借金の返済をスムーズにする借金の一本化(おまとめローン)。大変便利なサービスですが、状況によっては利用できないことがあるのがネックです。今回は借金の一本化ができないケースと、その場合の対処法を一緒に学んでいきましょう。
目次
借金の一本化は「借金をまとめて低金利の金融機関で借りるサービス」
借金の一本化とは、その名前の通りすべての借金をひとまとめにするサービスのことです。銀行などの比較的金利の低いところからまとまったお金を借り受けて、そのお金で借金を完済するという仕組みです。借金の一本化には以下のようなメリットがあります。
金利を低く抑えることができる
一番のメリットはこれです。金利が安くなれば毎月の負担が少なくなり、返済合計額も少なくなります。
借金の管理が簡単にできるようになる
おまとめローンを利用すると借金が一本化されるので、借金の管理が楽になります。返済日を給料日の直後に設定しておけば、返済するお金がなくて苦しむこともなくなります。
おまとめローンの審査は通常のキャッシングよりも厳しい!
借金の一本化に使うローンを「おまとめローン」といいます。おまとめローンは銀行や消費者金融など、様々な金融機関で取り扱われていますが、一般的に通常のキャッシングと比べるとその審査は厳しいといわれています。
審査が厳しい理由は簡単で、通常のキャッシングよりも金額が高くなりやすいからです。
おまとめローンにおける審査は2段階で行われる
おまとめローンの審査は通常、申込内容による審査とコンピュータスコアリングの2段階で行われます。申込内容による審査は個人情報信用機関に問い合わせて申込書の内容に嘘偽りがないかを調べる調査です。また、併せて在籍確認も行われます。
在籍確認は電話を通じて行いますが、名前を聞かれることなどはないので、職場の人間におまとめローンの利用がばれることはまずありません。
コンピュータスコアリングは個人の属性(年齢、性別、勤務先、収入など)に点数をつけるシステムです。過去の別のユーザーの返済歴から「申込者と似た属性の人はどのくらいの確率できちんと返済を行っているか」を確認します。
おまとめローン審査に絶対落ちる人の特徴
おまとめローンの審査項目を見ていく前に、まずはおまとめローン審査に絶対落ちる原因を見ていきましょう。おまとめローン審査に絶対に落ちる方法はたった一つ。申し込み時に虚偽の内容を申告することです。
これがばれてしまうと絶対に審査に通りません。審査に合格したいという気持ちはわかりますが、正直に記入してください。
おまとめローンの審査項目について
おまとめローンの審査項目をまとめてみました。これらの項目について、改善できるところは改善して審査に臨みましょう。
年齢は20代後半~40代後半ぐらいがベスト
年齢は働き盛りとされている20代後半~40代後半ぐらいが最も有利です。給料が低い20代前半、定年退職目前の50台はそれと比べると評価が低くなります。65歳を過ぎると申込できなくなるケースがほとんどです。
勤続年数は長ければ長いほど良い
勤続年数とは、現在の会社(公務員の場合は役所など)に勤務している年数のことです。社会人になってからの年数ではないので気を付けてください。
勤続年数は長いほうが有利です。働いている期間が長くても、転職を繰り返している場合は「安定性に欠ける」と判断されてしまうので注意が必要です。
自営業者の場合は事業継続年数が代わりにチェックされます。こちらも長いに越したことはありません。勤続年数や事業継続年数が1年未満の場合は、残念ながら審査は厳しいものになるでしょう。
職業は年収よりも安定性が高いものが好まれる
職業は収入自体の多寡よりも安定性が重視されます。といっても、もちろん年収があまりに低すぎるのはダメです。最低でも200万円、できれば300万円は欲しいところです。普通に社会人をやっていれば問題なくクリアできる額だと思いますが……。
職業で一番有利なのは「公務員」。特に県庁や大きな市役所などの職員は、安定性の高い職業とみなされ審査で有利になります。次いで有利なのは「上場企業の正社員」もしくは「あまり規模は大きくないが設立されてから長い企業の社員」などです。
あまり歴史のない中小企業の社員はそこそこ、といったところです。
それに比べると不利なのが「自営業者」「契約社員」「派遣社員」などです。これらの職業はたとえ正社員と同等か、それより少し多いくらいの稼ぎがあっても審査ではかなり不利になります。
さらにきついのは「アルバイト」で、こうなってしまうと合格はほぼ不可能といえます。ちなみに、「無職」はその時点で一発アウトです。
健康保険は共済組合がベスト
それほど重要ではありませんが、しいて言うならば共済組合(公務員の保険)が有利です。国民健康保険は無職などでも加入できるため一般的には不利といわれていますが、一概にそうとは言えない面もあります。無保険なのは非常にまずいですが。
住まいは「持ち家」が有利
住まいは賃貸よりも持ち家の方が当然有利です。持ち家の名義は本人でも配偶者でも親でも特に問題ありません。持ち家のある人は突然失踪したりする可能性が低いため、金融機関にとっては低リスクです。
とはいっても世の中には賃貸物件に住んでいる人も少なくありませんし、賃貸に住んでいるからと言って特別審査が厳しくなるようなことはありません。ただし、公営住宅などの低所得者向け住宅に住んでいる場合は審査が厳しくなることもあるようです。
