お金を借りられる場所と聞くとほとんどの方は銀行か消費者金融を思い浮かべるかと思いますが、それ以外にもお金を借りられる場所は多数あります。
借入先を工夫することによって、利息の支払いを減らせたり、審査にかかる手間を省いたりできます。今回の記事ではお金が借りられる場所を全部で8ヶ所紹介いたしますので、いまお金が入り用だという方は、この記事を参考に適切な借入先を選んでください。
目次
銀行は預金を貸し出す最も身近な借入先
銀行は(今更説明するまでもないことかと思いますが)、顧客から預かった預金や発行した社債を元に資金を集めて、その資金を投融資することによって利益を上げる金融機関です。よく比較される消費者金融との最大の違いは、預金を受け付けていることです。銀行が貸し付けるお金の出処は主に預金者の預金ですが、消費者金融が貸し付けるお金の出処は主に銀行から借りたお金です。
銀行の区分
銀行はその営業範囲や業務範囲によって幾つかの種類にわけられます。基本的には「都市銀行」「地方銀行」「信託銀行」の3つに分けることが多いです。
都市銀行とは
都市銀行は東京を始めとする大都市に視点を置き、それ以外の都市にも多数の支店を持つ、日本全国を網羅する銀行です。明確な定義はありませんが、現在はみずほ銀行やりそな銀行など5つの銀行が都市銀行であるとされることが多いようです。営業範囲が広いこともあり、企業の規模も大きく、全金融機関の資金量の4分の1を、たった5つの都市銀行が占めています。主な顧客は大企業ですが、中小企業や個人の顧客も居ます。
地方銀行とは
地方銀行は各都道府県のいずれか1つに本店を持ち、その都道府県、もしくはその周辺の都道府県に多数の支店を持つ銀行です。都市銀行と違って全国的に名が知られているわけではないですが、特定の地域に限れば都市銀行よりも大きな影響力があることも珍しくありません。顧客はその地域内の中堅・中小企業、もしくは個人が中心です。
信託銀行とは
信託銀行は資産管理の代行と信託業務が主要業務の銀行です。信託業務とは、委託者(顧客)が所有する金銭、土地などの財産を受託者(信託銀行)に預けて、受託者がその運用・管理を行う業務のことです。もちろん銀行ですので、それとは別に預金や融資なども行います。顧客は大企業から個人までまちまちです。
信託保全の仕組みを業務に組み込んでいるのがFX業者や証券会社です。例えば、FX業者は顧客から預かった証拠金を、自分自身の資産とは別に管理することが義務付けられています。銀行は預金者から預かったお金を自分の仕事に使えるのですが、FX業者や証券会社はそれが出来ないわけです。
FX業者や証券会社は、証拠金を信託銀行に預けています。この仕組が上手に働けば、FX業者が倒産しても信託銀行が健全な限り顧客の証拠金は守られます。また、信託銀行も自身の資産と預かった証拠金は分別管理しているため、信託銀行が倒産してもやはり証拠金は守られます。
銀行のローンは低金利だが、審査は厳しい
銀行は
- マイカーローン
- 住宅ローン
- 教育ローン
- 事業制ローン
- 不動産投資ローン
など、様々なローンを提供しています。この全てに共通している特徴は「低金利」「審査が厳しい」の2点です。
銀行は預金者から預かったお金を貸し出しています。一方、消費者金融は預金者から預かったお金を貸し出している銀行から借りたお金を貸し出しています。消費者金融が間に入っていないぶん、銀行のほうが低金利で融資できるというわけです。
反面、審査は消費者金融のそれと比べると厳しいです。金利が低いため薄利多売の商売はできず、絶対に返せそうな人にか貸し出さないためです。
なお、前述の3つの銀行のうち、最も低金利でなおかつ審査が厳しいのは都市銀行です。都市銀行はわざわざ個人に貸し出すメリットが薄い(大企業が借りてくれる)ため、個人への融資には消極的です。大企業の顧客が少ない地方銀行は比較的審査が易しめです。
銀行のローンの審査内容
銀行のローンの審査基準は公開されていませんが、通常は以下のような点が審査されます。
- 年齢
- 年収
- 職業
- 勤続年数
- 他社からの借入状況
- 返済事故の有無
この中でも特に重要なのが職業です。銀行のローンでは単年の年収よりも、年収の安定性が求められます。年収800万円の自営業者よりは、年収600万円の公務員のほうが、おそらく審査では高く評価されるでしょう。自営業者は来年稼ぎが急に少なくなる可能性がありますが、公務員にはそれがほぼないからです。
