マイホームローンの審査と借金の関係

マイホームローンの審査に通らないという人は、よく原因を考えてみましょう。意外とあっさりと答えが出ることもあります。

審査に通らない原因としては、「延滞をしていて信用情報に傷がある」、「年収に対して借入金額が大きい」、「頭金が足りない」、「他社からの借金が大きすぎる」といったことがよくあげられます。

ここでは、その答えの1つである、マイホームローンの審査と借金の関係について簡単に解説をします。

マイホームローンの審査で見られるポイント

マイホームローン(住宅ローン)の審査で見られるポイントは、次のようなポイントになります。

年収
返済比率
勤続年数
勤務形態(正社員、公務員、派遣、契約社員、アルバイト、自営業など)
勤務先の情報(資本金、従業員数、設立年数など)
年齢
健康状態(団体信用生命保険の加入のため)
他社からの借金
不動産の担保評価

この記事では、この中でも特に「他社からの借金」について解説をしますが、マイホームローンの審査は総合的な判断がされるということも覚えておきましょう。

総合的な審査で可決されるケース

例えば、他社から500万円の借金がある人は、ほとんどの場合に審査で落とされるでしょう。

しかし、500万円が金利の低い銀行カーローンであり、安定企業で働いていて、年収1200万円の人なら、審査に通る可能性のほうが高いかもしれませんね。

このように、1つの項目で不利になっていても、他の項目が良いのなら、総合的な審査で可決されることもあります。

この記事では、年収が400万円~600万円くらいの正社員の人を基準にして考え、なるべく多くの人に共通するポイントをあげるようにしています。しかし、あくまで総合的なポイントが重要になるということは忘れないようにしておいてください。

カードローンを借りていても問題ないか?

一口に借金とは言っても、カードローン、キャッシング、自動車ローン、教育ローン、奨学金など、さまざまなものがあります。

金利が低い借金ならそれほど影響はない?

マイホームローンの審査に申込みをしようという時、それが金利の低い借金なら、あわてて借金を返済してしまう必要はありません。

ケース1

中小企業の正社員で年収600万円、金利3.0%の銀行カーローンの残高100万円、その他借金なし、頭金1割

という人のケースですと、これだけを見ていると審査には通る可能性が高いでしょう。

金利3.0%の銀行カーローンを完済してからマイホームローンに申し込んだほうが理想的ですが、頭金は1割しか用意できていないので、1割の頭金を削ってまでカーローンを完済してしまうよりは、そのままにしておいたほうが審査通過の可能性を上げられるように思います。

もちろん、その他の条件にもよるので、ケースバイケースです。

ケース2

中小企業の正社員で年収400万円、金利8.0%のディーラーローンの残高200万円、その他借金なし、頭金1割

という人のケースですと、話は変わってきます。年収400万円に対して、200万円の借金の負担は大きいように感じます。

また、銀行のカーローンではなく信販会社が提供しているディーラーローンなので、金利は8.0%と高めになっています。

頭金1割はキープしておきたいところですので、もう少し借金の金額を減らしてからマイホームローンに申込みをしたほうが良いでしょう。

カードローンやキャッシングは完済をしておいたほうが良い

カードローンやキャッシングの場合、金利は18.0%となっていることが多いです。

金利8.0%のディーラーローンよりもさらに金利は高く、ハイリスクです。

消費者金融キャッシングの場合、銀行からのイメージはあまりよくないので、完済をした上で、解約をしておくことが望ましいです。

ケース3

中小企業の正社員で年収600万円、金利18.0%の消費者金融カードローンの残高100万円、その他借金なし、頭金2割

このケースでは、消費者金融からの借入が100万円あるものの、審査に通る可能性は高いでしょう。

正社員で年収600万円があるのでローンを返済していくだけの余力はあると見られる上、頭金が2割も用意できているからです。

もちろん、年齢などの条件によっても変わってくるのでケースバイケースです。

審査落ちのリスクも?

