転職エージェントDODAが転職理由について調べたところ、次のような結果になってそうです。
(画像:DODA「転職理由ランキング」より)
他にやりたい事がある、スキルアップを目指したい、といった前向きな理由もあれば、給与が少ない、残業が多い、といった会社への不満があって転職を決意した人もいます。
どれも転職理由としては納得できるものばかりでしょう。
ですが、この本音をそのまま面接官に伝えてしまうと、「採用するのはちょっと・・・」と思われてしまうかもしれません。
退職した理由は、面接の時に聞かれる質問TOP5に入るくらい定番の質問ですから、多少突っ込まれてもスラスラ答えられるように、しっかり対策しておきたいところ。
ここでは、嘘をつかずに本音が言えて、面接官に突っ込まれない退職理由の答え方についてお話していきたいと思います。
なぜ、面接官は退職理由を質問するのか
面接官が、退職理由を質問するのは、次のことを確認するためです。
●簡単に仕事を辞めてしまうのではないか
●何でも他人のせいにするような人物ではないか
●周りの人と衝突ばかりするのではないか
●忍耐力はあるだろうか
つまり、あなたの人柄や、仕事に対する姿勢を見たいということです。
過去の実績や経験ももちろん見てくれますが、信頼できる人物なのか、ポジティブに仕事ができるか、向上心があるか、といった点も同じくらい重視されるものです。
企業によっては能力よりも、人柄や仕事に対する考え方を重視している企業もあるくらいです。
「採用はない」と思われてしまう退職理由
「残業や休日出勤が多かったので・・・」
残業や休日出勤に対する不満は、退職理由としてはよくあるものですし、周囲からの理解も得られやすいと思います。ですが、面接時はそうもいきません。
残業・休日出勤は、仕事への意欲や熱意の指標として見られてしまうためです。
もちろん反論したい人もいるでしょう。残業や休日出勤の多さはブラック企業の特徴でもありますし、そもそも残業や休日出勤で疲れを溜め込んでしまったら、効率的に働けるはずがない・・・という意見もたくさんあると思います。
ですが「効率の良い仕事のやり方を考えるべきです」と面接で意見を述べても、企業への批判として受け止められてしまう可能性が高いため、得策とは言えません。
「パワハラ(モラハラ・セクハラ)を受けていたので・・・」
ハラスメントとは、”様々な場面での嫌がらせ”を指します。よく知られているのがパワハラ・モラハラ・セクハラあたりでしょうが、実は32種類もあります。
アルコールハラスメント、スクールハラスメント、スモークハラスメント、と、名称を見てみると、確かに分かる気がする・・・というものばかりです。
こうしたハラスメントは、重大な問題として取り上げられるようになりましたし、企業全体が防止と根絶に向けて動いている所もあります。
ですが、主観的になりやすい、何をもってしてハラスメントになるのかを判断するのは難しいという側面はあります。
例えばパワハラの場合だと、厚生労働省は次のように定義しています。
同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為
ただ、本人がパワハラだと訴えても、別の人から見ると部下を育てるために必要だったことでは?と思われる可能性はあります。
もしも面接官がパワハラの内容を聞いて共感できなかった場合は、マイナスな印象を持たれてしまうでしょう。
面接官から突っ込んだ質問を受けた場合は、詳しく説明する必要はありますが、相手方に全ての非があるような言い方は避けなくてはいけません。
「業績が悪く、昇給も見込めないので・・・」
働いている会社が倒産するかもしれない…となると、転職を考えるのは間違った選択ではありません。生活がありますし、家族など守るべき存在がいるなら尚更です。
ですが、会社を守る立場である面接官からすると、業績が悪化したら懸命になって立て直そうとする人材が欲しいと考えるのもまた間違っているとは言えません。
そのため、業績の悪化を退職理由にするのは避けるべきです。
「会社都合で退職することになったので・・・」
