借金は怖いものというイメージをお持ちの方は少なくないかと思います。それは半分正しいですが、半分間違っています。
身の丈を越えた借金は確かに危険であり、身を亡ぼす原因となりますが、自身の稼ぎに合っていて、なおかつリターンが見込める借金はむしろ良い借金とすらいえます。
そもそも世の中はお金の貸し借りをすることによって経済が回っています。住宅ローン、自動車ローン、教育ローン…これらはすべて借金です。こうした仕組みがなくなり、現金一括購入以外は認めない世の中になってしまったら不便を強いられることは容易に想像できますよね。
借金をすることは、生きて行く上で必要不可欠なことなのです。
もちろんだからと言ってすべての借金が肯定されるべきわけではありません。借金には「よい借金」と、「悪い借金」があるのです。
日本人の3人に1人が借金をする時代
平成25年3月時点でのすべての借金の貸付件数は約4000万件、貸付総額は約7兆円です。日本の人口は1億2700万人ぐらいなので、単純に考えても国民の3人に1人が借金をしていることがわかります。
成人人口は約1億人なので、大人だけに限って考えれば2.5人に1人が借金をしていることになります。なお、一人当たりの貸付総額は17万5000円です。これだけを見ても、借金が我々にとってとても身近なものであることがわかります。
消費者金融で借金をしているのは18人に1人
一方、消費者金融(キャッシング)に限って見た場合、平成25年3月時点での借金の貸付件数は約550万件、貸付総額は約2兆6000億円となっています。成人人口は約1億人ですから、だいたい18人に1人が消費者金融からお金を借りていることになります。
また、一人当たりの貸付総額は約47万円です。これはあくまでも平均値であり、実際にはもっとたくさんお金を借りている人もたくさんいます。
借金は必ずしも悪いことでも、恥ずかしいことでもないけれど
これらのデータからもわかる通り、借金は悪いことでも恥ずかしいことでもありません。多くの人が当たり前のように使っている制度であり、社会を健全にする潤滑油です。しかし、どんな借金も肯定されるべきというわけではありません。
借金は無利子でもない限りは借りた金額よりも多くの金額を返さなければいけない制度です。しないほうがいい借金というのは確かに存在しています。では、してもいい借金(よい借金)としないほうがいい借金(悪い借金)の違いはどこにあるのでしょうか。
投資のための借金の多くは「よい借金」である
基本的に、借りた金額以上のリターンが見込める借金はよい借金です。たとえば、不動産投資における借金はよい借金の代表例とされています。
仮に今ここに5000万円、利回り10%の物件があり、あなたの手元には1000万円があるとします。
現金だけで物件を買うには、あと4000万円足りません。足りないからと潔く購入を見送るのも立派な手段ではありますが、4000万円を借りてそれで物件を購入するというのも間違いではありません。
4000万円借り入れをしても、5000万×10%毎年500万円の収入が見込めるのなら悪くありません。仮に何事もなく10年運営できれば収入は5000万円、借金を完済できるうえに手元には1000万円と不動産が残ります。
もちろん、実質利回りが10%の物件なんてそうは見当たりませんし、入居率が下がったりするリスクはありますし、借金は金利で増えていきますが、ともかく借りたほうが借りないよりもより大きなリターンを得られる借金は、良い借金であるといえます。
起業のための借り入れなども、成功する見込みがあるのならばよい借金といえます。奨学金も、大学を卒業することによって高卒よりもいい職業に就ける可能性が上がるのならば、よい借金といえます。
住宅ローンも借金と引き換えに、終生住める家という資産を手に入れることができるので、よい借金に分類できます。
浪費のための借金は基本的に「悪い借金」である
一方、旅行に行きたいから、欲しい服があるから、生活費が足りないからといった「浪費」が理由でする借金は総じて悪い借金であるといえます。旅行に行くことや服を買うことは「投資」ではありません。借金をしても金銭的なリターンが見込めないからです。
もちろん、細かいことを言えば旅行によって見識を広げられる、いい服を着ることによって異性から好かれるようになるなどのリターンがないわけではありませんが、明確な金銭的なリターンが見込めない以上、良い借金には分類できません。
生活費のための借金はさらに悪い借金です。無駄に利子を払うだけのとてもばかげた行為です。生活費が足りないのならば、借金で賄うのではなく生活を見直すべきです。
返せる借金はいい借金、そうでない借金は悪い借金……なのか?
理由がどうあれ最終的に返済できるのならばそれはいい借金である、ということもできないわけではありません。
はたから見ればばかばかしい借金であっても、借りている本人が満足でなおかつ最終的に返すことができるのならば他人がとやかく言うべきではない、という意見には確かに一理あります。
しかし、借金は作るのは一瞬でも、返済には数年~数十年の時が必要になります。一時の欲望のために借金をしてしまっていいのか、事前によく考える必要があります。
考え足らずでした借金が原因で債務整理や自己破産、などという事態だけは避けるようにしたいものです。
賢い日本人は「借金を利用する」
前述の通り、借金にはよい借金と悪い借金があります。賢くない日本人は、消費のための悪い借金を繰り返し、しかも自分が搾取されていることに気が付いていません。普通の日本人は、消費のための借金も投資のための借金も悪いものとみなして忌避します。
賢い日本人は、よい借金を利用して資産を増やしていきます。あなたがどの日本人を目指すかは、あなた次第です。