しかし、このケースでは、審査を行う銀行側から「属性は良く、頭金が2割も用意できているのに、なぜ消費者金融で100万円も借りているのか?」という疑問を持たれるかもしれません。

もちろん、こういった疑問をもたれたからといってただちに審査落ちするとは限りませんが、銀行員から質問をされた時に、理由を答えられるようにしておくべきでしょう。

このケースでは、2割の頭金から100万円を削って、消費者金融からの借金を完済し、カードローンを解約してからマイホームローン審査に申込みをしたほうが審査通過の可能性は上がると思われます。

例えば、3000万円の家を購入するために600万円の頭金を用意していた場合なら、その600万円が500万円に減少しても、なお約16.6%の頭金があることになります。正社員で安定収入を得ている人ならこれで十分でしょう。

この場合、頭金が減るというデメリットよりも、消費者金融からの借金を完済して解約ができるというメリットのほうが大きくなると思われます。

ケース4

中小企業の正社員で年収350万円、金利18.0%の消費者金融カードローンの残高200万円、その他借金なし、頭金1

このケースでは、消費者金融からの借金を完済しなければ審査に通る可能性はかなり低いということが、これまでの説明からわかっていただけるかと思います。

返済比率を計算してみる

返済比率とは、

返済比率=住宅ローンの年間返済額+その他の借金の年間返済額÷年収

で計算される数値です。

フラット35では、「年収400万円未満なら返済比率30%以下、年収400万円超なら返済比率35%以下

というように公式ホームページで返済比率の基準が公開されています。基本的には、返済比率の基準は公開されていないことのほうが多いですが、その場合でもフラット35の基準が参考になります。

その他の借金がある場合には、分母の値が大きくなり、返済比率の数値を引き上げてしまいます。

年収を上げるということは簡単にはできませんので、その他の借金を減らすというのが一番の解決策です。

頭金を増やして住宅ローンの借入額を減らすというのも1つの方法です。

マイホームの購入は人生で一度きりのイベントとなることも多いので、後悔をしないようにしておきましょう。購入する住宅を妥協して、ローンの借入額を下げるというのは、あまりおすすめができません。

住宅を妥協するくらいならば、賃貸でしばらく暮らして、貯金をしたほうがいいと思われます。もちろん、ケースバイケースです。

おまとめ・借り換えで解決をしよう

マイホームローンの購入が間近に迫っている人の場合、債務整理という選択肢はとれません

債務整理をしてしまったら、最低でも5年間はブラックリストにのってしまいます

マイホームローンの購入を5年以内に考えているという人は、おまとめ・借り換えで解決をしましょう。

例えば、消費者金融で2社から50万円ずつ、合計100万円の借金がある場合、銀行カードローンに借り換えをすることで、金利を大きく減らせます。

おまとめ・借り換えのメリットは利息の負担を減らせるということだけではありません。

・借入件数を減らせる

・信用が上がる

といったメリットもあります。

一般的に、借入件数は少ないほど信用が上がります。3社から借入がある状態でローン審査に申込みをするよりも、1社のみから借りている状態でローン審査に申込みをしたほうが有利になります。

また、消費者金融カードローンで借りているよりも、銀行カードローンで借りている人のほうが、一般的に信用は高いです。

債務整理という選択肢はとれませんので、契約を守ったまま借金の負担を小さくする工夫をすることがポイントになります。

債務整理は5年以上前に!

マイホームローンへの申込みが、5年以上先になる場合には、債務整理という選択肢も出てきます。むしろ、債務整理をしたほうが良いケースもあるので、ここで解説をします。

債務整理をした後ブラックリストに載る期間

債務整理をした後ブラックリストに載る期間ですが、

・任意整理・・・5年間

・個人再生もしくは自己破産・・・5年~10年間

となっています。個人信用情報機関には、CIC、JICC、KSCの3つがあり、それぞれの機関でブラックリストに載る期間は異なります。

しかし、まずは銀行が審査をする時にKSCをチェックし、保証会社である消費者金融もしくは信販会社が審査をする時にCICとJICCがチェックされ、結局、3つの個人信用情報機関すべてをチェックされてしまうことが多いです。

そのため、マイホームローンの審査への影響は、任意整理の場合には5年、個人再生もしくは自己破産の場合には10年と考えておきましょう。

債務整理をしたほうが良いケースとは?