もちろん、公務員であっても返済事故を起こしているとまず審査には通らなくなります。詳しい審査基準について知りたいという方は、以下の記事をご覧ください。(参考:カードローンの審査に落ちる理由17個と失敗を避ける方法)
消費者金融は時間がないときに便利な借入先
消費者金融とは、主に消費者(個人)に無担保で融資を行う金融機関のことです。かつてはサラ金と呼ばれることが多かったのですが、サラ金という単語に対するイメージが悪化したからか、最近は殆どこう呼ばれることもなくなりました。
消費者金融は銀行と違い、預金業務を行っていません。顧客にお金を貸し出すことはあっても、顧客からお金を預かることはないのです。消費者金融の貸し出すお金の出処は銀行から借りたものです。
消費者金融の総量規制の仕組み
消費者金融は総量規制の対象です。総量規制とは、貸金業法で定められた規制で、「その人の年収の3分の1以上の金額を貸し付けてはいけない」というものです。例えば、年収が600万円の人の場合、消費者金融では200万までしか借りられないわけです。一方、銀行は貸金業法の対象ではないため、総量規制の対象にもなりません。
この仕組みがあるため、消費者金融では基本的に高額な借入(住宅ローンなど)はできません。そもそも金利が高い消費者金融で高額な借り入れをすること自体がおすすめできませんが。
消費者金融のローンは金利が高めだが、審査は早い
消費者金融のローンのラインナップは銀行のそれと似ていますが、前述の理由から高額のローンはありません。また、銀行と比べると比較的高金利で、審査が易しく早いのが特徴です。
ただし高金利と言ってももちろん法律の範囲内ですし、審査がやさしいと言っても合格率はせいぜい35~50%程度です(参考資料:初めてのキャッシング 大手消費者金融の審査通過率と銀行カードローンの審査通過率)。
最近は比較的金利の低い消費者金融が増えているうえ、銀行も審査を早くしているため、両者の差は縮小傾向にあります(それでも借りられるならば銀行で借りたほうがいいケースが大半ですが)。審査内容自体は概ね銀行のそれと同じで、職業や勤続年数などが重視されます。
最近は初回・30日まで無利息の消費者金融が増えている
基本的に金利が高めの消費者金融ですが、最近は初回・30日間までならば無利息で借りられる消費者金融が増えてきています。殆どの大手消費者金融は無利息期間を30日と設定していますが、新生銀行は5万円までなら180日間となっています。
また、ノーローンは7日ですが、月が変われば何度でも利用できます。借入額が少ない場合、ノーローンの無利息サービスが非常に有効に活用できます。
信用金庫は地域住民・地域企業への融資に積極的な借入先
信用金庫は預金と融資が主要業務という点では銀行と同じですが、組合員が出資する非営利法人であるという大きな特徴があります。信用金庫の主な目的は地域で集めた資金を地域の中小企業と個人(とくに組合員)に還元することにより地域社会の発展に貢献することです。
実際に果たす役割は地方銀行も似ていますが、あちらはあくまでも利益第一主義の株式会社です。規模を比較した場合は地方銀行のほうが大きいですが、城南信用金庫や京都信用金庫のような大手信金は地方銀行に匹敵します。
利益第一主義は悪いことでもなんでもありませんが、それだけだと中小企業まで手がまわらないことが多く、それを穴埋めするのが信用金庫であるといえるでしょう。
信用金庫から融資を受けられるのは営業地域内の個人・法人のみ
信用金庫の会員になれるのは、その信用金庫の営業地域内に勤務したり住んでいたりする人だけです。勤務先が変わったり、引っ越したりした場合は、その信用金庫の会員では居られなくなります。会員でなくても預金はできますが、原則として融資は受けられなくなります。
また、法人の場合は従業員数や資本金が一定以下でないと融資が受けられません。信用金庫は中小企業を優先するためです。
株式会社である銀行は自己資金を主に株式の発行により集めますが、信用金庫は個人や法人などの出資金によってまかないます。顧客は信用金庫に出資金を支払うことによって、会員になることができ、出資証券を受け取れます。
出資証券は株式と似たような性質を持ち、配当も受け取れますが、市場で公開されているわけではありません。その代わりに、信用金庫に出資証券を出資額相当で買い取ってもらえます。信用金庫からの承認が得られれば、他者に譲渡することも可能です。
