自己破産すると官報に載るって本当?会社や友人にもバレるの?

自己破産をするときに気になるのが、周りの人にバレないのか、ということですよね。もちろん、借金で苦しんでいるのに体裁なんか気にしている場合じゃない、と言うのはその通りなのですが、それでもやはりバレないに越したことはありません。

今回の記事では自己破産がバレるケースと、それを未然に防ぐ対処法をお教えしたいと思います。

これで自己破産がバレる!?よくある9つのパターン

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自己破産は任意整理や個人再生と比べてバレずにやるのが難しいですが、うまくやればバレ無いこともあります。逆に言えば、下手を踏むと直ぐにバレてしまいます。一体何が原因でバレてしまうのでしょうか?

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1. 弁護士事務所とのやりとり

自己破産をする際には通常、弁護士に依頼をすることになります。弁護士事務所からの連絡が原因で自己破産がバレるというケースは意外と少なくありません。

弁護士の方も守秘義務があるため、軽はずみにこちらに電話してくることはありませんが、緊急事態の際には家に電話してくるかもしれません。それを家族がとったらいろいろと困りますよね。

どうしても家族にバレずに自己破産をしたいという場合は、事前にそのことを必ず弁護士に伝えておきましょう。郵便は弁護士事務所名ではなく個人名で送信してくれる、あるいは郵便局留めの制度を利用してくれるなど、最大限の配慮をしてもらえます。

2. 財産の処分

自己破産には同時廃止と管財事件があります。同時廃止とは、処分すべき高額な財産を持っていない場合に行うって続きです。この場合、極めて簡単に破産手続きが終わります。この場合は、周囲にバレずに自己破産をすることが可能です。

一方、管財事件とは処分すべき高額な財産を持っているときに行う手続きです。処分すべき財産を持っている場合、裁判所から破産管財人が選任されます(破産管財人は通常は弁護士がなります)。

破産管財人は破産者の財産の調査、管理、換価、配当などを行います。ようするに破産者の持っている財産を売却してお金に変えて、債権者に分けるわけです。

管財事件で処分の対象となる財産は主に家と車です。これらの財産が没収されてしまえば、当然自己破産したことは家族にバレてしまいます。

これについてはどう破っても隠し通すことは不可能なので、管財事件になりそうな場合ははじめから家族に正直に話した方がいいでしょう。

なお、個人の自己破産の場合、同時廃止の割合は約60%、管財事件の割合は40%と言ったところです。

3. 破産者名簿への登録

自己破産をすると、本籍地の破産者名簿に名前が乗ります。破産者名簿は弁護士や司法書士などの特定の資格を持つ人が破産者でないかをチェックしたり、税金や保険料を滞納している人が破産者でないかをチェックしたりするために使われます。

破産者名簿は市区町村役場内に保存され、一般人が閲覧することはできません。しかし、家族や友人などが本籍地の市区町村役場で働いている場合は、そこからバレてしまう可能性が0ではありません。これを防ぐ手段は、残念ながらありません。

4. 官報に名前がのる

自己破産をすると、名前が官報に掲載されます。官報とは政府が発行する機関紙の一つで、法律や政令などの制定、改正の情報、あるいは破産や相続などの情報が記載されています。国立印刷局(紙幣を発行している所)が行政機関の休日を除いて毎日印刷しています。

しかし、結論から言えば、官報から破産した人物を特定するのはほぼ不可能です。正確に言えば、自己破産した疑いのある人の名前が官報に掲載されているのを見つけるのはほぼ不可能、といったほうがいいかもしれません。

官報には「本紙」「号外」「政府調達」などがあります。この内、破産者の名前が乗るのは号外です。しかし、破産者情報がどの号外に掲載されるかは、事前に全く予想がつきません。完全ランダムで掲載されるからです。

現在、日本では毎年約7万人の人が自己破産をしています。この中から特定の人物を拾い出すのはまず不可能と言ってもいいでしょう。

また、一般人はそもそも官報に目を通す機会すら無いことが大半です。官報の存在すら知らないという人も少なくないでしょう。官報は通常の新聞と違って、駅の売店や街中の書店などで買うことはできません。官報が買えるのは、各地の政府刊行物取扱店だけです。

政府刊行物取扱書は各都道府県に1~2つしかありません。東京都の場合は霞が関と神田錦町の2箇所です。

官報はオンラインでチェックすることもできますが、無料で読めるのは過去1週間分のみです。それより前のぶんを見るためには、有料登録が必要になります。一応、過去の官報情報を検索するサービスも有るのですが、こちらも有料です。

よほど他人から激しい恨みを買っていなければ、そこまでして探されることもないでしょう。つまり、官報から自己破産がバレるケースは現実的にはありえないと言って問題ありません。