債務整理をしたほうが良いケースについて紹介します。

ケース1

年齢25歳で、30代の前半にマイホームを購入しようと考えているAさん。正社員で年収330万円、消費者金融3社から金利18%で合計110万円の借金がある。他にクレジットカードのショッピング枠リボ払い(手数料年15%)が100万円分ある。

このケースでは、現在年齢が25歳で、30代の前半にマイホームの購入を考えているので、個人再生や自己破産という方法では希望が満たせません。

もしも債務整理をするなら、ブラックリストに載る期間が5年ですむ任意整理が良さそうです。

また、年収が330万円しかないのに対して、金利18%で3社から合計110万円もの借金をしています。これはかなりの負担となっています。

クレジットカードのショッピング枠リボ払いも借金と同じであり、手数料は年15%となっていることが多く、負担は大きめです。

Aさんは、合計で210万円もの借金を抱えていると考えることができます。

マイホームの購入のためには、頭金などで700万円~1000万円くらいの貯金が必要になります。

早い段階で借金を完済して、貯金を増やしていかなくてはなりません。

Aさんの場合、任意整理をすることでメリットが出る可能性が高いです。任意整理ではクレジットカードのショッピング枠も対象にできますので、合計210万円の借金の金利をゼロにすることができます。

その結果、借金の完済を早めることができ、30代前半になる頃には十分な貯金ができており、理想的なマイホーム購入が実現する可能性を高められます。

5年が経過すればブラックリストからは解除されるので、31歳になる頃にはクレジットカードなどを作れるようになります。クレジットカードを作成して良好なクレジットヒストリーを築いていけば、32歳~33歳の頃に受けるマイホームローンの審査で有利になるでしょう。

ケース2

年齢28歳で、35歳くらいにはマイホームを購入しようと考えているBさん。正社員で年収350万円、銀行カードローンから金利13%で150万円借りており、他に消費者金融2社から金利18%で合計100万円の借金がある。さらにショッピング枠リボ払いが200万円分ある。

このBさんのケースは、かなり深刻です。銀行から金利13%で150万円、消費者金融2社から金利18%で合計100万円、クレジットカードのショッピング枠リボ払いが手数料15%で200万円の、総額450万円もの借金を抱えている状態です。

正社員なので年収は今後上がっていくことが予想されますが、借金の返済に5年以上かかる可能性も高いでしょう。

高い金利で多額の借金をしているBさんが任意整理をしたほうが良いことは、言うまでもありません。

しかし、Bさんの場合には、10年間マイホームローンを諦めなければならないとしても、個人再生もしくは自己破産をすることも考えるべきでしょう。

任意整理をした場合

Bさんが任意整理をした場合、元本の450万円はそのまま残りますが、金利がゼロとなるので、利息の負担が増えることはありません。

年収が350万円あるBさんなら、節約生活を送り、毎年およそ100万円を返済していくことで、3年~4年で借金を完済してしまえるでしょう。

ブラックリストからは5年で解除されるので、35歳の時に受けるマイホームローン審査への影響もありません。

個人再生をした場合

個人再生をした場合、450万円の借金は100万円まで圧縮されます。借金は原則として3年で返済をすることになりますが、年収350万円のBさんなら借金を返済しながら貯金もすることができるでしょう。

弁護士費用として40万円~55万円くらいかかりますが、手続中のおよそ6ケ月間は借金の返済が止まるので、その間に弁護士費用を用意できる可能性が高いです。

ブラックリストには10年間載ってしまうので、Bさんがマイホームローンの審査を受けるのは38歳以降になるでしょう。

自己破産をした場合

自己破産をした場合、450万円の借金はゼロになります。弁護士費用として25万円~40万円くらいかかりますが、手続中のおよそ6ケ月間は借金の返済が止まるので、その間に弁護士費用を用意できる可能性が高いです。

借金がゼロになったBさんは、すぐにマイホーム購入に向けて貯金を始めることができます。

ブラックリストには10年間載ってしまうので、Bさんがマイホームローンの審査を受けるのは38歳以降になるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?若い頃には経験不足のために、収入に見合わない借金をしてしまうこともあるかもしれません。

しかし、借金問題については、一度の失敗で人生が終わってしまわないように、国が救済制度を用意しています。

大切なことは、できるだけ早い段階で解決策を考えて、行動に移すことです。

借金を抱えてしまって、マイホームの購入を諦めなければならないかもしれないと考えている人に、この記事が参考になれば幸いです。