勝手に借金の連帯保証人にされた!この場合、解除できるの?

連帯保証人に関するトラブルの一つに、知らない間に勝手に連帯保証人に設定されていた、というものがあります。ある日突然、身に覚えのない請求書が届いて発覚するというケースが多いですね。

勝手に連帯保証人にされた人からするとたまったものではありませんから、なんとか解除したいと思うでしょう。そもそも、本人の知らないところで契約された内容なんて無効なのでは?と考えるかもしれません。

しかし、たとえ本人が居合わせない場で成された契約であっても、状況によっては認められてしまうことがあります。それは連帯保証人に関わるものであっても同様です。

つまり、勝手に設定された連帯保証人だとしても、借金の返済義務が生じてしまう可能性があるのです。

勝手に決められた連帯保証人を解除できるのはどんなケースか、そして解除できずに返済義務が発生してしまうのはどんなときなのか、詳しく見ていきましょう。

そもそも、勝手に設定された連帯保証人は有効なのか?

まず一番気になるのが、本人の知らないところで交わされた連帯保証人契約は有効なのか、ということですね。常識的に考えれば無効であってしかるべきなのですが、状況によっては有効だと認められてしまう場合もあるのです。

実は、契約自体は本人以外がいなくても可能です。本人の意思を代わりに代弁してくれる人、つまり代理人が署名することでも十分に契約は効力を発揮します。もちろん、契約に関わる人全員の合意が必要ですが。

たとえば、AさんがBさんに「この契約をしてきて」とお願いしたとしましょう。BさんはAさんの代わりに契約書に署名し、さらに契約相手との合意があれば、その契約書は正式なものとして認められる、ということになります。

これは連帯保証人の場合でも同じで、AさんがBさんに「連帯保証人になってもいいよ」と告げ、BさんがAさんの代理として契約書に署名した場合、Aさんは連帯保証人としてその義務を負わなければなりません。

しかし今回の場合は、AさんがBさんの連帯保証人になることを許可していないのに、勝手にBさんがAさんの名前を使って署名し、借金の連帯保証人として設定したことになります。

この契約にはAさんの意志が反映されていませんから、当然無効です。ただ、Aさんが本当にOKサインを出していないかを判断するのは非常に難しいことです。

というのも、口約束だけでは後からどうとでも言えてしまうからですね。Aさんは「そんなことは言っていない」と主張しても、Bさんが「いや、あのときはそう言っていた」と主張すれば、どちらが正しいのかは一見わからなくなります。

ここで重要視されるのはいわゆる状況証拠です。たとえば、契約書の署名がAさん本人のものであれば、Aさんは連帯保証人になることに合意していたと判断されても仕方ありませんね。

自分で契約書にサインしているのですから、そこにはAさんの意志があると見なされても仕方ありません。

対して、Bさんが代わりに署名したものであり、押されている印鑑も認印やシャチハタだった場合、Aさんはこの契約に合意していたかは非常に懐疑的です。Bさんが勝手に署名したのかもしれませんし、認印、シャチハタくらいならすぐに準備できますからね。

このように、契約が有効であるかどうかは本人の意思が含まれているかどうかが判断基準で、それを証明できる証拠があるかどうかが非常に重要になります。

連帯保証人を無効にできるかは状況による

上述したように、契約書の署名が代筆によるものであり、押されている印鑑も実印以外であった場合なら、勝手に連帯保証人にされたと主張すれば、その契約を無効にできる可能性は十分にあります。

では、署名は代筆だけれども実印による押し印があった場合はどうでしょうか?一番ややこしくなるのがこのケースで、自分の意思が含まれていないことを証明するにはあらゆる客観的な証拠を積み上げていかなければなりません。

たとえば、契約者本人と同居していたなら、勝手に実印を持ち出され、使用されてしまったという可能性はもちろん考えられるでしょう。これは、知らない間に父親に連帯保証人にされていた、のようなケースでよく見られますね。

注意したいのが、その契約でなくとも他の契約のために実印を貸し出し、それが原因で連帯保証人になってしまった場合、本人の意思があったかどうかに関わらず連帯保証人であることが認められてしまう可能性があることです。

例を一つ挙げましょう。Aさんが、5万円までの借金なら連帯保証人になってもいいとBさんに伝え、Bさんに実印を貸し出しました。しかし、Bさんは5万円ではなく、100万円の借金の契約をし、Aさんの実印で契約を交わしました。

Aさんからすればとんでもない話で、最初の約束と全く違うじゃないかと考えることでしょう。そして当然、こんな契約は無効だと主張するでしょう。しかし、現実的にはAさんの主張は認められず、契約は有効だと判断されてしまうケースも多いのです。

