借金があっても自己破産回避したい時はどうすればいい?

借金を合法的にチャラにするほぼ唯一の手段である自己破産。そのメリットは計り知れませんが、一方で自宅が処分されてしまうなどデメリットも少なくありません。

借金の額が多すぎてもう返済は不可能、けれどどうしても自己破産はしたくないという場合には、一体どうすれば良いのでしょうか?

自己破産にはデメリットもたくさん!

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現在の日本で利用できる債務整理は全部で4つ。「任意整理」「特定調停」「個人再生」そして「自己破産」です。自己破産はこの中でも最も借金の圧縮幅が大きく、唯一借金をチャラに出来る仕組みです。

しかし、その一方で自己破産ならではのデメリットも少なくありません。自己破産をする前には、そのデメリットを良く知っておく必要があります。自己破産特有のデメリットは以下の2つです。

高額な財産が没収される

自己破産特有のデメリットの中でも最も大きいのがこれです。自己破産をした場合、その時点で所有している財産は原則として処分され、金銭に代えられて債権者に公平に分配されることになります。処分される財産は不動産、動産のほか、債権、著作権なども含まれています。

ただし、持っているすべての財産が処分されてしまうわけではありません。財産の中でも自由財産と呼ばれる財産については、処分されません。

自由財産に含まれるのは新得財産(破産手続き後に取得した財産)、差押禁止財産(法律で差し押さえが禁止されている財産、具体的には99万円以下の現金など)、破産財団から放棄された財産(処分費用が高いなどの理由で換金しづらい財産)などです。

逆に、これ以外の財産は原則として処分されることになります。例えば住宅、自動車、あるいは高価な美術品などは、原則として全て処分されることになります。

特定の職業に一定の期間つけなくなる

自己破産の手続きが始まると、一定の資格が制限されることになります。免責が降りれば再びその資格が行使できるようになります。対象となる資格は弁護士、行政書士、司法書士、宅地建物取引主任者、警備員などです。

これらの資格を使う仕事していた場合、自己破産手続きが始まってから終わるまでの期間中はその資格が必要な仕事につけなくなってしまうので、その間の食い扶持をどうするか考えておく必要があります。

※自己破産せずに借金を減らす方法もあります。

上記2つのデメリットが気にならなるならば、自己破産はしないほうが良い

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自己破産特有のデメリットは上記の2点です。この2点が気にならない、つまり住宅や自動車などの高額な財産を持っておらず、なおかつ一定の資格を使う職業にもついていないという場合は、自己破産を選んでも問題ないケースが大半です。

逆に、上記の2つのデメリットが気になる、つまり住宅や自動車などの高額な財産をどうしても手放したくない場合や、一定の資格を使う職業に就いている場合は、自己破産はちょっとまったほうが良いでしょう。

自己破産の代わりになる選択肢は「個人再生」

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自己破産を避ける場合、残りの選択肢は「任意整理」「特定調停」「個人再生」となります。どれもそれぞれ一長一短ですが、債務額が大きい場合は個人再生を利用するのが最も良いでしょう。

個人再生は裁判所を通じて債務を減額してもらう手続きのことです。裁判所を通じて債務額を大きく減額し、残った借金を3年間掛けて返済していく事になります。イメージとしては任意整理と自己破産のちょうど間にある債務整理、と言った感じです。

個人再生は借金が原則5分の1になる

個人再生で借金がいくらまで減るかは、借金の総額に左右されますが、大体のケースにおいて5分の1くらいになると考えておいてください。借金の総額と返済額の関係は以下のようになっています。

 借金の合計額 返済額
100万円未満 減額無し
 100万円以上500万円未満  100万円
 500万円以上1500万円未満  5分の1
 1500万円以上3000万円未満  300万円
 3000万円以上5000万円以下  10分の1

例えば、借金が1000万円の場合、5分の1位に圧縮されるので返済額は200万円となります。ただし、所有する財産の価値の合計が返済額より大きくなる場合、返済額はその財産の価値の合計まで引き上げられます。

例えば、上記の例でも300万円の自動車を所有している場合は、返済額は300万円となります。

このように減額となった借金を、3年間(場合によっては5年間まで延長可能)で分割返済していくことになります。

※こちらで個人再生でどのまで借金が減らせるかわかります。

個人再生では住宅を手放す必要が無い

個人再生の場合は、自己破産と違って住宅を手放す必要はありません。個人再生には住宅資金特別条項(住宅ローン特則)という取り決めがあるからです。

住宅資金特別条項とは、簡単にいえば住宅ローンは個人再生の対象に含めないで借金が整理できるという取り決めのことです。個人再生後も住宅ローンは変わらず支払っていくことになりますが、その代わりに住宅を手放さなくてもOK,というわけです。

個人再生には小規模個人再生と給与所得者再生がある

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者再生があります。基本的には殆どの人が小規模個人再生を選ぶことになります。小規模個人再生では、原則として最低弁済期順に従って(上の表通りに)債務が減額されます。

ただし、小規模個人再生を行うためには、債権者から同意を得る必要があります。小規模個人再生の際には裁判所に再生計画案を提出する必要があるのですが、その計画案が債権者に否決された場合、再生手続はその時点で廃止となってしまいます。

再生計画案可決の条件は「不同意回答をした再生債権者が再生債権者の頭数総数の半数に満たなかった場合で,かつ,不同意回答をした再生債権者の再生債権額が再生債権の総額の2分の1を超えなかった場合」です。

不同意回答書を提出しなかった再生債権者は同意したものとみなされます。

一方、給与所得者再生はあまり利用する人がいない個人再生です。サラリーマンなどある程度収入が安定しており、債務が5000万円以下の場合に選択することができます。

小規模個人再生と違って債権者の同意が得られずとも行えるというメリットがある反面、債務の圧縮幅は少なくなります。そのため、実際にはサラリーマンでも小規模個人再生を選択するケースが殆んどです。

個人再生にデメリットはある?