信用金庫のローンは低金利で審査も融通が聞くが、申込み条件が細かい
信用金庫は総量規制の対象外で、ローンの種類は銀行のそれに似ています。金利は低めで会員の審査には柔軟に対応してくれます。銀行のような貸し渋りが少ないのも大きなメリットです(もちろん、必ず借りられるというわけではありません)。
銀行に近い金利と消費者金融に近い審査基準を兼ね備えているという点では非常に優秀なのですが、会員にならないと利用できず、その他にも色々と条件が設けられることが多いというのも欠点です。また、預金口座を返済口座として使うことが多く、借入時に合わせて預金口座を作ることが多いです。
個人で借りる場合はやや面倒ですが、法人として借りる場合、信用金庫は非常におすすめです。相談に親身に乗ってもらえますし、返済期間などを配慮してもらえることも多いです。
信用組合は組合員のための借入先
信用組合は信用金庫と同じく、組合員の出資から成り立つ非営利法人です。基本的な理念も信用金庫に似ているのですが、信用組合は組合員の相互扶助が主たる目的です。地域社会の発展を目的とする信用金庫よりもさらに役割は限定されているといえるでしょう。
組合員にならないと原則として融資が受けられないというのは信用金庫と同じですが、信用組合は預金をするだけでも会員になる必要があります。正確に言えば、総預金額の20%まで員外預金が認められるのですが、そこまでして信用組合に預けるメリットはありません。
信用組合のローンは信用金庫のそれと似ている
信用組合の審査基準は基本的に信用金庫のそれと似ていますが、ローンの種類はやや少なめです。信用組合によっては事業者向けのローンを用意していないところもあり、またあったとしても種類や限度額は低めです。事業用の資金を借りるのならば信用金庫のほうが良いです。
クレジットカード会社や信販会社はキャッシングが使える借入先
クレジットカードを持っている場合は、それを持ってATMやCDなどに行き、所定の手続きを済ませると借入を行えます。この仕組をキャッシングと言います。
大抵のクレジットカード会社や信販会社が発行するクレジットカードにはキャッシング機能が付帯しています。上限額は高くても数十万程度です。
借りたお金は翌月一括払いもしくはリボルビング払いで返済していくのが一般的です。リボルビング払いとは毎月一定の金額を支払っていく返済方法です。
キャッシングは追加審査なしで借りられるが、金利が高いのが難点
キャッシングのいいところは、追加審査無しで借りられるところです。今すぐにお金が必要で、カードローンなどの審査を受けている時間的余裕がないという場合にはキャッシングは心強い味方となります。
一方でキャッシングは銀行や消費者金融などのカードローンと比べると金利が高めに設定されているため、安易な利用は非常に危険です。
また、前述のリボルビング払いは一見負担が少なそうに見えますが、実は多くの利息を支払うことになる返済方法であるため、できる限り選ばないことをおすすめします(参考:カードローンの返済が終わらないのは「リボ払い」だから?)。
生命保険会社は状況によっては有用な借入先
生命保険に加入している場合は、契約者貸付制度を利用すれば低金利でお金を借りられます。契約者貸付制度は現在解約した場合の解約返戻金の70~90%程度の範囲で、生命保険会社からお金が借りられる制度です。
解約返戻金がない生命保険では当然利用できませんし、解約返戻金がある保険の場合でも必ず利用できるとは限りませんが、解約はせずに、比較的低金利でお金を借りられる有用な制度です。知名度が低くあまり利用されることはないようですが、銀行や消費者金融から借りるよりもお得なことも多いです。
契約者貸付制度は無審査でかなりの低金利
契約者貸付制度の元でとなる解約返戻金はもとを正せば契約者が支払った保険料なので、別途審査を受ける必要はありません。また、信用情報に借入が記録されることもありません。
金利は生命保険会社や保険の種類、個人の属性などにも左右されますが、概ね2~5%程度です。一般的な銀行や消費者金融のカードローンと比べるとかなりの低金利であるため、確実に返せる見込みがある時は非常に便利です。
また、契約者貸付制度は一般的なカードローンと違って毎月返済する義務がなく、契約者の都合に応じて返済プランを立てられるため、借り手は返す自転車操業に陥りづらいのも大きなメリットです。
契約者貸付制度のリスクとは?