返済能力のある同居人がいると有利になる
同居人については、いないよりもいる方が有利になります。突然その人をほっぽりだして疾走する可能性が低くなりますし、もしかしたらその同居人が借金を代わりに払ってくれるかもしれないからです。
したがって、配偶者、両親、兄弟などの「返済能力がある人」と同居している場合は評価が高くなります。
結婚は既婚・未婚どちらでも特に問題なし
配偶者はいてもいなくてもかまいません。しいて言えば生活にお金がかからない未婚の方が少し評価は高くなりますが、気にするほどでもないです。
連絡先は固定電話があったほうがいい
最近は携帯電話だけで、固定電話は持たないという人が少なくないようですが、審査においては固定電話の方が高く評価されます。固定電話と携帯電話、両方持っていればベストです。
借入額はあまり見られないが、借入件数は少ないほうがいい
審査では借入額よりも借入件数の方が優先的にチェックされます。借入件数は少ないほうが有利です。たとえば、同じ借入額200万円でも、1社から200万円を借りている場合と、4社から50万ずつ借りている場合では、前者の方が高く評価されます。
1社からの借入額が高いということは、その人が金融機関から高い信頼を勝ち取っている(過去に返済をきちんと行ってきた)ということになるからです。
借入件数は4社で要注意、5社でほぼアウトというのが定説です。借入件数が多すぎる場合は、借入額が最も少ないところだけでも一括で返すなどして、件数を少なくしておくといいでしょう。
ブラックリスト掲載者は即NG
ブラックリストとは、過去に返済事故(返済遅れ、債務整理など)を行った人のデータがまとめられているデータベースです。
融資担当者はCRINというネットワークを通じてブラックリストにアクセスし、申込者の事故情報をチェックします。過去に返済事故を起こしている場合はこの時点でばれてしまうので、まず間違いなく借り入れは不可能になります。
ブラックリストに掲載されている事故情報は通常、1年~10年程度で抹消されます(事故の程度や種類により異なる)。ブラックリストに掲載されているかどうか不安な場合は自ら調べることも可能です。
CIC、JICC、全銀協という3つの団体(個人信用情報センター)に開示請求を行えば、日本のブラックリストがすべてチェックできます。
審査のコツとポイント
審査に合格するにはいくつかポイントがあります。ここを押さえておけば審査に合格しやすくなります。
借りやすいのは消費者金融、金利が低いのは銀行
おまとめローンは消費者金融も銀行も扱っていますが、一般的に借りやすいのは消費者金融、金利が低いのは銀行といわれています。銀行で借りられるならそれに越したことはありませんが、だからといってやたらめったら申し込みまくるのは考え物です。なぜなら……
多重申し込みは金融機関にばれる
あなたがおまとめローンを申し込んだことは個人信用情報センターに記録として残ります。融資担当者はその記録にアクセスすることができます。つまり、ローンの多重申し込みはすぐにばれるというわけです。
申し込み履歴が多い(1か月で3件以上)と、融資担当者は借り逃げを疑います。もしそうなったら最後で、融資を受けるのはほぼ不可能になってしまいます。
焦る気持ちはわかりますが、申し込みは1点に絞りましょう。申し込み履歴は消費者金融ならば1か月、銀行は6か月で抹消されるので、その期間が過ぎたらまた申し込めばいいのです。
嘘は厳禁
繰り返しになりますが、申込時に嘘をつくことは厳禁です。個人信用情報センターで嘘は簡単にばれます。自分の情報は正直に申告しましょう。
おまとめローンは年度末が通りやすい
どこの企業も年度末は営業を積極的に行い、売り上げを確保しようとします。消費者金融も銀行もそれは同じことで、年度末には少しリスクを取ってでも積極的に貸し出しを行い、その年度の売り上げを確保しようとします。
借りる側にとっては都合のいい話であり、これを利用しない手はありません。少しでも合格する可能性を高めたいならば、年度末に申し込むことをお勧めします。
おまとめローンの審査に通ったらするべきことは「カードの処分」
おまとめローンの審査に通ったらお金が振り込まれます。すぐに他社の返済を済ませ、契約も終了させてカードを全部燃やすなり鋏で切り刻むなりしてしまいましょう。新たな借入先を探すこともせず、地道に借金を返していきましょう。
返済に当たってはシミュレーションを行うことも大切です。いつ返済終了するのかわかっていれば、自然とモチベーションも上がります。
おまとめローンの審査に落ちた場合は債務整理も視野に
おまとめローンに落ちた場合、その理由を融資担当者から教えてもらうことはできません。理由がわからないまま別の金融機関に申し込んでもまた同じ結果に終わる可能性が高いです。
おまとめローンに落ちたということは、それだけあなたが金融機関に信頼されていない(借金を返せないと思われている)証拠です。そのような場合は無理をせず、債務整理を行ったほうがいいかもしれません。
債務整理を行うと借金が圧縮、もしくはチャラになります。借金を新たにできなくなるなどのデメリットもありますが、これはむしろ借金癖のある人にとっては好都合といえます。
おまとめローンの審査に落ちた場合は、そうした選択肢があることも覚えておいていただけると幸いです。