但し、親族や友人の中に役所づとめの人、あるいは法律事務所、金融機関に勤務している人がいる場合は、そこからバレる可能性は0ではありません。彼らにとって官報は有用な情報源でもあるからです。

だから100%大丈夫とは言いませんが、99.99…%大丈夫であるとはいえます。

5. クレジットカードの使い方

クレジットカードは信用取引の一つです。そのため、自己破産をしてしまうと、一定の期間中クレジットカードが持てなくなります。

今までクレジットカードで買物をしていた人が、急に現金主義になったら疑われる可能性は0ではありません(そこまで他人の支払いを細かく観察している人はめったにいないかと思いますが……)。

どうしても心配な場合は、デビットカードを作るといいでしょう。デビットカードとは、使った瞬間に引き落とし先の口座からお金が引き落とされるタイプのカードです。つまり、デビットカードはクレジットカードと違って借金ではないわけです。その為、審査はありません。

また、銀行口座に入っているお金以上に買物をしてしまうことはなくなるため、お金にだらしないという自覚がある人にとっては何かと有用です。

デザインもクレジットカードと似ていて、16桁の数字も記載されています。多くの場合、カードの何処かに「Debit Card」という記載がありますが、注意深く見なければそうとはわかりません。

万が一バレたとしても「クレジットカードは使いすぎが心配なのでデビットカードを使っている」ということにしておけば疑問は持たれないでしょう。

6. 住宅ローン

自己破産をすると、一定の期間中借金ができなくなります。

正確に言えば、審査に申し込むことはできますが、金融機関に自己破産歴がバレてしまう(自己破産をしたという記録が信用情報機関という民間企業のデータベースに残されている)ため、審査に全く通らなくなってしまうのです。

ちゃんと働いていて人並みに収入があるにも関わらず審査に落ち続けていると、やがて家族に不信感を持たれてしまうかもしれません。

この場合は、家族に正直に自己破産することを告白し、申し訳ないが一定期間中はローンが組めなくなると謝っておいたほうがいいでしょう。

7. 知人に借金をしている

自己破産をすると、債権者にそのことが伝わります。友人や親族、あるいは会社などから借金をしている場合、そのことが伝わってしまうわけです。これについては残念ながら、防ぎようがありません。

自己破産をする前に、知人からの借金だけでも返しておけばいいのではと思われるかもしれませんが、それをしてしまうと自己破産が認められない可能性があります。

自己破産には免責不許可事由と言うものがあり、これに該当する場合は免責が不許可となる、つまり自己破産ができなくなることがあります。

そして、免責不許可事由の一つに「非義務的偏頗行為」があります。これはその必要がないのにも関わらず、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で特定の債権者だけに返済をしたり、担保を提供したりすることです。

8. 裁判所からの通知

自己破産の手続きを自分で行っている場合、裁判所からの通知は全て自宅に届きます。これを防ぐためには、弁護士に自己破産を依頼するのが一番です。そうすれば裁判所からの通知は弁護士のもとに届くので、そこから家族にバレる可能性はなくなります。

9. 裁判所に提出する書類

裁判所には原則として「給与明細」「源泉徴収」「退職金計算書」を提出する必要があります(会社員の場合)。この内、給与明細と源泉徴収は問題なく総務課から受け取れるはずですが、ちょっと問題になるのが退職金計算書です。

何の理由もなくいきなり退職金計算書がほしいというと、総務課の人に疑問に思われるかもしれません。もしかしたら仕事をやめるつもりなのではないかと、あらぬ疑いを持たれる可能性もあります。

将来設計のために退職金の額を知っておきたいとか、妻が知りたがっているとか、不自然でない理由を考えておきましょう。

なお、退職金計算書は退職金がない会社でも必要になります。取得が困難な場合は、退職金支給規定や就業規則のコピーでもOKです。

自己破産は家族には隠さないほうがいい?

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ここまで自己破産を周囲の人間にバレないようにする方法を考えてきましたが、弁護士や司法書士の中には、最初から家族には自己破産をすることを明かした方がいいと進める人もいます。私もその考え方には基本的には同意しています。

仮に隠れて自己破産をして、その後何らかの原因でバレてしまった場合、家族からの信用はガタ落ちするからです。なんで正直に話さなかったんだという不信感は、拭えることはないでしょう。

どうしても自己破産を家族に隠し通すのならば、何が合っても絶対にしゃべらないという強い信念を持つべきです。それができないならば、最初から話してしまったほうがいいでしょう。

※自己破産か?それとも他の債務整理がいいのか?こちらで診断してみましょう。