NHK受信料の未払いや滞納はいつ時効になる?日本全体の支払い率は?

NHK受信料を長期間に渡り滞納、もしくは意図的に支払わないとNHKから訴えられる可能性があります。消費者金融からの借金の場合と同じように、裁判所を介して未払い分を請求されるのですね。

一般的に借金に関する裁判は借りたほうが不利です。もちろん合法かつ正式な手続きを経て契約が行われた場合の話ですが、ほとんどのケースにおいて債務者(借りたほう)の全面敗訴になります。

では、もしNHKに受信料の未払いで訴えられたら、今までの滞納分を全額支払わなければならないのかというと必ずしもそうではありません。

実は、NHK受信料の滞納には時効があり、時効分の金額は支払わなくてよいのです。

この記事では主にNHK受信料の時効は何年なのかについて解説します。また記事の後半では、今現在(2017年1月)の日本全体のNHK受信料の支払い率についても言及しています。

NHKの受信料は5年?

結論から先にお話すると、現在のところNHK受信料の時効は5年である、という認識が一般的です。

NHK受信料の支払いについては放送法という法律によって細かく定められていますが、意外なことに受信料の時効については近年まではっきりしておらず、2014年の最高裁の判決によって改めて示された形になりました。

この部分についてさらに掘り下げて見ていきましょう。

NHKはもともと受信料の時効は10年であると主張していた

金銭の貸し借りや支払い契約には時効が存在します。そして、時効を超えた分については完全にチャラになり、支払い義務がなくなるのですね。

金銭に関する時効はその内容によって時効となる年数が変わってきます。家賃など定期的に支払い義務が発生するものは5年、サラ金などでの一般的な借金は10年とそれぞれ定められています。

NHKは昔から受信料は一般的な債権であると主張していました。つまり、NHK受信料の時効は10年である、というのがNHKの認識であり、そこまではさかのぼって請求できると考えていたのです。

しかし、これに関してある滞納者が、NHK受信料は定期的に支払うのだから時効は5年であるはずだ、との訴訟を起こしました。そして、裁判は最高裁まで争われることになり、2014年についに司法の最終判断が下されたのです。

最高裁はNHK受信料の時効は5年であると判断

時効の期間について争われたこの裁判は、NHK受信料の時効は5年とし、それ以前の滞納分については支払い義務は生じないという、NHK側のほぼ全面敗訴の形で決着しました。

また、今まで受信料の時効に関する判例がなかったため、この判決はとても大きな意味を持つことになりました。

なぜならこれ以降、NHKは未払い分を5年以上さかのぼって請求できなくなってしまったからです。

もし、無理に5年以上の未払い分を請求しようとしても、この判例を持ち出されればNHKとしては全く反論できなくなってしまうのですね。

こうして、NHK受信料の時効は5年であることが公的に認められることとなったのです。

時効援用をしなければ時効は適用されない

よくある誤解として、時効は期限が来ると自動的に成立し、適用されるという考えがあります。

実はこれは大間違いで、時効は債務者側が債権者(お金を貸している人)に知らせることで初めて効力を持ちます

これを「時効の援用」といい、時効の成立を証明する書類(時効援用通知書)を配達証明付きの内容証明郵便で債権者に送付することによって通知する方法が一般的です。

内容証明郵便などの配達オプションを付けるのは、債権者側が「そんな書類は受け取っていない」としらばっくれるのを避けるためです。

NHK受信料に関しても同様で、時効になったことを通知しない限り支払い義務は消滅しないので注意しましょう。

NHK受信料で時効が適用されるのは5年以上前の滞納分だけ

よくある勘違いの2つ目として、時効が成立すると全ての滞納期間の支払い義務が消滅する、というものです。

残念ながら時効が成立するのは現在から5年以上さかのぼった分だけです。つまり、それ以降の滞納分には支払い義務が残っているのですね。

例えば、現在のNHK受信料で10年間滞納すれば、滞納金はおおよそ25万程度になりますが、時効援用すればその半分の支払い義務が消滅し、残額13万円程度を支払うことになります。

日本全体でのNHK受信料の支払い率は?

現金払い

それでは日本全体でNHK受信料を支払っている契約世帯はどれくらいの割合なのでしょう?NHKは未払いの世帯数や、契約義務があるにも関わらず未加入の世帯数を集計しており、公式サイトで公表しています。

平成28年の5月に公表されたものによれば、日本全体の支払い率は76.6%で、前年度と比べると1%上昇したとされています。

逆に考えれば25%程度、全体の4分の1程度の世帯はNHK受信料の支払いに応じていない、とも考えることができます。

NHKは受信料の長期滞納世帯については法的な措置を取っています。裁判所を介して支払い督促状を送ってもらったり、最終的には差し押さえの措置を取ることもあります。

確かにNHKの受信料には時効がありますが、それに期待して受信料を滞納するのはあまり得策ではないでしょう。

自宅にテレビなどを設置していて支払い義務があるのなら、視聴者としてきちんと受信料を支払い、引っ越しなどでNHK契約を解約したい場合は忘れずに手続きを行いましょうね。

また、NHK受信料はさまざまな理由による免除が認められています。家族割など、多くの人に適用できる割引もあるので、かかさずチェックしておきましょう。

まとめ

NHK受信料の時効は5年とされており、裁判でも判例があることから、これからもそう簡単に変わることはないでしょう。

しかし、それに期待して長期的に受信料を滞納するとNHKから訴えられる可能性もあります。忘れずにしっかり支払いを行っていきましょう。