過払い金が取り戻せるのは2016年まで!?個人の借金がある場合は早めに

ちょっと前からやたらと弁護士事務所のテレビCMで目にするようになった「過払い金請求」というフレーズ。自分には関係のないことだと思っていらっしゃる方も少なくないかと思いますが、実は過払い金請求はすでに借金を返済し終わっている人にも多いに関係があります。

過払い金請求には時効があり、多くの人が時効を迎えるのが今年(2016年)です。過去に借金を返済していたことがある人は、念のため過払い金が発生していないか確認してみましょう。

※過払い金が発生しているか、こちらで診断してみましょう。

過払い金は過去に払い過ぎた利息

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過払い金とは、過去に消費者金融やカード会社に対して払いすぎている利息のことです。利息の利率というのは法律によって定められているのだから、払い過ぎが発生することなどありえないと思われるかもしれませんが、実はこれにはからくりがあります。

貸金業者がとっても良い利息の上限を定めた法律には、利息制限法と出資法があります。どちらも法律の内容としては似たような感じですが、利息制限法を破っても罰則がないのに対して、出資法を破ると5年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金が課されます。

法律を破っても罰則がないというのは不自然に感じるかもしれませんが、実はこういう法律は少なくありません。

例えば、お酒や煙草は20歳から、という法律が在るのは誰もが知っていることですが、仮にこの法律を破ったとしても本人が罰則を受けるわけではありません。実際に責任を追うのは親権者、もしくはお酒や煙草を販売した店です。

ただし、罰則がないからと言って違法行為をしても全く不利益がないかというとそれはまた別で、違法行為によって誰かが損害を受けた場合は民事裁判で圧倒的に不利になります。罰則がなくてもその法律が存在しているだけで、悪質な行為の抑止力になることがあるのです。

話をもとに戻しましょう。貸金業者の利息は利息制限法、及び出資法で定められており、利息制限法には罰則がなく、出資法には罰則があります。以前は利息制限法では

  • 元本が10万円未満の場合、金利は20%まで
  • 元本が10万円以上、100万円未満の場合、金利は18%まで
  • 元本が100万円以上の場合、金利は15%まで

と定められていました。一方、出資法では、上限金利は元本にかかわらず29.2%までと定められていました。

両者ともにお金を貸す時の金利を定めた法律であるにも関わらず、その上限金利が異なっていたのです。

しかし、利息制限法には罰則がなく、出資法には罰則があるため、多くの業者は出資法だけを守り、利息制限法には違反する金利を採用していました。このような金利を「グレーゾーン金利」といいます。

また、当時は貸金業法で「みなし弁済」という仕組みが定められていました。これは一定の条件を満たしている場合に限り、利息制限法を超える金利をとっても良い、と言うものです。

その条件とは「利息という認識で消費者が支払っていること」「出資法の上限を上回っていないこと」の2点です。多くの消費者金融やカード会社はグレーゾーンとみなし弁済の存在を良いことに、利息制限法に違反する金利を定めていました。

しかし、2006年1月に最高裁判所が「債務者が利息制限法に違反している金利であることを自覚しながら任意で支払っている場合を除き、利息制限法を超える金利は全て無効となる」という判決を出すと、状況は一変します。

利息制限法に違反したことを知った上でわざわざ無駄に利息を払いたがる消費者はいませんから、この判決は実質的に利息制限法を超える全ての金利を無効と認めたものであると言ってもいいでしょう。

テレビCMやワイドショーなでもどでも頻繁に過払い金の存在が取り上げられるようになり、多くの消費者金融利用者が過払い金変換を求めました。その結果、中小はもとより武富士などの大手消費者金融も倒産に追い込まれました。

そして2010年6月には、出資法が改正され、上限金利が利息制限法と横並びになり、グレーゾーン金利自体も撤廃されました。

過払い金請求は弁護士にとってもおいしい仕事

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一体何故過払い金請求はこれほどまでにメディアで取り上げられたのでしょうか。

もちろん、金利を払いすぎていた人たちを救いたい、という正義感がある人が存在していたという一面もあるでしょうが、それ以上に弁護士にとって過払い金請求はおいしい仕事でもあるのです。

日本貸金業会によれば、全国の消費者金融が変換した過払い金は2008年度がピークで、その額は約1兆円でした。2012年にはかなり減少したものの、約5000億円と高い水準を維持しています。

過払い金請求を弁護士に依頼した場合、取り戻せた金額の約20%が弁護士の報酬になります。つまり、2008年度には1兆円×20%=2000億円、2012年度でも5000億円×20%=1000億円が弁護士業界に流れて来たわけです。