契約者貸付制度の最大のリスクは、借入額(元金+利子)が解約返戻金額を超えてしまった場合に、保険契約が失効、もしくは解除される可能性があることです。
普通に返済していればそのようなことはまずないはずですが、前述の通り契約者貸付制度は毎月返済の義務がないため、借りていることを忘れているといつのまにか借金の額が膨らんでしまいます。
また、契約者貸付制度は多くの場合複利を採用しています。複利とは利息に対してさらに利息が掛かる仕組みです。低金利であっても返済をしないでいると利息がどんどん膨らんでいきますので、計画的に返済していきましょう。
社会福祉協議会は低所得者に有利な借入先
収入が低く属性も悪く、一般的なカードローンが利用できない場合は、厚生労働省が管轄し、社会福祉協議会が窓口となっている生活福祉資金貸付制度を使うと、かなり低金利でお金を借りられます。
ただし、この制度で借りられる金額は少ない上、使いみちもあらかじめ指定されているので注意が必要です。
生活福祉資金貸付制度の4つの種類
生活福祉資金支援制度は、その資金の使いみちに応じてさらに4つに分類できます。
- 総合支援資金
- 福祉資金
- 教育支援資金
- 不動産担保型生活資金
総合支援資金
総合支援資金は、生活再建、住宅の賃貸契約、就職や転職に必要な技能習得の経費、公共料金の立替、債務整理など、比較的幅広い用途に使える資金です。貸付額は用途や世帯人数によって異なりますが、最大で60万円です。
福祉資金
福祉資金は怪我や病気などの治療に必要な治療費や生活費、介護に必要な費用、災害に遭ったことで臨時に必要になる費用などに使える資金です。貸付額は最大で580万円です。
教育支援資金
教育支援資金は、高校や高専、大学などに通う、あるいは入学ための費用に使える資金です。前者を教育支援費、後者を就学支度費といいます。貸付額は前者が最大月6.5万円、後者が50万円です。
不動産担保型生活資金
不動産担保型生活資金は基本的な用途は生活資金と同じですが、自宅を担保とする点が大きく異なります。貸付額は概ね評価額の70%程度です。
生活福祉資金貸付制度は審査はそれなりだが、非常に低金利
生活福祉資金貸付制度を利用するためには一定の条件が必要になります。細かい説明は避けますが、少なくとも以下の1つの条件を満たす必要があります。
- 低所得者世帯
- 高齢者世帯
- 障がい者世帯
高齢者世帯と障がい者世帯についてはわかりやすいかと思いますが、問題は低所得者世帯です。低所得者の定義は自治体によって異なりますが、例えば東京都の場合は以下のように定義されています。
- 1人世帯:19万1000円
- 2人世帯:27万2000円
- 3人世帯:33万1000円
ただし、これらの条件に当てはまっていても、返済の見込みがないとみられる多重債務者や、生活保護受給者などは借りられません。融資である以上、審査は存在します。
金利は非常に低いです。不動産担保型生活資金は原則として3%、その他は保証人がいれば無利子、いない場合でも1.5%です。消費者金融や銀行のローンなどと比べると遥かに金利面では優遇されているといえます。保証人は原則として同一都府県に住む生計を別にする者の中から選ぶ必要があります。
身内は最も身近だが、最も揉めやすい借入先
友人や家族などの身内から借りるのは諸刃の剣です。金融機関等の事業者などと違って柔軟に返済条件を交渉できるのが大きなメリットである反面、身内がゆえに甘えてしまい返済が滞ってしまいやすいというデメリットもあります。
貸し手から見た場合、貸した相手が自分の子供だったり友人だったりすると、なかなか返してほしいと言い出せないものです。一方で、なかなかお金を返さない相手に対しての不信感は間違いなく募ります。自分は相手にとっては単なる金づるだったんだ、と思うかもしれません。こうなれば人間関係はかなり高い確率で崩壊します。
こうしたトラブルを避けるためにも、借りる側は必ず確実に返済すべきですし、万が一に備えて借用書もキチンと作っておくべきです(参考:借金返済で税金(贈与税)がかかる事も!?個人の借金は借用書も作ろう)。
まとめ
- 借入先によってメリットやデメリットは大きく異なる
- 銀行や消費者金融だけでなく、生命保険会社や社会福祉協議会から借りられることも
借入先が複数あることを知っておけば、お金が必要になったときに、最も低金利で簡単に借りられる借入先を見つけやすくなります。銀行や消費者金融だけという固定観念にとらわれずに、借入先を探していきましょう。