会社都合でまず思い浮かぶのは解雇や倒産だと思いますが、「採用条件と労働条件が大きく違っていた」「賃金の支払いが遅れた」など、会社側の事情により退職せざるを得ないケースも会社都合という扱いになります。
会社都合での退職だと、失業給付金をスムーズに受け取れますし、上手くいけば解雇予告手当を受け取れるので、自己都合という形よりも金銭面ではメリットがあります。
ですが、転職時の面接ですと、会社都合・・・解雇によるものであれば、マイナスに受け止められてしまう可能性があることを頭に入れておいてください。
優秀な人材であれば会社側から手放さないものだと解釈されるのが普通なので、「実力不足なのでは?」「働き方に問題があるのでは?」という疑問を持たれてしまうのです。
退職理由を質問される以上、会社都合であることの説明は必要ですが、伝え方を工夫しなくてはいけません。
「体調を崩してしまったので・・・」
過酷な労働環境の中、心身ともにすり減らした末に体調を崩してしまったり、病気になってしまうことがあります。
こうした退職理由の場合、面接官が不安視するのは”働ける状態なのか?”ということです。
体調や病気のことは正直に話したほうが良いですが、働けることを強くアピールしなくてはいけません。
退職理由を伝えるときのポイント4個
退職理由の伝え方次第で、面接官が持つ印象はガラッと変わります。
大切なのは、ウソをつかずにポジティブ変換すること。
退職理由は次の4つを軸にして伝え方を工夫していきましょう。
①不満を言ったり、ネガティブな発言はしない
今の職場から逃げ出したい一心で転職を決める人も多いですが、たとえそうであっても、面接時ではそのような素振りを見せてはいけません。
逃げたいから、嫌だからというネガティブな回答ではなく「こんな仕事がしたいから転職することにした」というポジティブな答え方を徹底して練習しておきましょう。
また「上司は気分屋なところがあって突然怒鳴りつけてきたり、物を投げられることもあって、精神的に耐えられないと思い~」と、いくら相手方に非があったとしても、不満を面接の場で訴えるのもあなたにとってはマイナスです。
面接官は基本的に、あなたの不満に共感してくれることはないと考えるべきです。
上司に非があったのが事実だったとしても、面接官は実際にその現場を見ていないわけですから「あなたにも問題があったのでは?」と思われてしまいます。
面接では、全ての発言にネガティブや不満を封印して挑んでください。
②自信を持って面接に挑もう
例えあなたに非はなくても、ネガティブな表現や不満は一切漏らしてはいけないとお話しました。では次に理想の退職理由を考えてみましょう。
大切なのは「これまでの経験を活かして、次はこんな経験をしたいと思い、転職に至った」とストーリーを考えることです。
自信がある人と、そうでない人の態度や言動は、明らかに違いがあります。自信がなさそうな様子だと、仕事が出来ないイメージを持たれてしまうのは避けられません。
それに、自分らしい振る舞いができなくなりますし、面接官を前にすると緊張と焦りで何を伝えれば良いのか分からなくなってしまうでしょう。
気持ちを前向きにするコツ
退職を決意するまでに、苦しい・嫌・辛い・悲しい・悔しい・怖いといった思いを長く抱えてきた人は自信をなくし、自分を見失いかけている状態だと言えます。
もしあなたがそうならば、負に繋がる感情は一旦忘れて、「これまでやってきたこと」「特に力を入れてきたこと」「次にやりたいこと」を考えてみてください。
『周りはちゃんとしているのに、自分だけ出来ない・・・』という自己否定の嵐に耐えられなくなり転職を決めたとしても、上の3つの答えを探していけば、自然と前向きな気持ちになれます。
今の会社で何もやらなかったということはあり得ませんし、自分なりにこうすれば上手くいくのではないかと試行錯誤したこともあったでしょう。周囲から刺激を受けて何かにチャレンジしてみたい気持ちが湧いた瞬間もあったのでは。
どんなに小さいエピソードでも構いません。あなたが会社にいた時間の分だけたくさん見つかるはずですから、紙に書き出してみてください。