過払い金請求には話し合い、交渉などの面倒な作業が必要になりづらく、弁護士にとっては比較的楽な作業といえます。比較的楽な作業で確実な収入が見込めるのですから、弁護士にとっては「おいしい仕事」といえます。

必然的に多くの弁護士事務所がこぞって過払い金請求のCMを打ち、顧客を取り合いました。

ですが、そんな過払い金バブルもそろそろ終了しそうです。過払い金請求の権利には10年という時効があります。

この期間中に権利を行使しないと、請求権自体が消滅してしまいます。そしてこの10年のカウントは返済時からカウントします。分割返済の場合は完済時がスタートとなります。

そして今年は最高裁判所で件の判決が出てから10年目となります。つまり、過払い金を取り戻せる期間は残り少ないのです(おそらく来年にはあれほど目にした弁護士事務所のCMもほぼなくなることでしょう)。過払い金請求をするとしたら今しかありません。

ちなみに、余談ではありますが、過払い金請求バブルが終わった弁護士業界は次の飯の種をいま躍起になって探しているそうです。例えば、アディーレ法律事務所の石丸代表は、寿司屋経営に乗り出しています。

また、次のトレンドは企業に対する残業代請求だと見て動き出している弁護士も少なくないようです。個人的にはどんどんやってほしいものです。

過払い金請求は早期に動き出すべき

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過払い金請求には前述の通り時効があります。最後の返済日、つまり完済日から10年が経過している場合、請求権が消滅してしまいます。そのことを考えると、少しでも早く動き出したほうが良いことは間違いありません。

なお、完済後に再び借り入れを起こした場合の判断についてはケースバイケースです。

例えば、2000年10月に100万円を借り入れて2003年10月に完済しており、その後2003年12月に再び100万円を借り入れをして2006年12月に返済している場合は、2つの取引を1つの取引と主張できます。両者が一つの取引だと認められれば、いずれも最後の返済日は2006年12月となります。

ただし、2つの取引の期間が開きすぎている場合は、2つの取引を1つの取引と主張できないこともあります。ケースバイケースなので、弁護士と相談して下さい。

また、消費者金融が倒産すると過払い金請求は極めて難しくなります。実際に空前の過払い金ブームで多くの消費者金融が倒産に追い込まれています。倒産する前に過払い金請求をしなければいけません。

過払い金は請求しないと返ってこない

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過払い金は本来支払う必要がなかった利息なので返還を求めるべきです。とはいえ、消費者金融やカード会社が過払い金の存在を教えてくれることなどありえません。

従って過払い金を取り戻すためには、自分で過払い金の存在を確認するか、弁護士に依頼して計算するしか方法はありません。

過払い金を全部自分で計算するのは難しいですが、だからといっていきなり弁護士事務所にいくのも考えものです。存在すると思っていた過払い金が実は存在しませんでした、ということもあり得るからです。

最終的には弁護士に計算を依頼することになるとしても、過払い金の存在の有無ぐらいは事前に確認していきたいものです。

まず、取引履歴がある場合はそれを確認してみましょう。取引履歴がない場合は、契約していた消費者金融に開示請求をすれば取り寄せることができます。

過払い金の金額に関しては、大雑把に計算できるサイトが幾つか存在しています。

※過払い金が発生しているか、こちらで診断してみましょう。

過払い金請求のメリットはお金が買ってくることだけではない

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過払い金請求の一番のメリットは言うまでもなく、払いすぎていた利息が返ってくることです。いくら返ってくるかは過去の借り入れの仕方に大きく左右されますが、中には100万円以上の過払い金が帰ってきた人もいます。

また、過払い金請求を行うと基本的にその金融機関からは二度と借り入れができなくなります。これはデメリットということもいえますが、無駄な借金をしてしまう可能性を減らせるという点ではむしろメリットといえるかもしれません。

過払い金請求で返ってきたお金を見て自分はこんなにも利息払っていたのだと気づき、借金体質が抜けていったという方も少なくありません。

一方、過払い金請求のデメリットとしては、場合によってはブラックリストに登録されてしまう事が挙げられます。

完済した借金の過払い金請求については問題ないのですが、返済中の借金の過払い金請求は基本的に債務整理と同様の扱いになります。ただし、返ってきた過払い金で借金が完済できればブラックリストには登録されません。

過払い金請求と弁護士

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過払い金請求は弁護士に任せるべきですが、だからといって弁護士に任せておけば全て安心というわけではありません。中には利用者を騙そうとする悪徳弁護士もいるからです。

たまに見られるのが、弁護士が過払い金の一部を着服するというケースです。例えば、本当は50万円の過払い金があったにも関わらず、「30万円の過払い金がありました」と依頼者に報告して、差額の20万円をポケットに入れる、と言った感じです。