本人の意思なく、第三者が代理人を務めることを「無権代理」といい、この状態で交わされた契約は無効となります。

しかし、今回の場合では無権代理ではなく、Bさんには代理人としての権利(これを基本代理権と呼びます)があったと判断され、契約は有効と判断されてしまう可能性が高いのです。

Aさんにも多少の落ち度はあったかもしれませんが、どうしてこんな不条理な判断がされてしまうのでしょう。その理由は、法廷の場で争うのはAさんとBさんではなく、Aさんと契約相手の場合が多いためです。

どちらの落ち度が大きかったかを基準として判断される

勝手に連帯保証人にされたことに納得がいかなかった場合、まずはその旨を契約者相手、借金に関する連帯保証人なら債権者(お金を貸している人)に送ります。

ここでBさんがいれば責任をBさんにとってもらえるのですが、すでに連帯保証人としての債務の催促が来ているなら、Bさんとは連絡が取れなくなっている場合が多いでしょう。

債権者に通知を送り、それで向こうも納得してくれれば、それで場は丸く収まるのですが、そうでない場合、裁判所で争うことになります。

ただ、このケースにおいてどちらが被害者なのでしょうか?勝手に連帯保証人にされたAさんはもちろん被害者と言えるでしょう。しかし、債権者もBさんに騙された被害者のうちの一人なのです。

つまり、この裁判には加害者はおらず、被害者同士で争うことになってしまいます。加害者がいれば、裁判所は被害者の主張や証拠に従って加害者への罰則を判断しますが、被害者同士ではそうもいきません。

とはいえ、裁判所として何らかの判断は下さなければなりませんね。そこで、この事例ではどちらのほうがより不注意であったか、落ち度が大きいのはどちらのほうかを基準に判断し、判決を下すのです。

上述した、AさんがBさんに他の契約のために実印を貸し出したケースでは、落ち度は債権者よりAさんのほうが大きいと一般的に判断されます。つまり、これは無権代理ではなく、基本代理権がBさんにあったと判断されてしまうのですね。

では、Bさんが勝手にAさんの実印を持ち出し、契約を交わした場合はどうでしょうか?このケースでは無権代理であったと判断され、契約は無効であると判断される可能性が高くなるでしょう。

しかし、ここでまた別の問題が発生します。Aさんが、自身の実印をBさんに勝手に持ち出されたと主張しても、その主張が本当なのかはわかりません。そこで、その主張は正しいのかどうかを争っていく・・・という流れで裁判は進んでいきます。

このように、連帯保証人としての契約が有効であるかどうかの裁判は非常に長引くことが多いです。自分に非はないはずなのに、どうしてそんな面倒なことを・・・と思うかもしれませんが、これはどうしようもないことです。

連帯保証人を解除するためにするべきこと

ここまで、勝手に設定された連帯保証人は解除できるのか、ということについて解説してきました。それは状況によりけり、という結論でしたが、それでは連帯保証人を解除するためには具体的にどう行動すればいいのか、それについてここからは解説していきます。

身に覚えのない連帯保証人に関する通知が来た場合、まず契約相手(債権者)に契約書のコピーを送ってもらいましょう。

これは、本当に自分が契約したものではないかを確認するためと、署名が自筆であるか、そして押し印が実印か、もしくはそれ以外であるかをチェックするためです。

もし署名が自分の筆跡で、かつ実印が押されていた場合、自分の意思ではなかったと釈明するのは少し無理があるでしょう。

しかし、自分の字で書かれていなかった場合、連帯保証人を解除できる可能性は十分あります。まず債権者と連絡を取り、この契約書は自分が知らないところで勝手に結ばれたものである旨、それを理由に解除を申し出る旨を伝えましょう。

直接電話で伝えてもよいのですが、後々のことを考えて、以上の内容を文書に起こし内容証明郵便で送ることをおすすめします。

内容証明郵便とは、郵送した送付物の内容を日本郵便が証明してくれる郵便方法で、これを行っておくことにより、もし裁判になった際に有力な証拠となりえます。

文書の書き方にとくに決まりはありませんが、不安なら弁護士に相談するとよいでしょう。依頼すれば文書の作成から送付までをまとめて行ってもらえます。

ここまでの手続きで債権者がこちらの主張に納得し、それで連帯保証人を解除してもらえれば一件落着なのですが、なかなかそううまくはいかないでしょう。向こうも貸し倒れだけは避けたいですから、すぐには引き下がらないはずです。

話し合いで解決できない場合、裁判で争うことになります。裁判の手続きや過程は個人ではできませんから、弁護士に依頼することになります。あとは弁護士の指示に従って必要な書類の準備や手続きを行っていけば、淡々と裁判は進んでいくでしょう。

ただ、一つ注意しなければならないのが、弁護士に正式に依頼するとある程度の費用がかかるということです。仕事を依頼するのですからお金がかかるのは当然ですが、このことについて失念していると、思わぬ費用を請求されて慌ててしまうかもしれません。

では、このケースにおける弁護士費用の相場はどの程度なのでしょうか?以下で見ていきましょう。

連帯保証人の解除を依頼する場合の弁護士費用の相場は?

