人再生は借金の大幅減額が、自己破産なら多少の例外こそあるものの、ほぼ全ての借金をチャラにできます。ただ、当然ペナルティも存在します。そんなの知らなかった!と後で後悔しないように、しっかり知っておきましょう。

任意整理と個人再生を行うと、その記録が信用情報機関に登録されます。そして、延滞時と同じように、記録が残っている間は各種ローンの利用や、クレジットカードの新規作成ができなくなってしまうのです。

記録が保存される期間は5年間となっており、記録が残っているかどうかは開示請求を行うことで確認できます。

次に自己破産をした場合ですが、やはり破産記録が信用情報機関に登録されてしまいます。保存期間はJICCとCICでは5年間、全国銀行個人情報センターでは10年間となっており、一部の団体では任意整理や個人再生の場合よりも長く設定されているので注意しましょう。

また、自己破産を行うと、必要最低限以外の財産は手放すことを強いられ、99万円を超える現金についても没収されてしまいます。さらに一定期間、一部の職業には就けなくなります。弁護士や司法書士などの「士業」、一部の公務員などが制限の対象ですね。

そしてもう一つ、個人再生と自己破産を行った場合は、「官報」と呼ばれる国が発行する公的な文書に、手続きを行った事実と個人情報が記載されるというデメリットもあります。

官報は定期的に発行されており、誰でも閲覧できるので、債務整理を行ったことが第三者に知られてしまうかもしれません。身内や知り合いに借金のことを知られたくないと思っている人には、これは大きなデメリットでしょう。

ただ、官報を習慣的にチェックしている人はそうそういないので、官報を通して債務整理したことがバレるのはよほどのレアケースだと思いますが。

このように、債務整理にはさまざまなペナルティ、デメリットがあるので、手続きを行う前にはそれらをしっかり把握しておきましょう。

借金や債務整理に関しての悩みは弁護士へ相談しよう

ここまで解説してきたように、借金を延滞したり、債務整理を行ったりした場合は、いくつかのペナルティが課せられてしまいます。また、あなたの状況によってはここで挙げた以外の制限も受けてしまうかもしれません。

どんなペナルティを受けるのか不安・・・という場合は、弁護士に相談しましょう。この記事ではあなたの状況を踏まえてアドバイスすることはできませんが、弁護士ならそれが可能です。

幸い、最近は借金に関する相談なら無料で行っている弁護士事務所も増えてきているので、そういった機会を積極的に利用しましょう。

まとめ

借金を延滞、滞納すると、遅延損害金により余計な利息が発生してしまいますから、なるべく当初の返済日までにきっちり支払いをしていきたいところです。もし、返済が間に合わないようなら前もって業者に連絡しておきましょう。

債務整理にも複数のペナルティがありますが、どうしても返済の目処が立たない場合には前向きに検討するようにしてください。

返せないまま放っておいても利息が膨らむばかりですし、最悪の場合、財産を差し押さえられてしまう可能性もあります。

弁護士に相談すれば債務整理をすべきかどうかを詳しく教えてもらえるので、借金で困ったときにはぜひ頼るようにしましょうね。