また、元金が残っている場合、過払い金として返ってきたお金は元金の返済に当てられ、それで元金がなくなった場合は残りの額を受け取ることができますが、弁護士の中には返済が必要と偽ってこの残った額を着服する人もいます。

もちろん、このようなわかりやすい悪徳弁護士はごく少数であり、多くの弁護士はそれなりに誠実に仕事をしてくれますが、大切な過払い金請求を依頼する以上は、少しでも実力が高い信頼できる弁護士に任せたいものです。

では、一体どうやって信頼できる弁護士を探せば良いのでしょうか。

まず、信頼できる弁護士が身近にいるという場合は、その人に依頼するのが一番です。いない場合は法テラスなどで紹介してもらうのが無難でしょう。

弁護士懲戒処分検索センターでは、どのような弁護士が過去に懲戒処分を受けていたか検索することができるので、弁護士が過去にトラブルを起こしていないか心配な場合は一度検索してみて下さい。

もちろん、懲戒処分を受けている弁護士が必ずしも不正行為を犯しているというわけではないですが、一つの判断材料程度にはなるはずです。

自分で弁護士を探したいという場合は、弁護士検索サイトを利用するといいでしょう。日本各地の弁護士事務所が掲載されており、自身の住んでいる地域を指定するだけで弁護士事務所を簡単に探すことができます。

ただし、全ての弁護士事務所が掲載されているわけではないので注意が必要です。

あるいは、Googleなどの検索エンジンで「地域名+弁護士事務所」で検索するのもいいでしょう。

ただし、インターネットで弁護士を探すと、広告宣伝にお金をかけられる体力のある弁護士事務所が上位に出てくるのには留意が必要です。

広告宣伝費を掛けられるということは儲かっている=依頼者が多いということであり、それだけ信頼できるともいえるのですが、一方で多数の依頼者をさばくために1人の依頼者にはあまり時間を掛けないような弁護士事務所もないとはいえません。

地元に密着した弁護士を探したいという場合は、インターネットではなくリアルな口コミ(すでに過払い金請求人からの紹介)を参考にした方がいいかもしれません。

さて、良さそうな弁護士を見つけたら、まずはその人の属性を確認してみましょう。まず、出身大学についてはそれほど気にする必要はありません。弁護士の能力は大学入試に必要な能力とはまた別物だからです。

それよりも問題にすべきは経験です。といっても、経験が長ければいいというわけではありません。若くて経験年数が短くても経験豊富な弁護士もいれば、経験年数ばかり長くて経験値は全く溜まっていない弁護士もいます。

とはいえ、弁護士の経験がどれくらいあるかを素人が判断するのは極めて難しく、現実的には経験年数で判断せざるを得ない面もあります。経験年数は殆どの場合ウェブサイトに記載があるはずですので、一度確認してみて下さい。

こんな弁護士には要注意

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弁護士にはいろいろな人がいますが、このような弁護士にあたってしまったときには注意が必要です。

資料ではなく口頭で説明しようとする

過払い金の金額がいくらになるのか、どの業者にどのくらいの借金があるのかなどの資料は、必ず書面で確認させてもらうようにしましょう。

口頭で説明するだけで、書面を見せしようとしない場合は注意が必要です。何かを付けて書面を見せようとしない弁護士にあたってしまった場合は、日本弁護士会に相談しましょう。

得意分野が多岐にわたりすぎている

弁護士にはそれぞれ得意分野というものがあります。例えば離婚問題に強い人もいれば、借金整理に強い人もいます。そしてそれぞれの弁護士は自身のウェブサイトなどで、自分はこういう分野に強いとアピールしています。

法律というのは医療診療科のように区分けできるものではありませんが、それでもそれぞれに得意な分野はあるものです。

得意な分野が多岐にわたっている弁護士は、ただたんにこれという強みがないのをごまかすために少しでもかじったことがあるものを得意分野だと言っているだけの可能性があります。気をつけましょう。

報酬が高すぎる

過払い金請求の相場は大体回収額の20%程度に収まります。どこの弁護士事務所に依頼しても、それほど変わらないはずです。ただし、請求額が少ないほど弁護士の受け取る報酬の比率は高くなります。

この条件に当てはめて弁護士が請求してくる報酬額があまりにも高すぎると感じた場合は、依頼を見送ったほうが良いでしょう。

過払い金請求はお早めに

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最後になりますが、過払い金請求には時効があります。過去に借金を返済していたことがある方は、念のために確認をしてみて下さい。

※過払い金が発生しているか、こちらで診断してみましょう。