まず、弁護士への依頼費用の名目は主に2種類あることを知っておきましょう。それぞれ、「着手金」と「報酬金」と呼ばれるのが一般的です。

着手金とは、依頼が成功するかどうかに関わらず発生する費用です。たとえ依頼が失敗したとしても、弁護士にはいくらか働いてもらうわけですから、その分の費用と考えればよいでしょう。

報酬金は名前の通り、依頼が成功した際に支払う費用のことです。これは依頼によって依頼人が得た利益をベースに金額が決定されます。

たとえば、弁護士へ依頼することによって借金が100万円減額されたなら、そのうちの何パーセントかを報酬金として弁護士へ支払うわけですね。もし依頼によって利益が発生しなかった場合、報酬金はゼロということになります。

着手金、報酬金ともに、決まった金額というのはありません。事務所それぞれに独自の料金表を設定しており、それに従って依頼費用が計算され、請求することになっています。

ただ、だからといって事務所ごとに料金が全く違うというわけではありません。依頼内容ごとの着手金や報酬金の目安を定めている「日本弁護士連合会報酬等基準」と呼ばれる基準ががあり、それにのっとって各費用が設定されている場合が多いです。

現在では日本弁護士連合会報酬等基準はすでに廃止されており、これに従う必要はなくなっていますが、それでもこの基準を目安に着手金や報酬金を定めている事務所はまだまだ多いので、参考にはなるはずです。以下に示しますね。

着手金

依頼人が得る経済的な利益の額が300万円以下:利益の8%
300万円超から3000万円以下:5%+9万円
3000万円超から3億円以下:3%+69万円
3億円超:2%+369万円

報酬金

依頼人が得る経済的な利益の額が300万円以下:利益の16%
300万円超から3000万円以下:10%+18万円
3000万円超から3億円以下:6%+138万円
3億円超:4%+738万円

これにのっとって考えると、もし依頼解決によって200万円の連帯保証人を解除できた場合、着手金は16万円、報酬金は32万円となります。

先述したように、この基準はすでに廃止されているので、これはあくまで参考にしかならないことに注意してくださいね。

また、かかる費用はこれだけではありません。裁判に移行した場合、さらに他の費用がかかってくる可能性もあります。これだけ高額になってくると、一括でそんな大金を準備できないという人もいるでしょう。

その場合は、分割払いを認めてもらえる場合もあります。費用面はいろいろ融通してもらえる部分も多いので、相談してみるとよいでしょう。

身に覚えのない借金については、絶対に1円も支払わないようにしましょう

身に覚えのない借金の請求が来た場合、絶対に少額でも返済してはいけません。というのも、もし1円でも返済してしまうと、その借金の返済義務を認めたことになり、取り返しがつかなくなってしまうためです。

これを専門的な言葉で「追認」と言います。追認を行ってしまうと、後からどれだけこんな借金は知らないと主張したところで返済義務がなくなることはありません。

悪徳な業者の中には、とりあえず少額でも支払わせることによって、追認を成立させようとしてくる業者もいます。

早く払えと電話口でまくしたてられると、不安から返済に応じてしまうかもしれません。しかし、それでは業者の思うつぼです。冷静になって対処し、まずは契約書の確認を行うために、業者に書類の送付を依頼しましょう。

借金についての悩みは弁護士に依頼しよう

勝手に連帯保証人に設定されていた場合、真っ先にすべきことは契約書の確認です。とはいえ、どんな手続きが必要なのかよくわからない人も多いでしょう。そんなときは弁護士に相談しましょう。

どう対応すべきなのか、もし裁判になったとして勝てる見込みはあるのかなどについて、適切なアドバイスをもらえますよ。

正式に依頼すると、ある程度まとまった費用がかかりますが、法律相談だけなら格安、もしくは受けられる弁護士事務所は数多くあります。

何もわからないままむやみに対応すると、追認のような絶対にやってはいけないことをしてしまう可能性が高くなります。なるべく専門家の意見やアドバイスを聞きながら、適切に対処するようにしましょう。

まとめ

勝手に連帯保証人にされるというリスクは誰にでもあるものです。突然の出来事で驚いてしまうかもしれませんが、そういったときほど冷静な対応が求められます。

まずすべきことは、債権者から契約書を送ってもらい、その内容を確認することです。そして、署名は直筆のものであるか、押し印は実印かどうかなどをチェックしましょう。

たとえ厳しい取り立てにあっても絶対に返済に応じてはなりません。そして、専門家の意見が必要な場合は、なるべく早めに弁護士に相談しましょう。決して慌てず、賢明な判断をするようにしましょうね。

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