借金を期日までに返せず、さらに数日経つと借入先から取り立ての電話がかかってくるようになります。
罪悪感や恐怖感から、電話を無視したくなるかもしれませんが、それは絶対におすすめしません。現在、すでに電話を無視してしまっている人は、次の電話は必ず出る、もしくはすぐにこちらから連絡を取りましょう。
電話を無視したところで状況は良くなりませんし、むしろ悪化してしまう可能性が高いです。最悪の場合、家族や職場に借金延滞のことが知られ、ついには金融会社から訴えられてしまうこともあります。
ずっと電話に出ないままにしていると、どのようなことが起こるのでしょうか。時系列に沿って解説していきますね。また、記事の後半では催促の電話を止める方法についても紹介します。
返済日から数日~1週間程度で催促の電話がかかってくる
返済日までに決められた額を入金せず、さらにそのことを借入先に知らせないでいると、期日から数日~1週間程度で消費者金融や銀行から催促の電話がかかってきます。
ただ、この時点で職場や自宅に電話がかかってくることはまずありません。借金する際、申込書に記入した連絡先に電話がきます。多くの人はスマホや携帯電話の番号を記入しているでしょう。
また、肝心の電話内容についても、「返済が行われていませんが、どうされましたか?」といった確認の電話であることがほとんどで、脅されたり、恐喝されたりすることはないので安心してください。
そして、お金の都合がつかなかったことを説明すると、多くの場合、返済日をある程度延長してもらえます。多少の延滞損害金を請求されるかもしれませんが、早めに返済できればそれほど大きな額にはなりません。
遅延損害金とは、返済日以降に付与される利息のようなもので、一般的な利息より高く設定されているのが普通です。つまり、期日から返済が遅れるほど、返済額はどんどん大きくなってしまうのですね。
逆に、すぐに返済を行えばそれだけ利息額は少なくて済みます。催促の電話に出ようが出まいが遅延損害金は発生していくので、無駄に返済を遅らせるのは損でしかありません。
少しでも返済が遅れるとヤバイことになると勘違いされがちですが、返済日を少し過ぎてしまったからといって、すぐに訴えられたり、厳しい取り立てが行われることはないのです。
むしろ、返済期日や一度の返済額を融通してもらえるケースも多いので、素直に電話に出ることをおすすめしますよ。
電話を無視し続けると職場に連絡がくることも
債権者(お金を貸している人)が正当な理由なく、債務者(お金を借りている人)の職場に電話をしたり、訪問したりすることは「賃金業法」と呼ばれる法律で禁止されています。
しかし、催促の電話を続けているのに本人が電話に出ないといった場合は、仕方のない事情として勤め先への電話連絡が認められています。
それでも本人以外には金融会社からの連絡であることは明かしませんし、借金催促のためである旨も伝えません。そのため、職場に借入先から連絡がきても、借金を延滞していることはすぐにはバレないでしょう。
ただ、何回も連絡がくれば勘のいい人は気づくでしょうし、それで職場に居づらくなってしまうかもしれません。このような事態になる前に、なるべく早めに借入先と連絡を取りましょう。
自宅に担当者が訪問しにくる!?
あらゆる電話連絡を無視し続けていると、担当者が自宅に訪問してくることもあります。この場合も、本人以外には身分や目的を明かしませんが、家族に借金のことがバレるリスクは飛躍的に上昇するでしょう。
担当者が自宅に来る、というのは恐いイメージがあるかもしれませんが、恐喝や暴力行為をされることはありませんから、その点については安心してください。
あくまで借金返済についての話し合いが目的で、どんなスケジュールなら返済が可能かについて相談に乗ってくれます。
それでも、いつか自宅に来られるかもしれないというプレッシャーや、自宅周辺を知らない人が見回っているという精神的な負担はとても大きいものなので、電話連絡の時点で素直に交渉に応じることをおすすめします。
借金の取り立てにもルールがある
映画やドラマの影響で、「借金の取り立て=ヤクザみたいな人が脅してくる」みたいなイメージがあるかもしれませんが、実際そんなケースはほぼありません。
催促の方法は賃金業法で厳しく規制されており、これを無視した取り立ては罰則の対象になるので、金融機関も無茶な取り立ては行いません。
どんなルールがあるのか、具体的に以下に記しました。金融会社によって多少ルールは違うでしょうが、ほとんどの業者はこれらに近いルールで取り立てを行っているはずです。
・電話や訪問による取り立ては朝9時から夜8時まで
・自宅訪問時も、退去を求められたらすぐに立ち去る