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個人再生は自己破産と違って財産を処分する必要もなければ資格制限もなく、それでいて強制力がありなおかつ返済総額が大幅に軽減されるなど、メリットが多い債務整理といえます。

しかしそれでももちろんいいことずくめというわけではなく、幾つかのデメリットが有ります。任意整理を始める前には、メリットだけでなくデメリットも把握しておくことが大切です。

安定した収入がなければできない

個人再生終了後も返済を行うことになるため、安定した収入を確保する必要があります。無職の人は原則として、個人再生を行うことはできません。

その場合は原則として、自己破産を選ぶことになります。自宅は手放したくないという場合は、急いで再就職先を見つけましょう。

債務の総額が5000万円以上だとできない

住宅ローンを除いた債務が5000万円以上ある場合、個人再生を行うことはできません。個人が住宅ローン以外で5000万円以上の借金を背負うことはめったにないかと思いますが、一応覚えておいてください。

個人再生の手順

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個人再生をする場合は、裁判所にそのことを申し出ます。手続きは本人が行うこともできますが、弁護士を通してやるのが一般的です。依頼を受けた弁護士は、債権者に対して受任通知を発送します。

受任通知を受け取った債権者は、その後支払いの督促を本人に直接行うことができなくなるので、取り立てに悩まされることはなくなります。最近は相談無料の弁護士事務所がほとんどなので、気軽に相談してみましょう。

債務調査

依頼を受けた弁護士は、個人再生の手続きを開始するために、債務者の債務を把握するための調査を始めます。各金融機関に対して取引履歴の開示請求を行い、引き直し計算をして債務額を確定させます。過払い金がある場合は、この時点で明らかになります。

収支調査・財産調査

債務調査と平行して、家計の収支調査が行われます。個人再生は一定の収入がなければできない手続きなので、債務者は源泉徴収票や確定申告書、給与明細などを通じて収入を証明する必要があります。

更にそれと平行して財産調査が行われます。所有している財産、資産がある場合は、通帳や保険証券、車検証などを提出します。

個人再生申立書の作成・提出

一通り必要な調査が終わったら、個人再生申立書を提出します。提出先は管轄の地方裁判所です。地方裁判所は個人再生の申立書のテンプレートを用意していますので、その様式に従って記述していけばOKです。

個人再生委員の選任・打ち合わせ

申立書が受理されると、個人再生委員が選任されます。個人再生委員は個人再生手続を指導監督する立場にある人です。ルール上は「弁護士などの個人再生鉄付きに精通したものが選ばれる」と定められていますが、実際には弁護士以外のものが選ばれた例はないようです。

「個人再生委員=弁護士」という認識を持っておけば間違いないでしょう。

個人再生では原則として手続きは債務者自身が行うことになりますが、重要な手続きについては個人再生委員に対して意見を求めることができます。

選任された個人再生員とは打ち合わせを行い、個人再生の開始要件を満たしているのかどうかを確認します。具体的には収入や支出の状況、財産の状況などが確認されます。

履行可能性テスト

個人再生の一番の肝は、債務整理者が債務整理をした後にきちんと返済を続けられるか、ということです。きちんと返済ができるかどうかを確かめる手続きを履行可能性テストといいます。

履行可能性テストは原則として半年間行われ、この期間中債務整理者は個人再生委員が指定した銀行に毎月一定の金額を振り込まなければなりません。履行可能性テストはいわば返済の予行演習です。

この履行テスト期間中に支払われたお金は、個人再生委員に支払われる報酬を差し引いて、残りは債務整理者に返還されます。履行可能性テスト期間中に返済が遅れてしまった場合は、再生計画は原則として認可されません。

個人再生開始・債権調査・報告書提出

履行テスト期間中に、個人再生手続きを行います。個人再生においては,債権者から提出される債権届出の管理は原則として債務整理者が自ら行います(弁護士に依頼することもできます)。

債権が確認できたら、報告書を裁判所に提出します。債権金額に異議がある場合は、裁判所に書面で異議を申し立てることができます。

再生計画案の作成・提出

債権がいくらあるのか明らかになったら、再生計画案を作成し、提出します。再生計画案は裁判所に提出します。裁判所はその内容を審査し、認可、もしくは不認可を決定します。

弁済開始

認可が降りた場合は、それにもとづいて弁済(借金返済)を行っていく必要があります。

適切な債務整理の方法は弁護士が知っている

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この記事を読んで自己破産すれば良いのか、個人再生すれば良いのかますますわからなくなってしまったという場合は、弁護士に相談しましょう。債務整理に強い弁護士を選べば、あなたにとって最適な債務整理の方法がきっと見つかるはずです。

※相談の前にいくら減額できるか知りたい人はこちらへ