あなたにどれほど輝かしい経歴があったとしても、あなたが無視・否定したら全てがなかったことになってしまいます。
自信があれば、世界が広がりますし、焦った時でも深呼吸を思い出すくらいのゆとりは持てます。過去のことは水に流して、転職をきっかけに一歩ずつ前を向いて歩いていきましょう。
③これまでの経験をアピールする
販売員の仕事が嫌だから辞めるのであっても、販売員時代の経験はなくなりません。
それならば、あなたが持っているノウハウや経験を強くアピールしたほうが、良い印象を持たれるのは言うまでもありません。
Point ➡ こうすればもっとよくなる
上の退職理由にもう少し付け加えると、より説得力のある内容になります。
販売員として今の職場(もしくは前職)で学べることは全て学んだという姿勢を見せてください。
販売員のケースですと、年齢や性別が限定されることが多いと思います。
④嘘はつかない
面接では企業のニーズを把握した上で、自分をアピールしていく必要があります。ですが、いくら採用してもらうためとは言え、ウソをつくのは不信感を持たれてしまう原因になりかねません。
ひとつ嘘をつくと、その嘘を隠すための嘘を重ねる・・・を繰り返すことになってしまいますので、辻褄が合わない部分を指摘されてしまったら、嘘をつくのに必死で面接どころではなくなってしまいます。
ただし、転職活動が不利になるのでは・・・という退職理由を抱えている場合は、嘘をつきたくなる気持ちも分かります。
そんな時は、嘘ではなく、少し強引にポジティブ要素を引き出して乗り切りましょう。
例1)病気の場合
病気が退職理由にあたる場合、そのまま正直に伝えてしまうのはおすすめできません。前述したように働ける状態なのかを心配されてしまうからです。この場合は2つの答え方があります。
ひとつは、別の退職理由を伝えるということ。退職理由はひとつではなく、いくつか重なっているものですから、病気以外の理由を伝えてください。
もし、それでは説明がつかない時(ブランクがある等)は、病気のことは伝えた上で「今は問題ありません」という点を強調してください。これが2つの目の答え方になります。
例2)会社都合(解雇)の場合
リストラされたので退職せざるを得なかったというのは、本当のことですが、ポジティブ変換して伝える必要があります。
話の組み立て方としては・・・
このように、リストラされた部分を強く言うのではなく、既に気持ちを切り替えて新しい道を歩いていることをアピールしていけば良いのです。
万全な面接対策をしたいならプロのアドバイスをもらおう
面接で聞かれることは退職理由だけではありません。実際に何を質問されるかも分からないですし、自分が用意した回答が果たして企業に納得してもらえるのか・・・と考えると不安にもなると思います。
それに、イレギュラーな突っ込みがくる可能性も考えると、いくら面接対策をしても万全とは言えないのではと、より不安は増していってしまいます。
特に、初めて転職活動をする場合は、就活とは全く勝手が違うので戸惑うことも多いでしょう。
経験や実績をアピールする、会社へどう貢献していくかを伝える、即戦力になって欲しいという期待に応える・・・など、社会人として働いた期間の分だけ、あなたへの期待値は上がっていくものだと考えなくてはいけません。
DODAの転職活動サポートは使える
転職エージェントDODAでは、一人ひとりに合った非公開求人の紹介、企業から直接オファーが届くスカウトサービスなどがありますが、他にもここでは説明できないくらい細やかなサービスも色々とあります。
例えば・・・
面接対策をしたいなら、個別相談会への参加をおすすめします。
キャリアアドバイザーが、面接対策だけではなく、各書類の作成方法や、キャリアアップ事例の紹介等、転職全般のノウハウも1~2時間かけてじっくり教えてくれます。
転職は、仕事をする能力が高いだけではゴールに辿り着けないでしょう。
転職する能力も育てていく必要がありますから、一人で関連本を読んで勉強するよりも、プロに直接手ほどきを受けたほうが、転職ノウハウの吸収率が高くなるのは間違いありません。