・催促の電話は1日3回まで
・職場への訪問は禁止
・契約者以外に借金のことを知らせない・請求しない
・催促の際に、暴力的、または恐喝まがいの言動、行動はしない
これらのルールは、借金の催促といえども債務者(お金を借りている人)の平穏な生活を乱してはならない、という原則に基いて設定されているものです。
この範囲を大きく逸脱して催促、取り立てをされている場合は、すぐに弁護士に相談しましょう。法的手段で対抗できます。
さらに無視し続けると裁判所から督促状が届く
借入先からの電話連絡を無視し続けると、ほとんどの場合、「支払督促状」という書面が自宅に送られてきます。支払督促状の内容は、「〇〇様と全く連絡が取れないので、これ以上は法的な手段を検討させていただきます」というものです。
支払督促状は裁判所を介して発行されるものなので、法的な効力があります。放っておくと最終的に「財産の差し押さえ」が執行されてしまうので、速やかに借入先と連絡を取りましょう。
借入先が納得できる説明ができれば、裁判所への申し立ては取り下げてもらえます。しかし、2週間以内にアクションを取らなかった場合、次は「仮執行宣言付き支払督促状」が送られてきます。
そして、この書面が届いてから何のアクションも取らずに再び2週間経過すると、いよいよ差し押さえの執行権が借入先に付与され、銀行預金や勤め先の給料から強制的な徴収が始まってしまうのです。
さらに、差し押さえの件は職場にも通知されるので、勤め先に借金のことが100%バレます。催促の電話を無視し続けることには、このようなリスクが存在するのですね。
ちなみに、支払督促状に対しては「異議申し立て」を行うことができ、これにより普通裁判へと移行します。
しかし、ヤミ金が相手ならまだしも、一般的な金融機関相手では勝ち目はほぼありません。というのも、どう考えても返済を怠ったこちらに非があるためです。
裁判をしても余計な裁判費用がかかるだけなので、督促状が届いてしまったらすぐに借入先と連絡を取りましょう。
催促の電話を止める方法はある?
債務者への精神的な負担が大きい取り立ての電話ですが、ある方法でそれを止めることができます。それは、弁護士へ債務整理を依頼することです。
債務整理の手続きがスタートすると、弁護士は債権者へ「受任通知」という書面を送付します。受任通知とは、〇〇さんから債務整理の依頼を受けたので、これ以上取り立てを行わないでね、ということを債権者へ知らせるための書類です。
賃金業法により、貸金業者は弁護士から受任通知を受け取ると、その時点から催促を行ってはならないと定められています。受任通知は債務整理の手続き開始と同時に送付されるので、債務整理を依頼するとすぐに催促の電話は止まります。
もちろん、電話だけではなく、自宅への訪問、催促に関する書類の送付なども全て止まるので、業者からの取り立てに悩んでいる人は弁護士に相談してみましょう。
債務整理と聞くと自己破産をイメージする人が多いかもしれませんが、債務整理の手段はそれだけではありません。たとえば任意整理なら、借金が帳消しになることはないものの、財産を手放さずに借金の大きな減額が可能です。
現在の状況によって、どの方法が最もベストかは変わってくるので、弁護士と相談しながら手続きを進めていくとよいでしょう。
また、借金について悩んでいるなら、弁護士に相談だけでもしてみることをおすすめします。相談したからといって取り立てが止まるわけではありませんが、どうすれば無理なく返済していけるのかについて、的確なアドバイスをもらえますよ。
幸い、最近は相談無料の弁護士事務所がどんどん増えており、事務所まで足を運ばなくても電話相談できる事務所も多いので、いくつか候補を決めて、連絡してみるとよいでしょう。
借金の悩みは、誰かに相談するだけでもずいぶんと楽になるものです。一人で抱えずに、プロのアドバイスをもらいながら確実に返済していきましょう。
まとめ
催促の電話を無視してもいいことは一つもありません。踏み倒せるわけはありませんし、返済が遅れることによって、遅延損害金がどんどん大きくなってしまいます。
また、裁判沙汰になってしまえば、周囲の人に借金のことがバレるリスクも出てきます。初期の段階で真摯に対応すれば、向こうも条件を融通してくれるので、なるべく早めに連絡を取りましょう。
そして、どうしても返済できない、取り立てが辛くて生活に支障が出ている、そんな場合は弁護士に相談しましょう。債務整理を行えば、すぐに催促は止まりますし、借金について相談するだけでも気持ちが楽になるものです。
現実逃避せずに、しっかり借金と向き合い、確実に返済していくことが大切ですよ。